「シロウ。コーヒーで占いができるとチノに聞いた。
俺もやってみたいんだが…」
「コーヒー占い…カフェ・ド・マンシーか。
確かに特段技術なども必要なさそうだし、ジークでもやろうと思えばできるかもしれんな」
何やらジークとシロウが話している。
カフェ・ド・マンシー…コーヒーで占いを?
「まずお客様…でなくとも、相手にコーヒーを飲んでもらって、カップをソーサーに逆さに置いて…
で、底に残っているコーヒーの跡を見て運気を占う…だそうだ」
「それって、結局見る人によって結果がコロコロ変わったりしそうだけど…」
「まあ、残りの模様がどう見えるかなど結局は主観だからな。
当たるも八卦当たらぬも八卦、というものだし、気にしすぎる必要もないだろう」
そんなわけで営業終了と共に一つやってみることに。
ひとまず僕はジークとシロウ、シロウは僕を占ってみてくれることとなった。
「ん〜……………」
まずい。
いざやるとなったらどう見れば良いのか…これは何だ?
そもそもコーヒーの残りをものに見立てるって無理がないか!?
「えっと…ジークは天秤…かな?
ここ最近良いことがなかったみたいだし、きっと幸運が巡ってくる番だよ」
「ふむ…そういうものか」
「シロウは…?中華鍋かな、これ」
「新しく調理器具を揃えろ、とでも?
とは言え、うちの店でそんな大層な中華料理を扱うつもりは無いのだがね」
結局、僕の占いは微妙な結果になってしまった…
で、次はシロウが僕の占いを。
「これは…ふむ。
リンネには女難の相が見えるな。
ここしばらく女性の機微には気をつけておくと良い」
「女難って…彼女の一人も居ないし、そもそも周りの女性は僕を男として見てくれているのかすら怪しいんですがそれは…」
「まあ、先程も言ったが“当たるも八卦”だからな。
普段から何事も備えておくに越したことはないさ」
そういうものかなぁ…
翌日。
「コーヒーで占いができるの?
何だか面白そうね!」
「そんな楽しそうなことしてたならあたしも誘ってくれりゃよかったのにさ〜」
「君はここんところ甘兎に通い詰めて買い出しに駆り出されてたでしょ。
自業自得だよ」
休み時間。
どうやらココアちゃんもラビットハウスで件のコーヒー占いをしてもらったらしく、その話でタマキや千夜ちゃんも交えて盛り上がっていた。
「
「千夜ちゃんちのお茶美味しいよね」
「うん。毎日だって飲みたいぐらい」
「だからって本当に通い詰めないで実家のお仕事も真面目にやってほしいんですけどね」
うへ〜とタマキがゆるい悲鳴をあげる。
さっきも言ったが自業自得だ。
千夜ちゃんも千夜ちゃんで中々にタマキをたらしこんでるみたいだし、警戒したほうが良いのかも…
と思ったら何やら顔を赤らめてテレテレしてる。
『毎日だって飲みたい』に反応したのか?
「こういうコーヒーを使った占いのことを昔から『カフェ・ド・マンシー』って呼んでるんだって」
「カフェドマンサー?
ネクロマンサー的なものかしら?」
マンサーじゃなくてマンシーね。
千夜ちゃんって何でそういう知識が豊富なのだろうか。
甘兎のメニュー名もアレだったし。
「そう言えば私手相占いならできるわ」
「ホント!?わー見てみて!」
「ふん…ふん…ココアちゃんは魔性を秘めた相があるわ」
魔性…魔性?
人畜無害の化身のようなココアちゃんが魔性?
「私にもあるのよ!」
「お揃いだね〜」
「それは揃って喜んで良いものなのかな…」
「本人たちが良いなら良いんじゃないの〜?」
「せっかくだからリンネくんの手相も見てあげましょう!」
…まあ、せっかくだし。
スッと手を差し出すと千夜ちゃんが驚いて…いや、まだ手を差し出しただけなんですけど。
「こ、これはっ…女難の相!
それも特大の!!」
「「特大の!?」」
「これは大変なものを抱え込んでるわねリンネくん…女性には苦労するわ…」
シロウも言ってたけどそんなに…?
そんなに女性に問題起こしそうなのかな、僕って…
「まあリンネくん顔はすごく良いし。
それが女性を魅了して知らず知らずのうちにトラブルを…」
「リンネくんのほうが魔性の持ち主だったの!?」
やめて!
なんか本当にありそうだからやめて!!
その後、お昼を食べるため移動中のこと。
「ココアちゃんだったら魔性ってどんなイメージ?」
「んーっとね…あ!
先輩ハンカチ落としましたよ。
これも何かの縁なので今度お昼一緒にどうですか?」
魔性っていうかナンパじゃん、それ。
ちょっと違うような…先輩も困惑してるし…
「ちっちっち〜ココアちゃんも千夜ちゃんも甘いなぁ。
本物の魔性には残念ながら遠いねぇ」
「むむっ!
ならタマキ殿!本物の魔性とは何でありますか!」
「それは今からこちらのお方から証明していただきま〜す」
…僕かよ。
というか魔性って。
普段から女の子二人といて欠片も意識された試しがない僕が魔性って。
言ってて悲しくなって来たなぁ畜生。
「あのね〜コショコショコショコショ」
「ええ…そんなんで?」
まあ、とりあえずやってみることに。
まずはえーっと…誰でもいいから異性をじーっと見つめろ、だっけ?
「……………」
「………?」
怪しまれてる気しかしない!!
なんかひそひそ話し始めた!!
ヤバい、心が折れそう…帰っていいですか?
「「「ダメです」」」
テレパシーかな?
…あれ、さっき見てた人が…
「ね、ねえ…キミ一年だよね?
私に何か用事でもあるの?」
「え!?」
顔を赤くした、おそらく先輩であろう女生徒が近づいてきて話しかけてきてくれた!
っと、この後に…ええと。
「あーその…良かったら放課後お茶でもしませんか?
なんて…ハハ」
と、さり気なく?お誘いする。
爽やかに柔らかく笑みを浮かべるのも忘れずに。
「………っ!!
じ、じゃあ放課後校門で待ってるから…!」
…先輩が戻っていった。
何なんだ、コレ?
なんか一気に疲れた気がするぞ…早くお昼を食べたい。
「………」ムフー
「「………」」プクー
何故か自慢げなタマキと、納得行かなそうな表情のココアちゃん千夜ちゃんがそこには居たのでした。
というわけで中庭。
それぞれのお弁当を広げ昼食タイム。
「あらココアちゃん、そのお弁当美味しそうね」
「本当だ。バランスもいいし…」
「本当!?実は今日のお弁当自分で作ったんだけど自信作なんだ!
特にこの卵焼きの焼き加減が…」
と、談笑していたら突然タマキがガタッ!と立ち上がり…!
「何かが…来る…!」
と。
その視線の先には黒いなにか…え、こっちに落ちてくる!?
「ブッ!?」
その黒いなにかはタマキの顔面に衝突してホップして…
べしゃ
「「あ」」
「ぐ、は、あ…」
「あーあんこったら。
またカラスに攫われたのね」
えぇ…
ココアちゃんのお弁当があんこの下敷きに…
「……………」
「………ココアちゃん。僕のお弁当で良かったら半分あげるよ?」
「良いの!?」
「うん。
足りないかもだけど…」
…で、結局。
僕もココアちゃんも微妙に足りないということで、購買でパンを購入いたしました。
「購買のコロッケパン食べてみたかったんだ〜
千夜ちゃん代金ありがとうね」
「気にしないで。リンネくんも私が払ったのに…」
「いや、流石にそれはちょっとねぇ…」
ちょっと流石に気が引ける。
それはそれとしてココアちゃんは大丈夫なのだろうか。
さっきあんこが弁当の上に乗った時に制服も…制服…水玉…え。
「ッッッッ!!?!?!!!!?!?」
「!!!
こ、ココアちゃん!」
「ひゃっ!?パンが…」
み、見てないぞ。
そのヒラヒラの下に隠された、青い春を生きる数多の野郎どもを魅了してやまないあのコのキャーなあれなんて僕は断じて見ておりません!!!
「今見てたよね。思いっきり」
「?パンならキャッチできたよ!」
「ちっ違うの!!
さっきトイレに行ったときから…スカートが…私が気づかなかったせいで…こっ…
ココアちゃんの水玉がっ…!」
…パンは無惨にも地面とキッスしたのでした。
「……………申し訳ありませんでした…やましい気持ちとか無かったんです…不慮の事故だったんです…」
その後。
結局見えてしまったのは事実なので。
僕はココアちゃんに土下座しました。
「そ、そんな気にしなくても〜」
「いや、駄目ですから…男にとっては罪深い行いなので…」
「そーだそーだ!なんて羨…けしからん行いをしてくれたのだ!」
「一体お前はその行為一つでどれほどの男子を敵に回したのか分かってんのかー!!」
と、クラスの喧しい野郎どもが野次る。
ええい、不埒なのはどっちだってんだっ。
僕は本気で反省してんだぞこのやろー!
「でもちょっと役得とか思ってんじゃない〜」
タマキ。後でぶっ飛ばす。
…あれ。そう言えば…
ココアちゃんのスカートがだいぶ前から捲れてたってことは…しかもそこそこ人通りはあったはず…
「…ココアちゃん、千夜ちゃん、タマキ。
ごめん、ちょっと全校生徒に問いたださなくちゃいけないことができたよ…」魔力放出A+&カリスマA+&無敵貫通付与&Buster性能UP&Buster Chain
「その剣はどこから取り出したの!?」
「ココアちゃんの後ろに立ってガードしてたから見えてはいないと思うよ〜」
「………つまりお前は見たのか?」
「スカートが捲れたのは見えたけど肝心の中身は見てないからさ〜許して?♡」
結局その後、『後日ココアちゃんのお願いを聞く』ことを条件にお許しをいただけたのでした。
「何だか今日はついてない気がする…」
「僕もだよ…女難とは違うかもしれないけど…」
「こんな日もあるわよ。
帰りにどこか寄って…」
ん?
千夜ちゃんが上を見て…!?
「ココアちゃん危ない!」
「えっ!?わっ…!」
痛っで!
冷た…水の入ったジョウロが落ちてきたようだ。
間一髪だった。
「ココアちゃん大丈夫?」
「あ、う、うん…ありがとう…」
?顔が赤いんですけど。
もしかしてどこか打ってっ」
「すみません!
バランスを崩してバケツの水が…!」
「あれま…」
「こ、ココアちゃん…リンネくん…」
「…汚れた水じゃないみたいだし良かったよ」
「こっちもあんこが濡れなくてよかったよ!」
「「二人とも…」」ホロリ
「フルールに寄って涼んでいかない?
ついでにシャロちゃんの様子も見に行こうよ!」
「さんせい♪」
「迷惑じゃなければいいけど…」
というわけでやってきましたフルール・ド・ラパン。
今日もそれなりに賑わっているご様子。
ロップイヤーのメイドさんや執事さんがたくさん。
「シャロちゃん来たよ〜」
「四名です」
「あ、ココアにリンネ…って!?
なななんてもの連れてきてるのよ!!
やめて!こっちこないでぇ!!」
なん…だと…
これが女難…出会い頭にこんな事を…
「シャロちゃん小さい頃からあんこによくかじられて
以来ちょっとうさぎ恐怖症なのよ…」
「へえ…ならあんこはあたしが預かりますよ。
ほーらこいこーい」
と、ココアちゃんの頭の上に乗っていたあんこに呼びかけ…あんこが飛び移った。
…シャロさんに。
「………あたしも不運なのかしら」ズーン
「よっぽど気に入ってるみたいだね、シャロさんのこと…」
「お待ちどうさま」
「わあ…!」
注文したロールケーキと紅茶を美味しそうに食べるココアちゃん。
かわいいね。
僕も僕でミルクレープを…
「こいつが来るなんて今日はついてない」
「「………ついて、ない…」」
「シャロちゃん!せっかく今日の出来事忘れてたところなのについてないなんて言っちゃだめよ!」
(よくわかんないけどめんどくさい…)
「はい、490円のお釣りです」
なんやかんやティータイムも終わり。
僕も支払いを済ませてココアちゃんも会計中だ。
男として良いところを見せようとしたのだが、『それはお姉ちゃんとしてのプライドが許さないよ!』と断られた。
これは流石に女難じゃない…と思いたい。
「せっかくだからシャロちゃんの手相を見てあげよう。
…うーん?えーっと…片思い中でしかも全く相手に通じない相がある…」
「障害だらけの相ね」
「恋愛運自体は〜?」
「うーん…ここしばらく動きはない…って感じかな。
あと金運がひど」
「それ以上言うなばかー!!!」
…シャロちゃんのストレート投げのお釣りはココアちゃんのおでこにパチコーンとヒットし、床に散らばったのでした。
「…そんなわけで今日は大変だったよ」
「そうだったのか。
俺は小テストで知ってる問題がよく出てきて、体育の時間も普段より動けたし…良いことがあったが…」
「昼休憩の時間の買い物ついでに福引をしたら、この中華鍋が当たった。
…存外占いも馬鹿にできないかもしれんな」
ジークとシロウも占いが当たったようだ。
僕とは違っていい方向に。クソッタレ(悪態)
「ところでリンネくん。
キミ、なにか忘れちゃいませんかね~」
「忘れたこと?」
何だ?今日一日はココアちゃんのアレ…をうっかり…で何か言うことを聞く…それ以外になにか…あ。
「しまった!!先輩とお茶の約束!!」バァンッ!!
「おいリンネ!仕事はどうするんだ!」
「ごめん今日は休む!!
今月の小遣いにツケといて良いから!!」
その後ずっと校門で待っていた先輩に謝り倒し、良いお値段のお店に連れて行ってどうにかお許しをいただけたのでした。
しかしお仕事を休んでしまったおかげで来月の資金は痛手が入ることが確定し、先輩からの評判もやや下がることになったのでした。
やっぱり…女難だ…
主人公はトラブルに見舞われるものだからね、しょうがないね。
次回はオリジナルの回なので遅れます。
ゆるして