喫茶『衛宮さんち』   作:山崎五郎

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第九羽です。


あらしのよるに

本日のお天気は雨。

お客様もまるで来る気配がありません。

 

「まあ、外がこんなあいにくの天気ではね。

わざわざ濡れた身体を温めた後にもう一度雨に濡れたいような物好きでも居れば話は別だろうが」

 

「この街じゃ車に乗るのも珍しいぐらいだもんね~そもそも出歩いてる人自体今日はほぼ居ないんじゃないの?」

 

確かに…

 

「皆。どうやら台風が近づいているようだ。

念のため窓の補強をしておいたほうがいいかもしれない」

 

「む…そうか。

どうせこの状況では客もそうそう来るまい。

 

本日はこれにて閉店ということにして、台風対策をしておくとするか」

 

そんなわけで、本日はひと足早く閉店。

窓に補強を施したり、店の外の植物やミニ畑を保護したり。

 

そんな事をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜」

 

仕事も終わり、念のための翌日の仕込みも終わり。

宿題や勉強、風呂なども済ませてしまった…

 

流石にやることもなくなって暇だ。

大分早いけど、もう寝るか…

 

 

プルルルルル…

 

ん?ココアちゃんから…ビデオチャット…だと…

 

 

 

『いえーい!リンネくん元気!?』

 

「まあ、うん…風邪とかはひいてないし…元気かな…」

 

『ココアさん、やっぱり迷惑ですよ…』

 

「いや、別に気しなくても良いよ。

どうせこっちもやることなくなって暇だったし…

 

それで、みんなどうしたのさ?」

 

『えっとね…ほら、外ってすごい天気でしょ?台風も迫っているっていうし…だから、衛宮さんちは大丈夫なのかな〜って話になって…せっかくだからテレビ通話してみよう!ってことで…』

 

「なして…」

 

まあ心配してくれるのは友人として嬉しいですけど。

…にしても。

 

「ココアちゃんたちみんなパジャマなんだ。

何だか新鮮だね」

 

『お!気づいた!?何ならちゃんと全身見せてあげるよ!』

 

それは色々まずい気がするので遠慮します。

話によると千夜ちゃんシャロさんのパジャマはチノちゃんからの借り物らしい。

 

シャロさんはその見た目も相まって完全にお嬢様だ。

気品を感じる…

 

『そう言えばリンネくんもパジャマ?

ゆったりしてるね』

 

「ああ、これ?父さんに昔買ってもらったんだけど…

何だかんだ気に入ってて…かれこれ3年来かな?」

 

『大分着てるな!?』

 

『サイズとか大丈夫なの?』

 

「元々大きくて緩めのやつを買ったからね。

今でも余裕だよ」

 

『へえ…そうだ!リンネくん、良かったら他のみんなのパジャマ姿も紹介してくれない!?』

 

「え?」

 

ココアちゃん、君はなにを言ってるんだ。と思わず口にしそうになった。

そんなの見て誰が得するんですか?(素朴な疑問)

 

「リンネすまない、ボールペンを貸してもらえないだろうか…」

 

『お!噂をすれば…カッコいいパジャマだねジークくん!』

 

別に僕のと変わらないんだが?

 

「カッコいい…のか?パジャマが?

すまない、俺にはよくわからない…感性が鈍くてすまない…」

 

『ジークさんの気にすることじゃありませんよ…』

 

「チノ…しかし…」

 

『さあリンネくんジークくん!その調子で他のみんなのところへゴーゴー!』

 

この調子じゃ止まりそうにないな…

仕方ない、行くか。

 

あ、でもジークは用事があるので自分の部屋に戻りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それであたしの部屋に来たわけね〜別に面白いものなんて無いよ?」

 

「まあ友達の好奇心を満たすためと思ってさ…」

 

『タマキくん…パジャマは和服じゃないの?』

 

「ん〜そうね。

基本的にはやっぱ洋装?これだって実家からの送りもんだし」

 

『なんだかその服装…あ!タマキくんちょっと窓辺に立ってみて!』

 

何でしょう、ココアちゃんは更に『窓ガラスを背に向けるようにして、それで窓枠のところにこうやって手をついて…』と指示を飛ばします。

 

そして、最終的には…

 

『凄いよ!そのポーズも衣装もとってもお坊ちゃまやお嬢様らしさを感じるよ!

やっぱり私の目に狂いはなかったね!』

 

…これでバックが陽光の差し込む夕焼けだったら完璧だったかもね。

リゼさんもそう思ったのか『ガムテープ補強の窓じゃああんまり…』と溢している。

 

 

 

 

 

 

 

「私達のパジャマなんて見て何が面白いんだ?」

 

開口一番それですか、セント。

まあ同意見ですが…

 

『タマキくんのもそうだったけどセントくんのパジャマも綺麗ね』

 

『高級な素材とか使っているんでしょうか』

 

まあ、実際使ってるだろうね。

なんせ今着てるパジャマも実家から持ってきたものなんだし。

 

『…ベッドってこんな小さいの?もっとヒラヒラしたアレがついてる大きなやつだと思ってた…』

 

「そんな大きなベッド持ち込めるわけ無いだろ、この建物的に…」

 

と、後ろの扉がガチャリと…

 

「お兄ちゃん、借りてた参考書返しに来た…あれ、リンネ」

 

「あ、チサとっ!?」

 

咄嗟に目をそらす。

携帯もそらす。

 

今のチサトは…かなりブカブカのシャツ一枚に下は…これ以上はいろいろまずいので言えません!!

 

『ナイスだリンネ!その瞬発力なら部隊にだって推薦できるぞ!』

 

『ココアさん何で目隠しをするんですか?何も見えません』

 

『チノちゃんにはまだ早いの!!』

 

「チサト…お前せめて下にもなにか一枚ぐらいな…」

 

『アンタは何で平然としてるのよ!!?』

 

「そりゃ私コイツの兄ですから。

もう色々と見慣れてますしおすし?」

 

「というかリンネも今更恥ずかしがること無い。

私達は裸の付き合いだってしたことあるのに」

 

『………ふーん…リンネくん、ちょっとお姉ちゃんと“オハナシ”しよっか?』

 

「もっと子供の頃の話です!!!あとチサトが勝手に入り込んできただけだから!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで一通りは紹介したけど…そろそろ寝た方がいいかも」

 

『えー!』

 

『えーじゃないだろ。

もう夜も遅いし、いい加減私達も寝ないと…』

 

リゼさんナイスアシスト。

本当にもう遅いし、流石に寝ないと。

 

『…あ!そうだシロウさんは!?

シロウさんの寝間着を…!』

 

『ハァ!?何であんなやつの寝間着なんて気にする必要があるんだ!

さっさと寝るぞ!!』

 

…シロウ、本当にどうしたらリゼさんにここまで嫌われるんだ?

いくら前にあんなコトがあったからって…

 

『乙女心を弄ぶのは大罪なのよ…リンネくん』

 

「えっ何、テレパシー…?」

 

千夜ちゃん画面越しに僕の考えを読み取ったのか?

怖いなぁ。

 

『…あれ、リンネくんそこ空き部屋?』

 

「ん?あーいやこの部屋は…」

 

 

 

 

 

 

 

「…ん。まだ起きていたのかリンネ。

健全な男子高校生ならば夜ふかしもいいものだが、あまり過ぎると体調に響く。

そろそろ切り上げ…な!?

 

おい、お前それは…!」

 

…その言葉の主は。

普段の引き締まった店主顔はどこへやら、緩みきった表情に緩やかに降ろされた髪。

 

風呂上がり特有の妙な色気を漂わせ、その引き締まった上半身を惜しげもなくさらけ出した、年頃のJKにはあまりに刺激の強すぎるお姿のその人物は―――――――――!!

 

 

 

 

 

ピシャアンッ!! ゴロゴロゴロゴロ…!!!

 

 

「うわっ!?」

 

「うお…!?」

 

突然のまばゆい光。

カメラのフラッシュのような輝きが辺りを包み、光が収まるとともに真っ暗な闇が場を包む。

 

…アレ。これは、

 

「…停電か。助かった…オイリンネ!早く電話を斬れ!!」

 

「えっ、あ、うん…アレ?

もう切れてるよ」

 

「………そうか。

願わくば、あんな姿をココア君たちに見られていないことを祈りたいが…」

 

「…骨は拾うからね、シロウ」

 

「何故死ぬのが前提なんだ――――――っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、危なかった…ほぼ第六感でココアの携帯を奪って通話を切ったのは正解だったな。

あんな姿は…ココアたちには刺激が…)

 

「リゼちゃん携帯返してよ〜!」

 

「リゼさん顔赤くなってますよ、大丈夫ですか?」

 

「…あ!リンネくんのベッドの下見せてもらうの忘れた!!」

 

「ココア…友達でも許されることと許されないことがあると思うわよ…」

 

「…ふふっ♪楽しい夜になりそうね」

 




この後女子勢は怪談だったり男子勢のパジャマ姿だったりそれぞれの学校事情だったりに花を咲かせたそうです。
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