喫茶『衛宮さんち』   作:山崎五郎

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暑いです。
内容も違う意味でアツくしてやりたいです。




夏だねぇ!!

 

ある夏の連休の日。

僕たちはリゼさんからの誘いで山に遊びに行くこととなりました。

そこでひと悶着あり、なんやかんやで用意は完了したのですが…

 

「「「「………」」」」

 

「「……」」

 

「…?」

 

4名のニマニマした生暖かい視線(シロウ・タマキ・チサト・アスカ)と、2名の呆れ気味な視線(セント・シキ)、そして何が何やらという視線(ジーク)が僕に突き刺さっております。

一体僕が何したっていうんですか*1

 

そしてココアちゃん、顔を赤らめて俯きながらチラチラとこっちを見るのは勘弁してくれませんかね。なんか知らないけど気まずいんです。

 

女性陣もほとんどが何やら妙な視線を向けてくるし。

くそ、コレも夏のせいだ、暑さでおかしくなったんだ僕は。

 

「と、まあ何はともあれ…全員無事集合でいいな?」

 

「ああ、こちらも準備万端だ」

 

「……流石に多すぎないか?

こっちでも用意はしてあるのに」

 

「転ばぬ先のなんとやら、だよ。

あって困るものでもないだろう、使わなれなければ御の字だ」

 

まあ、年長者2人はこんなときでもしっかりしてて助かります。

というわけで、皆が車に乗り込んでようやく出発したのでした。

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

 

目的地に到着。

街からかなり離れたところまで来ました。

街の方も割と自然が多かったけど、ここまでとなると『大自然』って感じがするな…

なんか見覚えがあるような気もするけど…

 

「この雰囲気!実家に帰ってきた気分だよ!」

 

「ココアちゃんの実家ってそんな山奥なの!?」

 

意外な事実に驚きつつも、目の前の大自然のスケールに思わず目を奪われる。チノちゃんやジーク達も割と興奮気味だ。

 

「す…すごいです。まさに大自然の驚異です」

 

「ああ、これは、凄いな…!」

 

「人間の養殖技術じゃあこのスケールは作り出せないよねぇ〜」

 

「そう!そうだよアスカくん!

そして天然自然の醍醐味といったらこの美味しい空気だよね!」

 

「じゃあお土産にしましょう!」

 

チノちゃんが空のペットボトルを振って空気を入れてます。

うーんむ、普段からはなかなか考えられない光景だなぁ。ジークも真似してるし。

 

そして本日泊まる予定のコテージに移動。

それぞれの荷物を運び終わり寝る時の部屋割りだとか何をして遊ぶかを話していたその時…リゼさんが慌てた様子でやって来ました。

 

「大変だみんな!どういうわけかクーラーボックスが空だ!!

食材は現地調達になった!!」

 

「「急にサバイバルに!?」」

 

「…こういうイベントにはトラブルがつきものだが、まさか本当に起こるとはな。

事前に食料を用意しておいて正解だったよ」

 

シロウ!さすが年長者は伊達じゃない!

…ってアレ?なんで釣り竿を取り出してるんですかシロウさん?しかも自分のだけじゃなくて数が多いような?

 

「とはいえまあ、用意した分で全員分を賄えるかと言えば自信を持って『はい』とは言い切れないからな。

現地調達も必要だろう、リゼ?」

 

「そうだな!」

 

なんか2人とも生き生きしてませんか。

変なところで意気投合するんだからこのカップルは…

 

 

で、千夜ちゃん、メグちゃん、タマキ、シキの4名は森の方に山菜やキノコ採りに向かうこととなり、それ以外のメンバーは釣りに向かうことと決まったのでした。

 

「………」

 

「どうしたのさシロウちゃん」

 

「いや、この面々だとえもしれぬ不安を感じてしまってな…やはりもう1人ぐらいついて行ったほうが…」

 

「そーんな心配しなくていいって〜さすがのあたしもボケるタイミングくらいわきまえてますヨ、ね〜千夜ちゃん」

 

「そうね〜タマキくん」

 

……申し訳ないけどシロウの言葉も分かる。

頑張ってくれ、シキ、メグちゃん…!

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

 

というわけでシキです。

メグさん千夜さんタマキさんと一緒に山菜採りにやって来ました。

 

「あ!早速きのこ発見!」

 

…どう見ても駄目なやつですよこれ。

メグさんも納得しないでくださいよ…

 

「へーい千夜ちゃ〜ん。あたしもそれっぽいの見つけたよ〜」

 

「まあ、これは…」

 

…あからさまな毒キノコです、ええ。絵に書いたような毒キノコ。

なんでそんなウキウキなんですか2人とも。

 

「赤主体に白い斑点…世界一有名なキノコそっくりじゃない?

きっとファーストコンタクトは最悪でも後々から旨味が来るタイプだよ」

 

「流石タマキくん、素晴らしい観察眼ね!」

 

「それとこっちのも。

黄色に緑の傘なんて初めて見るし、きっと今までにない味わいだよ~?」

 

………(怒)

だめだ、この二人(バカップル)に任せてたら一生まともな食事になんてありつけそうもない…!!

 

「メグさん!」

 

「ふぇ!?は、はい!?」

 

「んっ、と…ここに、シロウさんから預かっている図鑑があります!

コレで判別しながら集めましょう!!」

 

「りょ、了解です!」

 

「じゃああたしらも…」

 

「タマキさん千夜さん、あなた達はお願いだから何もしないでください」

 

「「………はーい」」

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

そして一方こちらは釣りチーム。

こちらに人数が偏ってるような気がするけど気の所為だと思いたい。

シキは大丈夫かなぁ…

 

「よし、この中で釣りの経験者は手を挙げてくれ!」

 

「ん…」

 

「昔チサトに付き合わされたことがある」

 

「付き合わせた。」

 

…えっと、僕はないけど…まさかこれだけですか。

シロウは海釣りしてるとこを見たことあるし、チサトもまあありそうだとは思ってたけど…

 

「なんだほとんど素人集団かよ〜」

 

「先が思いやられます」

 

「お前らも初めてだろ」

 

 

 

そういうわけで釣り開始。固まりすぎると糸同士が絡まったりするのである程度離れてやってます。

下流の方からシロウの『フィイイッシュ!』という声が聞こえます。相変わらずだなぁ…

 

「おっ…よっと!」

 

「リンネもなかなか順調だな。俺の方はさっぱりだが…」

 

「うーん…釣り場所を変えてみようか?

僕が割と釣れてるから魚が警戒してるのかもだし」

 

「なるほど…移動してみるか」

 

 

 

「ん?アレは…チサト?」

 

「なぜ川の真ん中に…?」

 

そして何故か目を閉じて仁王立ちしています。どういうこと…

と思ったら目を開いて、川に手を突っ込んで…!?

 

「ふんッッッ!!!

せいッッッ!!ハッ!!!!」

 

((…く、熊?))

 

セントはソレを呆れ顔で、アスカは笑いながら見てました。

まああんな事されたら釣りどころじゃないよね。

 

 

 

 

「あれ、チノちゃんが泳いでる?」

 

「服のまま入るとはアグレッシブだな…」

 

でも結構深いところまで進んでないかな…ちょっと危ないような。

と思ったら岸に向かって手を降り出しましたよ!?

 

「…溺れているんじゃないのか、アレは」

 

「助けに行くよ!」

 

 

途中でやって来たリゼさんと一緒にチノちゃんを救出。

ココアちゃんが貸してくれた帽子が流されたので慌てて取りに行ったら深いところまで…ということらしい。

 

「でもやりました!帽子の中に魚が…」

 

「あの状況で取れたのか。凄いじゃないか」

 

…ジークは褒めてるけど、ちょっとなぁ。

この状況で手放しには喜べな…

 

「たっ!?」

 

え!?ココアちゃんが、チノちゃんを…

 

「帽子よりも魚よりも、チノちゃんのほうが大事!

無茶したらダメだよ!」

 

「…は、はい。ごめんなさい…」

 

「でも一番ダメなのはチノちゃんから目を離したわたしです!!」

 

「ココアさんにとって私は赤ちゃんかなにかですか!?」

 

「まあでも、確かに今回は助けを呼んだほうがよかったかもね。

そういう時は頼ってくれていいからさ」

 

…まあ、ここのちょっと先の方に川に入って魚取ってる人がいたから強くは言えないんだけどね。

あのアグレッシブお嬢様め。

 

「っておい!今度はマヤが溺れてるぞ!」

 

「あれ!?」

 

何してるのさマヤちゃん!?というかいつの間に!

シャロちゃんと共に川に飛び込んてマヤちゃんを引き上げ…ん?

なんか服が違うような。

 

「下に水着着てきたから泳いでたんだ〜」

 

「なんですと!?」

 

「一人だけちゃっかりして裏切りものめ!

シャロもリンネも怒ってやれ!」

 

「え、えと…私も水着持ってきてるんです」

 

「お前もか!!」

 

「もー!私からもお仕置きだよ〜!」

 

「ちょっ、僕まで…!?」

 

そこからいつの間にやらチノちゃんも巻き込まれ、そばで見ていたジークやザバザバと歩いてやって来たチサト、セントを押しながら来たアスカも巻き込み水かけ合戦が始まりました。

 

「あれ、みんな何か楽しそうなことしてるね〜?」

 

「私たちに内緒で…ズルい!

とつげき〜!」

 

「おおっ、千夜ちゃんたちもおかえり!」

 

「キノコもそれなりに採れました」

「シロウさんの図鑑のおかげだね〜」

 

「実は私たちもこっそり集めてたのよ!」

「美味しそうでしょ〜?」

「こっちは全部毒キノコじゃないのよ!!」

「シャロちゃんナイスツッコミよ!」

「やっぱコレがないと物足りないよね〜」

「こんなんで褒められても嬉しくないわよ!!」

 

 

千夜ちゃんメグちゃんタマキも増え、さらに大盛りあがり。

…ちょっと年寄りくさいけど、これはいかにも青春って感じがします。

 

「…ずいぶんと青春してるじゃないか、お前たち」

 

「あ、シロウお帰り。その感じだと大漁みたいだね?」

 

「まあ、それなりにはな。

リゼ、楽しむのもいいがそろそろ昼食の時間にしたほうがいいのではないかね?」

 

「そうだな。皆そろそろ戻るぞ〜!」

 

「私呼んでくるよ〜」

 

「ねーねーメグちゃん。ここでスピンしたら竜巻起こせるのかな?」

 

「失敗したら水かけ総攻撃よ♪」

 

「えっ、ええ〜!

だ、大自然よ、私に力を〜!!」

 

…そのメグちゃんの回転でますます盛り上がってしまい。もはや昼食どころではなく大盛りあがり。

シャロちゃんは「あんたたちご飯抜き!」とお怒りでしたが。

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

 

昼食終わり。遊び疲れも相まって日向ぼっこの最中だ。

そういえばリンネがタマキとセントに連れて行かれていたが、どうしたんだろうか。

向こうからは年上女性陣の楽しげな声が聞こえてくる。山の静かさといい塩梅だな。

 

「今日はハプニングがいっぱいだったね〜」

 

「うん!食料がなくなったり水遊びしたりさ!」

 

「私はココアさんに叱られたりしました」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

マヤとメグだけでなく、まったりしていたアスカや疲れて半分眠っていたシキまで驚いて目を覚ました。

たしかにアレは俺も驚いたな。

 

「何がどうしてそうなったんですか!?」

 

「何か悪いことしたの!?」

 

「ココアちゃんがチノちゃんのこと叱るなんて…!?」

 

「いつもの感じで怒ったんじゃなくて!?」

 

「…はい。なんというか…あったかい感じでした」

 

「そうだな。俺もあの時のココアは『お姉ちゃん』という感じがした」

 

「そ、そっそれは違うと思います…」

 

「視線が逸れてるぞチノ」

 

「チノちゃんもまんざらでもなかったり?」

 

「からかわないでください!!」

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

「ココアお姉ちゃん捕まえたぜ〜!」

 

「うわーっ!チサトちゃん相変わらず足速いんだねぇ!」

 

「へへへ…ところでココアちゃん。質問、いい?」

 

「ん?どうしたの?」

 

 

 

「ココアちゃんって、リンネのこと、好きなの?」

 

「………えっ?」

 

 

*1
照れ隠しでココアの手を引いて連れてきた。前話終盤参照。





ED『PEACH』大塚愛

特別エンディングは皆がはしゃいでる様子を想像しながら聴いてみてください。

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