喫茶『衛宮さんち』   作:山崎五郎

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作者が(原作の中で)個人的に好きな話です。
半分ぐらいオリジナルになりました、許して




ダンスの全てはインドに通ずる

ジークです。

春休みも終り学校が始まりました。

 

体育の授業で創作ダンスがあり、アスカとシキと相談中。

 

「ダンスって言ってもね〜ボクよく分かんないな」

 

「もともとある曲やダンスをそのままでも良いんでしたっけ。

何か有名なアーティストの真似でもしましょうか?」

 

「俺もソレが良いと思う。

下手にオリジナルで行っても上手く揃いそうにないからな…」

 

「揃いも揃って運動は得意なのに協調性がありませんからね」

 

「結構長い事一緒にいるのにね~」

 

 

 

 

「かっ体が勝手に〜!!」

 

「「!?」」

 

「あれ、メグちゃん…あれバレエかな?

上手だねぇ」

 

「お、衛宮組。

そっちは決まった?」

 

「ううん、まだ〜

それで、メグちゃんは…」

 

「あーメグはお母さんがバレエの講師なんだよ。

だから子供の頃から踊ってたんだ」

 

「なるほど。身体に染み付いてるんですね」

 

「昔取った杵柄というやつか」

 

「きれいな動きでしたね」

 

「は、恥ずかしいよ~」

 

 

 

 

その後、チマメ隊のダンスはバレエを織り混ぜたものに決まった。

果たしてどうなるのだろうか…少し楽しみだ。

 

「いや、それよりも私たちがどうするかを決めましょうよ」

 

…すまない。

 

 

 

「それで、俺たちは結局どうするんだ?」

 

「体育の時間なのに話し合いと振り付けを少し踊って終わりだなんて笑えませんよ…」

 

「まあまあ。

いろんなダンス踊れて楽しかったよ?

 

にしてもバレエかぁ…」

 

「アスカは実家にいた頃に見たりしたのか?」

 

「確かにバレエの公演とかを見るのはちょっとしたセレブリティを感じますね」

 

「そんな堅苦しいものじゃないよ〜

難しく考えずに…ほら、こうやって」

 

と、アスカがバレエの振りを踊りだ………す…

 

「フン…フフン…♪」

 

「…ジーク、これは」

 

「ああ…」

 

上手い。アスカはもともとアクティブでよく動くし、体育の成績も高いから踊りの心配はしていなかったが…

まさかバレエもここまで…

 

「…ほら、こうやって楽しんで踊れば良いんだよ!

…アレ?ジーク?シキ?」

 

「………アスカ。それはどう考えても『楽しんで踊る』のレベルじゃありませんよ」

 

「アスカもバレエ経験者なのか?」

 

「えー。

経験者って言ってもたいしたことないよ?

 

本当に小さい頃お母さんとバレエ公演行って、それに影響されてちょっと教室行ったくらいだし。

飽きてすぐ辞めちゃったし…」

 

「…俺たちもいっそバレエにするか」

 

「ネタ被りで怒られませんか?」

 

「バレエがダメならブレイクダンスとかにしてみる?

そっちのほうが変に堅苦しくないよ?」

 

「それはそれで振り付けが大変なんじゃ…」

 

そうしてあれやこれやと話し合って。

結局ダンスの内容は決まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数日。

一応授業中ではそれっぽく振りを合わせたりしているものの、結局ハッキリと決めることは出来ていなかった。

 

そして…

 

 

「ねね、チマメ隊のバレエ教室の様子見に行ってみない?」

 

「…そういうのってアリなんです?」

 

「参考にはなりそうだが…」

 

「細かいことは気にしないの。

それにほら、僕らからの差し入れでも持ってさ…」

 

それでいいのだろうか。

まあ、確かに本格的なバレエなんて見たことがないからな。

 

参考程度に見学してみるのもありかもしれない…?

 

「じゃあ早速マヤちゃんにメールっと…『今からそっちに差し入れ持ってくから場所教えて!』…お、もう返信きた!」

 

早いな。どれどれ…

 

『私たちのアイディア盗るつもりだろ!!

来んな!!!』

 

「「「……………」」」

 

まあ、無理もないな。

仕方ない、やはり地道に…

 

「まあもう調べはつけてあるんだけどね。

一応聞いてみただけ!さあレッツゴー!」

 

「今『来るな』って言われましたよね!?」

 

………すまない、マヤ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「しっつれいしまーす!

チマメ隊に差し入れに来ました!」

 

「迷惑だから大声はやめなさい!

すみません突然…!!」

 

「あー!なんで来たんだよ!!」

 

「すまない…こうなったアスカはもうどうしようもないんだ…本当にすまない…」

 

まあなんやかんや差し入れは受け取ってもらえたし、見学も許してもらえた。

…メグの母親が『よかったらあなた達も体験していく?』と言っていたが遠慮した。

 

男のバレエはその…いろいろとすまなくなるからな。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、ココアがコッソリと差し入れにやって来た。

真似をしていたら足をつって横たわった。

 

そしてなぜか自分もチマメ隊とともにバレエのレッスンを。

 

 

そして翌日にはリゼ…さんがやって来た。

そして同じくレッスンに参加。

 

さらにその後千夜…さんとシャロ…さんもやって来た。

さらにシャロさんの気配を嗅ぎつけたのかチサトまで。

 

いつの間にか賑やかになってしまったな。

 

 

 

 

「ていうか僕たち結局見学だけで振り決めてなくない?」

 

「「あ。」」

 

しまった。

見学から何か参考にできるかと思ったが…これでは本末転倒だ。

 

マズイ…

 

 

 

「で、結局何も決まらず帰ってきて相談中か」

 

「すまない…」

 

「結局ここ数日私達がやってたことと言えば同級生と先輩方のバレエの見学だけですよ…

自分たちのことなんて何一つ決めてないのに…」

 

「せめて曲だけでも何にするか決めようか?」

 

「だが今から踊りの練習をしたところで完成度は…やはり既存の曲と振りを…」

 

 

と、あれだこれだ、わーわーぎゃーぎゃー。

話し合っても纏まらない。結局練習の時間はほとんど取れないぞ…

 

「とりあえず…これでも食べて落ち着くといい」

 

「「「ん?」」」

 

シロウが何か…これは…

揚げパンにきな粉とバニラアイスが…

 

「試作品だ。3時の間食…には少し遅いが、まあ今日は特別だ。

疲れているときには甘いものと言うだろう?」

 

確かに、考え詰めで腹も空いたからな。

糖分を摂取すれば頭も働くだろうか…ん。

 

「美味いな…!」

 

「おいしー!!」

 

「温かい揚げパンに冷えたバニラアイスが相まって…

これは人気が出ますね!」

 

これはまたうちの喫茶店に売れ筋メニューがまた増えたな。

さて、気を取り直してダンスだが…

 

「…年長者から一つ言わせてもらうとすれば。

3人とも少し考えすぎではないかね」

 

「「「え?」」」

 

声のトーンこそ違えど、三人の声が重なる。

やれやれと言わんばかりの表情でふぅ、とシロウがため息を一つ。

 

「いや、何だ。私の持論だが…何事においても重要なのは『楽しむこと』だと思っている。

私にすればそれが料理なように…しっかり考えるだけでなく、柔軟に楽しむことも大事なのではないかね?

 

特にお前たちが今やろうとしている事など特に」

 

「「「………」」」

 

確かに。

ダンスというのはもっと…音楽に合わせて楽しむものだったはずだ。

今の俺たちは…テーマにこだわるあまり考えが固まってしまっているのかもしれないな。

 

「それで言ったらシロウもそうだよね。

料理してる時いっつもどこか楽しそーだし」

 

「元々はお父さんの食生活改善の為だったのに、こっちでも最近楽しそうですよねシロウさん」

 

「フ、まあ少しな。

少しデザート系統にも凝り始めたが、これがなかなかどうして…」

 

「失礼するぞ!」

 

ん。

もうすぐ閉店時間のはずだが、この時間から…?

 

「あれ、リゼさんじゃないですか」

 

「バレエ教室終わったの?」

 

「ん、そうだな。

なかなかバレエというのも体を動かすものだな…」

 

「だから疲れた時の甘いもの、か?

ちょうど新作のメニューが出来上がったところだが…」

 

「私が手伝ったやつだな?

じゃあそれを頼むか」

 

「了解だ。少々お待ちくださいませ」

 

………何だろうか。

リゼさんもシロウも、あのやりとりを楽しんでいるような、そんな気がする。

 

「まあ軽口は元々じゃない?

付き合いだしてから距離感は近くなったような気はするけど」

 

「心なしか料理の際も少し楽しそうに見えます」

 

そういうものなのか。

…それにしても、楽しむこと…

 

「二人とも。ちょっと聞いてくれるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

ダンス発表の日がやって来た。

 

「次ジーク達の番だね!」

 

「結局どんなものにしたんでしょうか…」

 

レコーダーに音源の入ったCDをセットし、スイッチオン。

音楽が流れ始め…

 

「ガシン、ガシン、ガシン、ガシン…」

 

「ロボットダンス!?」

「何でアスカさんだけ…あれ、ジークさんも踊りだしました」

「シキくんも…」

 

スタートは3人で息を合わせたロボットダンス。

そして3人とも動き出し、徐々にスピードを上げ…次の動きに入る。

 

「アレは…なんか昔見たことある?」

「ボックスステップですね」

「テンポが少しずつ速くなって…」

 

 

「「「ハイ!ハイ!ハ・ハ・ハイ!!

 

ハイ、ハイ、ハイ!!!」」」

 

…決まった。

俺たちの最終的なテーマは…ズバリ『アドリブダンス』。

 

型にはまらない、音楽に合わせて好きなフリで動きを合わせ踊る。

『楽しむこと』を何より大事にしたダンスだ。

 

結果としては大成功。

クラスメイトからも称賛の拍手をもらい、満足のいく結果に終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

…ちなみに。

クラスで最も優秀と評されたのは、『RRR』のナートゥダンスを完コピしてみせた蒼崎兄弟だった。

 

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