Dear my sister編、第四話です。
これにて劇場版編は終わりっ!
「じゃあ今日チマメ隊は一緒にお泊まりなんだ。
いいな〜ボクも一緒に夜更かししたいよ」
「アスカ。さすがに許されることと許されないことがあるんですよ」
「ちぇーっ。相変わらずシキは硬いんだ〜頭カチカチなんだ」
チマメ隊とテレビ通話中のアスカとシキがまた例の如く口論を始めてしまった。
さすがにチノ達に申し訳ないのでとっさに代わる。
「すまない三人とも。せっかく電話してくれたのに」
『そんな気にしなくていいって〜もうこの光景も見慣れたし』
『それはそれで問題のような気がするんですが…』
『仲良しなら問題ないよ〜』
…思いの外三人は落ち着いていた。
まあ、他ならぬ俺もすっかりこの様相は見慣れてしまっているから人のことは言えないか。
『あ!そうだ、せっかくだから明日は白夜たちも誘って一緒に行こうよ!』
「あ〜。ボクらもそれ考えてたんだけどね?」
「『明日は店主が出店を出すらしく、俺達もその手伝いに回ることとなった。自由時間はあれど、その時刻がお前たちの余裕のある時と重なることは無いだろう』とのことだ。
一緒に回るのは無理そうだな…」
『むぅ…そっかー』
『来年は一緒に行けると良いね〜』
『ココアたちは帰ってくるかな〜。ジークのとこには電話かかってきた?』
「いや、特にそんな電話は無かったな…やはり忙しいんだろうか」
『きっと戻ってくるよ〜』
『………そう、ですね』
「…明日も色々ある。そろそろ寝よう」
『そうですね。おやすみなさい』
『おやすみ〜!』
『おやすみなさ〜い』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「…ん、ぁ」
朝だ。ココアの実家で目を覚ますのも何度目になるだろうか。
今日はどうにかこうにか街に戻ることに決めたので早めに電車に乗らなければならないのだ。
「リンネくーん、起きてる?」
「ん、モカさん…今起きました」
「なら良し!早めに準備済ませないと乗り遅れちゃうからね。
ついでにココアのことも起こしてあげて〜」
「は〜い…」
両頬を手でぺしん、とひと叩き。
若干の痛みとともに意識が目覚め始め、最後の伸びでようやく肉体にもスイッチが入った。
手早く着替えを済ませ、ココアの部屋のドアの前まで来た。
ノックを2回…しても声が返ってくることはなかった。
もう一度ノック…だめだ。これは完全に夢の世界を満喫中なやつだ。仕方がないので一声かけて部屋に入る。これは起こすためだから仕方ないのだ、やましい気持ちとかそんなものはないのだ。
で、案の定ココアは寝言をつぶやきながら心地よさそうに寝ていました。まあ、知ってたって感じ。
「ココア〜ホラ起きて。早くしないと今日中に帰れなくなるよ」
「うぅん…まほーつかいのおねぇちゃん…」
「魔法使い…?って違う違う。だからココア早く起きてってうお!?」
「うーん…もふもふだぁ…」
「ちょっ、ココア…!!これは、さすがに…!!」
えーココアに捕まった。抱き寄せられてます。
しかも胸元に。これはまずい、もしモカさんかお母さんに見つかったら確実に勘違いされる…!!
「ココア〜リンネくん?そろそろ起き、て…」
「………」
「私お邪魔だったかしら?ごめんなさいね、ごゆっくり〜♪」
「違うんです!違うんです!!ホントにそういうのじゃないですから!!お母さん助けて!!!」
「もふもふ〜…」
その後モカさんが助けに来てくれてなんとかなりました。
生暖かい視線が痛かったです。
「二人の荷物は送っておくので良いんだよね?」
「はい。何から何まですみません…」
「気にすることないわ。慌ただしかったけどこっちも楽しかったもの♪」
「…あれ?お母さん手怪我してたんじゃなかったの?」
「三人が頑張ってるのを見たら治っちゃったのよ♪」
「治んないよ!絶対演技だったでしょー!!」
そしていよいよ出発の時間…って言ってもこれじゃ間に合うかどうか分かんないけど…頑張って走るしかないか。
「大丈夫!リンネくんはサイドカーに乗って!!」
「まさかのバイク!?」
「お姉ちゃんは何から何まで私の予想を超えていくよぉ!!」
「二人とも元気でね!またいつでも帰ってきていいから!」
「…うん!お母さんも元気でね!!」
「それと、リンネくん!」
「はい!」
「もし『報告』があるって時には事前に連絡ちょうだいね!
お父さんとお兄ちゃんたちも呼ばなきゃだから!!」
「んっ!?」
なんかとんでもないこと言ってませんかお母さん!?
さすがに気が早いと思うんですけど!?
「もうお母さん!気が早すぎるよ!!」
「あらそう?でもモカだって…」
「もーっそれはいいの!ほら行くよココア!リンネくん!
しっかり掴まっててね!!」
「わざわざ送ってくれてありがとねお姉ちゃん」
「気にしない気にしない!これくらいお安い御用さ!」
「…あのねお姉ちゃん。私、将来の夢はいっぱいあるけど、一番の憧れはやっぱりお姉ちゃんだよ!
いつか私もお姉ちゃんみたいにみんなを楽しませられる人になりたいな!」
「ココア…」
「…っ、よし!もっと飛ばすよー!!」
「わぁああああ!?」
「ウィリーはやめてぇぇええええ!!?」
そういえばココア、バイクに乗るの一瞬躊躇ってたような…
多分配達の時にもこれやったんだなモカさん…!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一方その頃木組みの街。
ジーク達は浴衣に着替え花火大会に出発しました。
街は屋台が立ち並び普段以上に人に溢れ、まさに言葉通りのお祭り騒ぎです。
「お兄ちゃん、あっちに綿あめの屋台あった!いってくる…!」
「おい走るな!着崩れるだろ…!
人も多いんだから勝手に移動するな!」
「チサトのやつ、いつも以上にノリノリだな」
「前の地元の祭りでも毎年のようにはしゃいでいたからな。
お陰でおや…父も気苦労が絶えなかったよ」
「ま、お祭りなんてはしゃいでなんぼなところもあるし〜?
あたしらもたまにはハメ外して楽しんじゃおうよ~」
「ふふっ、そうね。
私も今日は思い切って楽しむわ!」
「いつも充分はしゃいでるでしょ。
…ま、確かに今日はいつにもましてテンション高いけど」
「年上組もテンション高いな〜」
「お祭りは楽しまなくちゃだもんね!
ならボクはアレの倍テンション上げちゃうよ!」
「じゃあ私はその倍で…4倍楽しんじゃう!」
「どんどん歯止めが効かなくなっていきそうですね」
「過ぎたるは及ばざるが如し、というやつか。
なら俺達は楽しみつつも冷静でいるとしよう…ん?チノ?」
「…」
チノはどこか落ち着かないご様子。
キョロキョロとあたりを見回しています。
「…ココアもリンネもきっと間に合う」
「……そう、でしょうか」
「信じて待とう。こういうのをココアは見逃さない方だろうし…どうせ考えるなら、前向きに考えたほうが楽しいからな」
「…」
「…すまない、結局これも俺の考えでしかないな…」
「でも、少し気分が楽になった気がします。ありがとうございます、ジークさん」
「こら二人とも!なにコソコソ話してるんだよ〜!」
「輪投げに射的に金魚すくい!お祭りを楽しみ尽くすよ!」
「わっ、ま、マヤさん待ってください…!」
「アスカ、急に走らないでくれ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「当然と言えば当然だが、食べ物の屋台もたくさん並んでいるな」
「屋台の形は違うけど焼きそばとか綿あめとか定番なのは変わってないね!
どれも不思議と美味しそうに見えるよね〜」
「…あ、そういえば。白夜さんたちのところの店主…言峰神父も出店を出しているんでしたっけ」
「あの神父さんのお店ってあの真っ赤っかな麻婆豆腐とかラーメンを出す中華料理店でしょ?今日もそれなのかな?」
「気になるのなら行ってみればいい。
何、どうせ皆小腹も好き始める頃だ…」
そういうわけで皆で言峰神父…今は言峰店主か?
が開いている屋台にまでやって来た。ビニールの仕切りのような垂れ幕が掛けられた出店の前で、金髪の男性が客引きをしている。新しい店員だろうか…?
「…あ、いつ、わ」
「セント?どうかしたのか…セント!?」
金髪の男性を見た瞬間、セントが急に走り出したぞ。
一体どうしたんだ…!?
「いらっしゃいいらっしゃい!!特製の冷やし中華はいかがで…おや、セントルシア様「何をやってんだ
「む、騒がしいと思ったが…ジークたちだったか」
「白夜。賑わっているようだな。その…あの人たちは?
見る限りセントとチサトの知り合いのようだが」
「つい先日『日本の祭りというものを体験してみたい』と連絡してきてな。どうせならと店番を手伝ってもらうことになった。
お陰で人の多さも相まったのか普段よりも客数は多いうえ、店の流れも良い」
「なるほど…」
セントはともかくチサトは嬉しそうだな。
高かったテンションが更に割り増しで高くなっているのがわかる。
「せっかくだ、お前たちも客として来て欲しいところだが…」
「すまない、今は花火を観るために移動するところなんだ。
もう少しあとにさせてもらえるか?」
「そうか。俺も無理強いをするつもりはない。同行できないことには残念に思うが、来年に期待するとしよう」
「喫茶『甘兎庵』で〜す。よろしくお願いしま〜す♪」
白夜と別れ皆のところに戻ると。千夜さんが団扇を配りながら宣伝をしていた。…あんこの模様の団扇なんていつの間に用意していたのだろうか。
「今なら夏に合わせて浴衣試着サービスもやってますよ〜。
かわいい看板うさぎもいますよ〜」
タマキまで宣伝を始めてしまったぞ。というかするなら
「ラビットハウスにも来てくださ〜い!」
「綿あめみたいなうさぎがいるよ〜」
マヤとメグも負けじとラビットハウスの宣伝を。
なら俺も…
「喫茶『衛宮さんち』もよろしくお願いしま〜す!
店長の絶品料理に今なら可愛い店員のサービスつきですよ〜!」
「そんなサービスはありません。
が…よろしければ来てください」
アスカとシキも見事な宣伝だ。サービス…はないが。
「いっえ〜い!!フルール・ド・ラパンもよろしくね〜っ!!」
…!?シャロさんがハイテンションに!?
コーヒーを飲んだところなど見ていないが…!?
「コーヒー味のかき氷を食べたらこうなって…」
「そんなので酔ったんですか!?」
「このシロップにカフェインが…?さすがに本物のコーヒーを使っているわけではないだろうし…」
「見てみて〜!リゼ先輩に射的で打ち上げ花火当ててもらったの〜!!」
「これからもっと大きな花火見るのにな」
「まあ、それなら後日手持ちの花火で遊ぶときにでも使えばいいだろう。
それもまた一つの醍醐味というやつだよ」
「待ちきれなくて家で打ち上げちゃだめよ?」
「は〜い!じゃあ甘兎で上げる〜!!」
「ダメよ〜?」
「…ん。皆さん、そろそろ花火の時間みたいですよ」
「マジか!」
「皆で遊んでたらあっという間だね〜」
「花火どこで見よっか?」
「どこか見晴らしのいい場所でもあれば…」
「待って!青山さんに穴場スポット教えてもらったの。
皆でそこに行きましょう?」
「青山さんも千夜ちゃんもナ〜イス」
そうして穴場だという高台までやって来た。
本当に俺たち以外誰もいない。すごいな、青山さん。
「おお〜!」
「すっごいすっご〜い!街が一望できるよ!」
「こんな場所知らなかったよ〜!」
「空もよく見えますね。これなら花火もバッチリです」
マヤやアスカ、メグにシキまでもがはしゃいでいる。
…だが、やはりチノは気が気でないという顔だ。
バン!という音が突然聞こえ…!?
まだ花火の時間には少し早いはず…!
「いっえ〜い!」
「た〜まや〜!!」
…シャロさんとチサトが打ち上げ花火を上げた音だったようだ。まぎらわしい。…む、携帯に着信が…!
「ココアさん!」
「リンネ!?」
…電話に出ようとしたが、すぐに切れてしまった。
どうやらチノの方も同じらしい。
そうこうしている間に、花火の時間が来てしまった…
「…リンネたちは、間に合わなかったか」
「…みんなで一緒に見たかったです」
「みんなっ!!」
え。今、ココアの声が…
「ただいまっ!!」
どん。と空に打ち上がった花火が大きな花を咲かせた。その時とともに。ココアが目の前に立っているのが見えた。
「「「「た〜まや〜!!」」」」
「「「「か〜ぎや〜!!」」」」
「わぁ…!」
「綺麗〜!」
「私を見てよ〜!!」
…本当にココアらしい。いつの間にか帰ってきていたのか。
「あはは…タイミングが良いんだか悪いんだか…
えっと、ギリギリセーフかな?」
「っ!リンネ!?」
「お〜。リンネくんもおかえり〜」
「息が上がってるが大丈夫か?」
「いや、さすがに浴衣だとうまく走れなくてね…ココアがどうしてあんなに勢いよくここまで来れたのか不思議だよ」
「そりゃ花火を見逃すわけにはいかないからね!
ちょっと迷いそうだったけど誰かが信号弾を打ち上げてくれたお陰で助かっちゃった!」
「ん。私とシャロちゃん、ファインプレー?」
「な、なんのこと?」
「まあ、何にせよ無事に帰ってこられたのなら何よりだよ。
おかえり、リンネ」
「うん。ただいま」
花火は続く。大きいもの、小さいもの、丸いものに縦長なもの、いろいろな形を模したもの。無数の花が空に眩しく咲いていく。
「綺麗だね〜。間に合って良かった!」
「うん。流石に時間ギリギリだったからどうなるかと思ったけどね」
「私も、勇気を出して皆さんを誘って良かったです」
「そうだな。誘ってくれてありがとう、チノ」
「…あの。私、さっきちゃんと言えてませんでした」
「「ん?」」
「待ってくれチノ。それなら俺も一緒に言おう」
「おかえりなさい、ココアさん」
「おかえり、リンネ」
「「……ただいま!!」」
その後、花火大会は終わっても祭りは続く。
屋台で焼きそばやたこ焼き、ベビーカステラやかき氷などの定番を買いつつ…白夜たちの屋台にもやって来た。
…何名か激辛冷やし中華に挑戦し酷い目にあっていたのは秘密だ。
リゼさんとシロウの射的対決やアスカとマヤの金魚すくい対決。
チサトが水風船釣りで大量にゲットし結局皆に一つずつ分けることになったり。
そうして、楽しい祭りのひとときは過ぎていった。
イギリス。
ロンドン時計塔…
凛「そういえば今ごろ日本はお祭りの時期かしら。士郎たちも楽しんでるのかしらね…」
桜「今日はちょうど花火大会の日らしいですよ。前に街に行った時に見ました」
凛「ふーん…ねえ桜、来年は私たちも街に行ってみちゃう?」
桜「いいですね!浴衣も着て楽しんじゃいましょう…きゃっ!?」
突然グラグラと建物が揺れだした。
凛や桜だけでなく、時計塔に居た人々も何事かと伏せて様子をうかがう。そして…
バゴォオオオン!!!
オルガマリーの乗った隕石が時計塔の壁をブチ壊し抜いてきた!
「キリシュタリアの大馬鹿野郎はどこに行ったの!!」
「『世界一盛り上がる祭りを探す』と言って旅に出ました!!」
はい。これで劇場版編は終わりです。
今後も物語は続きますので応援していただければ幸いです。