この想いの行く先は
その人を見た第一印象は。
『綺麗』だった。
スラリとした背丈に白を基調としたスーツ、真っ直ぐに伸びた
そんな整った顔立ちの英国紳士、キリシュタリアと呼ばれたその人は、現在…
「それでその時にセントルシア様が野良犬に追いかけ回されましてねー。
あの時の泣きっぷりときたらもう大変で…」
「だからいちいち僕の話をするなって言ってんだ!!
というかお前本当に何しに来たんだよ!!」
…私の友人の過去のエピソードを楽しげに語り、その友人本人に怒鳴られていた。
なんだか、思いの外愉快な人みたい。
「昔はそんな小さくて可愛くて愛くるしかったセントルシア様が今やここまで…ううっ、キリシュタリアは嬉しゅうございます…」
「何目線の何のセリフだよ…お前本当余計なこと言いに来ただけなら帰ってくれないか」
「もちろん、大事な要件があったから来たのですよ。
…みんなで」
「………まさ、か」
「いやあ、いい喫茶店ですね。
あんなにいい店ならもっと早く…」
「皆、って?」
「……………
と、セントは頭を抱えてため息を大きくこぼしながらそう呟きました。
そんなになる人たちって…
「…うん、このコーヒーいけるな。
うちの仕事場のブランドだけのもんなんかの数倍いい。
カドックもそう思わないか?」
「…元々コーヒーの味なんて大して気にしたことないんだが…まあ、確かに悪くないな」
「フフ、ご主人も店員さんも、みんな坊っちゃんに勝るとも劣らぬ美男子揃いね!
ナニ、そういうお店?
――――――アッ、ごめんなさい、謝るから冷めた目で見るのはヤメテ…」
「「「………………」」」
「…本当に
またセントが頭を抱えてため息を以下省略。
でもこの反応を見る限り他人じゃないみたい…
パッと店を見渡すだけでもずいぶん目立ってる人が沢山。
楽しげに笑いながら隣りに座っている銀髪の男の人に話しかけている耳が特徴的なオールバックに四角のグラス眼鏡をかけた男の人。
座っていても分かるぐらいに背が高いであろう、特徴的なメイクと話し方の人。
それを横目に見ながら、あるいはわざと無視し、あるいは気にもとめずゆっくりコーヒーを飲んでいる人が3名。
何だかその…凄く特徴的な人達がそこにいる。
「お兄ちゃんやっと追いつい………みんな!
あ、よく見たらキリシュタリアだ」
「今気づいたのかよ!」
「…おお!?まさかチサト様まで!
何ともまあご立派になられて!」
「おっ、何だ戻ってきてたのかキリシュタリア。
セント様とチサト様も久しぶりだなぁ!」
「あらホント!
二人ともカッコよく可愛くなっちゃってもう!」
「いえーい!さいこー!」
「「「サイコー!!!」」」
………何やら追いかけてきていたらしいチサトが、キリシュタリアさんと…他2名と手をつなぎ、グルグル回りながら踊り始めてしまった。
なんなの、コレ。
「…アイツらはほっといて良いわ。
それより、久しぶりねセントルシア様」
「その呼び方やめてくれヒナコさん。
キリシュタリアはもう諦めたけど、アンタにそう呼ばれるのはむず痒くて仕方ない」
「そう。相変わらずね。
…そっちの子はガールフレンドかしら」
「…えっ!?あ、その」
「違う違う。ただの友人だよ…なんですぐそういう話題にしたがるかね。
悪いなシャロ…ん?」
「――――――。」
「おーい、シャロ?」
「え、あ、そ…そうです。
友人です、友人」
「――――ふーん。
で、肝心の本題だけど…」
「ひさびさの再開さいこー!」グルグル
「「「サイコー!!!」」」グルグルグルグル
「…ハァ。デイビット」
「ん」
丸眼鏡の女の人…ヒナコさんが未だにグルグル回ってるチサト達を見てため息を一つ。
で、どこからかハリセンを取り出して隣の男の人に…
「ぐは!?」バァン!
「ぎゃん!?」バァン!
「いってぇ!?」バァン!
「ふおー!バランスが!」
「よっと。
流石にチサト…お嬢様の頭を叩くわけにはいかなかったからな。
多少荒っぽくなったが許してくれ」
「ん。へーき。
久しぶりにキリシュタリア達と遊べて楽しかったから」
「そうか。なら良かった」
「私達は良くないんだがね…」
「本題をないがしろにして遊んでいるからだろう。
いい加減にしておかないと主人に怒られる」
「ううん…それもそうか。
怒らせると怖いからなあ、あの人は」
「…あの人、って」
「まあ、ご想像のとおりですよ。
それよりも早く移動しないと、そのうちあっちの方かr「キリシュタリア!何を遊んでいるの!?早くあの子達を連れ……て…」…来ちゃうかもしれない、と言おうとした矢先かぁ…」
喫茶店のドアを勢いよく開け放ち、怒号を響かせた女の人が。
多少はねた癖っ毛の銀髪に、見覚えのあるオレンジの瞳をした…
「…母さん…」
「お母さん!!」
「セントルシア、チサト………久しぶっ」
「おかーさん久しぶり!!」ムギュー
「ムグ、グム…!!」
「チサト!お前本当いい加減学習しろって!!
母さんが窒息死するぞ!
シャロも剥がすの手伝っ………」
「………」ズモモモモモ
「シャロ!今そういうの良いから!!」
「…ゴホン。お見苦しいところをお見せいたしました…
オルガマリー・アニムスフィア、セントルシアとチサトの母です。
で、こっちの七人は私の部下たちで…
キリシュタリア、カドック、オフェリア、ヒナコ、ペペロンチーノ、ベリル、デイビットです」
「ご丁寧にどうも」
と、セント達のお母さん…が、シロウさんと話している。
…というか、なんで私未だにこの場にいるのかしら…
「…あ、そういえば。
セント、これありがと」
「ん…あ、私のハンカチ…そういえば貸したままだったな」
「ようやく返せたわ…」
「随分と仲が良いのね、二人は」
「オフェリア。
話は良いのか?」
「ええ。話すと言っても私達は付き添いみたいなものだし。
参加するとしてもキリシュタリアぐらいのものよ」
…あれ。
このオフェリアって人、どこかで…あ!
「あなた、この間セントと話してた…」
「ん?
…ああ、そういえば学校の帰りに話をしてたときのことかしら」
「そういえばそうだった。
『ちょっとした用事で寄った』と言ってたけど、まさか…こういうことか…」
「そういうこと。
まあ、ちょっとしたドッキリみたいなものね」
…何だか、この人も思ったより、その…
やめとこ。なんか失礼だし。
「…というか、アンタ本当に性格変わったよな…
…はい?
「え、結婚…え?既婚者?
え?キリシュタリア…え?あの人と?」
「…ええ。数年前に」
そう答えたオフェリアさんの頬が桜色に染まった。
…どうやら本当らしい。
つまり、私はセントが既婚者と話してる様子を見て…その…
「はぁあー………」
「…シャロ、本当にこの間からどうしたんだ?」
「なんでもな…くはないわよね…
本当に色々疲れてるみたい、もう帰るわ…」
「…一応送る」
「待ちなさいセントルシア。
ここからの話はあなたにも…いえ、むしろあなたの話をするのよ。
ご友人は…そうね、オフェリア、頼めるかしら」
「はい。お任せを。
…シャロさん、どうぞ」
「あ、はい…」
こんな丁寧な見送り、多分今後一生無いわね…
まあ、今回はセントも家族水入らずって事っぽいし、私は早く帰って―――――
「…縁談?母さん、それは…」
「だから言ってるじゃない。
要は『あなたに見合いの話が来てる』ってことよ」
「――――――は?」
原作キャラ紹介
オルガマリー・アニムスフィア
セントルシアとチサトの母親。
もう一つの原作から成長して美人に。
個性的な部下とハチャメチャな子供達に振り回される苦労人お母さま。
でも幸せ。
キリシュタリア・ヴォーダイム
オルガマリーの部下の一人で、セントルシア達の元世話係。
美しい高貴さを感じる見た目とは裏腹に愉快な人。
チサトと仲良し。
カドック・ゼムルプス
オルガマリーの部下の一人。
変わり者揃いの同僚達の中間管理職ポジションで、やはり苦労人。
オフェリア・ヴォーダイム
オルガマリーの部下の一人。キリシュタリアの妻。
何故か片目を眼帯で隠している。美人。
芥ヒナコ
オルガマリーの部下の一人。
大きめの黒縁メガネをかけた読書家。
どこか周りから一歩引いた佇まい。
スカンジナビア・ペペロンチーノ
オルガマリーの部下の一人。
高身長なオネエ系の男性。面倒見が良い。
チサトと仲良し。
ベリル・ガット
オルガマリーの部下の一人。
どこか飄々とした食えない男。
ノリが合うのかチサトと仲良し。
デイビット・ゼム・ヴォイド
オルガマリーの部下の一人。
無表情・無感情・無口が特徴な掴みどころのない男。
…のように見せかけてそれなりにコミュニケーションは取るし、ノリもそれなりに良い方。