透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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嘘やろ…?もう一ヶ月近く…?
社会人になってから時の流れがすごい。

本編50話目!

それと、とうとう感想が1600件突破&評価9が950を突破&UAが140万を超えました!こんなに不定期な上進んでないのに読み続けてくださる読者方には感謝しかありません。いつもありがとうございます!

因みに、前話のリアンの角の名前の元ネタのヒント。
マグナ&アドラは関係する数字にすると2000、あるいは1995。
同じ法則で考えるなら、1967と2012はエメラで、1979がプラナ。1973と2019がストラ。2016ならスペラあるいはオリザに当たります。


第50話 グリーンの顔から火出すやつで、大体勝てる

 

 リアンの先制攻撃によって戦いの火蓋は切られた。

 

 討つべき相手の決まったアリウス生徒はこれまでの鬱憤を晴らすかの如く殺気を向ける。

 統一された装備をまとった集団が一つの対象に集中する、というのは創作でもよく見る光景だろう。

 

 アリウスの配置は前列にアサルトライフル持ちが少々、中列に最も人数の多いグレネードが構え、合間合間はアサルトライフル持ちで埋められている。そして最後列にはガトリング持ちが僅か。

 

 比率で表せば3:6:2といった所だろうか。

 

 前列が弾幕を張り牽制し、中距離からグレネードランチャーでの連続爆撃での面制圧。配置や距離に対応するために中間に控えたアサルトライフルがフォローし、それでも尚耐えるようであれば、容赦なく高火力のガトリングが集中砲火する。

 

 いくら護衛との衝突を予期していたとはいえ、要人の拉致には過ぎた陣形だ。

 

 普通のキヴォトス生徒ならば、この状況では遮蔽物を活用しグレネードを耐え凌ぎつつ数を減らすか、或いは頑丈な身に任せて撃ち合いを始めることだろう。

 

 しかし、相手も戦闘を主とする部隊だ。当然ながら、先ほどの現象の後に現れた存在に対する警戒心は備えており、ましてや今しがたの投擲で複数人が使い物にならなくなった。

 

 故に、強いとは言え個々人のレベルそのものは決して高すぎない補習授業部に比べ、警戒レベルを引き上げた。

 

 その武器に見えない武器と銃器以外の脅威から、一挙手一投足を見逃さないようにガスマスク越しに睨めつける。

 

「敵は一人だ!」

「奴の挙動を見逃すな!」

 

 指揮が下されたとあっては、アリウスの生徒は連隊行動に慣れていることもあり、乱れることなく行動に移る。

 

 先程までは混乱していたが、そのアドバンテージも既にない。

 

 多勢に無勢、それが油断なく見据えている。それに加えて、アリウスの生徒だけでなく、リアンを除いたこちら側の最高戦力であるアズサが見ただけでかなり強いと評した聖園ミカまでもが控えている。

 

 加えて、今までのように補習授業部を的確な指示と支援で支えていた先生の介入もない。

 

 ミカは折角の条件を不利にした乱入者を冷ややかな瞳で貫き、対象的にアリウス生徒からは警戒される。

 

「だ、大丈夫なんでしょうか…?」

「折角一人増えたのに、何で一人で…?」

 

 ヒフミとコハルも不安そうに助力すべきかと視線を先生に向けるも、先生とアズサの目は何処か確信に満ちていた。

 

「“うん。私も、リアンが戦ってるところは見たことないけど―――”」

「聖園ミカ以外では、まず相手にならないと思う」

 

 そう言い放った直後、リアンが動いた。

 

 警戒されながらも前に歩み出たリアンは、肩からかけているアサルトライフルに指すらかけることなく、人指し指を天に向けた。

 

 一挙手一投足を見逃さんと目を凝らしていたアリウスも、これには意図を測りかねる。臨戦態勢というわけでもなければ、先ほどのように隠し武器の類にも見えない。

 

「油断するな!」

「愚か者は指を見る。賢い奴は……」

 

 リアンの言葉にハッとした彼女たちのいくらかは、咄嗟に視線を天井に向けて銃を構える。

 

 先ほどリアンが降ってきたのは丁度アリウス生徒達が陣取っていた真上。

 接近を覚らせることなく上に待機していたのだから、仕込みをしていても可笑しくはない。

 

「?」

「何だ…?何を仕掛けて…」

 

 しかして、体育館の天井に目を向けた彼女たちは何も起こらないことを呆気に取られ、ある筈の仕込みを探そうと注視する。

 それはあまりに大きな隙だった。

 

「馬鹿!これはブラぶがッ…!!」

「お前か」

 

 誘導に気づいた一人。恐らく班長か何かと思わしき人物が声を張り上げた瞬間、後方に控えていた筈の彼女の顔面に膝がめり込んだ。

 

 激しい衝突音と同時に軽く吹き飛んでいく身体。標準装備のガスマスクは無残にも粉砕され、硝子やシリコンの破片が宙を舞う。

 割れたマスクの隙間から見える顔からは鼻血が噴き出ており、白目を剥いて泡を吹いていることから、意識を刈り取られたと見て間違いはない。

 

 実際、吹き飛ばされた身体が体育館の床に5度ほどバウンドして落ち着く頃には、そのヘイローが消失していることを確認できた。

 

「なっ」

 

 風が彼女たちの隊列の中に吹き荒れる。その時になってようやく反応が追いついたのだろう。冷や汗をかきながらバッと身を翻せば、そこには膝を高く上げたままのリアンの姿が。

 

「……ば、馬鹿な」

 

 目の前に居たはずのリアンが、今の一瞬で後方の上官を落としたのだ。それも銃撃ではなく、たった一発の足技で。

 

 この銃社会であるキヴォトスにおいて、最も手軽な武器は当然ながら銃器だ。拳銃、小銃、ガトリングに、探せばロケットランチャーや狙撃銃。中には戦車やヘリ、大砲の類などとバリエーション豊かながら、どれも一様に弾頭を発射し、遠距離から敵を制圧できる武器であるということに変わりはない。

 

 勿論、SRT生徒やヴァルキューレ生徒等その他様々、近接格闘技術を磨いている生徒はいるだろう。接近や組み付かれた際の非常手段として最低限身につけている生徒であったり、格闘技を嗜む生徒もいないわけではない。

 

 だが、だとしても、キヴォトスにおける主たる戦闘手段は銃であり、遠距離武器なのだ。

 

 空崎ヒナで例えれば分かるだろう。彼女も大概類稀な身体能力を有しているが、銃弾そのものより速く動くことは出来ない。

 視線誘導や動きそのもので相手の動きを見切ったり誘導して回避することは可能だが、それも複数であれば避けられる保証もない。

 加えて、普通に彼女の持つ愛銃を使ったほうが強いし殲滅力も効率も段違いに高い。

 

 たとえ身体能力に優れていようが、節約中の学生であろうが、銃器を持った複数人に対して最初から肉弾戦を挑む者等殆ど存在しない。……一部の例外を除いては。

 

 ただ、リアンがその例外であった、というだけだ。

 

「な、何をした!?」

「っ、う、撃て!」

 

 今のやり取りで、指示役に気持ちを切り替えたアリウス生徒を判別して無力化した。

 後方に控えていたということもあって、真っ只中に入り込まれることなど予想出来ていなかった上に、それらの非常事態にも指示を飛ばす役が真っ先に潰されたことで、全体の反応が遅れた。

 

 咄嗟に飛び退る者。銃口を向ける者。未だ反応が追いつかない者。言葉に吊られて狙いもつけずに撃ってしまう者。

 

「瓦解シたな」

 

 焦って放たれた小銃弾を身を翻して躱し、後ろへ飛んだアリウス生徒の足を刈るようにマグナ、アドラ(順不同)を投擲。

 

「あっ!?」

「うわっ」

 

 着地狩りされたアリウス生徒はこらえることもできずに転倒。周囲の生徒の邪魔になる。

 咄嗟に放たれた弾丸はこの乱戦下に於いては同士討ちを誘発し、慌てて戻そうとした一人を掌底で吹き飛ばして後方の生徒にぶつけて行動をキャンセルさせる。

 

「くっ、このっ…!」

 

 ようやく理解が追いついたのか、迫るリアンへと咄嗟に格闘戦に切り替えたアリウス生徒がナイフを振り被るも、手の甲で脈側を押され空振り。伸ばされた腕にリアンの腕が蛇のように絡みつくと、ゴギッと嫌な音がする。

 肩が外されたのだ。自然と、握りしめていたナイフが滑り落ちる。

 それでもめげずに拳銃を取り出すも、撃つ瞬間に手首を捕まれ仲間へと誤射。

 

「あがっ…!」

 

 そのままもう片方の肩も外され、痛みに呻く。身体は背を装備ごと捕まれ逃げられず、足で反撃しようにも伝わるのは硬質な手応えのみ。

 

 この間、僅か3秒。

 

 そして、3秒もあれば、リアンを見失っていたアリウス生徒も背後にいるのだと理解することが出来る。

 

 油断している後方を、速攻の不意打ちで仕留めた。

 

 このあとの流れとしては、近づき過ぎた距離を離し、銃撃戦が始まるのがキヴォトスでの通例だ。

 

 が、リアンは止まらない。

 

 放たれる銃弾を掲げたアリウス生を肉盾として受け止め、投げつけることで列を作ろうとしていた行動を阻害する。合わせて放たれる筈だったグレネード弾の掃射を、掴んで投げ返す。

 

「ぐわあぁっ!?」

「投げ返っ…!?」

 

 雑多に散らばらせたグレネードによって陣形に穴が出来る。倒れた仲間を押しのけ、陣形を組もうとするが時既に遅し。

 瓦解した隙間から内側へ入り込めば、帰ってきたマグナ&アドラを携え軽快に駆ける。駆ける。駆ける。

 

 一切の減速も硬直も見せぬまま不規則な軌道を描くそれは、時に人に紛れ、時に足元に潜り込み、時に宙を舞う。内側で撹乱されているアリウス生では、辛うじてその影を捉えられるかどうか。

 

「なっ、この…!」

「捕らえガッ…!?」

「速、間に合わっ…!」

 

 この戦場はリアンの独壇場だ。数が多いが故に、近距離で的を絞らせぬように動くリアンを捕捉出来ず、逆に動きの遅れた側から刈り取られる。

 

 アリウスの勢力は瞬く間に数を減らしていき、端から見ていた補習授業部ら一行もその脅威的な身体能力と巧さに目を奪われる。

 

「っ、この!」

 

 視界も晴れ、最後の一人が動くリアンへと狙いをつける。動きは直線。減速はなし。せめて一矢報いようと銃弾を撃ち放つ。

 しかし、弾丸はリアンに当たることなく床に弾痕を残し、その姿を見失う。 

 

「なっ、何処に消えた…!」

 

 真正面から来たはずのターゲットを見失った最後の一人が視線を彷徨わせる。左右を見、足元へと傾ければ、そこには地面へと接地するほどに身を屈めたリアンの姿があった。

 

 躱しながら足元へと滑り込んだのだろう。何か反応を起こすよりも早くグンッと起き上がったそれは、彼女にとっては突然黒い壁が現れたようにも見えただろう。

 

「…ッ!」

 

 少しの間言葉を失っていた彼女は反射的にトリガーを引くが、一向に望んだ銃声は響かない。

 

 手の届く距離だと言うことも忘れ、己の手元を見れば、銃身は強引に千切られ、マガジンは歪に捻じられひしゃげ、銃としての機能は喪失してしまっていた。

 

 これは余談だが、人というものは備えをする生き物だ。

 生活、仕事、遊び。なんてことの無いことにも何か心を預けられるものを必要としている。勿論、ないことを楽しんだり、楽観的な生き方もあるだろうが、それにしたって備えのあるなしでは心持ちが違う。

 

 あれがあるから大丈夫。いざとなればこうできる。

 その心理は誰しもが持っているもの。

 それはアリウス生徒とて変わらない。

 

 武器があるから作戦を遂行し、敵と戦える。部隊がいるから数と連携という力で優位に立てる。

 

 さて、その両者を失った彼女は目の前の絶望にどう抗えというのだろうか。

 

「ひっ、待っ」

 

 咄嗟に手を突き出して無防備にも懇願した。最早戦闘の意思はない。

 

 当然その願いは受け入れられることはなく、その代わりかは知らないが、比較的*1優しく顎を撃ち抜かれて意識を手放した。

 

「つ、強くない…?」

「あれが、ブラックマーケットでも恐れられている、Re:flecterのオーナー」

「弾の一発も使わずにあの数を圧倒するとは…」

「素晴らしい体術の練度だ。私たちの扱うそれとは異なるけど、実戦に備えて最適化している…」

 

 銃すら使わず無傷で圧倒した手際に慄く補習授業部。死屍累々のアリウス生徒の数と武装を考えれば、その所業が如何に困難か理解できるからこそ漏れた言葉だろう。

 

「やはり、彼女に頼んだのは間違いではありませんでした。……それにしても、あれ程の動きをしておきながら、被害は殆ど……」

「“……やっぱり、手加減してくれたのかな?”」

 

 リアンの身体能力を見て、普通ならばもっと激しい破壊が起こるのではないかとナギサは言うが、先生はアビドスで目にしたカイザーPMCとの戦闘痕を見たからこそ、そう感じた。

 

 すると、次々に駆けてくる足音が近づいてきた。

 

「いたぞ!桐藤ナギサだ!」

「先遣隊が壊滅…!総員でかかるぞ!」

「おのれ裏切り者の白洲アズサめ…!」

 

 アリウス側の増援だ。本校舎側で足止めされていた一部も加わり、規模としては先ほどの第一波と同等か、わずかに少ない程度。

 しかし、あらかじめ補習授業部との戦闘で削れていた分を考えれば、今しがた殲滅された数よりは多い。

 

「きゃっ、ま、また来たわよ!」

「今になって増援ですか…!?」

「来ます!」

「狙いは桐藤ナギサ。先生、私たちも応戦を…」

 

 続々と現れる増援に、狙いがナギサであることも踏まえて戦闘に参加すべきだと、そう提案しようとしたアズサは、しかして黙る先生に目を奪われる。

 

「“大丈夫。まだ危険な訳じゃないから”」

 

 それは、確かに先ほど交わした約束だ。しかし、増援がこちらを狙っているのならば、十分危険な状態なのではないかと思考を巡らせた所で、銃撃が始まった。

 

「くっ」

 

 ここは指示を破ろうとも、守るために銃を手にした所で彼女達の目の前にナイフの様な何かが二つ突き刺さる。

 

 柄に仕込まれたであろう装置が作動すると、そのナイフ同士の間をつなぐように光の線が伸び、電磁シールドを展開して銃撃を防ぐ。

 

 はっと元を辿れば、そこにはコートの内側から同様のナイフを取り出すリアンの姿があった。

 

(シールド発生装置…!確かにキヴォトスにおいては珍しいとまではいかないけど、量産されてるのはどれも固定型。座標指定のタイプでもなく、あれだけ小さなナイフに内蔵して機能を連結させているのか…!?)

 

 取り付け型や、設置型、携帯型などはあれど、技術的にミレニアムなどの技術者集団や大きな資金を持っていなければそう簡単には手が出ない代物だ。

 

 稀には、盗品であったり、それらとは趣の異なる技術から成り立つものも出回ったりしているが、同一のものを複数用意している上、投擲という方法を取っている以上、最低限一定の数を確保できていると見るのが良いだろう。

 

 シールドは2mの高さにまで展開されると役目を果たした。堰き止められる銃弾。しかし耐久力は然程でもないらしく、すぐに罅が入り始めた。

 

「………やハり、耐久性ハ要改善だナ。まあ、緊急避難と考エれば悪くはないが、コストパフォーマンスを考えれば長持ちした方がいいダろう」

 

 しかし、それだけの時間があれば、対処には十分過ぎた。

 

「面倒なのデな。悪いが少し苦しいぞ」

 

 シールドの前に歩み出たリアンは、アリウス生の後方へと投げると、次いで連続で道を舗装するように左右へとシールドを張っていった。

 

 するとどうだろうか。後方からリアンまでコの字に囲われたアリウス生の群れが出来た。囲われたことに気づいたアリウス生は、却って向かってくる者と、背後或いは左右のシールドを破ろうとするが、そのシールドが張られた時点で彼女らを一掃する準備は整っていた。

 

 残念ながら、最初に攻撃を防いだシールドを見た時点で、回避行動に移るべきだったのだ。

 

 敵を封じ込めて何をするのかと、皆が注目したタイミングでリアンは左足を踏み出し、前傾姿勢に構えた。

 

 同時、口元のマスクが顎のラインに沿うように左右に展開し耳を覆うモジュールの様になったと思えば、展開した口部からは薄暗い体育館を鮮やかに照らし出す緑色の火炎が噴き出した。

 

「「「「「「「“えっ”」」」」」」」

 

 人体から緑色の火炎放射が出るという予想外の光景に呆気に取られる補習授業部&ナギサ&先生(with聖園)。

 

 何か反応を起こすよりも早くに緑色の炎はアリウス生徒を封じ込めたシールド内部を埋め尽くした。

 

「「「「「「う、うわあぁぁぁっっ!?」」」」」」

 

 彼女達の姿が完全に覆い尽くされても尚止まない炎の奔流。それが収まったのは、大きな悲鳴が完全に収まった頃だった。

 

 炎が収まったあとに残ったのは、黒焦げのアリウス生徒に、炭化した体育館の床。そして何事もなかったかのようにマスクを戻したリアンが立っているだけだった。

 

「え?か、火炎放射?でも口から…?へ…?」

「口元のマスクが火炎放射つき…?いえ、それにしては…」

「????*2

「…凄まじい」

「“こ、これはちょっと予想外かな…”」

「………!」

 

 その絵面と凄惨な結果からリアクションに困った様子の一行に加えて、ナギサも何だか唖然としているようだ。

 

「う、うぅ…」

 

「っまだ息があるぞ!」

「息止めちゃ駄目ですよ?」

 

 呻くアリウス生に反応するアズサへと突っ込むハナコ。しかし、その懸念を払うように軽くリアンは言い放った。

 

「…ああ、安心しろ。もう使()()()()()()()()

「…それは、どういう?」

 

 疑問符を浮かべた矢先、意識の残っていた生徒も同じように苦しそうに悶えるか、ピクピクと痙攣するのみだ。

 

「これは…」

「あの炎はただの炎ジャない。……火傷した部位や燃焼した空気から毒素ガ入る毒炎だ。……アコニチンやサキシトキシン、ヒプノトキシンを始めとした自然毒から、医療用麻酔毒も混合した自社特性ブレンド。遺伝子組み換えで毒性は抑えていルシ、キヴォトスの人間なら死ぬ事モ無いダロウ。だが、当分はとテも動けないぞ?」

 

 そう言い表すように、この毒はとても痛い上に神経に麻痺を起こし、藻掻くことも深呼吸することも出来ないというものだ。

 

 普通にNBC兵器に抵触しているが、ここは地球ではなく銃の国キヴォトス。残念ながらそこまで厳しくないのである。

 

「毒って、そんなものをあんなに放ったの!?」

「……君は、ああ、下江コハルか。安心してホしい。あれは空気中に残留しないし、人体に入ったもの以外は後半で除去しテイル。……不安なら、後で床は張り替えようか?」

「そ、そういうことじゃなくて…」

 

 詰めよるコハルへと弁明するリアンだったが、先生が言葉を繋いだ。

 

「“ごめん。守るためにしたのは分かるんだけど、出来るなら無駄に苦しめるような手段は可能な限り控えてほしいんだ。……無理に、とは言わないし、必要な時があるのも分かる。でも、今の私は先生で、生徒がいる。彼女達の健全な精神のためにも、お願い出来ないかな?”」

「………確カに。見ていて気分のイイモノではないことは確かだナ。分かった。控えよう。解毒剤は存在しないが、症状の緩和と痛覚の鈍化薬で自然治癒まで保つダろう。……きちんと拘束した上で投与してやるといい。………ああ、素人でも使えるように経口摂取のタブレットタイプにしているから安心シロ」

 

 そう言って投げ渡された錠剤と拘束用のロープ。曰く遅くとも5時間も経てば勝手に毒素が死滅するとのことらしく、アリウス生徒も苦しみに耐え兼ねてか、抵抗することなく拘束を受け入れていた。

 

 そして、先生たちが作業に取りかかっている今、戦場に立つのは聖園ミカと遊星リアンの二名のみ。

 

「……さて、これで邪魔者はいない訳だが。ドうする?聖園ミカ」

「あはっ、腕に自信があるみたいだけど、無駄無駄〜。……なんて言ってみるけど、ちょっと危ないかも。もうこっちへの増援も期待できないし、貴方とやり合ったあとに補習授業部と先生まで相手にする余裕は無さそうだし……。ナギちゃんや先生に見つかってるし、撤退も無理。……わーお、詰みってやつ?」

「……投降するか?」

 

 心底気が滅入ったというように大きなため息を吐いて、開き直ったように笑う聖園ミカ。しかし、その言葉を皮切りに、豹変した。

 

「投降?……それこそ冗談じゃないよ。エデン条約にも、トリニティにも関係ないあなたに止められるなんて以ての外。ここまで来たからには、たとえ一人になっても、無駄でもやらなきゃいけないでしょ?……もう私は、行く所まで行くしかないの」

 

 ミカの顔が憤怒に歪んだかと思えば、すぐに泣き崩れそうな少女へと切り替わる。

 

「……………気乗りしないが、仕方ない、か。好きに暴れるといい。そうすれば吐き出せるものもあるだろう」

 

 大きくため息をついたリアンは、されど情緒不安定な様子に疑問を抱くことすらなく、手のひらを向けて静かに構えた。

*1
当社比

*2
宇宙コハル




『緑色毒焔放射』
遊星リアンが体内に蓄積した毒素と熱を気化して放射したもの。毒の調整は体内で行なっており、手加減は可能。毒は火炎中にしか含まれず、放射中ならばともかく、体内にさえ入らなければすぐに毒性を失う。
また、放射の後は念の為毒素を吸っている。
色は銅を混ぜているため普通に炎色反応によるもの。色付きのほうが使い分けや仲間への危険性に繋がりやすい&いざとなれば色を変えて油断を誘うことが出来るため。
サブタイトルのネタに合わせるために生えてきた能力。一応初期の設定から矛盾せずに放つことが出来る数少ない後付け技。

『シールド発生装置内蔵スローイングナイフ』
設置したナイフを結ぶようにシールドを発生させる道具。普通にナイフとして使える上、複数連結させたりすることで形や範囲も自由自在。投げても耐える程度の性能はあるため、遠距離に投擲して即席の壁にすることも可能。
キヴォトスでのシールドはイマイチよくわからないが、大体PMC兵士とかが持ってて、不良があんまり持ってないこと、シールド持ちがモブにそんないないことから、そこそこ値の張るか、繊細な技術によるものだと仮定した。
PMC兵士の盾は盾内部に前面にシールドを発生させる装置がある。という推測。ホシノの盾の様に、他者が扱ってもシールド出せる(アニメ)なら、そういう技術が確立してるものの、それなりに高価或いは発展はそこそこ程度だと思われる。
また、座標指定のバリアらしきものは5thPVでヒマリが張ってたみたいな感じの計算や設定が必要。だと思う。
故に、誰でも使えて何処にでも壁を貼れるのに大量生産していることにアズサは驚いていた。耐久性はその分脆く、モブの一斉掃射にも15秒も持たない。その割にはかなりコストを使う上、一度の使用で充電が必要なので要改良。
一応部下にもそれぞれ2本ずつ持たせている。


感想、評価待ってます!これでモチベが上がれば次話が早く読めるかも……

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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