独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第14話 開拓村への(仮設の)道を作ります。

「……道、ですか?」

 

 アヤはエルを見上げながらその言葉に首をかしげる。

 冒険者ギルドもこちらに噛んでくるというのなら、これから冒険者や彼らを見越しての商人の需要など開拓村もどんどん膨らんでいくだろう。

 そうなれば、こちらに対する捧げものも多いに増えるであろうから、エルにとってはありがたい限りだ。

 だが、それには大きな問題が立ちふさがる。それは「道」である。

 辺境の開拓村に整えられたまともな道など存在しない。それはここまでやってきたアヤも十分知っている。

 これでは開拓村に対する物資搬入が限られてしまい、発展も遅々として進まない。

 だが、きちんとした道を作り出すためには、多大な費用と時間が必要になる。

 それを冒険者ギルドだけが賄うのは不可能だ。

 

『うん、開拓村に至る道は悪路だろうから、これを何とかした分、冒険者ギルドから開拓村へと色々な支援をしてほしい。冒険者たちも集まってくるんだから彼らの支援のために町を豊かにするのは道理に通ってるでしょ?』

 

 確かに、「冒険者たちの支援のため」といえば冒険者ギルドである程度は何とかできる。上層部に働きかければより大きな金を動かすことができるだろう。

 冒険者ギルドからすれば、大迷宮はまさに大きな金の生る木、冒険者たちの目の前に垂らす大きな人参そのものだ。

 そのための設備投資とすれば、上層部もすんなり受け入れるだろう。

 

「それはまぁそうなんですが……。道なんてどうやって作り出すんですか?」

 

『まあ、それははね。魔力さえあれば何とかなる。ただしこれは仮設で作っただけなので、後でしっかりとした道を作ってほしい。』

 

 そう言いながら、エルたちは一旦大迷宮の外に出て、獣道へと向かう。そして、小型化しているエルは獣道に対して呪文を唱える。

 

『《石壁作成》ッ!!』

 

 エルは獣道に石壁を作り出すとそれを倒して、獣道に石の道を作る。これを繰り返して簡易的な道を作り出そうというのだ。

 もちろん、継ぎ目などの細かい問題などもあるが、それはほかの人間たちによって解決してほしい、というのが彼の考えである。

 獣道より、石壁で作った道のほうが遥かに通りやすく、スムーズな流通はできるだろう。まずは大迷宮から開拓村までの獣道を石壁の道に作り替えようというのだ。

 

『《石壁作成》!《石壁作成》!これ意外と疲れるな!!』

 

 そういいながらも、エルは石壁作成の呪文を連打し、できた石壁を倒して道を作り出していった。エンシェントドラゴンロードの息子である彼は、子竜とはいえ他の竜たちに比べて大きな魔力容量を有している。

 それは人間たちからしてみたら凄まじい魔力量である。

 

「おお……。まさかこの呪文にこんな使い道があるとは。人間の魔術師ではとうてい魔力が続かなくて不可能ですが、さすが竜ですね。」

 

 その状況をアヤは感心しながら見守っていた。彼女も身近で竜の凄まじさを見るのは初めてなのだろう。ともあれ、きちんと開拓村から大迷宮までの道は何とかしたのだから、今度は開拓村から辺境拍領までの道を整える必要がある。

 だが、そこでアヤからのストップが入ってしまった。

 

「しかし、いきなり竜様が開拓村から辺境伯の領域まで道を作るとなると、辺境伯の街の皆も驚くでしょうから、私が辺境伯との会話を行うまで待っていただけますか?面倒で申し訳ないのですが……。」

 

 なるほど、と頷くエルだが、そこで一つの疑問が浮かんだので彼女にぶつけてみる。

 

『ところで、大迷宮に色々店を作るのは我は許可したけど、マミィが切れたらどうするの?君たちマミィが切れたらどうしようもないよね?』

 

 その言葉に対して、アヤは思わず渋い顔になる。確かにそれは考えたが、そのリスクを引いても、大迷宮という巨大すぎるリソースに関われる機会を逃す手はなかったのである。大迷宮は、人類未踏の巨大な貴重魔力リソースの宝庫である。

 これを人類が手にできれば、人類社会は大きな前進を迎えるだろう。

 もっとも、それもシュオールが切れなければ、の話になるが。

 

「それは……どうしようもないですね。そうなったらおとなしく撤退するしかありません。その時は生き残れるように口添えいただけると嬉しいのですが……。」

 

 は~と思わずエルはため息をつく。調子いいなぁ……。と思うが、向こうからしてみたらこれしか手がないのだろうから仕方ない。それだけのリスクを冒しても、大迷宮という巨大なリソースは、人類社会にとって喉から手が出るほど欲しいのだろう。

 むしろ、その程度のリスクでそれだけ巨大な利権を少しでも手にすることができれば、どの組織にとっても一生左団扇で暮らせるほどである。(個人ではなく、組織全体が左団扇で暮らせる)

 

『まあ、マミィには話してみるけどさぁ……。我がきちんと管理権を獲得できればいいんだけどなぁ。ともあれ、面倒な他の組織が出てきたら干渉を防ぐ力になってくれるとありがたい。』

 

「分かりました。とりあえず現状としては、辺境拍領やその近辺の軍は抑えられそうですね。それは安心していただいて大丈夫です。ですが、かなり前に王都付近でクーデターが起こったらしく……。そこが不安定要素ですね。王都近辺はクーデター軍……「人類至上派」に抑えられましたがまだ王都近辺だけですのでこちらに対してはまだ問題ないでしょう。確定事項ではありませんので、詳しくはまた後日お知らせしたいと思います。」

 

 えっ?ちょっと待って?なんか嫌な情報が出てきてない?

 何かこの国を不穏な空気が覆っているらしいが、それを言っても仕方ない。

 とりあえず、情報を収集しながら自分のできることをするしかない、とエルは判断した。

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