喫茶『衛宮さんち』   作:山崎五郎

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某海賊王とタイトルが被ってるのは気にしないでください。

あと今回のあとがきに本家13巻を読んで思ったことを書きました。




RUN!RUN!RUN!

 

タマキで〜す。

夏休みも終わりまたいつもの日常がスタート。

 

本日は体育の授業の真っ最中ナリ〜。

リンネくんとストレッチ中〜。

 

 

「まだまだ外は暑いねぇ〜。

残暑が厳しいざんしょ〜なんつって」

 

「……最後のソレはともかく、確かにまだまだ暑いよね。

せめて体育館でやってくれたらなぁ…一応冷房もあるんだし」

 

「ま、こうやってお日様の光を浴びて身体を健全に保つって目的もあんじゃな〜い?

屋内にこもってばっかよりは健康に良さそうだしさ〜」

 

 

「はーい男子も女子もちゅうもーく!

今年はマラソン大会がありまーす、授業にしっかり打ち込んで本番に備えるように!」

 

 

ふーん、マラソン大会ねぇ。

おろ? なんか女子のほうが騒がしいなぁ?

 

 

「あの…タマキ?

千夜ちゃんが突然倒れたけど」

 

「えっマジ?」

 

 

何やらココアちゃんと二人で穏やかじゃない雰囲気だったので慌てて駆け寄りました。

 

 

「マラソン大会ってどういう事…?

やる必要なんてあるの…??」

 

「あれま〜千夜ちゃんダウナー入っちゃった?」

 

「でもでも!この街をぐるっと走り回れるなんてすっごく気持ちいいよきっと!」

 

「まあそれはそうかもだけど…体力のない子には地獄だと思うよ、普通に…」

 

「ん〜…確かにねぇ。

あたしらはともかく……」

 

 

思わず言葉に詰まった。

リンネくんも、あるいは千夜ちゃんもあたしの言いたいことが分かっちゃったのか同じく黙ってしまう。

どーしたもんかね。

 

 

「大丈夫だよ!

そういうことなら私が千夜ちゃんに合わせるから!」

 

「ココアちゃん…!ありがとう…っ

 

 

じゃあ当日は一緒に休みましょう?」

 

「「合わせるのそこ!?」」

 

 

ま、確かに無理して参加する必要は無いし良いんじゃないの?

さ、あたしもリンネくんの応援プラン組もっと…

 

「お前は休むな」

 

あやや〜…。

リンネくんに首根っこ掴まれ、あたしのマラソン大会参加は確定したのでした。

 

 

 

 

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

千夜ちゃんから『特訓するから付き合って!』と呼び出されちゃいました。

 

 

「無理して参加しなくても良いんじゃない?

先生も『無理そうなら辞退していい』って言ってたし」

 

「うーん…それもありだと思ったけど…

でもやっぱりココアちゃんと一緒に完走したいから!」

 

「鍛えなかったら完走すら怪しいってこと?」

 

 

その時点で色々不味くね?

というか…千夜ちゃんの装備は明らかにやりすぎだと思う。

 

 

「そのダンベルとかタイヤは置いてきなよ〜普通に危ないし」

 

「でも…これぐらいしないとトレーニングには…」

 

「まずはちょっとずつ底上げするとこから始めないと。

いきなり負荷ばっかりかけても身体が着いてかないどころか逆に機能減退しちゃうよ〜……って琥珀さんが言ってた」

 

「……妙な説得力を感じるわ」

 

「あの人医学にもくわしーからね〜」

 

 

とゆーわけで、無理な器具やらなんやらは外して簡単な筋トレから始めることにしました。

まあ……その。恋人の知らない一面を知ることが、必ずしも幸せなだけとは限らないことを今日あたしは知ったのでした。

 

 

「は、ひぃ、ひぃ……ひゅう………」

 

「………」

 

 

安◯先生助けて、あたし千夜ちゃんに『あきらめたら?』って言いたくなっちゃう。

まあ男女の体力差的なものがないとは言わないけどさ。

 

軽めの筋トレでこれとはってなるとさすがにもう何も言えなくなるよ。

 

 

「……お前ら何やってるんだ」

 

 

と思ったら救いの手が。

見たところリゼ先輩もトレーニング中だったのかな?

 

「いやその…最近甘いもの食べ過ぎてな…」

 

あー。そういやシロウちゃんが最近スイーツメニュー開発に力入れてるんだっけ。

例によってリゼ先輩が試食役なわけだ。

 

「うーん…私も毎日和菓子の試食して運動してないけど…

ゴニョゴニョキロって重いかしら?」

 

「は!?

どういうことだ!?甘兎で働いたほうがダイエット効果があるっていうのか!?」

 

「大歓迎だけど違う気がするわ」「違うと思うよ〜」

 

 

「うう…それもこれもシロウのやつが悪いんだ!

新作メニューを思いつくたびに私に試食役を頼んでくるから…!」

 

 

ま、メインどころはともかくスイーツ系に力を入れるようになったのはリゼちゃんの影響があるんだろうけどね。

愛されてますなぁ。

 

 

「…っていうか、何でタマキも運動してるんだ?

千夜の付き添いだけにしてはお前もだいぶ疲れ気味に見えるんだが」

 

「まー付き添いなのは本当だけど。

あたしも大会で走る以上はいい結果出したいし?

彼女の前でカッコ悪いとこ見せたくないな〜って」

 

「まあ、タマキくん…」

「おお、千夜ちゃん…」

 

「バカップルごっこするんだったら私は帰るぞ」

 

 

あー待って待って。

そーゆー訳であたしたちはリゼ先輩と一緒にジョギングすることになったのでした。

 

…千夜ちゃんが『置いていかれないように』ってリゼ先輩と自分をロープで繋いでたのはさすがにどうかと思ったケド。

 

 

 

「早朝の街っていつもと違って見えるよな」

 

「どのお店もまだ開いてないものね」

 

「普段ならこの辺も人でいっぱいだもんね〜」

 

 

 

「なんだか空気も清々しくて気持ちいいな!

静かなのも新鮮だし…」

 

「確かに〜。……ん?」

 

「はぁ、はぁ…」

 

「天気もいいし、走り終わったらパンでも買って…」

「あー、リゼ先輩ストップ」

「ん?どうし……あ」

 

「は、ひぃ、ふぅ、ひゅう…ぜぇ…」

 

「す、すまん…気づかなかった」

 

 

やっぱ一筋縄じゃあ行かないねぇ。

ま、地道に頑張るしかないかなぁ。

 

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇    

 

 

 

ジョギングを始めてから数日後。

千夜ちゃんが足を若干引きながら登校してきました。

 

「ちょっとふくらはぎが…筋肉痛かしら」

 

「毎朝特訓してるもんね〜」

 

「特訓?」

 

「実はマラソン大会本番に向けて毎朝走ってるの。

タマキくんも一緒にね」

 

「毎朝!?凄い!」

 

「…タマキが朝に外出してるのは僕も知ってたけど、そういうことだったんだ」

 

「まあね〜」

 

 

「大会当日は私たちが甘兎旋風を吹かせてやるんだから!」

(そしてココアちゃんと一緒にゴールする!)

 

「あたしも甘兎じゃないけど頑張るよ〜」

(千夜ちゃんにいいとこ見せたいし)

 

 

 

   ・   ・   ・   ・   ・   ・

 

 

 

「千夜ちゃんとタマキがまさかあそこまで本気だとはね…僕たちも負けてられないねココア。

…あれ、ココア?」

 

「千夜ちゃんのあの気迫…一着を狙う子のそれだった…。

私なんて容赦なく切り捨てる覚悟を感じたよ…!!」

 

「…そう、かなあ」

 

「リンネくん!私たちも明日から早起きして特訓しよう!」

 

「…まあ、僕は別にいいけどさ」

 

 

なんか、オチが見えるというかなんというか…。

 

 

翌朝。

いつもより早めになった目覚ましを止め、ココアに電話。

…案の定というべきか、反応がない。

 

やむを得ず同居人のチノちゃんに電話。

 

「いつも通りぐっすり寝てますけど…」

 

「……そう、ごめんね起こしちゃって…」

 

 

仕方ない、起きてしまった以上は僕も特訓しよう…タマキたちには会わないように。

 

 

 

 

   ・   ・   ・   ・   ・   ・   

 

 

 

一方その頃。

タマキ・千夜の二人は今日も今日とてリゼ教官のもと特訓中。

 

 

「千夜ちゃん大丈夫〜?

すっげー呼吸乱れてるけど」

 

「あと少しだぞ!頑張れー!」

 

「も、もう限界…そうだわ、掛け声を出せば疲れをごまかせたりしないかしら…」

 

「なら私としりとりだ!

えっと…あ…アップルパイ!」

 

「い…磯辺焼きぃ…」

 

「き…キャンディ!」

 

「い…いちご大福…く…黒豆寒天ん!」

 

 

「…んっ?」

 

「しらたま!あんみつ!抹茶パフェぇ!

甘味はぜひ甘兎庵へぇ!!」

 

「宣伝カーか!」

 

「商魂たくましいねぇ〜」

 

 

 

 

そして更に翌日。

 

 

「タマキは随分早いな」

 

「まあそれだけやる気だってことで。

…リンネくんも最近特訓始めたみたいだし、負けてらんないな〜って」

 

「そっちが本音か」

 

 

「おまたせ〜…あら、タマキくんおはよう」

 

「お、千夜ちゃんおは………

!?!!?!?!?!?」

 

「ど、どうしたタマキ!?」

 

 

遅れてやって来た千夜を見てタマキはフリーズした。

何事かと思ったリゼは千夜の方を見て…。

 

 

「…千夜、その髪型…!」

 

「ふふっ、走るときの願掛けよ。

名教官みたいに走れるようにね」

 

 

その違いに気がついた。

普段は真直(まっすぐ)に下ろし、最近では一つ結びにすることが多かった千夜の髪型が、リゼと同じツインテールスタイルになっていたのだ。

 

 

「…って、タマキはこの千夜を見て固まったってことだよな。

確かに驚いたけど…それ程までにビックリすることか?」

 

「は?何言ってんのリゼちゃんそりゃビックリするでしょ。

まず普段の千夜ちゃんの髪型って大人びてると言うか清楚な感じのが多かったじゃん。

それをツインテっていうやや幼気に見えるスタイルに変えたことによる普段のギャップと“キュート”っていう新しい方向性もいけるっていう新発見を同時に味わったんだよ?

てゆーか千夜ちゃんってよくよく考えたら雰囲気は大人っぽいのに顔立ちは童顔っぽいからキュートな髪型も似合って当たり前なんだよねなんで気づかなかったのかな。

まあとにかく千夜ちゃんの髪型チェンジはそれだけ多くのことに気づかせてくれた訳だよだからあの反応は寧ろ当然であり妥当ってワケ。

分かってくれたかな?」

 

 

「……………うん、そうだな」

 

「も、もうタマキくんったら…褒め過ぎよっ」

 

 

感情のメーターが振り切れたタマキにドン引きのリゼと、キャッ☆と声を上げて照れちゃう千夜なのでした。

 

 

 

そして特訓最終日、三人は街の高台までやって来ていました。

 

「ここからの眺め綺麗だな」

 

「住み慣れた街なのにいろんな発見ができたわ」

 

「これなら頑張ってよかったって思えるかな〜」

 

「…なあ、二人が良かったらで良いんだが…大会終わってもジョギング続けてみないか?」

 

「私はやめておくわ。

目標がないと頑張れないタチだから」

 

「あたしも〜。

そもそも朝はちょっと寝坊するくらいが丁度いいって思うし」

 

「…トライアスロン制覇とか興味ないか?」

 

「響きだけで死ぬ自信あるわ♪」

 

「同じく」

 

「むう…あ、あと3回来れば教官スタンプがたまるんだけど…」

 

(すごく引き止めたいのね)

 

 

 

 

 

 

「じゃあ私も帰るよ。

二人とも本番頑張れよ!」

 

「あ、ちょっと待ってリゼちゃん!

…今日までありがとう、一人じゃないから毎朝頑張れたの。

 

本番、楽しんでくるわね!」

 

 

おー、千夜ちゃんったら爽やかな敬礼。

思わずリゼちゃんも敬礼を返しちゃった。

 

「あとこれ、今日までのお礼に…」

 

ん〜何々。『甘兎庵 和菓子食べ放題券 制限時間1時間迄』……わあ、羨まし。

 

「私がジョギング始めた理由言ったよな!?」

 

 

 

 

 

んで、大会当日。

ちなみに一日丸々で行い、女子が午前、男子が午後に走ります。

現在は女子達が走り終わるのを待ってまーす。

 

とか何とか言ってたらチマメ隊の皆が騒ぎ出したゾ。

 

 

「…なんじゃアレ」

 

「ココアが千夜ちゃんの髪を掴んで走ってる!?」

 

 

思わずリンネくんと二人でビックリしちゃったぜ。

アレも一つの友情のカタチ…なのかな?

 

「リゼちゃ〜ん…! ツインテ、役に立ってるわ…!」

 

「嬉しくない!!」

 

ナイスツッコミ。

 

 

 

 

 

そしていよいよ男子の部スタート時間。

思わず身体がぶるりと震える。 これが武者震いってやつかな?

ちらりと応援組の方を見た…あ、千夜ちゃん達が戻ってきてる。

 

 

「タマキ」

 

「ん?」

 

 

リンネくんが話しかけてきた。

…あー、そういうこと。

千夜ちゃんも居るならココアちゃんも戻ってきてるよね。

 

 

「負けないからね」

 

「…上等だよ」

 

 

わざとらしくニヤリと笑い、言葉を返す。

負けられないのはこっちも一緒なんでね。

 

そして…。

 

 

『よーい…』

 

パァン…

 

 

 

 

 

 

ん?結局どっちが勝ったのかって?

そこら辺はご想像に、ってことで。

まああたしもリンネくんもそれなりに上位だったんでとりあえずは満足。特訓の成果が出たかな?

 

 

まあ、今回の一件で一番良かったのは…

 

 

「タマキくん、お待たせ!」

 

「ん…お〜。

やっぱ似合ってんね、ツインテ」

 

「ふふっ、ありがとう。

タマキくんも気に入ってくれたみたいだし、これからもたまにはやってみようかなって♪」

 

「へへ、そりゃうれしいねぇ」

 

千夜ちゃん(恋人)の新しい一面を見つけられた、ってことで。

 

 




早口長文詠唱タマキ書いてる時がめっちゃ楽しかった(独白)
久しぶりに書いてて楽しいって思えるようになってきました。
頑張っていきます。




ちなみに13巻を読んだ感想ですが、

以前『月姫』とのクロスエピソードを書いた時、執筆していて『こんなん本家じゃ絶対できんやろなぁ』とか思ってたのに、13巻で結構ダークファンタジーに足突っ込んでる話があってビックリしました。
Koi先生もそっちの方に興味出たのかな〜とか思ってみたり。


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