「ココアちゃん私のお弁当いる?
何だか食欲なくて…」
ある日の学校。
千夜ちゃんの元気がなんだかありません。
しかもお弁当のおかずが…
(((全部焦げてる…!)))
「千夜くんの元気がない?」
「うん。何だか朝から気が抜けてる感じで…心ここにあらず、っていうか…」
「ふむ…彼女もまた喫茶店の跡継ぎ娘だ。
将来の不安でもあるのかもしれんな…」
「経験者は語る、ってやつ〜?
あたしらも相談乗ってあげたほうが良いのかな〜」
「失礼する!」
「あれ、リゼさん?それにココアちゃんも」
店じまいの時間に二人がやってきました。
なんか物騒なものが見えるんですがそれは。
「今日学校で千夜ちゃんにノート借りっぱなしだったの思い出して…出来れば誰かついてきてもらえないかなって」
「ふむ…リンネ、タマキ。
ついでに千夜くんの様子を見てきたらどうだ?」
…そうだね。
というわけで、甘兎に三人で向かうこととなりました。
「あれ、シャロちゃんだ」
「なんで甘兎に?」
「あ…今朝、起こしに来た千夜とちょっと揉めちゃったの」
もしかしてそれで千夜ちゃん落ち込んでたのかな?
「追いかけてきたのを振り切って学校に行ったんだけど罪悪感が…その時転んでたし…」
「だから千夜ちゃんタイツ破れてたんだね~」
「でも!千夜ってば成長するようにって毎朝しつこく牛乳を押し付けてくるのよ!!胸がないからって!!」
「「背の心配だと思うよ!?」」
「牛乳飲んで成長するって迷信じゃなかったっけ?」
「でもあんなにしょんぼりした千夜ちゃん初めて見たよ!
シャロちゃんのことがすごく心配だったんだね」
「幼馴染みっていいよね〜」
「そ、そんなに…!?」
「じゃあシャロちゃんも一緒に行く?そうすれば恥ずかしくないんじゃないかな?」
「あ、えと…お店に入りにくいのはそういう理由じゃなくて…
ホラ、あいつが怖いの…私を見るなり飛びついて噛み付くから…」
「そういうことならあたしがあんこを引き受けるよ〜」
「でもそれだけじゃ危ないかも…あ!それなら…」
…ココアちゃん。流石にそれはどうなんでしょう。
「きゃーー!?ご、強盗!?」
それ見たことか!!銃持って覆面紙袋って!
…と思ったら、千夜ちゃんがフラフラとやって来た。
「ココアちゃん…それにリンネくんにタマキくんも…皆揃ってどうしたの?」
「千夜ちゃんふらふらしてるよ!?」
「そういえばお昼もちゃんと食べてなかったよね?お弁当も焦げてたし…」
「食欲なくて…それに何だか集中力も…」
うーん。何が原因でここまで?
いずれにせよ千夜ちゃんは負のループに陥っているのでは…
「もうオーダーストップしてる時間よね!?
キッチン借りるわよ!」
シャロちゃんが紙袋をとって…それを見たあんこに追いかけられて店の出入口へ。
「キッチンはそっちじゃないよ!!」
「あんこ〜あたしのもとにいらっしゃ〜い」
タマキの呼びかけが効いたのか、ピクン!と耳が反応してタマキに向かって駆け出すあんこ。
「さああんこや!あたしの胸にとびこんでいらっしゃい゛っ゛」
…顔に思い切り飛びついて、そのまま顔の上に乗ってペロペロと舐め始めた。
あの、タマキが大の字にぶっ倒れたまま起きてこないんですがそれは。
まあ、ひとまずあんこはタマキが引き受けてくれたのでシャロちゃん、ココアちゃん、僕の三人で千夜ちゃんを元気づけるための料理を作ることとなりました。
とはいえそんな本格的なものではなく、簡単に飲めて栄養価もいい感じな味噌汁ですが。
シャロちゃんは(僕たちも手伝ったけど)慣れた手付きで味噌汁を作った。
お嬢様なのに凄いなぁ…
「お味噌汁作ってるシャロちゃんって意外と様になってるね〜
実家のお母さんが恋しくなっちゃったよ」
「やっ やめてよ…」
「僕も思ったよ。
シロウも実家で豚汁とか作ってたけどそれに似たものを感じたね」
(お母さんらしさで思い出されるシロウさんって一体何なのかしら…)
「ところでお母さん。
さっきからわかめの増大が止まらないの」
「「入れすぎ!!」」
「い゛だ゛い゛…い゛だ゛い゛…目がしみる…」
「助けてお母さん!涙が止まらないよ〜!」
「娘なら邪魔しないでよぉ!!」
「皆〜お料理の進展のほどはどう〜?」
「三人とも…私のために夕食作ってくれてるの?」
「しっ食欲ないって言ってたから食べやすくて体に良いものをって…」
「シャロちゃんのお味噌汁すっごく美味しいの」
実際とても安心する味だったよね。
千夜ちゃんも味見用の小皿で一口飲むと、表情が和らいだのが見える。
「…もやし料理ばかりと思って心配してたけど…一人でこんなに料理うまくなったのね」
もやし?
シャロちゃんって自分で料理してるのか…手慣れてたけど。
お手伝いさんとかいないのかな?
「そこはホラ、アレですよリンネくん。
花嫁修業、的な?」
「なるほど…?」
「そうね。シャロちゃんはお母さんっていうより、生活に困っていても愛があれば大丈夫な新妻役でお願いするわ」
「ちゃっかり会話聞いてんじゃないわよ」
新妻…若奥様…エプロンか割烹着をつけてお味噌汁を作るシャロちゃん?
…あれ、割とそれっぽいぞ。
「なら立ち位置的にリンネくんがシャロちゃんの息子かね?
金髪だし雰囲気も似てるし」
えー?それだけで親子扱いはどうかと…
と、隣のシャロちゃんと目があった。同じことを考えてたみたいだ。
「………むぅ」
…なんでココアちゃんはむくれてるのさ。
「その…朝は逃げてごめんなさい。
私の体のこと考えてくれてたのに…」
「千夜ちゃんも元気だして!」
「そうね…私一人で抱え込みすぎて心配させちゃってたわ」
千夜ちゃんは味噌汁効果も合ってか先程より少し元気になったみたいです。
にしてもそんなに悩むことって一体…?
「いくらでもあたしらに相談してくれりゃいいのにさ〜。
おすそ分けしてもらった栗きんとんが自分の和菓子より美味しかったなんて」
「タ、タマキくん…!」
……………えぇ〜…
「そりゃあチノちゃんのお父さんは仮にも店長さんだし…経験も豊富だろうし…」
「ごめんなさい…恥ずかしくって…」
「あの栗きんとんはたしかに美味しかったよね。
あたしは千夜ちゃんの作る和菓子だって負けないぐらい美味しいと思うけどさ〜」
「あ!そうだわシャロちゃん、今朝渡したかったものなんだけど…」
「なっ何、牛乳じゃなかったの…?」
「今朝飛ばされたシャロちゃんの下着がうちの木に引っかかってたの。
追いかけても逃げるように学校行っちゃうんだもん」
… 僕 は 何 も 見 て ま せ ん 。
「へ〜シャロちゃんはしドグジュ
タマキ。
その後、色々ありまして五人仲良く栗きんとんの研究をしたのでした。
…と思ったら、翌日持ってきていた牛乳寒天が甘兎の寒天デザートより美味しいと、またしても一悶着あったのでした…
ジーク「チノ、それは牛乳寒天か?」
チノ「はい。父にリクエストしたんです
毎日食べればデザート感覚でカルシウムが取れて背が伸びるかもしれません。
あわよくば胸も大きく…」
マヤ「合理的!」
メグ「効果あるのかなぁ?」
アスカ「…ねぇシキ、牛乳で胸が大きくなるって迷信じゃ…」
シキ「シッ!それは言わぬが吉なんです!!」