華麗なるひこうポケモン使い(自称)   作:もけ山ぴろりろ

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感想、誤字報告等ありがとうございます。
ポケモンバトルの書き方って本当に難しいですね…精進します。
ポケモンバトルを書くの初めてなので初投稿です


5話

「いけ、ツボツボ!」

「GO、ウォーグル!」

 

試合開始とともにお互いに投げられたボールから飛び出てくるポケモンたち。

飛び出た瞬間、高く力強く舞い上がる赤い翼の巨大な猛禽と、対象にどっしりと地面に落ちて瞬時に構える小柄なポケモン。

その姿に熱狂する観客の歓声の大波。ポケモンバトルという場において、甲高く吹き荒ぶ東風のごときそれをダリアは無意識にシャットアウトしながら、対面を見る。

 

先発はツボツボか。

ガメノデスかツボツボかと踏んでいたけれど、なるほど、こちらがまずは調子づかないための先行妨害を優先したか。

岩のように硬い殻の中から惚けた顔をにゅっと出してこちらを見つめるツボツボ。ウォーグルの巨体と比べると頼りないほどに小さく見えるそのポケモンだが、油断など一切許されない。

ツボツボは、そう。強靭堅牢を誇るいわタイプの中でも

 

圧倒的に『硬い』のだ。

 

「ウォーグル!舞い上がれ!!」

 

ダリアの鋭い支持に合わせ、鋭い声を上げたウォーグルは一気に羽ばたき上空へと駆け抜けていく。

ひこうタイプ、とくに空中戦を得意とするポケモンたちにとっては天井の高いスタジアムでの戦いは、どこまでも3次元的だ。彼らにとっては空こそが本来の鉄火場。

舞い上がれないものは餌に過ぎないと、見せつけてやれ!

 

「ツボツボ、ステルスロック!」

 

もちろん、マクワとてそれをただぼんやりと眺めているだけではない。

自分のポケモンの射程範囲外にウォーグルが出た瞬間、ツボツボの周囲から爆発的に広がるように鋭く尖った岩のかけらが漂い始める。

不思議とそれは空中で留まり、やがて保護色を持って空気に蕩けていった。

 

(1.2.3……把握しきれねーか)

 

航空路を横切るハトーボーの群れの如く、この岩たちはポケモンたちの動きを阻害する。尖った岩はポケモンやトレーナーが判断を間違えた時、容赦なくその身に食い込むのだ。

マクワのやつ、わかってていつもより配置高めにばら撒きやがったな?

上空はウォーグルの羽ばたきによって空気が極端にかき混ぜられている。その場に配置されたステルスロックは透明になったあとも、乱気流に合わせてその位置を変化させ続けていた。

 

「ウォーグル!急降下!!」

 

ダリアは叫ぶ。

空を舞う勇猛果敢な彼は、見えない岩など恐れはしない。まるで何もないかの如く、見えないはずの岩のトラップの隙間を縫うようにして風切りをかき鳴らし、ツボツボへの急接近していく。

ツボツボの鈍足さではこの速さには対応できないだろ!

 

「そのままアイアンヘッド!!」

 

まるでねがいぼしが落ちたかのような轟音。

ウォーグルは一切減速することなく、ツボツボの硬い体にその頭を追突させた。

あまりの衝撃に空気が舞い上がり、砂埃が白く上がる。

この減速ゼロ急降下アイアンヘッドはうちのウォーグルのおはこだ。

できたとしても普通やらないだろう、こんなブレーキがぶっ壊れた崖っぷちレースなんざ。ポケモン側が地面を怖がってやりたがらないところを、うちのウォーグルはやってしまう。

さすがは元煽り屋……、野生の時さんざんうちのアーマーガアたちを煽りまくって空中チキンレースに持ち込んでた問題児なだけあるわ。

 

激しい風に体を叩きつけられることに慣れたダリアは、視界を失わないために額にかけたパイロットゴーグルを装着し、突風の中でも目を見開いて戦況を見逃さない。

まだ一撃。

まだ、たった一撃。

ツボツボが『あれごときで』落ちるわけがない。

 

「もう一度アイアンヘッドだ!」

「ツボツボ、パワーシェア!!」

 

案の定、ツボツボはまだまだピンピンしていた。体勢を整えさせるな!

懐に入り込んだウォーグル、その石頭がツボツボをサイド捉える前に、黄色い顔から伸びた光線が体に当たった。

途端に、先程の勢いから大きくパワーが削がれたアイアンヘッドが繰り出され、からにこもったツボツボが吹き飛ばされ、コートの床を転がる。が、すぐにその特徴的な穴からにゅっと飛び出し、好戦的に床をぺしぺしと叩いてる。どこかとぼけた顔がニヤリと不敵に笑う姿はマクワそっくりだ。

やっぱ硬ってぇな。つか

 

「おま、パワーシェア型かよ!」

「あなた相手にねばねばネットを持ってくるとでも?」

「そりゃ持ってこないわな!」

 

パワーシェア。

要は、能力値番のいたみわけ。

ツボツボの極ッッ端に低い攻撃と特攻を見事にウォーグルの高火力に混ぜてえげつなく下げてくださった。

対してツボツボの攻撃力はウォーグルの高火力の恩恵を受けてぐぐーんと伸びている。

 

ウォーグル……火力がさがりはしたが、一度ボールに戻しさえすればまた高威力のダメージを与えることはできるようになる。

一度戻して体勢を整えてやったほうが

 

ちらりとガラルの空の勇者を見上げてみる。

俺を引っ込めたらお前ぶちのめすと言わんばかりに睨んでくる。ギンッ!!ていう効果音ついてる。

言わんばかり、というか、多分ここでひっこめたらジムに帰ったあと本気でフリーフォールされるな、こわ。

続行!!

 

「ウォーグル集中だ、ビルドアップ!」

「させるな、ストーンエッジ!」

 

ツボツボが速さで追いつけるかよ!

ツボツボが放った尖った岩がウォーグルの身体に突き刺さる。だがそれよりも先に身体に力を入れたウォーグルの硬い筋肉が阻害し、ダメージを与え切ることはない。

だが、ウォーグルのパワーを吸い上げたツボツボらしからぬストーンエッジの威力に、ウォーグルの体制が空中でぐらりと揺らいだ。ぎゅうと喉の奥から鳴る声もどこか苦しそうだ。

 

それでも、自分よりも遥かに小さなツボツボが手痛いダメージを与えてきた方が面白いのだろう。嘴を限界まで歪めて嗤う空の勇者は距離を取るようにして再び空へと舞い上がる。

 

さあ、さあ、さあ。

この小さきものに俺のつばさを見せつけてやろう。

この小さきものの勇気を称えて俺の本気をぶつけてやろう。

そう言わんばかりに空へ羽ばたく彼に向かってダリアも同じように笑って指示を飛ばした。

 

「ビルドアップ」

「……ギュァ」

 

ここまで不満げなビルドアップもまあないだろう。最悪ジムに帰ってからのフリーフォールだ。

目の前のツボツボがまもるの姿勢をしていたことも、テンションに水を刺されたウォーグルにとっては、まあ関係ないだろう。

 

 

-------

ウォーグル

性格:いじっぱり

特性:ちからずく

元々はお仕事中のアーマーガアタクシーのなかでも強そうなアーマーガアに喧嘩を仕掛けに行っては、挑発し、空中チキンレースに巻き込むとかいう迷惑行為を繰り返していた暴走族。

テンションが上がるとセルフフルアタック思考になる困った悪癖があるため、トレーナーによる指示がない場合の勝率は低め。はりきりではない。

あだ名は空の勇者。どちらかというと空の蛮族。

ダリアの指示には必ず従うが、変なタイミングで交代指示を出そうものなら、家に帰ってからダリアをフリーフォールする。ガラルではフリーフォールは使えないので、独学フリーフォール。

ひこうジムでライド体験用ポケモンとして働いているバルジーナに一度ボコられてから頭が上がらないらしい。

 

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