喫茶『衛宮さんち』   作:山崎五郎

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第五羽です。




オレは嘘は言っていないぞ!!

引っ越してきて数日。

 

ようやく当店…喫茶店『衛宮さんち』は開店する日を迎えたのだった。

…のだが。

 

「今日は、学校の始業式だから午前は手伝えないんだ…すまない…」

 

「「うちの学校も同じく」」

 

「…僕とタマキも明日入学式だからね。

多分午前中は…」

 

「…まあ、覚悟の上だよ。

学生は学生らしく、青春を思う存分満喫すればいいさ

 

それに、休日はともかく平日、それも午前中に大量に人が来ることなどそうそうないだろう。

まして、オープンしたばかりの喫茶店になどね」

 

「それは仮にも店主としてどうなのさシロウ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ終え、店先の掃除です。

…と思ったら、店から制服に着替えたジークが。

 

「それ、新しい学校の?

似合ってるよ、ジーク」

 

「ありがとう。

リンネの制服姿も楽しみにしている」

 

「何を楽しみにするのか…ん?」

 

お隣のドアが開いた。

中から出てきたのは、先日出会った…

 

「ココアちゃん?と、その子は…」

 

「あ、リンネくん!おはよう!

この子は私の妹のチノちゃんです!」

 

「チノです。初めまして…

あと、妹じゃありませんので」

 

「ココアに、チノ…俺はジーク。

中学二年生で…」

 

「ということはチノちゃんと同い年…つまり私にとっては弟だね!?」

 

「見境がない!!?」

 

「大丈夫だよリンネくん…君が望むのならリンネくんも私のおとうt「そろそろ行かないと遅刻するのではないかね?お嬢さんたち」…あ!いけない!行こうチノちゃん、ジークくん!」

 

「では、俺も行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

と、朝からドタバタと一悶着あったのでした。

…にしても。ココアちゃんの制服、見覚えがあるような…?

 

まあいいか。

とりあえず仕事を続けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから実に数時間後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は私の学校は午前で終わり、普段よりも早くバイトに…

 

の前に、オーナーに頼んで少し寄り道をさせてもらうことにした。

 

 

 

 

 

バイト先の隣。

つい先日引っ越してきて、まさに今日オープンしたのだという喫茶店。

 

言わば敵情視察と言うやつだな。

 

よりによって隣も喫茶店になるとは予想外だったが…

 

 

 

 

 

 

思い切って扉を開き、店内へと入る。

あくまでも平然を装って、一人の客らしく。

 

すると、私よりも前に来ていたであろう客が支払いをしているところだった。

 

 

「はい、こちら200円のお釣りです。

またどうぞ」

 

「ハイ!また来ますね!」

 

 

なっ…そんなに魅力的なのか、この喫茶店は!?

何がそんなに良いんだ…?

 

やはり飲み物か、それとも食事か…!?

 

 

 

「全く、半ば怖いもの見たさであろうとはいえ、まさか初日から5人も客が来てくれるとは。

今後も贔屓にしてくれるとありがたいんだけどな…」

 

…と、私に気づいていないのか、店内がレジの整理をしながら独り言を呟いてる。

そんなに自信がなかったのか…?

 

まあ、確かにラビットハウスもそんなに多く客が来る方でも無いが…

 

「ん…おっと、失礼しました。いらっしゃいませ」

 

 

 

店員が顔を上げる。

 

赤い髪に金の瞳、凛々しいながらもどこか幼さの残る顔立ち。

無骨な店員服すら着こなす、スラリとした高身長の色男。

 

…先程の客が何に対して『また来ます』と言ったのか、悔しいが理解できてしまった。

 

 

「…?お客様、1名様ですか?」

 

「はっ!?あ、ああ!1名です!!」

 

「???」

 

い、いかん、つい声が大きく…

落ち着け、冷静に、冷静に…戦場で感情を剥き出しにするのは命取りだ…

 

「…カウンター席でもよろしいですか?

それと、現在都合により私しか店員が居ないので、少々お時間を取らせてしまうかもしれませんが…」

 

「構いません」

 

「かしこまりました。ではこちらに…こちらメニューとお冷です」

 

て、手早い…!

サービス精神も素晴らしい。

 

これは確かにリピーターが増えそうだ。

私達も見習うべきだな…

 

肝心のメニューの方は…ふむ。

飲み物の種類はそれ程豊富というわけでもないな。

 

コーヒーも紅茶も、それ以外のものも一通り…といった感じ。

食事メニューはそれなりに…いや、中々多い?

 

それも一つ一つ丁寧に写真を撮っているあたり、ここは料理の方に力を入れているのかもな…

…よし。

 

「すみません、注文を…」

 

「はい」

 

…店の奥で片付けをしていたはずなのに、すぐにやって来た。

この対応の速さもウリか…!

 

「ご注文は?」

 

「ロイヤルミルクティーと…このトマトオムライスを一つ」

 

「かしこまりました。

腕によりをかけお作りいたしますので、少々お待ちを」

 

と、店員の青年がエプロンの紐を改めて締め直す。

気合を入れているのだろうか。

 

…奥の厨房に現状唯一の店員が引っ込んでしまったせいで、一人になってしまった…

誰か誘える相手でも居ればよかったんだが、今日はココアもチノも私より遅いからな…

 

折角なので店内を少し見渡してみる。

 

店内は木造の…それこそラビットハウス(うち)と変わらない様相だ。

それと…独特なタッチの絵が何枚か飾られている。

 

なんだろう…このヘタレた顔の人?の絵?は少し可愛いな。

 

 

 

…ん?これは…当喫茶第1号店、だと?

えっと、ふゆ…

 

 

 

 

「お待たせいたしました。

ご注文のロイヤルミルクティーと、トマトオムライスです」

 

「!」

 

いつの間にか料理が完成していたようだ。

店内観察を中断し、目の前の料理に目をやる。

 

…このオムライス、まさか…

 

「オムライスは中が半熟になっております。

スプーンで開いてお召し上がりになるのがオススメですよ」

 

「………!」ゴクリ

 

卵の端から横にまっすぐ、スプーンで切れ込みを入れていく。

フワリとした感触の期待を裏切ること無く、中身は半熟。

 

チキンライスの上に広げると、湯気がほのかに立ち上った。

思わず「おお…」と声をこぼしてしまうほどには素晴らしい出来だ。

 

だが油断はできない。

見た目が良くても味がアレなのでは問題だ。

特にオムライスはチキンライスも大事だからな。さて…

 

「いただきます」

 

一口。

…また一口。

 

声を上げることもできぬほど、次を欲しくなってしまう。

一言だけ言えることがあるのなら、絶品だった。

 

見事なまでの半熟卵もそうだが、チキンライスも具材のマッシュルームや鶏肉、玉ねぎの食感が程良く残っていて、トマトソースの味も絶妙な加減だ。 

 

こんな素晴らしいものを出されては、完敗だな…

 

と、しまった。

料理に夢中になるあまりミルクティーを忘れるとは…

 

…これも落ち着く味だ。

紅茶には詳しい訳では無いが、紅茶の方はさっぱりとした味。

ミルクの優しい味もちゃんとする…

 

 

 

 

「…ご馳走様でした」

 

「お粗末様でした」

 

 

…気づけば時刻も夕方か。

すっかり寛いでしまったな。

 

「お会計を」

 

「かしこまりました。

…喜んでもらえたようで何より」

 

「…?」

 

「顔を見れば分かりましたよ。

店に入ってきた時は凛々しい顔つきでしたが…今はすっかり年頃の少女らしい、華やかな可愛らしい顔つきだ」

 

「…………………

 

 

 

 

 

 

 

は!?」

 

「?」

 

「な、なん、り、凛々し、え、華やかって、か、かわ…な、あ…!?」

 

「…?お客さま、どうかしました?」

 

「いや、あ、あんた、な、何を…」

 

 

 

 

「ただいま。買い出し帰りにジークに会ったよ」

 

「遅れてしまって済まない。

…ん、そちらの人は?」

 

「お客様だ。もっとも、もう帰るところだがね」

 

「そうなんだ…どうもこんにちは。

良かったらまたどうぞ」

 

「あ、ああ…」

 

 

 

 

敵情視察のつもりが思わぬところから攻撃が飛んできたな…

…だがまあ、悔しいが…悪い気はしないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、バイト中…

 

「この前ね、お隣の喫茶店に千夜ちゃんと行ってきたんだ。

お料理がとっても美味しくて…」

 

「お、それなら私もこの間行ったぞ。

確かに美味かったな」

 

「……………そうですか」

 

「…チノちゃん?機嫌悪くなってる?」

 

「別に。何でもありません」

 

…店主の孫のプライドがあるのか…?

この話題は避けたほうが良いかも知れない。

 

「それで料理作ってくれた店長さん?が『君のような可愛らしい少女に褒められるのは悪い気はしないな』だって!

えへへ…褒められちゃった」

 

………ん?

 

「ココアさん、それお世辞じゃないんですか」

 

「え!?お世辞!?」

 

……………おせ、じ?

 

じゃあ、アレは………

 

「ええ〜生まれてはじめてあんな褒められ方したのに…リゼちゃん、本当にお世辞なのかな…リゼちゃん?」

 

ダッ!!

 

「ちょっリゼちゃん!?どこ行くの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本日のお客もそこそこだったな」

 

「開店一週目にしたら上々なんじゃないかな?

シロウの料理も好評みたいだし」

 

「そうなら有り難いのだがね。

さて、そろそろ閉店だ、早いとこ片付けを」

 

と、とりとめのない会話で一日を終えようとしたその時。

入口の扉がダァンッ!!と凄い音を立てて開かれて、

 

「…あ、あの、今日はもう閉店で…ん?」

 

「おや、君は先日の…済まないが今日は閉店で…ん?」

 

「…これは…これは…」

 

「おい君?一体どうし「これはどういうことだァ―――――!!」!?」

 

紫っぽいツインテールの髪の女の子が、何やら顔を赤くして歯をギザ歯にして銃を抜いて…銃!?

 

「わぁああああああちょっと!?

何出してるんですか!?日本国は銃刀法で携帯禁止ですよ!?」

 

「うるさい!そいつが、そいつが乙女の純情を弄んだんだァ―――――――!!」

 

「シロウ!?シロウ一体この子に何したの!?」

 

「何もしてないが!?普通に店員としてお客様に接客しただけだが!?」

 

「お客様に…接客………うわああああああああーー!!

やっぱり弄ばれたァ――――――――!!」

 

「シロウ!?シロウ!!」

 

「なんでさ!!!

オレは少なくとも嘘を言った覚えはないぞ!!」

 

「な!?」

 

「動きが止まった!?」

 

「な、なん…何を言ってるんだ、お前はぁぁ―――――――!?」

 

「また暴れ出した!?」

 

「ちょっとリゼちゃんどうし…あれ!?リンネくん!?シロウさん!?どういう状況!?」

 

「ココアちゃんヘルプ!ヘーールプウーーーーーーー!!!」

 

 

 

…その後、事情を説明した後お詫び?として特性の紅茶一杯でどうにか落ち着きを取り戻していただきまして。

簡単に自己紹介をして解散となりました。

 

…まあ、でも。

 

「…今回の件は全面的にシロウのせいだよね」

 

「うん」

 

「なんでさァ!!!」

 




衛宮シロウ

CV:諏訪○順一

身長187cm。
赤っぽい髪に凛々しいながらも幼さの残る顔立ち。

ナチュラルに女の子(一部の男性も)を口説き落とせるテクニック持ち。
爆ぜて、アーチャー!
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