「っはぁ…うま」
「喜んでもらえたようで何よりです♪」
どうも皆様ご機嫌麗しゅう。
衛宮タマキでございまする。
本日はバイト(という名前の家の手伝い)をお休みさせていただいて、クラスメイトの千夜ちゃんの実家の喫茶店…『
三色団子や白玉ぜんざいを頂きながら、温かい緑茶を飲み一息…
うーん、これも一つの『風流』ってやつなんですかねェ?
…いや違うか
にしても、
「お前は本当にあたしの頭の上に乗っかるのが好きねぇ…」
と、
初めて千夜ちゃんと出会ったあの日以来、何やら気に入られてしまったようで。
今日も店に入るなり顔に飛びつかれましたとも、ええ。
それからもちょこちょこ頭の上に乗っかったり、膝の上でゴローンとしたり、腕の中に収まって昼寝したり。
…いや、本当人間慣れしすぎじゃない?このうさぎ。
「こんにちは〜!」
「あら、みんないらっしゃい!」
「…ん?」
何やら聞き覚えのある声が。
これは…学校で聞いた声じゃな。
「あら…?
ココアちゃんじゃない。わっぴ〜」
「あれ!タマキくんだ!わっぴ〜!」
「「………わっぴ〜?」」
ココアちゃんの後ろには見覚えの無い女の子が…ん?
いや、あっちの背の高い女の子は…
「この間うちに乗り込んで騒いでた女の子じゃん」
「う。
…その節は、どうも失礼した…ん?うちに?」
「そう言えばチノちゃんとリゼちゃんは会ったこと無かったね。
うちのクラスメイトの…」
「と…衛宮タマキです。
衛宮さんちの住人の一人で〜す。よろよろ〜」
「「…………よろしく(お願いします)」」
「タマキくんはすっかりうちのお得意様よ♪」
「常連客で〜す」
「自分の家の仕事は良いのか…?
って、その頭のは…」
あ。
そういやあんこがずっとライドオンしたまんまだったワ。
この子一応この店のマスコットみたいなもんなのに。
「この子はあんこ。うちの看板うさぎよ」
「きれいに頭の上に座って…まるで置物だな」
「普段はあっちの台の上で大人しくしてるのよ。
特定の人にはアグレッシブになるけど…」
「………ソウダネ。ナンデダロウネ」
「「「???」」」
ココアちゃんたちは何がなんやらというお顔。
まあそりゃそうでござるよ
と、思ったらあんこがピクッ!と…
どうした、美味しそうなスイーツ見つけたのか?
「!」ピョーン ギュルギュルギュルギュル
『ぶっはぁ―――――――――!?』
「ティッピーーーーーー!?」
「きりもみ回転しながらチノちゃんの頭のうさぎに突っ込んだーーーーーーー!?」
何だかデジャヴ。
あんこはそのまま普段の不動っぷり(あたしの前を除く)はどこへやら、バタバタ駆けながらふわふわのうさぎ…ティッピー?を追いかけ回している。
ドウナッテンノ?
「チノちゃん大丈夫!?」
「びっくりしました…」
「縄張り意識が働いたのか?」
「いいえ…あれはきっと一目惚れね」
うさぎ同士の恋っすか?
でもさっき聞こえたのって…
「ねえチノちゃん?
つかぬことを伺いたいんだけど、あの白いうさぎさんの性別って?」
「私もティッピーってオスだと思ってたけど…」
「ティッピーはメスですよ
(中身は違いますけど…)」
「腹話術の声おじいさんっぽかったけど…おばあちゃんだったんだ」
腹話術でこの場にいる人で出せそうな子はいなそうなんですがそれは。
あたしでもあそこまでおじいさんっぽい悲鳴は出せないわよ…
しばらくしてあんこが帰ってくると、千夜ちゃんはココアちゃん達の方の接客に移った。
あたしもまた少しゆるりとしますかね。
…で、あんこはまた案の定あたしの頭の上に。
「本当にタマキくんの頭の上が好きなんだねぇあんこは」
「あたしは男の子なんですけど?」
「なあ…タマキはこのメニュー分かるのか?」
「ん?
えっと、それが三色団子でこっちはみたらし…あとこっからここまではかき氷ゾーン…これは大福でここからは変わり種系のメニューが多いよ」
「凄いですね…どうして分かるんですか?」
「ん〜…あたしの実家のメイドさんが変わったもん作るの得意だったから…」
「「………実家に…メイド?」」
…あ。やべ。
「もしかしてタマキくんってお坊っちゃまだったの!?」
「昔の話よ昔の話。
家の都合ですぐに衛宮家に預けられたし、殆ど堅苦しいルールとかそういうのは分かりません」
「………そう、なのか…」
「その…何だかごめんなさい」
「別に気にしなくても良いんデスよ?
今の家もあたしは好きだし、実家とも定期的に連絡は取れてるし。
母さんも納得してくれてるしさ」
………なんか話が重たくなっちゃったよ。
千夜ちゃーーーん!早く来てくれーーーーーーっ!!
「お待ちどうさま〜…どうしたの?」
「何でもないよ~」
助かった…
と思ったら、あんこがココアちゃん達の方に向き直った。
あっちのスイーツが気になるのかい?
「しょうがないな〜そういうことならちょっとだけだよ?
そのかわり後でもふもふさせてね」
分けてもらえる事がわかったあんこはココアちゃんのスプーンに向かって飛ん…アレ、違う。
パフェ本体に思っきし突っ込んだわ…
「さっきまであたしのそれなりにつまみ食いしてたのに…」
「結構大食いなのか?」
「そう言えばタマキくんお坊っちゃまなんだよね?
実家もこういう和風の屋敷だったの?」
「んにゃ〜。
あたしの実家はいかにも洋館って感じの厳格な感じだったよ」
「なら私の家に近いのか…?」
「まあ庭とか離れは和風の屋敷だったけどね。
本邸はガッツリ西洋風だったから出てくるもんも洋風のメニューが基本だったけど。
飲んでたのも紅茶が多かったし」
「その割には随分和風に馴染んで…アレ」
ん?何かしら。
何かに気づいて驚いてるような…
「お前…よく見たら着物着てるのか!?」
「ん。
実家から送られてきてさ。
母さんと揃いの柄なんだってさ〜」
「赤紫に…菊の花?」
「ココアちゃん達も気づいた!?
妖艶な魅力を感じるわよね!!」
「「どうした急に」」
「それにしてもこのぜんざい美味しいな」
「うちもこのぐらいやらないとダメですね」
「ん〜。
でもラビットハウスってコーヒーメインでしょ?
コーヒーに和菓子ってイメージはあんまり…」
「それならラビットハウスさんとコラボなんてどうかしら?
きっと盛り上がると思うの」
お、良いねぇ。
コーヒー味の和菓子とかたまに聞いたりするし、そういうのは美味しいかも。
うちともコラボしてくれないかなぁ。
シロウちゃんの腕ならきっとスイーツも美味しく…
「タオルやトートバッグなんてどうかな?」
「私マグカップが欲しいです」
(((ん……?料理の方じゃなくて?)))
「………」
「ん…?」
チノちゃんがあたしの方をじ~っと見つめて…メトメガアウー(幻聴)
いや違ぇわ。
見てるのは頭上だわ。
「あんこが気になる?」
「!は、はい…」
「んじゃ、チノちゃんも抱っこしてごらんよ。ほら」
「うぇ、えと…」
…何だか怯えてるご様子。
さっき頭にうさぎ乗せてたのに…
「どうしたのチノちゃん?」
「チノはティッピー以外の動物が懐かないらしいんだ」
ふーん。
ティッピーをあそこまでできたのはやっぱ普段から仲良くしてるからなんすかねえ?
…チノちゃんがようやくあんこに触った。耳の先に指先で触れただけだけど。
「やったよチノちゃん!おめでとう!」
「ちゃんと触ってから祝ってやれよ」
ゆっくりと背中の方を撫でて。
あたしが手渡したあんこを優しく抱きかかえて。
で…最後にゆっくり頭に乗せた。
「すごい…!もうあんなに仲良くなってる…!」
「頭に乗せなきゃ気がすまないのか?」
「まああんこも割とあたしの頭の上に居ることが多いんで。
好きなんじゃないの?」
「もしも私の下宿先がここだったら甘兎の手伝いしてたんだろうな~」
「そっか。
ふーん…着物のココアちゃんねぇ」
「何なら今から来てくれてもいいのよ?
従業員は常時募集中だもの」
「それいいな」
「同じ喫茶店ですしすぐ慣れますね」
アレ?止める人が居ないゾ?
「じゃあお部屋を空けておくから早速荷物をまとめて来てね♪」
「誰か止めてよ!!」
…そういや自分らは家族ほぼまるまる引っ越して来たから関係なかったけど…うちの学校は下宿先の手伝いが方針みたいなとこあったっけな。
「じゃああたしらがもう少し早く越して来てればココアちゃんが家に来る可能性もあったワケね」
「衛宮さんちに?」
「そうなったら私達とココアはライバルとして会うことになったわけか。
それはそれで面白そう………はっ!?
ダメだココア!あんな天然人誑しの居るところに下宿なんて!!」
「本当に行くわけじゃないよ!?」
「まあそれでなくても家は野郎が多いし…ココアちゃんは肩身が狭くなるかも」
まあ、結局今の関係で良かったよね、って話で。
「千夜ちゃんまたねー!」
「また来ますよ〜」
「またどうぞ〜」
あたしも既に食べ終わり、ココアちゃん達も一通り片付いたので折角なので一緒の帰り道。
「そういえば昔ラビットハウスと甘兎ってライバル同士だったんだよね?」
「今はそんなこと関係ないですけどね」
「私達もお客さんに満足してもらえるように頑張らなきゃね!」
「だねぇ」
「だなー」
ぴょこん。
またあんこが頭の上に乗ってきた。
「お、なんだいあんこ。
応援してくれてんのかい…ん?
あん、こ…?アレ?」
「アレ!?そういえばティッピーは!?」
「あれからずっとチノの頭の上だったから気づかなかった…!
どこに行った!?」
その後、とりあえずあたしがあんこを甘兎庵に送ったところでココアちゃんから『ティッピー見つかったよ!』と連絡が来て。
自体は事なきを得たのでした。
「んね〜リンネくん。
ココアちゃんの着物姿って見てみたくない?」
「え?なに急に…まあ似合うとは思うよ」
「ふ〜ん」
今度千夜ちゃんに協力してもらうか。
タマキくんの着物はお母様の手作りです。
息子と揃いにするためメイドさんの協力のもと頑張ったとかなんとか。