第3巻に入っていきます。
本日、テスト前期間の勉強会のため、僕とタマキとセントは甘兎庵にお呼ばれしております。
…まあタマキは案の定ひと足お先に甘兎へお客として向かっているのですが。
「わざわざココアちゃんが働いてるとこの写真まで送ってきてさ…」
「相変わらずだなアイツは」
これぐらい自分の家の仕事も熱心にやってくれれば本当にありがたいんですがね。
勉強も…まあ、うん。
というわけでやって来ました甘兎庵。
…店じまいの用意をしている千夜ちゃんとココアちゃんがいました。
「リンネくんこんばんは!
ねえねえ、私どうかな!?
甘兎の制服にあってる!?」
いかにもほめて!という顔とキラキラした目でこちらを見つめてくるココアちゃん。
まあ…確かに、似合ってる。
髪もいつもと違うお下げ髪で、印象も変わるなぁ。
「うん。似合ってる。
いつもと違うけど、それも可愛いと思うよ」
「――――――――」
「…あれ?ココアさん…?」
「―――――――はっ!?
あ、あああありがとう!! じゃあ私たち着替えてくるから!
行こ千夜ちゃん!!」
…えぇ?
「あらあら、リンネくんってば、あらあら…」
「…リンネ、お前なぁ」
店から出てきたタマキは口元を抑えてニマニマしてるし、セントはため息をついてる。
なんだって言うんですか。
ココアちゃん千夜ちゃんの着替えも終わり、いざ勉強会。
と思ったら、シャロちゃんもやって来ました。
「ココアと千夜二人だけかと思ったら、リンネ達も居るじゃない…私まで呼ぶ意味あるの?」
「シャロちゃんにはツッコミ係をお願いするよ!」
「私達の集中力が切れそうになったらハリセンで引っ叩いてほしいの」
ええー。
まあその担当なら僕たちだと力強すぎるかもだし(シャロちゃんでも危ないけど)、普通に勉強するにしてもシャロちゃんなら頼りになるし。
居てくれて困るわけでもないけど。
まあ、とにもかくにも勉強を始めよう。
「あれ?課題のプリントどこにやったんだっけ?」
「やだ…コレに使ってたわ」
あのさぁ…
「ココア、そこ計算間違ってるわよ」
「えっ。そんなことないよ?」
「珍しいね、ココアちゃんが数学で間違えるなんて…」
「シャロちゃんも計算強いわよね」
「というか全体的に成績は良いな。
特待生なだけあって」
「セントがそれ言う〜優等生のくせに〜」
「タマキだってちゃらんぽらんな感じの割に全然出来てるじゃない」
「まあそっち方面は昔からお母さんに気をつけるように言われてましたから。
優しいメイド教師さんもいましたし?
お陰で成績はそれなりに安定してるよ〜」
「…むぅ」
千夜ちゃんがむくれてます。
まあなんやかんや勉強会は進み…
「あ!千夜ちゃんのアルバム発見!」
ココアさん、勉強中ですよ。
でもまあちょっと気になるかも…おや。
「これ千夜ちゃんとシャロちゃん?
なんか雰囲気が違うような…」
「あー。高校に入学する前の写真だわ」
「シャロちゃん髪ちょっと長いね〜千夜ちゃんもおさげさんだし〜」
「何だか千夜ちゃん浮かない顔してるね」
「ああそれ?
私と学校が別々になるから友達できるか不安がってたんだっけ。
ホント心配性なんだかムゴ」
…学校かぁ。
そういえば、僕たちも地元の学校に通ってて、高校はこっちに行くって事を話した時には驚かれたっけな。
「でもさ〜そうやって別々の高校に入ったおかげで千夜ちゃんもココアちゃんとかあたしたちと友達になれて、シャロちゃんもセントとかチサトと仲良くなれたわけじゃん?
結果オーライじゃない?」
「ふふ…そうかも。
でも…もし、もしも。ここに居る皆、おんなじ学校だったら…なんてちょっと考えたりもするわ」
みんな同じ、かぁ。
それは…
「仲良くなれたよ」
…ココアちゃん?
「学校が違ってても、住んでた場所が違ってても、もっといろいろ違うことがあっても、こうして仲良く話せてるんだもん。
きっとみんな同じでも、いつか仲良くなってたって思うよ!」
「…そうだね。
うん。きっとそうだ」
なんだか、ちょっとだけしんみりしたけど、結果的に友情の再確認ができました。
雨降って地固まる、かな?
その日、夢を見た。
僕が、タマキが、セントが、チサトが、ココアちゃんが、千夜ちゃんが、シャロちゃんが。
そして、この学校の友達や元いたあの町の友達が、みんな、同じ場所で…
「ん…夢か」
まあ、そうですよね。
だって、そんなこと…
ゴト。
タマキが寝返りを打った。
今日は『ココアちゃん達が皆で寝てるからこっちも久々に皆で寝ようぜ〜』とタマキの提案で同じ部屋で寝てたんだっけ…
「んが…皆で放課後にわくわくざぶーん行こうよ~むにゃ…」
「もうシーズン過ぎにもほどあるだろ…」
………もう一回、すぐに寝たら、同じ夢を見ることができるでしょうか。
昔の絵本の騎士は、『見ることができる』と嘘をついたけど。
今回は本当ならいいなぁ、と思い眠りました。