透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

41 / 67
筆が乗った。筆じゃないが。
新しい話を投稿するたびにお気に入り数が減っていくのはつまらないと切られたのか、それとも間違って登録してた民が思い出して消しているのか。どちらか判別がつかなくて怖いっすね。
願わくば後者だと思いこむことで心の均衡を保つか弱い生き物……。
それがワシじゃよ新一。
米花町にとって爆発は春の季語じゃが、キヴォトスだとどうなるんだ…。


C&Cリベンジ!その4

 

 アカネが落とされた。気絶した体は巻き込まれないように隅の部屋に投げ込まれ、未だ健在のリアンは次のターゲットへと向かう。

 

 見つめられたアスナは、咄嗟に背後のネルの様子を確認した。丁度コートを払い除け、高速で迫るネルの姿がそこにある。ならば、任せたほうがいいと即座に背を向け全力で逃げる。

 目と目があった二人の以心伝心。焦ったような表情のアスナと、キッとリアンを睨みつけるネル。背後から放たれた弾幕をネルの表情から見てスライディングで躱す。

 

 しかし、それも長くは続かない。躱されたと見るや、即座に照準を下げ、確実に削り取るために引き金を引く。が、その時には既に、信頼するネルの動きは終わっていた。

 

「っおらァ!!」

 

 滑り込んだアスナの肩をそのまま踏みつけ、リアンの予想を越えた空中軌道を描く。想定外の行動に目を奪われたリアンが、アスナからネルに標的を変えるべきかと、そう逡巡する。

 

 ―――だが、最速。ネルにとってはその僅かな時間が命取りだ。

 

 ネルの狙いはリアンの顔―――ではなくMG42本体。本体の頑健さと、我慢強さは嫌と言うほど味わった。ならば、攻撃手段そのものを狙うのは、ごく自然な流れだろう。

 

 踵落としで向けられた銃身をガクリと打ち落とし、至近距離でのフルバースト。元々精密機器であるマシンガン。その中でも殊更内部が複雑なMG42は、これまでの無茶な振り回しと今回の苛烈な攻撃により何処かの機関がイカれたのか、沈黙する。

 

「チッ」

 

 使えなくなったと見るや、ソレ自身を投擲武器としてネルに投げつけるが、当たらない。蹴った反動で元の位置に戻るネルは、ついでとばかりにコートを失った肉体に銃弾をばら撒き、お返しにと繰り出されたクリスヴェクターからの掃射を全力で回避する。

 

「ちっ、効いてるのか効いてねぇのか…!」

 

 独り言ち、ネルは疲労の溜まった足に叱咤し再び駆け回る。と、今度はリアンがそれに対応するように動き出す。段々と上がっていくギアに焦りを覚えながらも、身体の小ささ故の小回りならば勝る。

 

(クソッ、癪だが、それくらいしか凌げる手がねえ……!)

 

 アスナが隙を伺う中、高速で動き回りながら交差する二丁短機関銃の応酬。壁と天井すら加速の材料としながら、赤と黒の影が疾走する。

 

 そして、機は訪れた。

 

「何とかなれー!」

 

 そう。アスナがこの疾駆によって破壊された支柱の一部を投げたのだ。

 それは見事、リアンの着地先に被さって勢いと体勢を崩した。

 

「死ね!!!」

 

 空中で姿勢を立て直す前に、ネルが勢いをつけた全力の蹴りを顔に浴びせる。

 

「(重めぇっ…!が、ここ以外に崩せる好機はねぇ!)―――おぉォっ…らっッッッ…!!!」

 

 足を無理矢理に蹴り払い、顔に一撃を食らったリアンの体が背後に飛ぶ。初めて見せた、明確に大きな隙。

 

「「畳み掛ける()!!」」

 

 刹那の目配せ。ネルとアスナは全力で距離を詰め攻勢に移った。空中のリアンへと銃撃を浴びせる。動きが停止したそれは、大きな的が災いして被弾率を上げる。

 

 リアンは浮き上がりながら身を捩り、手をついてロンダート。繰り返し回転し、その先にあるものを見る。

 

「ショットガン…!」

 

 ネルが気づき、焦燥の声を上げる。相手が短機関銃ならばダメージレースとして撃ち合いが成立するが、火力まで備えられては、中近距離を得意とするネルにとっては不利に働く。

 

「拾わせるなっ!!」

「狙ってる!!」

 

 バク転、バク宙を繰り返し、逆さのままウィンチェスターM1901へと接近する。だが、それは一度撃ち切り、そのまま放棄されたもの。ならば拾ってからのリロードが必要だ。

 

 ―――だからこそ、万全の態勢を整える前に叩く!!

 

 二人の考えはまたも合致し、その手元と体へと向けられる。

 

「ぐっ!?」

「えっ!?」

 

 突然の衝撃。

 

 全く予期しない攻撃が二人を襲い、一瞬の硬直。

 遅れて、自身の顔に銃弾が突き刺さったことに気づく。

 

「嘘っ、武器なんて――」

 

 両手が塞がって、それに逆立ちの状態を狙った筈だ。そのような衝撃があるはずがないと見て―――。

 

「わお、それアリ?」

「そのまんま使えんのかよ……!」

 

 リアンの足首に備わっていた拳銃。ホルスターに収まったままのそれが、こちらに向けられ、硝煙を上げている。

 予備の武装として備えられていたのではなく、最初から足から射撃すること(その運用)が考えられている。そう考えれば、ホルスターがグリップ側で、銃口が下向きに剥き出しになっていることにも説明がつく。

 

 ミレニアムのエンジニア部(ロマン屋)がやりそうな事だが、それをこの場で、的確に使用する等とは、とても想定は出来なかった。

 

 そして、それだけの意表を突ければ十分。膝をついて止まったリアンはスピンコックで手早くリロードすると、二丁のそれを構える。

 

 次の瞬間、乾いた銃声が連続して2発。後にアスナが悲鳴を上げ、今の今まで顔のあった位置に散弾が飛んでいくのが見える。

 

 妨害は成らず。それどころかこっちが不意を突かれ、相手は万全。

 

 それに気づいたとき、ネルは進むしかなくなった。距離を離した所で、リアンが相手では直ぐに追いつかれるからだ。ならば、ダメージ覚悟で距離を詰めて攻勢に出るしかない。

 何より、ネルの気質がそのような真似を許さない。

 

「う、おおおおおおおぉぉぉぉぉっっ……!!」

 

 傷だらけの体の接射面を限りなく減らし、貫くようにツイン・ドラゴンで突貫する。放たれた散弾による衝撃が体を襲うが、覚悟を決めたネルにとって、それは突進を遮る障害にはならない。

 

 そして、己を鼓舞するべく、自身の立場を全霊を以って叫ぶ。

 

「あたしはコールサイン00(ダブルオー)!この間合いであたしに勝てる奴なんざ、キヴォトス全体でも一人もいねぇ!!!」

 

 連続射撃の突貫。正面から散弾を受け止め、生傷を増やしながらネルは振り切る。

 計4発。距離を詰めるごとに威力を増すソレに耐えきった。再びのコッキングよりも、この距離ならこっちが速い。

 

 目と鼻の先まで、リアンが迫る。猛進するネルの気迫に押されたのか、リアンが後退り。

 

「―――そうダろうな。だから水を差して悪い」

「は?」

 

 軽い口調で、後ろへ跳んだリアンの手から一つの物体が放られる。

 

閃光手榴弾(フラッシュバン)ッ!!」

 

 それは、ネルの眼の前に現れた、缶のような見た目のそれは、ここキヴォトスでもメジャーに使われているメーカーの閃光手榴弾であった。

 

 咄嗟に、ネルは視界を奪われまいと目を塞ぐ。

 しかしその予想に反して、その音は小さく、それどころかシュー、とガスの様な音が届く。

 その違いに気づいたネルは目を開け、その光景に愕然とする。

 

「っ煙幕かよ!」

 

 この廊下の一帯。それが濃い白煙で包まれている。

 

「リーダー!」

 

 背後からアスナが近づくが、状況は変わらない。

 してやられた。ネルはその後悔とあれだけいい所にこんな小細工をされたという怒りに苛まれる。

 

 閃光手榴弾の見た目をした発煙弾。シンプルだが、対応に慣れているものほど引っかかる。

 閃光手榴弾ならばその対応は正解だが、こと今回に至っては不味かった。そのまま無視して直視していれば、離脱するリアンの姿を目視して追うことが出来たが、肝心の瞬間に視界を保護したために取り逃がしたということになる。

 

 だが、そこに気づいて、真っ先に忠告するべきことに思い至って通信機を口元に近づける。

 

「ちっ、カリン!恐らくそっちを潰しに行った!そっちからなら煙幕から離脱する奴も見えてんだろ!」

 

 そう、これまでにも優秀なサポートとして狙撃を行ったカリンだ。当初の読み通りなら、ここで離脱する意味など、スナイパーの処理以外ありえない。

 

 だから、次の言葉はネルにとっては理解に数瞬の間を必要とした。

 

『…?いや、リーダー。煙幕からは何も出てきてな―――』

 

 それを言い終わる瞬間、煙幕を突っ切り黒い影が高速で迫る。

 警告のための通信。故になりふり構わずその場で話したが、リアンはその場に潜み、聞いていた。

 警戒の緩む瞬間を、誰かに警告し、己は対象から外れたのだという瞬間を狙うべく潜んでいたのだ。

 

「なっ――――」

 

 ネルが反応を返す暇もなく、ネルの頭部は片手で掴まれ、そのまま高速に走り去るリアンにより壁で削られる。

 

「ぐ、おおおおおおおぉぉぉッッッ!!?」

 

 アスナが遅れて追いかけるも、それすら軽く突き離すほどの勢いで、ネルの体が引き離される。

 

 壁は粉砕され、間の窓すら関係なく引き摺り回される。その速度と絶え間ない衝撃に打ち据えられ、意識を失いかけるそのたびに新たな衝撃に頭が冴える。

 

 瓦礫を粉砕した衝撃でデコにたんこぶが出来、窓を突き破った破片でたんこぶが切れて血が噴出する。

 それでも、リアンは感情の浮かばない顔をネルにだけ合わせていた。

 

「ごっ、ふっ…!こ、のォ!」

 

 どうにかして体を持ち直そうと試みるが、力に差がありすぎるのか叶わない。ならば、自身を掴む相手の顔面めがけて集中砲火を続ける。傷が出来ているのは分かったが、ほぼゼロ距離で当て続けているというのに、瞬きすらせずにネルから視線を外さない。

 

「まずい…!」

 

 カリンが、そう呟き疾走するリアンの魔の手からネルを救い出すべく、偏差射撃を行う。

 自信を持って放たれた弾丸は、再びその体を捉え―――る前にネルの体を盾にしたことにより防がれる。

 

「しまっ、ごめんリーダー!」

 

 が、狙撃を防いだ瞬間に、リアンは進路を変えた。

 ネルを外へ投げ、その後を追うように身を投げ出す。壁の凹凸や窓縁を上手く足場とし、ビルからビルへと飛び移り、移動を始めた。

 

 狙いはカリンだ。

 

 それを悟ったカリンは、慌てて次のビルへと乗り移る。幸いにも廃墟は建物同士の間隔が狭く、階下以外の逃げ道も豊富だ。

 一刻も早く逃げなければと背後を振り返り、愕然とする。

 

 壁を走るような速度で駆けるだとか、ほぼ平面の坂を駆け下りる。なんてのは、キヴォトスでも極稀だが行える人物がいる。

 

 何を隠そう、部長であるネルもその一人だ。しかし、それはあくまで助走による速度ありきのもの。短時間の誤魔化しが精々で、重力に逆らうことなど出来ない。坂の駆け下りも、重力に従いながら壁から足を離さないだけだ。

 

「それは、何かおかしい」

 

 カリンが見たのは、垂直の壁に重力でもあるかのように立ち、その状態で壁から壁へと跳び移るリアンの姿だった。

 話に聞いていたのと、実際にそれに追いかけられるのではまるで違う。想像よりも遥かに速い進行速度に焦りながらも、次の廃マンションに飛び移る。

 

(ここの次の廃屋に跳び移ったら、そのまま室内に逃げ―――!)

 

 そう思考した瞬間、己の着地点にある影が一つ増えたことに瞠目する。ちら、と背後を見れば、そこにはこちらに跳び移るリアンの姿。

 

「いくら何でもっ、速すぎる……!」

 

 こうなれば、とカリンは賭けに出た。

 

 どうせ、近づかれてしまえば敗北は濃厚。空中で身動きできない今、迎え撃つべきだと。

 

「やるしかないっ…!」

 

 予定ではそのまま足で着地し、走り抜けるつもりの所を、体を倒して受け身を取る。そのまま反対を向き、座射の姿勢に構え直す。

 

 迫るリアンの姿を視界に収め、一瞬で照準をつける。

 

 チャンスは一回。失敗は出来ない。

 

(駄目だ、上半身は固められてる…。いつもならそれでもいいけど、この状況じゃ変わらない。なら、狙いは……)

 

 向けた銃身を、微かにズラす。

 

 そして引き金を引く。

 

 まるで時間が引き延ばされたかのような感覚が押し寄せ、自身の心臓の音が嫌と言うほど主張する。

 

 対戦車ライフルならではの重厚感のある衝撃と音。片時も目を離さなかった。

 

 カリンの放った一撃は、投げ出された足へと吸い込まれていく。恐らく、着地のために前に出しているであろう右脚へと直撃し、その動きを鈍らせた。

 

 空中で体が跳ねるように動いたならば、当然姿勢もそのままではいられない。このまま無様に墜落する。

 

 カリンは胸を撫で下ろし、その光景を思い描く。

 

 が、それよりも早く離脱するべきだと思い出してその姿を確認するよりも早く、ライフルを肩にかけて走り始めた。

 

 が、走り始めた瞬間に気づいた。

 己の想像するような音がしないことに。

 

 嫌な予感が襲い、咄嗟に横に跳び転がる。

 

「……流石に気づくか」

「嘘だろう……」

 

 見れば、蹴りを突き出した姿勢のリアンが立っている。避けなければ、間違いなく直撃していた。

 

「何で…。あのタイミングで体勢を崩されて、音もなく着地出来るなんて一体どんなカラクリが……」

 

 カリンが慄くように疑問を呈するが、リアンはポリポリと顔を掻き、「…まあ不意を突かれたのは確かだが…」と言って語りだした。

 

「普通ニ、四肢が全てへし折れた状況でも受け身出来るくらいには鍛えてるカらな。実際に何度も折って検証済みだ。「実践に勝るものなし」…トモ言うしな」

 

 リアンがなんてことない様に語ったそれの真贋を、カリンは判別することは出来ない。声も平坦で、表情は変わりないからだ。だが、それでも本当なのだろうという妙な実感はあった。

 そしてそれを踏まえて、カリンは辛うじて絞り出した。

 

「……いや、それとこれとは話が別じゃないか?」

 

 まさに正論である。

 




相手を油断させるのも警戒を解かせてから奇襲するのも常套手段である。

だ、大地よ 海よ そして生きとし生けるすべての読者(?)……
このオラにほんのちょっとずつだけ執筆力と妄想力をわけてくれ……!!!

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。