透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
と。まあ、何と申しますか。 つい一昨日の夕刻まではそのように想っていたのです。
ええ、ええ、本当ですよ?
なのですがまあ。やめました。
―――やめました!
なにせ、ただでさえそこまで長くなるつもりのない幕間でここまでお時間いただいちゃったのです。ただでさえストーリーもアビドスしか進んでいないのに、これ以上無為に長引くようならば、それは蛇足となりかねない。
何より、アンケートから見てもカニー・クッター派が多く、私自身今考えついているネタがある。
それと同時に、デートのうまい描写やシチュエーションが分からず、早くしなければと焦る気持ちで書き上げては、面白みに欠けてしまいます。
何より、私がブルーアーカイブを知るきっかけとなったツルギのデート回で、そのような考えで下手なものをお出しするのは拙僧自身の首を締めることになります。
なので、今さっき良い案が思いついたのですが、やっぱり予定を前倒しにして今回からカニー・クッター編が始まります。
ツルギのデート回を投票してくださった読者の方には申し訳ありませんが、幕間では書くことができません。
……なぜなら、本編に絡めたほうが面白いのが出来ると思ったからです!!よって、ツルギのデート回は本ストーリーに入ることにしました。遅れちゃってごめんね。
〜プロローグ〜
―――カニ漁師の朝は早い。
「まあ好きで選んだ仕事だから…」
最近はクラーケンの襲撃で肝心の蟹の漁獲量が不安定だと愚痴をこぼした。
まずは、水中銃の入念なチェックから始まります。
「やっぱり一番嬉しいのは生きて帰ることと沢山獲って食べることだからね、この仕事やってて良かったなと」
「毎日毎日潮も出現区域も違う。素人では出来ない」
今日は水揚げ当日。
彼女は蟹を発泡スチロールに詰め、漁港へと向かった。
基本的な個数は決まっているが、最近のユーザーの嗜好に合わせ、多種多様な業者に卸される様に調整しなければいけないのが辛いところ。
「やっぱ氷海の仕事はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「この蟹はダメだ。ほら、カニビルがついている。責任を取って私が回収しよう」
彼女の目にかかれば、見るだけで良し悪しが分かってしまう。
達人芸、ここにあり。
今、一番の問題は後継者不足であるという
押し寄せる極寒の寒波と超兵器級の原生生物。それを撃退できないとその日の漁をやめてしまうという。
60年前は何十もの漁師が軒を連ねたこの海だが、今では関わる企業はRE:flector一つになってしまった。
問題は海面と先日の情報、漁獲量を確かめるのに、5年はかかると、匠は語る。
「自分が食べて美味しいのももちろんだけど、買ってくれる人はもっと美味しくないといけないね」
「もちろん出荷残りの蟹は一匹一匹私達の手で調理しています」
ここ数日は、再生するクラーケンに押されていると言う。
「いや、私は続けますよ。待ってる人がいますから───」
絶海蟹漁師の灯火は弱い。だが、まだ輝いている。
「時々ね、わざわざ手紙までくれる人もいるんですよ。「とても良い品質の蟹でしたわ。今度お伺いしてもよろしいでしょうか」って。ちょっと嬉しいですね」
「遠くからわざわざ求めてこられるお客さんが何人もいる。体が続く限り続けようと思っています」
「やっぱねえ、蟹を知り尽くし、蟹への執着にも似た直感ってあるんです。機械がいくら進化したってコレだけは真似できないんですよ」
XXXX年、連邦生徒会長失踪の影響で、蟹の価格が3倍にまではねあがり、一時は連邦生徒会を襲撃することも考えたという。
「やっぱりアレですね、たいていの生徒はすぐやめちゃうんですよ。ゲブラの方が強いとか、他の船はクラーケンに突っ込まないからいいとか……。でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ。ほら、そこにいる斉藤もそう。そういう奴が、これからの蟹漁師界を引っ張っていくと思うんですね」
最近では各自治区での美食屋にも注目されているという。額に流れる汗をぬぐいながら
「本物に追いつき、追い越せですかね」
そんな夢をてらいもなく語る彼女の横顔は職人のそれであった
今日も彼女は、日が昇るよりも早く漁に使う網の設置を始めた。明日も、明後日もその姿は変わらないだろう。
そう、蟹漁師の朝は早い。
─────完─────
「………何やってんですか漁の途中に?」
「プロジェクトZ*1ごっこ。うちにも来るかもしれないじゃん」
「ねえよ。仕事しろ」
辛辣な言葉を浴びせられた女性は、少し肩をすぼませながら作業に取り掛かる。
ここは氷海地域に接する海洋。その沖に船を浮かべた彼女たちはここで漁を営んでいるRE:flectorの社員達だ。
皆がカゴを引き揚げている中、一人ぶつぶつと何事かを呟いていたのは、リアンから密かにカニ道楽の渾名をつけられているこの船の船長だ。
何だかんだで信用はされているものの、結構欲望に忠実なのでしょっちゅう突っ込まれていたりする。
時刻は6:30。この後11:00まで漁をして、休憩後は別の船団と入れ替わってローテーションを回している。ちなみに、本来の蟹漁と言えばかなり過酷なタイムスケジュールであるが、ここは漁船に比べて余った人員が割といるのと、何故か配分を完璧にこなしたカニ道楽ちゃん(仮称)の手際によってちょっと厳しいくらいに落ち着いている。
因みに、ここの漁港付近には水揚げした魚介類をそのまま提供する格安の海鮮小屋があったりするが、結構過酷な地なので客足はそこそこといった所。ただし、通の中では知る人ぞ知ると言われる程度には知名度も上がってきている。もう少し噂が広まれば、いずれは客足も増えることだろう。
常に安定して蟹を市場に出し、安定しているかのように見える彼女達だが、実はここに一つの問題を抱えていた。
「今日こそクラーケンに出くわさないといいんだけどね」
「あいつのせいで結構他のとこからも不安の声が出てる」
「船長もしょっちゅう負けてるし…」
そう、この海洋に潜む巨大イカ。クラーケンの存在だ。
蟹の群生地帯付近を回遊しているらしく、基本的に航路の被らない他の船団とは遭遇していないが、その反面この蟹漁船とは度々激突している。
野生動物と侮るなかれ。そのサイズは40mを越え、知能が高いと言われるイカの中でも殊更高い知性を感じさせる行動を度々行っている。
高い戦闘能力を持っており、これまでに全員の射撃+携帯型巡航ミサイルwithカニ道楽ちゃん&ゲブラと戦って尚も健在という存在だ。
後に、リアンによってデカグラマトン級戦力と呼称されることになるが、そのカテゴリーに含まれている野生の脅威だ。何でこんなのが普通にいるんだキヴォトス*2。
そのせいか、情報共有された他の漁船からも警戒されており、即刻排除が望まれている障害でもある。
遭遇時は毎度撃退をしているものの、完全勝利まではいかずに逃走を許してしまっている。
とまあ、そんな訳でよく出くわすが故に警戒も怠らずに業務を熟す彼女たち。
引き揚げた蟹達は、この氷海に閉ざされたが故に、独自の生態系を築いており、肥沃なこの地で育ったズワイガニは、旨味と肉がぎっしりと詰まっており、メスでさえ他所の海域の松葉ガニに匹敵するほどの質を誇っている。市場でも評価され始めており、独自のブランドを立てるべきではないかという案も
「……けど、最近見ないよね」
「いや?クラーケンは一昨日も出くわしたじゃん?」
「違う違う。モササウルスの方。そもそもあんまり見かけなかったけどさ。ジュラシック◯ワールド見てから好きだったから写真撮りたいなって思って」
「意外と余裕あるねぇ。あれ普通にクラーケンとかゲブラ君とやり会えるレベルで強いのに…」
作業の手を緩めることなく、雑談を交えながら笑い合う。そこには、これまでの根無し草生活時代のギラギラとした飢えや余裕の無さは感じられない。
「まあ、船長もいるしね」
「確かに。変な人だけど、頼りにはなるし」
「いざとなったらオーナーに頼めば何か策があるかもだしね」
そこには、頼れる人が存在していることもきっと含まれているのだろう。
凍えるような寒さの風も、暖かい空気に絆されてか緩む。いや、今は完全に海全体が凪いでおり、無風になっているらしい。
「あれ?」
「こんなの予報にあったっけ」
「さあ?でもここ人も住んでない辺境だし見落としも―――」
あるかも。
そう告げようとした次の瞬間、今までの静寂が嘘であったかなように海全体が荒れ狂う。そう。
風も吹いていないのに、波が激しくなり、海中から地響きのようなものが聞こえ始めているのだ。
「うわぁっ!??」
「何々なにっ!?」
「じ、地震!?海の上でもこれだけ感じ取れるの!?」
「……いや、この揺れは地震じゃない!落ち着いて体勢を整えて備えて!漁の続行は不可能と判断して、即座に帰港する!」
「「「っ、了解!」」」
パニックになりかける船員を一喝してまとめ直す。冷静さを取り戻した彼女達は、手際よく帰り支度を整えると*3、現在の座標と時刻を記してUターン。
全速全開で飛ばし始めるも、突如として船に衝撃が走る。
「きゃっ…!」
「今のはっ…!?」
「何かぶつかったのか!?」
荒れ狂う海。地響きのような音は止まず、思わず海面へと目を向けると、不思議なことに、色の濃さが違うような気がしてきた。
(…?錯覚…。いや、荒れていて分かりにくいけど、明らかにこの地帯だけ色が変わっている…)
誰もが自分の体を支え、揺れに抗うも、その時船の真下を真っ白な影が通り過ぎる。
「イカだー!!?」
「こんな時に…!」
「…全員直ぐに発つ準備をしろ!私が時間を稼ぐ。隙を見て私を回収して撤退。以上!アイルビーバック!!!」
「ちょっ…!?」
船員たちが止める暇もなく、体に牽引用ロープを巻きつけると、対クラーケンに誂えた
荒れてはいるものの、泳ぐのに問題はない。
カニ道楽ちゃんは、自身の役割が撃退と注意を引くための囮だと理解している。だからこそ、クラーケンの注意を船から移すために向き直る。
クラーケンは少し離れた位置を泳いでいるが、この程度の距離は直ぐに詰められる。
身動きの取りにくい水中では、下手に動けば動くほど体力を奪われていく。最低限必要な動作に抑え、今のように待ちの時間には静かに構える。
(距離は40m…30…20…)
ADSで表面の皮膚を打ち、向かってくるクラーケンを躱して銛で一撃を加える。そのようにプランを組み立て、いざその瞬間を待ちわびる。
(今…!)
タイミングは完璧。普段通りであれば通用する一手でもあった。
(スルー…!)
が、予想に反して、クラーケンは勢いを緩めることなくカニ道楽ちゃんの横を通り過ぎていった。
尚も勢いは止まらず、それどころか更に勢いを増していく。
そして、ようやく気がついた。
考えても見れば、異常の発生から少しして目撃できたことから何か関与しているのかと邪推したが、それにしては時間も合わない。
ならば、これは一体何に向かっているのかと見れば、そこには何の変哲もない海が広がって――――
(―――違う)
強烈な違和感と共に、咄嗟に周囲へと目を向ける。そして気がついた。この場所だけが、他と比べて海底との距離が近い。
(地面が、動いてる)
ここに築かれていた生態系。岩礁や海藻など、ごく自然の生態系そのものが、まるごと移動している。
それも、地形の変化などではなく、端に見えるのはいくつもの節を持つらしい岩のようなものが動いて、それに合わせてこの地面も動いている。
さらに視線を向けると、動く大地へとクラーケンが猛進する。
クラーケンは、自身の身体ほどもある脚の一本へと向かうと、全ての足と触腕で締め付ける。ぎりぎりと音が聞こえそうな程吸着したそれに、脚の一本がぎこちなく震えている。
見れば、付着している岩石が軋み、その粉塵が俟っている。
(おお、動きを止めた)
先制攻撃を仕掛けたクラーケンにより、動いていた大地が止まった。しかし次の瞬間、その脚にしがみつくクラーケンへと巨大な鋏が向かう。
赤い、ルビーのような光沢を持つ甲殻に覆われた鋏が絡みつくクラーケンの脚の数本を一気に切り落とす。
拘束が外れ、足を失ったクラーケンは、不利を悟ったのか即座に離脱して遠くへと消えていく。
が、それは逃げていくクラーケンに興味を示さずに、足に貼り付いている足をつまみ上げると、鋏のついている方へと持っていった。
(こいつ、蟹だ。よく見れば、フォルムも同じ。でも、なんでこんな巨大な……。いや、待った。知ってる。私は知っている。この、一つの大地のような……。あれは、
あまりの光景に、目を奪われたカニ道楽ちゃんは、足元から迫るもう一方の鋏に気づかなかった。
視界に入ったときには、既に目と鼻の先まで迫ってしまっていた。
(マズ――――)
視界が、赤く染まった。
謎生物元ネタ一覧表
少しでも参考にしていたり、取っている部分があれば含める
◆クラーケン
クラーケン(神話)、トゥソテウティス(ARK)
◆モササウルス
モササウルス(ARK)、モササウルス(ジュラシック・ワールド)
◆遊星リアン
遊星からの物体X、エイリアン
プレデター(プレデター)パラサイト(寄生獣)ウェスカー、リーパー、ノビスタドール、4の村長、スカルミリオーネ、グラスプ、ドレインディモス、変異シモンズ(バイオハザードシリーズ)
◆ベクター
ベクター、ハンク、ノビスタドール、ヴェルデューゴ(バイオハザード)
大量発生型相変異バッタオーグ(シン仮面ライダー)
ドラス、ウヴァ、アントロード(仮面ライダー)
◆カルキノス
カルキノス(神話)、ザラタン(伝説)
ダイミョウザザミ、シェンガオレン、ダラ・アマデュラ、ゴグマジオス、ゾラ・マグダラオス、ゼノ・ジーヴァ、アンイシュワルダ、ムフェト・ジーヴァ(モンスターハンターシリーズ)
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
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先生と一目で分かるからあった方がいい
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別にゲームテキストでもないのでなくていい