透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
これも皆様のご愛顧あってのことでございます…。
今後ともこの作品をご贔屓に!
あと人外もの増えろー!
ないからかいたのに全然増えないから私が読めないじゃないですか!?
もっとみんな書いてくださいよぉ…。特にクリーチャーとか、キヴォトスにいないタイプの奴。
数時間かけて港まで帰港すると、にわかに港全体がざわついていた。
出航前にはお通夜の様な空気も和らいでいたはずだけれど、果たしてここまで立ち直るのだろうか。というか「ワーワー」やら「キャーキャー」やら甲高い声がこの優れた聴覚に届いている。
いや、本当に何で……?
ただ、よく目を凝らすと船着き場には人が居らず、どちらかと言うと未整備の海岸付近から音がする。
ハルナも少し近づいて、人の気配がないことに気がついたのか、不思議そうにしている。
「これは一体…?」
「さあ?…だが、東の海岸がにわかに騒がしい。……すまない、後は任せたぞ」
船を着岸させ、ワイヤーで繋ぐと一足先に俺とハルナが降りる。2番船、3番船も機材を運び出し片付けを済ませる中、一言断って騒ぎの渦中へと歩みを進めていく。
「そこそこ!!」
「もうちょっと寄せて!」
「あっちのフォローも誰かやってくれー!」
「とりあえず一回大人しくさせるぞ!」
「ああもう!暴れない暴れない!!」
そして、整備された港付近を抜け出すと、その騒ぎは祭りもかくやというものだった。
少女たちが何かに群がり、時に宙を舞い、水飛沫を上げながら騒いでいた。
「一体何が…」
船まで使って何かしらの作業をしていることは分かるが、時折見えるヒレや体などから、鯨なんかが迷い込んだのだろうとも思った。
「…留守にしている間、何があった」
「あ、オーナー!帰ってきたんスね!」
尋ねると、待機していた社員が応じる。
「…まあ、みれば分かると思いますが、こっちにまでモササウルスが迷い込んじゃったんスよね」
「モササウルスが?」
「……モ、モササウルス?」
報告にあった通りならば、ゲブラと互角のクラーケンを撃退できるほどの戦力だ。そんなものを相手にして大丈夫なのかと訝しげに尋ねると、「ああ、安心してください」と前置きをして言い放った。
「多分、あれ子供なんスよね。弱ってるみたいですし、今はみんなで保護しようと頑張ってる感じっス」
「……成程。報告でしか知らないが、あれはモササウルスか。……しかし、子がいるのなら、親の逆鱗を踏む可能性も」
が、そこまで言いかけて、その目線が少し離れた箇所に向けられる。そこで視界に入るのは、海岸に漂流している巨大な何か。
既に白く変色し、その大きさから逆に目立たなかったそれは、よくよくみれば生物的な皮やヒレが落ちたと思われる名残が伺える。
「……そうか、親は死んでいるのか」
「アレを気にかけていたので、多分…」
それは傷跡を多く残した巨大な遺体だった。20m程の大きさで、近づいてみれば酷い悪臭と共にモササウルスの特徴が見えた。
どうやら柔らかい部位の肉は殆ど食われているらしく、毟られた様な跡から、齧られたものまで様々。状態から察するに、恐らく死後結構な時間が経っている。
「片割れは?」
「そこにいますよ」
ふと、尋ねてみて、その裏側に視線が向く。
それは、腐った死体と化したこの遺体の側で、眠るように亡くなっている新たなモササウルスだった。
傷こそあまりないが、その体は痩けており、元々の死体と比べて小さい体であることを加味しても、虚弱に感じられる。
「父親が死に、獲物が狩れなくなったのか」
「ええ、多分出産直後で弱ったままだったんでしょうね。それで子供を食わせるために余計に消耗して、結局そのまま……って感じだと思うっス」
「……自然の摂理とはいえ、こうもまざまざと見ると、堪えますわね」
腐臭に顔を顰めていたハルナも、この光景には思うところがある。
「子供だけは無事なんで、こっちで保護したいんですけど……。いいっスかね?」
「……ああ。他所に何かをせっつかれるわけでもあるまい」
再び視線を戻すと、モササウルスの子供を中心に、船で縄などをつけ、餌や鎮静剤などを打ち込もうと苦戦しているらしい。
見ているとモササウルスの尾びれが大きく瞬き、砂浜に人影が二つ飛ばされる。
「わわわわわ、どいてぇ〜!??」
「うわぁぁぁあああんっ!!!?」
空中で四肢をばたつかせる彼女たち。このままであれば顔面から着地することになる。下が柔らかい砂であることとキヴォトスの民であることからこの程度でどうにかなるとは思っていないけれど、その首根っこを掴むように優しく受け止める。
「きゃっ!?…いててて。あ、ありがとう」
「うぅん……」
「あら…ジュンコさんに、イズミさんまで」
飛ばされてきた二人は、美食研究会のジュンコとイズミ。どうやらフィジカルに優れる人物として直接鎮静剤や麻酔薬を飲ませるために張り付いていたらしい。
船を見れば、船頭に手を振るアカリ。船は殆ど音を立てておらず、刺激しないようにしているのが伺えた。
だが、弱っている幼体とはいえ、その成体はデカグラマトンの預言者にも勝る生き物。その暴れ具合から、麻酔や鎮静剤への耐性が強く、動きも抑えられずと中々苦戦しているらしい。
「…二人を頼んだ」
「え、ええ…。行かれるのですか?」
「ああ」
猫のように摘まれたジュンコとイズミを投げ渡し、ほんの少しだけ力を込めて船まで
「ぎゃっ…!何すんの!…っていない!?」
「うわああぁ…すっごいジャンプ力…」
宙空で体勢を整え、勢いを殺して甲板に着地する。
その光景を眺めていたハルナは一言。残された社員に向けてぽつりと尋ねた。
「……もしかして、あの方風紀委員長と同類だったりされます?」
「そんな感じっスね〜。うちの社員の半数はあの人にボコボコにされて入ってるんで…」
「ってことはあんたも?」
「瞬殺っしたね〜。でも居心地いいし給料でるし、似たような境遇ばっかだから変に気を遣ったりしなくてもいいし。今は普通に感謝してるっス」
少しだけはにかみながら言う彼女の顔には嘘や取り繕いがない。本心からの言葉であると理解できる。
その様子に、心を寄せているのだなと微笑ましく思ったのも束の間、彼女は急に真顔でぶつぶつと独りごちる。
「あと今更敵に回したくないっス。マジで。一回襲っただけのチンピラだったあたしの顔とポジションとか全部覚えてたし。いやまあ、それは普通に認知されてるし嬉しいこともあるんスけど、ウチから出た輸送トラック襲った連中が全員次の日には自宅特定されて警告受けてたので……」
「…!?」
「怖っっわ!?」
「ひえっ、ど、どうしよう。覚えとかないとやっちゃうかも…」
いきなり毛色の違う畏怖が表に出たせいで驚愕するハルナ達を後に、先に進んだリアンは甲板にてアカリと鉢合わせていた。
「…う〜ん、ちょっとこれは驚きです」
「…美食研究会の鰐渕アカリか。すまないな。客に業務を手伝ってもらって」
「いえいえ、私たちも置いていかれて暇をしていたので…」
「……フウカ嬢も、船の操縦など慣れないだろうに」
「…わかるのですか?」
「見えたからな。………それと」
話しながら操縦席へと歩み寄り、内部を覗いて一言。
「何をしているんだ、お前……」
「バレてる……!?」
そこには、座り込みながらフウカへと操縦の手ほどきをしているカニ道楽ちゃんの姿が。
咄嗟に隠れようとしたのか、隅の方で縮こまっている。その様子に呆れともつかない溜息を一つ。
「あ、あのっ、ごめんなさい。私止められなくて…」
「…ん?ああ、大丈夫だ。どうセこいつがやラせたんだろう?指示を出すから代わりになってくれとでも。…………変な所で根気を見せるんじゃない。粘り強いのも美徳だが、今は回復を優先しろ。……お前が倒れると、困る奴は大勢イる」
「うい、すいません…」
観念したのか、ゆっくりと顔を上げるカニ道楽ちゃん。やはりその顔には縦に走る傷跡と失った眼孔を隠すように包帯が巻かれている。
「……まあ、今引き返してもなんだ。早々に片をつけるぞ」
「…おや、手伝ってくれるのですか?」
「構わん。元々俺ノ仕事だ。…………ああ、そうだ。こっちの事情に巻き込んだ詫び、という訳じゃナイが、ここまで来て何も食べられないのも嫌だろう。これが済んだら直々に腕を振るってやる。期待してもいいぞ」
「…じゃあ、私が手伝ってもいいですか!」
「助かる」
「あら…。ふふふ、そのつもりではなかったのですが…。では、お言葉に甘えて、楽しみにしておきますね♡」
「え、私も食べたい…」
「……お前は病院食だ」
「えー」と文句垂れる声を無視して、海中へと飛び込むのであった。
――――…
その後、モササウルスの幼体は大量の麻酔薬を飲み込み、大人しくなった所で牽引して保護することが出来た。
今は旧設備であるドックの一つをそのまま保護水槽として使い、対応可能な戦力としてゲブラを直ぐ側に配置したまま、身体調査をしている途中だ。
まあ、経過観察は必要だが、今は何をしているのかと言うと、だ。
「……痛むか?」
「いや、あんまり…」
「…嘘はつかなくていい。ここに他の者はいない」
「嘘、めっちゃ痛い。無いはずの腕なのにすっごいズキズキする」
ここは、カニ道楽ちゃん用に拵えた即席の病室。
勝手に船を出して指示に専念していたが、その時の様子から、恐らく痛みが始まっていたのだろう。いつになく元気がなかった。
だから早めに連れ出して、こうしてベッドに寝かせているわけだが。
「……顔、大きな傷だったけど、多分残るよねぇ。視力がちょっと心配だな…。両目が一番見えるのに…」
「…まあ、最善は尽くしたが、あれだけ深ければな」
「腕もなくなっちゃったし…。あ、そうだ。確か義手作ってくれるって言ってましたけど、直ぐには駄目なんですか?」
「……傷口の状態によるな。断端の形状が落ち着いてからじゃないと適合が始められない。苦労をかけるが、暫くはそのままだ。……補助にはお前の部下が率先して名乗り出てくれたぞ?」
「おお…。迷惑かけちゃうな」
「それだけ慕われている証拠だ。たまには頼ってやれ」
そう言うと、少しもどかしそうにしながらもまんざらでもないといった風の表情に変わる。
「……ただ、一つだけ聞きたいことがある。お前は本当に足と腕を斬り落とされたんだな?」
「……………疑ってるんですか?」
「ああ。とはいっても、腕と傷は本物だろう。実際に傷跡を見た俺が断言する。……だが、問題は足だ。比較的断面が綺麗に切断され、お陰で無事くっついた。が、現物を目にして、その大きさと形状を確認して分かった。………人間の足を、そこまで綺麗に切断することなど、アレには不可能だ。………………自分で斬ったのだろう?」
「……………」
そう確信を持って問うと、ベッドで顔を覆うように大きく息を吐きだした。限界まで吐いたかと思えば、すっと顔をこちらに向けてバツの悪そうな顔で肯定する。
「ばれちゃいましたか」
「……何故、黙っていた。もっと早期に分かっていれば、回復も今より早く始まっていたのだろうに」
「…あの時、アレと遭った時の事です。まあ、御存知の通り腕と顔がやられたんですけど……あの時パニクって左足が命綱に絡まっちゃったんですよね」
その後、そのまま捕まってしまえば、自身だけでなく皆が乗っている船ごと引き込まれると察して、即座に鉈で足を切断して逃げ延びた…というのが真相らしい。
命綱のワイヤーは鋼鉄製で切断できず、巻き込んでしまうくらいならと一思いに足を捨てたのだとか。
「……確かに、それを知っては他の船員が責任を感じてしまう、か」
「ええ、実際は私がしっかりしてれば防げたのに、船の為にって言ったら…。やっぱりちょっとは気にすると思ったので…」
「………はあ」
しどろもどろに話したそれに、溜息をつきながらその体を抱き寄せる。
「わ、ちょ、オーナー…!?」
「本来なら、自分を犠牲にするような行動は褒められたものじゃないが……。よく、頑張ったな。よく、耐えたな。……よく、生きて帰ってくれた」
「……あれ、ちょっと、何か眠く……」
「馬鹿め、無茶をしたな。ゆっくり休むといい」
「……………はぃ」
労いながら、背中を軽く擦ってやる。鎮痛効果のある気体と睡眠導入薬の効果を軽く散布してやると、やはり肉体の疲労は凄まじかった様で、数秒程度で意識は落ち、規則的な呼吸を繰り返す。
起こさないように優しくベッドに寝かせると、そのまま部屋の外へ
「………さテ、モササウルスの幼体の保護にカルキノスの監視と対策、義手の調整…。やることは山積みだが……まあ、やれるだけやるしかあるまい」
多分次で終わり
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
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先生と一目で分かるからあった方がいい
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別にゲームテキストでもないのでなくていい