独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第13話 冒険者ギルドの支部長、来たる。

迷宮攻略との闘いを得て、それから数階層を攻略したエルたちだったが、大事を取って最上部へと帰還への道を取っていた。

 ドラゴンは強力な存在ではあるが、燃費が激しいのも事実である。

 他のドラゴンではできるだけ眠って過ごして燃費を抑えるらしいが、活動的なドラゴンにとってはそれができないのが痛手ではある。

 というものの、急いで攻略する物でもない。ここは慎重に少しづつ攻略していくというのが、三人の統一した意見である。

 

『よーし、数日間休もう。休息は大事だし、お互い気力を蓄えるためにも休暇は必要だろう。君たちもしばらく開拓村でゆっくりしてていいよ。』

 

「は、はい。竜様。それでは失礼します。」

 

「お、お疲れ様です~。」

 

 ユリアたちもそのエルの言葉に従って、素直に開拓村へと戻っていく。一応、獣道とはいえ簡単な結界は張ったので安全に開拓村までは戻れるはずである。

 そしてその後、Dチューバー兼冒険者の双子をダンジョン外に送り出したエルは、大迷宮の表層部に存在する自分の部屋ですやすやと休んでいた。

 食料などはストーンゴーレムが自動加工してくれるので、それらを貪り食らって疲れた肉体を癒していく。すやすやとしばらく休んでいる中、周囲に張り巡らせた警戒網が鳴り響く。

 

(はて?別れたばかりなのにまたすぐ来たのか?ゴブリンなどもそれなりに対峙したからそうそう侵入できないはずだが……。)

 

 そう思いながら、警戒しながら向かうと、出口近くにユリアたちのほかに一人の女性が立っているのが見える。

 この辺では珍しい黒髪のロングヘアーで切れ長の容貌。もしかしたら東洋人の血などを引いているのかもしれない。

 

「申し訳ありません。まさかこの地まで冒険者ギルドの支部長が来るとは……。それで、竜様と面会を行いたいとのことですがよろしいでしょうか?」

 

 その言葉と共に、その軽装の支部長はエルに対して頭を下げて挨拶をする。

 

「はい、初めまして。私、冒険者ギルド支店長のアヤといいます。よろしくお願いします。」

 

 まさかギルドの支部長が直々に、たった一人でここまで来るとは。さすがにユリアたちも驚いた表情を見せる。たった一人でこんな危険な辺境まで来ていいほど、ギルドの支部長は軽い地位ではない。

 よほど、ここに対して「何か」を見つけたのだろう。

 

「で、いくつか確認させていただきたいのですが……ユリアたちはおっしゃったように竜の血を受けて傷を癒しただけで、別に奴隷にしたとかそういうわけではないのですね?配信は見ていますが一応確認のために。」

 

『ええと……。そう。テイム、ドラゴンテイマーやら竜騎士と違って、我の血を与えて我の眷属にして生命力を分け与えた形になるからな。定義的には我の眷属というのが正しいか。』

 

 えっ?それ聞いてないよ?という顔をする双子に対して、エルは慌ててフォローをする。

 

『む……?別に眷属だからと言っても呪術的束縛やら誓約やらかけているわけではないし……。好きなようにすればいいぞ。別に我は干渉する気も縛り付けるつもりもないし。』

 

 とはいうものの、確かにユリアたちが自分の自由意志で動いているのはアヤもきちんと確認している。

 これと同じ応用で洗脳された人間たちが大量に人間社会に潜伏して、何らかの一斉蜂起など起こせばさすがにまずいが、そんなこともなさそうである。

 ともあれ、アヤはここにわざわざやってきた理由の本命をエルに切り出していく。

 

「ふむ……。とりあえずお話があるのですが、竜様はこのダンジョンの所有権を主張していますが、全ては所有していない。そうなのでは?」

 

 顎をさすりながらそう言い放つアヤに対して、エルはぐるると威嚇するように喉を鳴らす。確かにその通りではあるが、もうこの時点で嫌な予感がする。

 そんなエルを安心させようと、アヤはにこやかな微笑みを見せる。

 

「いえいえ、「これから攻略する」と言っていましたので。完全に支配しているのに攻略しているなどおかしいでしょう?となれば、まだ奥部はまだ竜様の物ではない。そうではありませんか?」

 

「竜様のものでなければ誰のものでもない。となれば、我々人間、冒険者たちが挑戦してもいいのではないでしょうか?もちろん、ただとは言いません。

 きちんとこちらギルドの方からダンジョン入場料の半額をそちらにお渡ししましょう。手に入るかわからない財宝より、定期的に収入が入る方がいいのでは?」

 

 どこからどう見ても詐欺師の手口じゃねーか。確かに俺のものでもないけど、それではいそうですか、と頷く奴がおるか。

 そんなたかがはした金でマミィのダンジョンうっぱらったなんて知れたら俺がボコられるわ、と心の中で呟く。それに対して、アヤはさらに説得すべく言葉を続ける。

 

「もちろん、それで所有権をこちらが獲得するわけではありません。これは言わば「ダンジョン入場券」です。所有権はあくまでそちら。

 我々が冒険者に夢と金を提供し、そちらは定期収入を、冒険者たちは夢のチケットを購入する。どうでしょうか?ご不満なら竜様が真っ先にダンジョン攻略をして、財宝を真っ先に獲得する分には、我々ギルド的には文句はありませんので。」

 

「そうですね……。我々は文句はないのですが、軍が「人類に危害を与える存在」として竜様を敵視する可能性もあります。我々の力なら竜様を人間の敵ではないと軍や政府を説得してみせます。暴れない限りは、ですが。少なくとも、貴方の身の安全は保障されるはずです。これでどうでしょう?」

 

 むう……。とエルはグルグルと喉を鳴らしながら唸った。確かに彼にとって人類社会からの刺客から身を守ることができるのは大きな利点である。

 当然政治やらなにやら面倒なことにも巻き込まれそうになるだろうが、それでも自分が生き残るためには仕方あるまい。エルはその条件をのむことにした。

 

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