「「チノ(ちゃん)が笑わない?」」
「うん…」
ある日の衛宮さんち。
ココアちゃんがそんな相談にやってきました。
確かにチノちゃんが笑ったところって…見たこと無いな、うん。
「確かにチノは表情があまり変わらないからな。
チノにはすまないが…表情が硬い、と言った感じなのだろうか。
もっと表情筋を使ってもいいと思うのだが…」
「「……………」」
「…?
二人ともどうしたんだ」
あの。
君がそれを言うんですか、ジークさん。
うちで一、二を争うほど表情筋が硬いあなたですよ。
セントもタマキも、何ならいま厨房から出てきたであろうシロウもうん…と小さく頷いてる。
…同じく殆ど表情が動かないチサトは、? という感じだったけど。
「…あれ。
ジークくん、いま『あまり笑わない』って言った?」
「まあ、似たような意味だろうか。
学校ではたまに笑っているのを見る」
…なん…だと…?
翌日。
学校にて…
「そういえば最初に会った時より表情豊かになったかも。
この前あんこに追いかけられてるシャロちゃんを見て羨ましそうに笑ってたわ」
シャロちゃん…千夜ちゃんも助けてあげなよ…
「その時あたしがあんこを止めたんだけどさ〜ちょっと羨ましいような悔しいような顔になってたかな」
「…一緒に暮らしてるのに笑顔を見たことないなんて」
「きっと偶然見逃してるだけよ
それが些細な表情の変化を見逃してるだけかも」
それにしたってこのイメージ図はどうなんです千夜ちゃん。
ほぼ変わってないんですがそれは。
帰り道にて。
ココアちゃんがデジカメ片手にいろんな写真を取ってます。
実家への手紙と共に家族に送るんだそうです。
「リンネくんとタマキくんも撮るよ〜ハイ寄って寄って〜」
「いえーい。ぴーすぴーす」
「ぴ、ピース?」
「ん〜表情が硬いね…」
「それも一つの味ってやつじゃな〜い?
そんな気にしなくても〜」
「僕は後で撮り直しかな…」
「あ、そうだわココアちゃん。
写真現像できたら見せてもらえる?」
「どんな風に撮れたか見たいの?
ならこれで…」
「ううん違うの。
未来の大手チェーン甘兎の社長としてサインを入れておきたいの」
「無駄にカッコいい!」
取らぬ狸のなんとやら、にならないといいけどね。
「あら、働いてるところも撮るの?」
「お母さん着物とか好きだから喜ぶと思うんだ。
いつも通りよろしく!」
「はーい♪」
…自然体と言われたそばからポーズを取ったんですけど。
しかもわざわざタマキの膝に乗ってたあんこを呼び戻してまで…
「お盆三刀流〜はっ!」
「それこそいつもの千夜ちゃんだよ!」
お次はフルールにやって来ました。
「お客さま。
店員の写真撮影はお控えください」
…シャロちゃんに早速厳しい注意を頂いてしまった。
まあ確かにフルールの制服ってかわいいから宣伝したくなる気持ちも…分からなくはないけど…
「お姉ちゃんもお兄ちゃんたちもバニーガール喜ぶと思って…」
「うちはそういうお店じゃないんだけど!!」
「でもさっき撮ったシャロちゃん気品オーラが足りない気がする…ちょっとこれ持って座ってくれる?」
…紅茶のカップとソーサーをもち、足を組んで椅子に座り…ああ、たしかにこれは…
「気品を感じるね!」
「でしょー!
これこそいつものシャロちゃんだよ!背景に薔薇が見えるよ!」
(普段の私って…)
「ならあたしも〜
ほらどう、高貴さ感じる?」
「感じる!
シャロちゃんとはまた違った優雅さだよ!!」
「そういえば…シャロちゃんチノちゃんの笑顔って見たことある?
私無いんだけど…」
「あるに決まってるじゃない」
…なん……だと……
「もう懸賞金だすから撮ってきてぇ!」
お金で解決は良くないんじゃないですか。
ほらシャロちゃんだって驚いてるし。
「でっでもココアが直接見なきゃ意味ないじゃない。
私や他のものに向けられた笑顔の写真なんて見たって虚しいだけじゃないの?」
あ、たしかに一理あるかも。
「リゼちゃんのカッコいい軍服写真もつけるから…」
「惑わされないんだからー!!」
「そういう問題なの…?」
「なら私の高貴なドレス姿とお兄ちゃんの貴公子なカッコいい写真も付ける。
これでどうだ。」
「何が『これでどうだ』なのよ。
だいたい何でそれが交渉材料になると思うのよ」
現れたチサトに対して辛辣な一言。
チサト、本当に普段シャロちゃんに何してるんだろう…
「むぅ。でも、お兄ちゃんの写真はきっと色んなところで使える。
こんな絶世の美男子の写真、その辺の女の子にスッ、と渡せばあれやこれや」
「私の写真を妙なものみたいに言うんじゃないバカ妹。
気にしなくていいからなシャロ」
「分かってるわよ。
もうチサトのリードを握るのも慣れてきたわ」
…セントとシャロちゃんはどうやらある種意気投合しているようです。
チサトの飼い主的な意味で。
喫茶『衛宮さんち』。
ココアちゃんが写真を撮りに来ました。
「やっぱり狙い目はシロウさんのプロ顔負けの料理シーンだよね!!」
「厨房の立ち入りは原則として禁止だ。
諦めてくれたまえ」
「うう、厳しい…」
「まあ、シロウからしたら厨房は自分の縄張りみたいなものだからね…
僕たちだって滅多に入れないぐらいだし」
「同じ店の店員なのに!?」
「ココアちゃん写真撮ってるの?
僕も撮って撮って〜!」
「良いよ〜はいチーズ!」
フラリとやってきて可愛らしくポーズを取るアスカや、丁寧に対応しているシキ。
窓辺でわざとらしく儚げなポージングと表情を浮かべるチサトやタマキ。
硬い表情ながらも淡々と仕事をこなすジークやセント。
カウンターでお客と談話するシロウ。
衛宮家メンバーの写真を次々収めていくココアちゃん。
「うん…うん!
今日だけでたくさん写真が撮れたよ!
これだけあればお母さんたちも大満足だね!」
「協力できたなら良かったよ」
「…あ!そうだ!
最後にみんな集合写真を…」
と、衛宮家を集めそれぞれの立ち位置や、ポージング、表情を指示していくココアちゃん。
そしてそれらが完了すると正面に移動し…
「ふぉお…いい!良いよみんな!!
どこかの雑誌の表紙だって飾れる美男美女揃いだよ!!」
ええ…?
その後もそれぞれの単体写真だったり、セントやチサトの兄妹ツーショット、ジーク・アスカ・シキの中学生トリオのスリーショットなどを次々と収める。
「…あ!リンネくんも1枚!」
「僕?」
「うん!『私がこの街に来て初めて出会って初めて出来た友達です』って送るの!」
…そうなのか。
「そういうことならせっかくだ。
リンネとココアくんのツーショットというのはどうかね?」
「ナイスアイディアだよシロウさん!
じゃあコレお願いします!」
「任せてくれたまえ」
マジで?
トトト…と隣にココアちゃんが軽快に駆け寄ってきて並んだ。
「…二人とも、もう少し近づけないかね?
リンネ、一歩ココアくんに寄ってくれ」
「ん…こう?」
「………?」
「うむ、良いツーショットだ。
ココアくん、確認してくれるか?」
「…あ、はい!
ええっと…うん!よし!じゃあリンネくん、また明日!」
「…ココアさん遅いです」
「隣に写真撮りに行ってるんだっけ?
随分たくさん取ってるみたいだな」
「………ただいま」
「あ、お帰りなさ…ココアさん?」
「どうした?」
「…チノちゃん、リゼちゃん
私…病気になっちゃったのかも」
「「え!?」」
「さっき、リンネくんと写真撮ったらね…急に動悸が…はっ!?
もしかしてこれって不整脈なのかな!?」
「…ココア、それは…」
「なんで急にそんな…お父さんに頼んで病院に連れて行ってもらいましょう!」
「ちょ!!」
…ココアちゃんがこの動悸と不整脈?の正体を知るのは、まだまだずっと先のオハナシです。
「ココアからの手紙が届いた〜!」
「モカったらすぐ元気になっちゃって」
「ふふふ〜今回はどんな…わぁ!
写真がいっぱいだよお母さん!!見てみて…あれ
この子…」
「衛宮さーん。お手紙来てますよ〜」
「はいはい、どうも…どれどれ」
『『父さんへ』』『親父へ』『『『『『お父さんへ』』』』
「…さて。皆は楽しくやれてるのかな…」
最後の男性のCVは小山○也氏です。
リンネ達もココアちゃんや街の写真を自分たちで取って実家のお父さんへのもとに送ったそうですよ。