透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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前話で紅茶に落としたのは角砂糖です。

アーマード・コアのCOAMはなんか一万円相当らしいね…。
えっ!?序盤の大豊テスターAC一人殺るだけでアビドスの借金ほとんど返せるんですか!?
シロコ、ACに乗れ。乗らなければ帰れ。これから毎日ルビコンを焼こうぜ


第48話 直視したもの

 

「うわああぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!??」

 

「何だ!?」

「指揮官!?」

「敵襲かっ!??」

 

 轟く絶叫。背後を見れば、辛うじて攫われる指揮官の足が今まで自分たちのいた屋根裏部屋へと吸い込まれるのが見えた。

 

 その余りにも急な状態で、指揮官を連れ去られた部下たちは上官を助けようと咄嗟に追いかけてしまう。

 

「指揮官!」

 

 そこで目にしたのは、先ほどのテーブルにもたれかかるようにして倒れる指揮官の姿。

 

 ヘイローは、消えている。

 

「……総員、警戒しろ」

 

 恐る恐る、一人が警戒を任せて近寄って状態を確認する。

 

 呼吸はある。どうやら気絶させられただけらしい。

 

 しかし、明らかにこの部屋に攫った何者かの姿が見当たらない。本当に僅かな時間で、例え全力で疾走しても影くらいは見えたであろうに、こともあろうに指揮官を攫っている時点で、その様な余裕など無いはずなのに。

 

「……ど、どうする?」

「どうするって言ったって、やるしかないだろ」

 

 流石にこうも不自然だと恐れの感情も湧いてくるようで、不安げな声が木霊する。

 

「お、おい!いるのは分かってるんだ!出てこい!」

 

 この静寂に耐えられなかったのか、一人が武器を構えて呼びかける。返答は、無い。

 

 その静寂が一層不気味で、次第に焦りが勝ってきているようだ。

 

―――ギィイイーッ……。

 

「っ、と、扉が!」

「何者だ!いるんだろう!?」

 

 音を響かせて閉まる扉に、祈るように言葉を浴びせ、そしてその恐怖を押し殺すことが叶わなかった一人が扉の周囲を薙ぎ払うようにアサルトライフルを連射した。

 

「お、おおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

「な、何をしている!?」

「勝手な行動は…!」

 

 抑えるように言うメンバーも、しかして不気味な気配を感じ取っていたのか、連射されるそれに口で文句を言いつつも、これで正体が分かってくれとでも言うかのように視線が固定される。

 

 木屑が舞い、硝煙と紅茶の香りが鼻腔を刺激する。

 

 いかに隠れていようとも、この掃射と、煙の中では動きがバレるだろうと、神経を研ぎ澄ませて辺りを見回す彼女達だったが、やはり何も見つからない。

 

「はあっ、はあっ……!」

 

 そして、今先程ワンマガジンを撃ち尽くした一人は汗を流しながら、不測の事態に備えようと、身体に染み付いた動作でマガジンを取り出し、リロードを(くしゃっ)しようと。

 

「……くしゃっ?」

 

 手に伝わったのは、マガジン特有の硬さとフォルムではなく、何か小さく、軽いものを潰したような、それでいて外側は硬く、妙に柔い感触が不快感を如実に伝えてくる。

 

 恐る恐る、己の左手を持ち上げると、そこには己の手によって潰されたバッタの死骸が、柔らかい肉と関節を拉げ、神経のみが繋がっている頭部の無機質な瞳が露わになる。

 

「ひっ」

 

 不可解な現象、不快な感触、不気味な雰囲気。

 

 全て、全てが重なっている。

 

 兵隊として徹底的に()()()()()彼女であっても、これは専門外だ。

 

 故に、喉から掠れるような悲鳴を上げたその瞬間、頭部が何者かに掴まれた。そして、既に己の足は地を離れ、周囲の仲間たちよりも高い視線にいることに。指揮官をやった何かに、己の身が既に掴まれていることに気がついた。

 

「い、嫌、嫌だぁぁぁっ!!!」

「う、うわあぁぁぁっっ!!?」「な、何がっ…!」「おおおおおおっ!?」

 

 彼女が叫んだ瞬間、その恐惶に反応するように彼女の頭上へ銃弾の雨あられが押し寄せる。

 

「げっ」

 

 絞り出すような悲鳴。何かに持ち上げられたアリウス生が頭から激しく地面に叩きつけられる。

 

 一撃で、彼女のヘイローは消えていた。

 

「な、何かいる!何かいるぞ!」

 

 そして、ようやく木屑と煙がこちらにまで差し掛かり、まどから差し込む月光と合わさって、そこにいる何かのシルエットを映し出した。

 

「い、いるぞ!う、撃て!撃て!」「っっ!!」「このっ…!」

 

 咄嗟に照準を向けるが、気づかれたことに気づいたのだろう。歪んだシルエットが不規則な動きで近づき、一人の銃を撥ね飛ばし、本人は地面に押さえつけられる。

 

「あっ、あっ…!?」

 

 地面に引き倒された身体で、咄嗟に抵抗を試みるも、両腕は欠片も動かず、辛うじて蹴りを仕掛けた足も、肉肉しくもまるで刃が立ちそうにない硬質な感触に阻まれる。

 

 ゴギンッ。

 

 重い音と共に回る首。おそらく叩かれたのか、地面に向けられた顔の反対側のガスマスクは粉砕され、機能を失っている。

 

「っ!今だ!」

 

 しかし、取り押さえるために動きを止めたそれをチャンスと見たアリウス生が若干の歪みめがけてグレネードランチャーを放っていく。

 

 その指示に従ったか、はたまたただ触発されたのかは定かではないが、続いて同じ箇所に弾幕をばら撒く。

 

 手応えは、あった。

 

 あれだけ一斉に攻撃したのだから、倒れているに違いない。

 

 そうは思っても、確信には至らない。

 

「おい」

「…ああ」

 

 一人が声をかけ、アサルトライフルを構えて進むと、もう一人もカバーできるように近づいていった。

 慎重に進んでいく二人だったが、反応はない。

 

 先程吹き飛んだ木片を投げ込むが、何かに当たった様子はない。

 

 そのまま、倒れている一人の容体を確認しようかと屈んだところで、割れたガスマスクの破片から、キラリと何か黒い影が反射していることに気づく。

 

「…………あ」

 

 声も出せずに、ぴたりと硬直した体をどうにか動かし、頭上を見る。もう一人も、それにつられて頭上へと構える。

 

 二人が目にしたのは、上下逆に天井へ屈み込む様な姿勢を保った黒い影。明確にこちらを見据えるそれは、しかしてシャッター状の仮面に覆われ、無機質な恐怖を与えている。

 

「ひぎゅっ」

「ぉあっ!?」

 

 そして、顔を上げた時にはもう遅かった。

 

 天井から飛びかかった影がそのまま一人を押しつぶし、抵抗すら許さぬままに首を捻り上げて気絶させる。

 

「このっ!」

 

 もう一人は反射的に武器を構え直すも、発砲と同時に吹き飛ばされ、壁にぶつかって落ちる。意識はない。

 

「な、何だアイツは…」

「ターゲットはこんな奴を側に置いてたのか!?」

 

 残ったアリウス生が、その姿を視認する。

 

 四足獣の様な姿勢のまま仲間を抑えつけているそれは、全身黒尽くめ。

 改造されたトレンチコートのようなものを纏い、ズボンにはプロテクターに加えて、動きを制限するかのような矯正ベルトが巻き付いている。

 

 その姿勢のままでもありありと感じられる長身に加えて、無機質な印象を与えるシャッター状の仮面とマスクで完全に隠された顔は、ガスマスクのアリウス生たちと比べても人間味が薄く感じられる。

 

 ギチギチギチ、と狂ったバネの様な音は口部のマスクの稼働音だろうか。まるで虫が獲物を前にしたかのごとく細かいパーツが波打つように揺れていた。

 

 そして何より、これらの要素全てを補って尚、無視できない身体的な特徴。

 

 腕の付け根からはそれぞれ一対ずつの機械腕が伸び、コートの下からは百足や鋏虫を思わせる尾がひゅんひゅんと動いている。この尻尾が、今先程アリウス生の意識を奪った鞭打を放ったのだろう。

 トレンチコートの背中から見える羽は、ここキヴォトスで一般的に見かける鳥類や悪魔のそれらとは違い、鋭利に輝く昆虫の如き翅だった。

 

「ば、化物…!」

 

 一言で言ってしまえば、そういうことだ。

 

 その異様な姿に怖気づいたアリウス生。

 人間による悪意、殺意、害意を知っているアリウスの生徒といえど、得体の知れない化物相手には平静を保つことは出来なかった。

 恐怖に支配されながらも、この時ばかりは死にたくない一心で銃撃を開始する。

 

「は、速いっ!?」

「ひぃっ」

 

 銃口を向け、引き金を引いた瞬間、ゆったりと様子を窺っていたそれはとてつもない瞬発力でその場から跳躍する。混乱するアリウス生達は、あまりの速さに狙いをつけることすらままならない。

 

 がむしゃらに、予想をつけて、追いながら。とにかくあるだけの弾を吐き出した。

 

 が、これもまた無力。縦横無尽に振り回される尻尾に、微振動する翅に、時にはコートや仮面に阻まれ、僅かな時間を稼ぐことも出来なかった。

 

 こうして、指揮官率いるチームⅠは敵の正体も掴むことができないままに全滅したのであった。

 

 その後も、リアンとアズサによる挟撃は続く。

 

 アズサがトラップと自身の姿を利用して敵を引き込みつつトラップで足止めする引き込み型だとすれば、背後から正体不明の何かに襲われ続けるという不安と恐怖で前に前にと追い込むのがリアンのやり方。

 

 恐怖を煽る方法はいくらでもある。

 

 例えば、隠密行動中の最後尾を音もなく攫って物資だけを残したり、曲がり角から顔を出した一人を攫いながら目の前を通りすがったり、あえて足音を立てて、近づいてくる音で焦燥感を募らせたり等など、仕掛けられる側は気が気ではないだろう。

 

 ただでさえ隠密行動中、スパイの裏切りと、仕掛けられた罠という条件に、背後から襲ってくる何か、というのは彼女たちの精神を消耗させるには十分過ぎた。

 

 そうなればまともな作戦行動など不可能に近く、各々がバラバラに意見を言い出したり、勝手に前に出たりするなど、隊としての動きは最早死んだも同然だ。

 

 ただし、必然的に先に進むことには変わりなく、この限られた敷地内では稼ぐ時間にも限界があった。

 ……あくまで、足止めとある程度の数減らしが目的であるために、仕方のないことだろう。数も少なくなったし、後は補習授業部の仕事だ。

 

 リアンは、気絶させたアリウス生を特殊合金製のワイヤーで縛り上げていくも、数を数えてふと気づく。

 

「……フム、足りないな」

 

 自分で一人一万円と言ってしまったが故に、その数が依頼金に達していないことを勘定する。

 全てが終わっているのならば、仕方ないと諦められたかもしれないが、まだ続いている。

 とはいえ、全ての敵を奪ってしまっては、補習授業部の決意やナギサの覚悟に水を差してしまいかねない。

 

「……仕方ない。その分はオマケで上乗せしてミるか」

 

 そうぼやくリアンの視線は、今まさに補習授業部が戦闘を終えた体育館へと進んでいく、()()()()()()()()()()率いる大隊へと注がれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、うぅ…!」

「か、勝った……?」

「全員戦闘不能」

「せ、先生の指揮があって助かりました…」

 

 所変わって、ここは補習授業部が待ち伏せ場所に選んだ体育館。ナギサが合流した時には一悶着あったものの、迫る襲撃者を前には一旦後回しにすることとなる。

 

 そして、アリウスの第一陣を乗り越えた補習授業部は、口々に戦闘終了を感じ取って声を上げる。

 

「……結局、私は守られているだけでしたね」

「“それは、仕方ないよ。それに、守られてるなら私もでしょ?”」

 

 ナギサはどこか惜しむように言うが、元々ナギサの身を守るために活動しているのだから、その当人が戦うために前線に出られても割と邪魔なのだ。

 

「それにしても、何だか少し拍子抜けだったわね!補充してもらった弾薬も、まだまだ残ってるし!」

「そ、そうですね。それに、何だか集中出来てないようにも感じましたし…」

 

 コハルとヒフミが、今の戦いについての感想を述べるが、実際、先生もそこは気になっていたのだ。先生としては、時間に追われている奇襲作戦で、思った以上に粘られているが故の焦りかとも思ったが、それにしては焦りや怒り以外の感情が混じっているように見えた。

 

「ああ、それに関しては桐藤ナギサが雇った護衛のお陰だ。その人と挟撃をして追い詰めてな。思った以上に削れたし、後ろから迫ってるから焦ってたんだと思う。実際、かなり強そうだったし」

 

 アズサの言葉に、ハナコを除くみながナギサの方を見つめれば、首を縦に振って肯定。

 

「そ、そうなの?…あ、ですか?」

「な、成程…。あえて挟むことで、プレッシャーを与えた、ということですね…」

 

 そのことに感嘆と、顔も知らない味方に感謝の気持ちを覚えつつもハナコが話の本筋を戻す。

 

「……はい。では難所を一つ乗り越えた所で、次のフェーズに移りましょうか。この後アリウスの増援部隊が到着するでしょう、ですが私たちは時間を稼ぐだけで大丈夫です」

 

 襲撃作戦を知らされて以来、考えていたプランを語るハナコ。リアンという想定外はあったものの、それはプラスに働いているために、余裕が出来たと安堵するべきか。

 

「…思わぬ介入によって、こちらの消耗は避けられました。物資にもまだ余裕があります。なので、私達は正義実現委員会の部隊が到着するまでの間、それまで時間を稼げれば……」

 

 そう告げるハナコに同意し、コハルが羽川ハスミへと連絡はしたと続けたものの、当のハナコ自身はというと、どこか浮かない顔だ。それは、ナギサも同様だ。

 

「……ティーパーティーの命令下にある正義実現委員会が動けるとしたら、それはティーパーティーの身辺に問題が生じたか……」

「順当に、ティーパーティーに命令されたか、でしょう」

 

 ハナコに続いてナギサが沈鬱そうに声を絞り出す。ヒフミ達は前者はともかく、後者は当たり前のことではないのだろうかと首を捻らせるが、ナギサとハナコの様子から、不安げな顔に変わる。

 

「ど、どうしたのよ?」

 

 そう疑問を声に出したその瞬間、爆発音と共に体育館の扉が開かれ、ゾロゾロとアリウスの生徒が侵入してきた。

 

「増援部隊が、こんなに早く…!?」

「え、えっ…?」

 

 予想だにしなかった出来事。来るにしても、大規模な数を動かすには時間が必要だ。仮に素早く展開できたとしても、相応に数も少なくなると踏んでいたそれを裏切るかのように、大量のアリウス生が見える。

 

「……数が多い、大隊単位だ。……アリウスの半数近く。……いや、先に投入したのも含めれば、もっと…!」

「あうぅ…!こ、これだけたくさんの方が、平然とトリニティの敷地内に……!?」

「正義実現委員会が動く気配がない…。もしかして、とは思っていましたが…」

「………やはり、そういうことなんですね」

 

 瞠目する補習授業部に、苦虫を噛み潰したように表情を歪めるハナコとナギサ。

 そんな彼女たちへと、この場には似つかわしくない明るい声が響いた。

 

「あっはは!流石だね。あれだけで気づくんだ!それに、まさかナギちゃんまで一緒にいるとは思わなかったよ」

 

 コツ、コツ、コツ。

 

 整列したアリウス生徒の背後から現れ、その正面を、まるで演劇のお姫様のようにゆったりと歩く一人の少女。

 

 どこか悪戯っぽい表情のまま、答え合わせと言わんばかりに紡がれる言葉は、アリウス生徒のことや、何故あそこまで静かだったのか、等など。

 

 アリウスの生徒の様な淡々とした仕事人とはまた別、無邪気に語る雰囲気は、この両者の関係性を知らぬものであれば、どうにもミスマッチにも映ったかもしれない。

 

 けれど、彼女は現実としてアリウスを率いていた。

 

 どこかそうなのだろう、と認識はしていても、やはりこうもはっきりと出されてしまえば、ショックを受けるらしい。

 

 歯を食いしばるナギサに変わって、ハナコが呆然と呟いた。

 

「「ティーパーティー」のひとり…聖園、ミカさん……」

 

「まあ簡単に言うと、黒幕登場☆ってところかな?」

 

「やはり、そうだったのですね……」

 

 ナギサは当たってほしくはなかったと、苦々しげに言葉を絞り出した。




今回のリアンの戦法はエイリアンとプレデターの奇襲を合わせた上で、ジュラシック・パークくらいの勢いで…



『急に出てきた仮面』
シャッター状の仮面。見た目はサイコガンダム(GQ)やトリロバイトマギアみたいな感じ。口元はいつものマスクで、それより上はこれ。
モチーフはトリロバイト(三葉虫)とフェイスハガー(エイリアン)。
トリロバイトマギアみたいな仮面が欲しかったのと、顔面にしがみつく三葉虫モチーフがフェイスハガーだから。

『百足や鋏虫の様な尻尾』
産卵管を中心に、複数の自分の遺伝子を持つ生物を融合して巨大化、硬質化させたもの。要は大量の遺伝子改良バッタを分解吸収して纏わせたもの。
纏った後は、しばらく一体化して生きるが、1時間弱で細胞が死んでいることに気づいて纏った部分が処分後のリアンの肉体のように塵になって消える。
バッタを使い捨てにして強化している。

『マスク』
あの模様の部分がガチャガチャ動く

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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