独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第102話 城壁都市攻略

「ふむ……。敵軍の一部が城壁都市に籠った……ですか。本来ならば無視して通りすぎるところですが……。」

 

 進撃速度を重視して国内の中立派を脅かしていたルーシア軍としては、ここで要塞に籠っている敵を相手にして足止めされるのは痛い。

 ここはスルーして先を急ぐべきだとはルーシアも定石としては知っている。

 マジノ線のように、要塞を作ってもそれを迂回してスルーしてしまえば問題はない。

 だが、通り過ぎた後で後ろから奇襲をかけられるのも面倒臭いし避けたい所だ。

 

『とりあえず少しだけ試したいことがあるから、それを試してみていいか?

 そちらの主戦力は無視したまま先に進んでくれても構わない。』

 

 それは彼女にとっても願ったり叶ったりだ。こんな小さな城塞都市などどうでもいい。戦争勝利のためには進軍して相手の喉元に噛みつかなくてはならない。

 それはそちらも分かっているはずだが?というルーシアの表情に対して、エルは言葉を放つ。

 

『まずは預かったばかりの使役竜たちの戦力を正確に把握したいというのがある。

 当然、ここで本気を出して魔力を消費するということもしない。

 一当てしてダメだったら、すぐにそちらに向かう。これでどうだろ?』

 

 確かにルーシアはエルの力は信頼しているが、戦術までは信用していない。……というよりは、竜に戦術性などできるはずもない、と考えているのが普通の人間の思考である。

 食料の粥を配布して人心を掴んでいる上に、戦術眼のある竜。これが敵対したとなれば、さらに恐れる中立派の人々も出てくるだろう。そうなれば、身の保護を求めてこちらに降伏してくる人々もいるはずである。

 

「……分かった。通信は鱗を通してで頼む。そちらの戦力は当てにしているのだから、すぐさまこちらの方に戻ってきてくれ。」

 

 了解、とエルは答えた。戦力分散の愚はエルも知っている。だが、いざという時に使役竜を完全に使いこなせないとなっては戦いで敗れるかもしれない。

 彼にとってはちょうどいい実験台と行ったところだ。

 もちろん、うまくいかなかったらさっさと逃げ出して辺境伯と再合流するつもりである。竜に武人のプライドなんてものは欠片もないからだ。

 

『よし……行け!マミィの使役竜!!』

 

 ドドドド!!と猛烈な足音と土煙を上げながら、一斉に数十体の外骨格地竜が城塞都市へと突撃していく。それを見て恐れを抱いた城塞都市の内部の敵はバリスタやクロスボウ、投石器などで攻撃を仕掛けていくが、バリスタやクロスボウなども全て外骨格によって弾かれ、石ですらも大したダメージは通じないしそもそも移動している相手にそうそう当たるものではない。

 

『よし、ギリギリまで近づけた上で……『石を土に』!!』

 

 その瞬間、エルが城塞都市の城壁の一部に魔術をかける。本来ならば耐魔術防御が施されている城壁だったが、それも人間の魔術。エルの魔術の前ではあっさり無効化され、あっさりと頑丈なはずの石壁はたちまちのうちに土壁へと変化してしまう。

 そして、その土壁に次々と外骨格地竜が突っ込んでくるのだ。そんな突撃力に土の壁が耐えられるはずもなく、いとも簡単に粉微塵に粉砕される。

 

「こ、降伏だ!降伏します!!今のうちに降伏しないと竜に殲滅されるぞ!!」

 

その光景は籠城している彼らの心をいとも簡単にへし折る物だった。こうして、城壁都市はいともあっさりと降伏したのだった。

 

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