鶏が鳴き朝が来る。
幻想郷では当たり前の様な朝が来る。
そんな中、仙人である華扇はため息をついた。
華扇「………まだ寝ているの?」
零侍「すぅ………。」
華扇が呆れ顔で見る先には布団に潜り爆睡している零侍の姿があった。
まぁ無理も無いであろう。人間の姿の零侍にとっては昨日の事はかなりの疲労であった。逆に元気百倍、と言った様子でいる人は………。
凌「ふあぁ〜〜〜!おはよ〜。」
四季「おはようございます。良く………寝れた様ですね。」
そう、凌である。昨日の事は無かったかの様に元気に起きて来ている。
凌「あれ?零侍の奴、まだ寝てんのか?」
凌が頭をかきながら寝ている零侍を見る。
すると凌の顔に怪しい笑みが浮かぶ。
凌「華扇、そこちょっとどいてくれ。」
華扇「………?こう?」
凌に言われ少し横に避ける。すると凌は手を伸ばし中腰になる。
伸ばされている手は零侍に向いている。
そこへ椛が来る。
椛「おはようございます。皆さん揃って………」
凌「超弱ガウスカノン!!」
椛の横を閃光が走りすぎ、ビームと共に何かが壁に当たりヒビが入る。
椛は何が通りすぎたのか分からず呆然としていたがやがてそれの正体が判明する。
椛「ああああ!?零侍さん!?」
華扇「何やってるのよあなたは!?」
ヒビが入っている壁の横で零侍が放り出された人形の様な体勢で倒れていた。
椛が慌てて零侍の体の状態を起こす。
椛「零侍さん!?ちょっとしっかりして下さい!零侍さん!」
すると零侍はパッチリと目を覚まし、椛の手を借りながら立ち上がると凌に嘘のような笑顔を送る。そして………。
二人の刀が交わる!!
零侍「やぁ、おはよう凌、何か言い残すことは?」
凌「えっと………おうどん食べたい。」
零侍「やかましいわぁぁぁぁ!!」
凌「ちょ!?その向きで刀に力を入れるのはぎゃあああああああああ!!」
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創夜「………朝っぱらから何やってんだよあんたは。」
凌「いや〜、零侍が気持ち良さそうに寝てるからついかましたくなって………。」
創夜「反省しろアホ。」
凌「はい、そうします。」
結局、息子にも賛成を得られず項垂れる凌。
あの出来事の後、華扇が凌を警戒し中々零侍に近づけないのである。まぁ無理もないだろう。
霊夢「全員揃ったわね?」
霊夢も出て来て全員の準備が整う。
今回の目的は『暗黒の使い』の討伐。情報は霊夢が紫から手に入れているので暗黒の使いの居場所は把握出来ている。
また、前回襲撃して来た死神とゴスロリの少女の再来も考え魔理沙も同行する。するとメンバーは全員で八人となる。
複数で行動するとなると相手も凌達をバラバラにする為に何かしらの事をしかけて来るだろう。
そして暗黒のいる場所、そこも危険な場所であった。
創夜「封苑(ふうえん)火山?何だそれ、聞いたことが無いな………。」
四季「知らないんですか?幻想郷内にある活火山の一つです。今も活発にに噴火したりします。」
創夜「俺らが見逃してるだけか?零侍、お前のいた幻想郷にも封苑火山ってのはあるのか?」
そう聞くと零侍は首を横に振る。
零侍「悪い、聞いたことは無い………。」
創夜「おかしいな………。同じ幻想郷の筈なんだが………。」
創夜と零侍が悩んでいる中、凌は一人難しい顔をしながら考え事をしていた。
凌(封苑火山か………やはりこの幻想郷は何かしらの影響を受けているな………。)
凌は博麗神社にあったこの世界の地図を見た時驚いた。
封苑火山は勿論だが、それ意外にも見たことのない場所があちこちある様だ。
神縁雪園(しんえんせつえん)、旧博麗大橋(きゅうはくれいおおばし)、黒碑渓谷(こくひけいこく)など………本来存在しない場所である。
凌には予想がついてきていた。
『奴』だ、奴が今回の事に関係している。
倒さなければならない、この世界の平和を守る為に。
そして何よりも………。
『自分』に決着をつける為に………。
凌(………いずれ来る事だったんだ。なら逃げる必要など無い。)
創夜「おい、聞いてるのか?」
創夜に大きめな声で言われ我に帰る。
凌「え?あ、あぁ、聞いてた。」
霊夢「どう見たって上の空だったわよね。」
魔理沙「だな。」
凌「いや、そんなことは無いぞ。」
創夜「なら俺らは何て言ってた?」
創夜がそう言うと凌はしばらく考える仕草をする。そして笑顔で言う。
凌「やっぱ、聞いてなかった。」
創夜・零侍「「いい加減にしろぉぉぉ!!」」
凌「すいませぎゃあああああああああ!!」
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封苑火山ーーー幻想郷内で活動中の火山の一つである。
火山があるその一帯の空はいつも黒く、厚い雲に覆われ、雷がたまに鳴る。また、火山を作っている岩石などは見事なまでの黒。地獄などを連想させるその地は古くからある物が封印されていると噂されていたが嘘か誠かは定かでは無い。
そんな中、凌達一行は移動する。
華扇「おっと!………足場が悪いわね。」
石に足を取られよろけた華扇が文句を言う。
何故空を飛ばないかは簡単、敵にバレるから。
今いるのは封苑火山の中央と言って良い所である。活火山地帯のど真ん中にいるのはあり得ない行為だが彼らは普通じゃないので大丈夫だろう。しばらくすると霊夢が指示を出し始める。
霊夢「じゃあここからは分けるわよ。四季、凌、創夜、私は暗黒の使いがいるだろう地点に移動。零侍、華扇、椛、魔理沙はもし、こちらに暗黒の使いがいなかった際に遭遇したら合図を、良いわね?」
霊夢の指示の後、二手に分かれて暗黒の使いを探し始める。
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凌「………なぁ皆、一つ言っておきたいことがある。」
共に行動していた三人は凌の顔を見る。
凌「暗黒の使いをもし見つけても、無理に戦わないでくれ。奴は俺がやる。いや、『殺らなきゃ』ならない奴なんだ。」
凌の深刻そうな顔を見る。すると突然、凌が手の平を斜め上に向けてスペカ宣言無しでガウスカノンを放つ。
放たれたガウスカノンはこちらに飛んできていた車両を破壊しながら伸びて行き火山に当たり爆発を起こす。
凌「そう………殺してやらなきゃならないんだよ………。」
そう言いながら凌は車が飛んできた方を見る。その瞳はまるで獲物を見る獣の様な恐ろしさがあった。
凌が見る先………そこにはフードにボロボロなローブを纏った人物が飛んでいた。
フードの下にある顔がゆっくりと火山の溶岩が出す光であらわになる。その顔は包帯がぐるぐる巻になっていて、唯一見えている目の部分は黒目、白目関係なく紅く光っていた。
「………待ったぞ、瀬戸尾 凌………。」
エコーのかかった声が火山の噴火音がなっている中でも良く響く。
凌「あぁ、お互い随分と時間が経っちまったな。だがもうそんな事にはならない。」
暗黒の使いは背中に背負っている大剣を。凌は隙間に閉まっていた刀を取り出す。
これはもはやスペカの戦いでも、得点を競う競技でも無い。ただ純粋な『殺し合い』である。二人の嫌と言う程の殺気が辺りに充満する。あの霊夢でさえも額に汗を流している。
「そうだ、ここで全てが終わる。お前が背負った尊き者も、大切なものも………いずれはお前のその刀が全てを斬り捨てていただろうものだ。」
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零侍(何だ………?何か調子が悪い………。)
零侍は頭を抑えながら歩く。
椛「………大丈夫ですか?」
零侍「あぁ、大丈夫だ。」
正直言って全然大丈夫では無い。さっきから頭が段々と痛くなって行く。まるで『何かが近づいてきているのに反応するかの様に』だ。
魔理沙と華扇は気を使ってか、歩き始めよりもかなりスピードを落としていてくれている。
他の所にも行ったが暗黒の使いの姿は無かったので帰ろうとした時、空から無数の弾幕が降りかかる。
華扇「敵だ!!」
華扇と魔理沙はとっさに岩陰に隠れる。椛はすぐに動けなさそうだった零侍の前に出ると盾を空に向けて自分と零侍を守る。
弾幕の雨が止むと空から笑い声が聞こえてくる。
夜行「やるじゃねぇか!だが次はもう無いぜ?なぁ、零侍くんよぉぉぉ!」
空には巨大で独特な形をした鎌を持った夜行が飛んでいた。真っ黒な雲に雷が走る空をバックに飛んでいる彼は絵になっていた。
零侍「………!あの時の死神………!」
空を見ながら歯ぎしりをする。最悪だ、奴はかなりの実力を持っている。今、頭痛と言うハンデを持ち、ましてや人間の姿である零侍が相手出来るかどうか………。
華扇と魔理沙が避けた方では爆発が起き、華扇達とあのゴスロリ少女が戦闘を繰り広げていた。まさに敵の奇襲を受けたのだ。
椛「………場が悪すぎです。一旦引きましょう!」
そう言うが零侍は立ち上がると夜行に向けて刀を構える。
零侍「無駄だ、恐らくすぐに追いつかれる。」
椛「ですけど………!」
反論しようとした椛の脳に声が響く。
『撤退させるな。』
椛(………グッ。)
椛はただ歯を食いしばる事しか出来ない。
向かい合った夜行と零侍はお互いを見合い、そして相手に向かって行く。
戦いの火蓋は切り落とされた。止まることは無い。どちらかの正義が勝たない限り………。
ついに〜風の希望の章〜も終わりが近づいてきました………マズイ、混純録も終わりそう………。
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