姉妹の形もそれぞれです。
遠坂桜です。
木組みの街にやって来て二日目、久しぶりに会った先輩や衛宮家の皆さん、お友達になったモカさんやその妹さんたちと一緒にピクニック…
の途中でボート対決の真っ最中です!
ただし、姉さんはとある作戦のために一時対決から離れていますが。
リゼさんとのお話、上手く行っているでしょうか…
「……………」
「千夜さん?ボーっとしてますけど…大丈夫ですか?」
「えっ!?あ、いえ、その…」
「何か困ってることがあるなら遠慮なく言ってください。
私もお姉さんですからなにか力になれるかもしれません」
「ええと…さっきココアちゃんに話を聞いて気づいたことがあって………
私だけモカさんにもふもふされてないみたいなの」
…本当だ。
チノちゃんとリゼさんは昨日、ココアちゃんは昔からもふもふしてもらってるだろうし、シャロさんもさっき………
「で、でもほら!そんな事を言ったら私も姉さんもしてもらってないですよ!!
それに衛宮家の皆も…」
「それはほら…男の子だから…それに皆大人っぽいし…
私も妹っぽくないのかしら…」
う、うーん…そんなことはないと思うんですけど…
どうしたものでしょうか。
「そうだ。千夜さんもボート漕いでみますか?
少しは気が紛れるかも」
「少しだけなら…ふんっ!ふん…んしょ!!」
「その調子です!!」
「おおっと!千夜&桜さんペア!ここで操舵手を千夜ちゃんに交代した模様です!
果たして、これがどのようにきいてくるのか!」
「操舵手と言う程でも無いと思うがな。
…それと、千夜くんも懸命に漕いでいるのはいいが…」
「千夜たちその場を回転してるわよ…」
「二人とも気づいてないのかな…あ、止まった!」
「うええ…酔ったわ…」
「大丈夫ですか!?」
自滅させてしまいました…
リンネです。
突然始まったボート漕ぎレース、なかなかに白熱しております。
「さて、千夜&桜さんペアの動きが止まったところで、他ペアを見ていきましょう。
やはり一番先頭をゆくのは変わらずモカさん&チノペア。
それをココア&シャロちゃんペアが追走する形となっています。
リゼ先輩&凛さんペアは依然として戻って来る気配すらありません。
解説のシロウさん、この状況をどう見ますか」
「このまま行けばやはりチノくんもモカさんのペアの勝利はほぼ確実と言えるだろう。
逆転を狙えそうなのはココアくんとシャロくんペアだが…」
意気揚々と実況するチサトに、冷静な解説を行うシロウ。
シロウも困惑してた割に楽しそうです。
するとその時…
「あっと!ここでチノちゃんの頭からティッピーが落下しました!
どんどん流されていきます!」
「これは想定外…いや、動くことを想定すれば防ぎようもあっただろうか…いずれにせよ、どうにか回収しなくてはな」
結果として後ろに流されていたので、そこに居たココアちゃん&シャロちゃんペアによって救助されたのでした。
ティッピーって濡れるとあんなになるんだ…
一方その頃ココア&シャロペアは。
「お姉ちゃんがあんなに遠くに…また負けちゃうのかな
私…お姉ちゃんに一度も勝てたことないんだよ」
「ココア…」
(きっとお姉さんと比べられて育ってきたのね…)
「悔しさのあまり家出も考えたことあるんだ…」
「そっそんなに!?」
なお、家出の内容は『ババ抜きの修行に出ます』というものである。
こう言っては何だが、家での理由としてはいささかパンチが弱い。
「らしくないわっ!!」
「ぐはっ」
感極まったシャロが思わずココアをビンタした。
「そんなに悔しいなら姉を超える妹になりなさい!
立つのよ!!」
「ボートの上で立ったら危ないよ…
でもありがとうシャロちゃん。
――――――私、目が覚めたよ!」
「もういいから!後は私に任せなさい!」
と、例のごとくカフェインによる
が
「これは私がケリをつけることだよ―――――!」
「ココアが飲むの!?」
ココアが飲んでも特に意味はないだろうが、本人は気合い十分なのでプラシーボ効果はあるのかもしれない(迷推理)
そして勢いに乗ったココア達のボートは勢いよく加速し…
「この戦いで…お姉ちゃんを越える!!」
追い抜いた。
「ぬ…っ」
「抜いたぁ…!」
が、勝利の余韻もつかの間。
その横を勢いよく過ぎ去る一陣の風が。
「「え」」
第一回(仮)木組みの街公園池ボートレース
結果
一着:千夜&桜ペア
二着:ココア&シャロペア
三着:チノ&モカペア
四着:リゼ&凛ペア
「千夜さんすごかったですね!
あれが『火事場のバカ力』ってやつでしょうか」
「ぜー…ぜー…」
「まさか最後にあんなブーストかかるなんて…」
「そこまでして叶えたいお願いがあったのかな?」
「は、はい…あの…
私をモフモフしてください♪」
「「えぇぇぇぇ!?」」
「じゃあ私も♪」
「お安い御用!
二人ともおいで〜♪」
「うわーん!千夜ちゃんまでとられたよ〜!」
「ゴール!
………って、もう皆ゴールしちゃってるわね」
「遠坂、お前な…猪突猛進にも限度ってものがあると思うんだ」
「あら、衛宮くんは私が猪女だって言いたいのかしら?
私だって考え合っての行いよ?ね、リゼさん?」
「え…あ、ああ!そうだぞシロウ!
そこまで言わなくていいだろう!?」
「落ち着け!会話が噛み合ってないぞ!」
「じゃあここからは男性陣による第二レース!私が実況やるから解説は千夜ちゃんよろしくね!」
「まかせてちょうだい!」
「「「えっ!?」」」
そして、野郎組による白熱のレースも終わり。
日も暮れてきたので公園で解散することとなりました。
「ねえ衛宮くん。帰り送ってくれないかしら?」
「………なぜ私が」
「こういうときに一番頼りになるのは先輩ですから!」
「他にも居るだろ…まあ、別にいいけど。
おいお前達、明日は普通に店を開けるから用意しておいてくれよ」
衛宮家組が各々『はーい』と返事をし、帰路につく。
それに合わせて同級生の少女たちも同じ道を行く。
さて、こちらも早く送り届けて帰ろう…といったところで、
「リゼさん、良かったら一緒に帰りましょ」
「――――えっ!?」
「帰り道一緒みたいだし。途中まででもいいから、ね?
若い子の話も聞きながら帰りたい気分なの」
「なんだよそれは…おいリゼ、迷惑ならはっきり断っていいんだぞ」
「え、いや、それは………分かりました。
一緒に帰ります」
「おい!!」
そして帰り道。
夕焼けで紅く眩しく染まった街を、四人は歩く……無言で。
遠坂たちめ、『話がしたい』とか言っておいて何を黙ってるんだ…!
こっちまで気まずいんですが!?
「あ、そろそろね。じゃあ私たちはこれで」
「そうですね。また明日です、先輩」
「え…おい、ここからオレにどうしろと」
「なーに言ってるのよ?そこにまだ帰路の途中のお嬢さんが居るじゃないの。
キチンと送り届けなさい」
「……………」
「じゃ、そういうわけだから。
また明日伺うわね、
「………っ!」
「…ああ、また明日…ん、どうしたリゼ」
「な、なんでもない!
ほら、早く帰ろう!!」
「な、おい!早足で歩くなって………!!」
「………ありがとう」
「いまさら気にするな」
…結局、それから対して話もしないまま、家についた。
到着してからの会話もそれで途切れてしまい、なんとなく気まずい。
「………じゃあ、な。
会うことがあったら、また明日来ると良い」
「ぁ………
―――――ま、待って…!」
「………何なんだ、一体」
「あ、あの…えっと…
り、凛さん達とはだいぶラフに話すんだな」
「…まあ、昔なじみだからな。
高校時代はよく話したし」
「………本当にそれだけか?
ただの昔なじみにしてはずいぶん距離が近いんじゃないか」
「だったらなんだ。もし
「う………それは」
「……………昔好きだった」
「………」
「…まあ、初恋、とは違うんだろうが。
それでも好きだったのは確かだったし、告白もされた」
「―――――――」
「まあ、だからって今どうなってるわけでもないがな」
「…何でだよ。好きだったし、告白されたってことは、その。
両思い…だったんじゃないのか」
「………なんと言えばいいんだろうな。
遠坂とオレじゃあ目指してるものが違ってて、それは決して両立できないものだった、ってところか」
「………難しいな、なんだか」
「………そうだな」
………その後は、結局お互い話が続かず。
『それじゃあ』と互いに軽く挨拶して別れた。
『あなた、士郎のことどう思ってるのかしら?』
『………どう、って、私は別に…』
『あら本当?私と桜がアイツの同級生って聞いたときの反応といい、
さっきの話してるときといい、やけに士郎の事気にしてるふうだったけど』
『それは…それはただ、今まであいつに女っ気が無かったから少し驚いただけで…』
『へえ?別になんとも思ってない男のそんな事、気になるんだ?』
『……………』
『あーゴメンゴメン言い過ぎた!そんなへそ曲げないでちょうだいよ!
…ま、確かに士郎のやつそういうハッキリとした関係の女の人って居ないもんね、今も昔も。
ま、逆に言うと友人は多かったんだけどね、同性異性問わず』
『………』
『
『………
はあっ!?』
『わ、面白いぐらい真っ赤になっちゃって』
『いや、なんっ、それは…!
だ、誰があんなのを…!』
『にしては慌ててるみたいだけど?
それにそんな赤くなっちゃって〜可愛い♪』
『ちっちがっ…これは驚いただけで…!』
『驚いてそんな真っ赤になるものかしら?』
『ぁ、う………』
『………ねえ、リゼさん。“好き”ってそんな難しいことかしら』
『え…』
『この人に私のことを見ていてほしいとか、自分ともっと一緒にいてほしいとか。
そんなんでも良いんじゃない?
…早めに決断しないと、後悔することになるかもしれないわよ』
『後悔…って…』
『私ね、士郎に告白して振られてるのよ』
頭が真っ白になった。
こく、はく。それで、凛さんがシロウに振られたって。
だって二人は、あんな…
『高校卒業と同時にね、『私の仕事を手伝うためにもそばに居てほしい』って。
向こうからもそれなりに意識されてたから、上手くいくもんだと思ってたのよ?
なのにあいつってばさ…いつの間にか自分のやりたいこと見つけて、それを追っかけたいから私と一緒にはなれないってさ』
『………それで…どうなったんですか』
『まあ、それでおしまいよ。私たちはこれからもただの友達のまんま。
その日はもう家に帰ってわんわん泣いたわね。
「なんで両思いなのに失恋するんだ」とか「もっと早く告白すればよかった」とか「あいつよりもいい男見つけて幸せになってやる」ってさんざん泣いた。
それで勘違いして怒ったお父…父が衛宮くんちに乗り込もうとしたりして大変だったわよ』
『………』
『ちょっと説教っぽくなっちゃったかしら?
でもね、割と本気で心配なのよ?
私の二の舞なんて縁起でもない。
あなたは
『え…?』
『ハッキリさせてよ。
…私のためにも、あなたのためにも、
他ならぬ士郎のためにも』
シロウと別れ、部屋に戻り。
そんなことをずっと思い出す。
私は、どうしたいんだろう。
私は、シロウのことが…好きなのだろうか。
私は――――――――
誰だって幸せになる権利はある