透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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UAが78万5000と、順調に伸びておりますね……。100万まで行くのもそう遠い話ではないのかもしれません。
それと、お気に入り数が9000を突破致しました!わーい!嬉しみ。
思いつきとその場のノリで進む今作ですが、これからも応援いただけると幸いです。


C&Cリベンジ!その2

 

「……おい、起きろ。アスナ、起きろ」

「…ん、ふわぁ…。んぅぅぅ〜〜〜っ!!おはようリーダー!」

「やっと起きやがったか……。寝過ぎなんだよお前…」

 

 ミレニアム内は交通の便がよく、そう経たずして廃墟の入口、立入禁止区域の眼の前までやってくることが出来た。

 結局、到着までアスナが目を覚ますことはなく、ようやく起こされて今は元気そうに伸びをしている。

 

 最初はぽやぽやとしていた彼女だったが、周囲を見て状況を理解したのか「もしかしてもう模擬戦するの!?」と慌てているらしい。

 

 その姿に、やはり大型犬のような雰囲気を感じていると、準備は終わったらしい。みな己の得物を構え、軽いアップまでしている。

 

「……その、リアンさんは武器はそれでいいのか?」

 

 と、様子を窺っていたことに気づいたのか、カリンが目を向けるが、直ぐにその目が疑念の籠もったものに変わる。

 

 まあ、それはそうだろう。両腰から伸びるホルスターには短機関銃(クリスヴェクター)が二丁。コートで見えにくいが、両踵の位置にハンドガン用のホルスターが外向きにつけられ、身体にはアサルトライフル(AKミニドラコ)のスリングを斜めに提げている。

 その癖、コートの内側には更に二丁のショットガン(ウィンチェスターM1901)が備え付けられ、右手には機関銃(グロスフスMG42)を掲げている。

 

 最早何をするのかも分からないような装備だ。控えめに言って馬鹿である。

 重量も弾も馬鹿にならないのに、この様な構成は無駄以外の何物でもない。

 

 加えて、ここの生徒たちは、基本的に武器種は変えずに同じものを使用する場合が多い。それは当然、使い慣れた武器であったり、弾代のためであったりと様々だが、サブウェポンとして他の武器を携帯している場合はあれど、少なくともこのように雑多に多様な銃種を扱う者は非常に珍しい。

 

 最も、多様な銃種を使うとはいっても完全に持ち歩くことが前提で、こんなとりあえず沢山持ってたら強いみたいな小学生的な姿にはならないのだが。

 

「…まあ、お試シみたいなものだ。気にせずかかってこい」

「そ、そう……。ならいいけど」

 

 それでもやはり引き気味のカリンは、納得していないような顔を見せながらも、スイッチを切り替えた。

 

 ここで、今回の模擬戦のルールだ。

 

 折角廃墟で本格的な地形を使うのだから、対面してのよーいドンではなく、互いに移動してから開始の合図を任せるとのこと。そちらの方が罠や奇襲、位置取りが可能で、実戦的だからだ。

 

 範囲は区切り、合図はユウカに任せて各自散開。

 因みに、この合図はリアンの提案により、ユウカの裁量のみで告げられることとなる。準備が出来ていなければ、それはそれで突発的な戦闘の対処にもなるし、その間に完璧に終わらせられれば、行動の迅速さが評価できる、ということだ。

 

 因みに、この準備などにはここを徘徊するオートマタをどうやり過ごすかも含まれている。早期に倒すもよし、消耗と位置バレを考えてやり過ごすもよし。

 

 実際に一つの相手だけに集中できる状況もあまりないので、こちらはスムーズに引き受けられた。

 

 あっという間に見えなくなった彼女達を見送り、ちらりと己の腕時計を見る。既に見えなくなって10分程度経っているが、このくらいで十分だろう。

 念の為自分の周囲にオートマタがいないことを確認すると、ユウカは渡された通信機で開始の合図を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 与えられた端末から、ユウカの合図が届く。

 

『こちらコールサイン02。狙撃地点についたよ』

「おう、絶対独断で撃つんじゃねぇぞ。やるなら、あたしらと闘ってからだ」

 

 ネルは通信機越しにカリンに対して忠告する。が、それに従う素振りは見せつつも、カリンは懐疑的だ。

 

『……やっぱり、それほど念を置く必要があるの?リーダーが警戒するのはわかったし、只者じゃないのは同意するけど、()()()()()()()()()。なんて』

「あん?…まあ、お前は直接見てねえからな。孤立してる狙撃手なんて見つけたら真っ先に始末しに来る。絶対にな。あいつの速度と索敵能力は高えし、位置が割れて削られるだけだ」

 

 適正距離のあたし級の奴にタイマンで勝てる自信があるなら別だがな。

 

 そう言うと、カリンも大人しく評価を改め息を潜め直す。

 

 ネル達は索敵を怠らず、いつもの行け行けな方針からは考えられないほど慎重に動いている。

 

「奇襲能力は本物の癖して、正面戦闘も馬鹿にならねえ。あたしらの動きには慣れねえ様子だったが、それも今じゃどうだか。むしろ、その弱点をそのままにしてるとは思えねぇ。特に、今はあの時の依頼と違って守る場所がねえ。向こうから来ても対処できるようにしとけ」

 

 手短にそう告げると、周囲の音に耳を済ませ、各自警戒を続けながら通路を走る。

 いつもこんな風に静かにしてくれたらセミナーの苦労も幾分かは和らぐのに。

 

 そして、程なくして聞こえてくる爆音。

 

「!」

「私の仕掛けた爆弾に、何かが引っ掛かったようですね」

 

 アカネがこの廃ビルの入口に仕掛けていた罠が起動したのだ。あえて()()としたのは、ここに存在しているのはリアンだけではないからだ。

 ひょっとしたら、ここを徘徊するオートマタが引っ掛かっただけかもしれない。

 とはいえ、それを確認する必要もあれば、今の音でリアン本人が何かしら動いてくるかもしれない。現場に赴くのは当然の判断だった。

 

「こいつは……」

 

 通路を抜け出し駆けつけたネル達が見たのは、抉れた壁面に、爆破の影響を受けたのか、ボロボロで煤けたオートマタ達。

 

 そのことに僅かに警戒を緩め、その被害と残っている罠の箇所に注力する。

 

「…オートマタがかかっただけのようですね。どうしますか?この音でリアンさんが気づかれる可能性も…」

「…おう、ちょっと待て」

 

 アカネの提案はもっともだ。だが、ネルには少しこの状況自体に違和感があった。何か、とは形容できないが、動物的な直感のようなもの。それを見落としているような気がして……。

 

「おい、アカネ。仕掛けた罠はどこだった」

「え、はい。確か…入口前の天井と窓口下の机、後は角と視界が遮られる箇所にいくつか…」

「あれ?じゃあこれおかしくない?」

 

 目の前に広がる光景は、オートマタが散乱している。だが、たかだか小規模の群れがこんなに複数の罠にかかるものなのか。

 中には、離れた位置の壁際にも爆破痕があるものの、それにかかったオートマタの数と位置が合わない。

 

「………」

 

 オートマタを足で転がすと、その表に見える爆破痕の裏。煤けて判別しにくいが、何か鋭利なものに貫かれた様な跡が機関部に向けて伸びている。

 

「……おい、これは」

 

 その跡を見せようと二人を呼び、アカネが散らばった硝子を踏みながら歩み寄ると―――。

 

「っ、頭下げろっ!!」

 

 言うが早いか、ネルは背後の守りをしていたアカネの頭を押し屈ませ、自身の得物であるツイン・ドラゴン(SIG MPX)を頭上に向けて乱射した。

 

 それは、一見無意味な行動にも見えた。特に、急に頭を下げられ体勢を崩したアカネはあまりに咄嗟のことに目を白黒とさせたが、直ぐにその原因が判明する。

 

「ちっ」

 

 弾丸が空中の何かに命中し、コンクリートを撃った時とは異なるバスバスという鈍い衝突音に阻まれる。

 

 どうしたのかという問いよりも尚早く、中空に黒い影が舞う。

 

 ネルが舌打ちをしながらそれに追従するように弾幕の雨を降らせ、反撃として放たれるミニドラコの銃撃から身を翻す様にして扇状に避ける。

 

 そこまでいって、ようやく二人の思考が追いついた。

 

「っ、いつの間に!?」

「援護するよ!」

 

 視認したリアンに向けて銃弾が放たれる。アカネはその場で露出した顔を狙った精確な一撃。アスナはネルの対角線上に被らないように移動して手元へ向けての乱射だ。

 

 ネルの相手をしながら、その二つをコートを翻して防ぐ。が、次の瞬間、コートで視界が狭まったその一瞬を見抜いてネルが一気に距離を詰める。

 

「喰らいやがれっ!!」

「隙だとでも?」

 

 上から全弾を発射するネルに対して、コートを持つ手はそのままに、屈伸の様に身を屈め、目測をズラす。

 至近距離でのそれにも、瞬きほどの時間もかけずに対応したネルだったが、この間合いにおいてそれは命取りだ。

 ツイン・ドラゴンが向けられるよりも早く、ネルの喉元へ向けてフルオートの銃撃が浴びせられる。

 

 普通の生徒ならば、その痛みと衝撃、呼吸器官への圧迫により意識を失う。或いは戦闘中に於いても怯み、とっさに防御行動に移ることだろう。

 

 だが、ネル(コールサインダブルオー)は違った。

 

 それを受け切り、呼吸を乱されながらも、決して視線を外さず、至近距離での銃撃を成功させた。

 

「ほう」

 

 それに驚いたのか、一瞬だけ動きが停止する。

 今度は自分の番だとでも言うかのように、撃ちきった銃弾もそこそこに、勢いの乗った蹴撃で頭部を狙う。

 

「オォッ…!」

 

 並の生徒…それこそ、腕っ節に自信のある生徒であっても、一瞬見失ってしまうほどの速度で放たれた閃光のような蹴りは、しかしてそっと置かれた左手首によって防がれる。

 

「ッラァ!!」

 

 が、それすら計算の内。受け止められた右足を基点に、回転しての踵蹴り。

 

(あれは決まりました…!)

 

 端から見ていたアカネにとっても、辛うじて見える程度の連携技。あの至近距離では対応できまい。そう確信したのも束の間、リアンの体が逆方向に折れる。

 

 背面に倒れる様に身体を躱すと、当然目の前に映るのは足場を失い空振りをするネルの姿だ。

 

 普通ならば、この状況で追撃に出るには精確性が怪しいが、ネルはそれを見た。

 倒れ込むリアンの地面に、以前に見た機械腕が突き刺さり身体を支えていることに。光を感じられない両目がこちらをしっかりと捉え、コートから引き抜かれた二丁の散弾銃がこちらを捉えていることに。

 

「このッ…!?」

 

 ドパンッ!

 

 と散弾銃ならではの重い銃声が木霊する。

 

 ただでさえ重い衝撃が、空中にいたことで逃がすことが出来ない。ネルの小柄な体が一瞬だけ浮かぶ。

 

 その硬直に即座に合わせ、蹴り出された足首を掴みそのまま投げ飛ばす。

 

「リーダー!」

「ネル先輩!」

 

 吹き飛ばされたネルは、何とか空中で体勢を立て直し、庇われることなく壁に足をつき衝撃を吸収する。

 

 ここで、互いに弾が尽きた陣営同士のリロードが挟まる。

 

 一区切りだ。ネルはマガジンを換えながらリアンの姿を見て笑う。

 

「へっ、今度は最初からそれを切ったな!」

「当然。侮レる相手でもない」

 

 立ち上がったリアンの体から伸びる、新たな腕を見て言った。以前は、暫く戦った後に出してきたそれだが、今回は初めから出している。

 ネルにとっても、そう悪い気はしない。むしろ、出されなければ舐められていると判断した所だ。

 

「……そウだな。一つだけ聞キタいが、何故奇襲ガ分かった?中々いい策だと思ったんだが」

「はっ、そんなもん現場を見れば分かる。仕掛けた位置とオートマタの散乱地帯が妙に離れてんだよ。爆風で飛ぶにしても、この数で全部かかってんのは不自然過ぎだ。そもそも、見えにくいが機体の傷が抉られてる。これは爆弾じゃなく、てめぇにやられたってことだろ。銃声がしないようにオートマタを片付けて、それを罠にかけることでこっちを誘き寄せつつ身を隠して油断を誘う。………本物の蟲みてぇな作戦を使いやがる」

 

 あのネルが淡々と理由付けて説明し、リアンは納得と同時に疑問を覚える。

 

「フむ、だが何故タイミングと位置、そして相手まで把握デきた?誘われたことは理解しテも、その瞬間に合わせられル程情報は残してないハズだが」

「た、確かに。私が狙われていると何故分かったんでしょうか?」

「私も気になる!」

 

 そのことは、二人も気になっていたらしく好奇の視線がネルに向く。そのことに呑気な奴らめと思いながら、律儀に返した。

 

「ンなもん、()に決まってんだろうが」

「音?」

「アカネが呼びかけに応えた瞬間、硝子を踏んでたが、その近くの音にはそれがねえ。今まで歩調を合わせて被せてたんだろうが、それまでは真似できねぇよなぁ?―――ついでに言うと、てめえはガチャガチャ持ち過ぎだ。開始前に初めてだって言ってたから気づいてねぇだろうが、重みと動きで音が漏れてんだよ」

「……成るホド。確かにそうか。今後の課題にサセて貰う」

 

 と、ネルは挑発気味に笑ったが、その実、内心では冷や汗をかいていた。

 あのとき、アカネが硝子を踏まなければ。ここが廃墟という静寂に満ちた空間でなかったら。

 

 そう思うと目の前の相手の奇襲能力は最大警戒に値するものだ。少なくとも、一度捉えたからには見逃すことは許されない。

 

「無駄話も終わりだ。後は戦い(こいつ)で語ろうぜ」

「…確かに、ネル先輩の言っていたことが身に沁みました。今度は油断しません」

「よーし、今度こそC&C(私たち)の力を見せてあげるんだから!前よりもずっと強いよ!」

「そうか、楽シみだ」

 

 一旦の仕切り直し。再び構えた彼女達は、不眠蟲(遊星リアン)へと立ち向かう。

 

 C&C達のリベンジマッチが、ようやく戦端の口火を切った。

 

 




この敢えて罠にかかったのが別の存在に思わせて油断させるっていう作戦は割と初期から考えてました。ネルは勘付いちゃいましたが。

ヤバいな…。幕間だけで結構話数行きそうだぞ……。

そして恐ろしいことに既にカニ道楽ちゃんが登場して20話以上経過しているという事実。カニ道楽ちゃんの登場が実質17話目だから、既に物語開始から登場までの期間以上いるんですね…。

これからもめっちゃ長くなりそうで怖いな…。
っていうか登場キャラが増えるとその分だけ話が増える予感がして怖いぜ…。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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