華麗なるひこうポケモン使い(自称)   作:もけ山ぴろりろ

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6話

ビルドアップをすることにより、なんとから元の攻撃力に近づけたウォーグルの猛攻に、ずっとどこ吹く風のような顔をしていたツボツボの目が回り、そのままぺったりと力なく床に倒れ込む。

崩し切ることができないと思われた状況もなんとか動き出す。

 

だが、思った以上にウォーグルの消耗が激しい。攻撃力を増したツボツボのストーンエッジのダメージを思った以上に引きずっており、制空力の精彩を欠いていた。

今は勝ち抜き線、ツボツボの戦闘不能に合わせて交代をして次のポケモンに備えておきたい。

ウォーグルにちらりと視線を送る、彼もそれで文句はないようだ。ものすごく不満げに羽ばたきながら空へと舞い上がる。

 

「ウォーグル、とんぼがえり!!」

 

これでツボツボの体力をけずりきり、ついでに次のポケモンへとバトンタッチ。

ウォーグルもある程度体力を確保した上で数を有利に取れる。

そう、ダリアは思っていた。思っていたのだが。

 

「ツボツボ!!」

 

まるで、その判断を待っていたといわんばかりにマクワの口元が歪んだのが、遮光グラスで若干くすんだ見えた瞬間、まるでアーマーガアの手綱から手が離れてしまった時のような寒気が首元を駆け上がった。

とんぼがえりは必ず当たるし、これでツボツボは落ちるはずだ。自分の判断は間違えていないはずだが、なんだこの違和感は。

 

ウォーグルがツボツボにぶつかる数秒にも満たない間に巡らされた堂々巡りの思考、ダリアが一瞬固まった。

その妙な気持ち悪さにウォーグルに制止をかけようとももはや遅く、ツボツボに強襲を加えたウォーグルはツボツボを足場にするようにダリアの方はと跳ね返り、そのままボールへと戻っていく。

そうして次のポケモン、ルチャブルが勢いよく飛び出た瞬間、ダリアはようやく違和感に気づいた。

 

ツボツボが倒れていない?!

 

▼ツボツボは マクワを かなしませまいと もちこたえた

 

「ツボツボ、きしかいせい!!」

 

ウォーグルと違い、ばら撒かれる瞬間を見ていなかったために飛び降りた場所に設置されたステルスロックが食い込み、その精悍な顔を歪ませるルチャブルに襲いかかってくるのは、理論値最大のきしかいせい。

穴に手足全てを引っ込めたツボツボが、ころがるの容量でルチャブルの胴体めがけて、思いっきり突っ込んできた。

 

「ルチャ?!!!」

 

さすがのルチャブルもそれをさばききれるわけがない。

ドウ、という誰もが顔を顰める鈍い音を立ててその小さな身体にめりこむツボツボの硬い身体に苦しげな声をあげるが、『彼女』はそのまま赤い殻の穴を掴み、空中へと自ら体を浮かせて衝撃を緩和する。

ルチャブルは、わかっている。

自分の活かし方を。

魅せ方を。

彼女はガラル1の華麗なるファイターだから。

 

「アクロバットだ!!」

 

「るゥちゃあ!!」

 

まるで空中に床があるかのように、ツボツボを掴んだまま軽やかにルチャブルはぐるりと見事なムーンサルトを決め、その勢いを殺すことなく思いっきりツボツボを叩きつけた。

なんとかマクワへの想いだけで立っていたツボツボも、そのやわらかな体が硬い地面に突き刺さったことで限界を迎え、とうとうぐるぐると目を回し倒れ込んでしまった。

 

「…くそっ!」

 

だが、手痛い1勝だ。

相手はまだ顔を見せてすらいない元気なポケモンが2匹。こちらは3匹いるとはいえ、ルチャブルも今のきしかいせいとストーンエッジで半分ほど体力を削られてしまっている。

ウォーグルも、おそらくは次にうけるいわ技を耐え切ることができない。

 

「るちゃ、るちゃちゃ!」

 

傷ついたルチャブルはそれでも悠然と立ち、ダリアの方を見てにっこりと笑う。

 

ダリアの判断ミスなんて、ルチャブルには関係がない。

ダリアの予想外なんて、ルチャブルには関係がない。

主人が勝利を求めている。

ようやく本気で主人が勝とうとしている。

 

それがこの上なく嬉しいのだと言わんばかり笑ったルチャブルが、マクワが次のポケモンを出す前にダリアのもとへとトテトテと歩み寄り、その脛を軽く、ほんとうに軽く蹴り飛ばした。

 

「るちゃ!」

 

私にまかせて!

一度崩れると一気に弱くなるダリア。そんなダリアとは対照的な極彩色の空の舞踏家は、とんと己の胸を叩いてまたコートへと飛び戻っていく。

その小さな小さな背中にダリアは軽く息を吐いて、ふたたび前を向いた。

まだ、1匹だ!!

 

「頼むぞ、ルチャブル!」

 

「ルッチャア!!」

 

マクワの手元から飛び出てきたイシヘンジンにわくスタジアムの歓声すら、ルチャブルは己がものにしようと両手を空へと突き上げた。

 

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ルチャブル ♀

性格:わんぱく

ガラル1優しい極彩色の華麗なるファイターとはダリア談。

傷付けば傷つくほどバトルに燃え上がるし、ダリアがダメを晒せば晒すほど、わたしが勝利を届けなきゃと燃え上がる生粋の闘士。

バトル中は血の気が多いけれど、普段はダリアの足にまとわりつくようにして仕事を眺めていたりする。

趣味はアローラから空輸したカイリキーズブートキャンプにごすずんを巻き込んで踊ること。

戦うヒロイン。

ごすずんがだいすき。

 

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