独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第34話 シュオールとティフォーネの気分転換

 一方、大迷宮からかなり離れた森の中では、木々が破壊される轟音が響き渡り、周囲の動物たちは必死にその場から逃げ去っていった。

 バキバキと音を立てて破壊されて倒されていく木々。

 さらに引き抜かれた巨大な樹木が、まるで小枝のようにあちこちにぽんぽんとあちこちに投げ捨てられ、地面にズズンと音を立てながら着地する。

 

「ぬぁああああ!!あのクソがぁあああ!!ワシの息子に傷つけやがってぇえええ!!」

 

 ふんぬぁ!!と怒り狂ったシュオールは、拳で大樹を叩き込んで破壊し、片手で木を引き抜いてそのまま適当にどこかに投げ捨てる。どうやら怒り狂っている彼女のストレス解消の場所となっているらしい。

 まあ、本来の姿ではなくヒトの姿で暴れまわっていることから、本気で怒っているわけではなく、多少苛ついている程度なのだろう。

 そんなシュオールに対して、イノシシを捌いて肉として串に刺して火で焼いているティフォーネは、まあまあ、と彼女を宥めに入る。

 

「まあまあ……。もう死んでるんだからチャラにしてあげたらどうですか?まさか死霊魔術で魂復活させてさらに苦しめるとか普通やらないでしょ?」

 

 ……なるほど!その発想があったか!!という顔になったシュオールに対して、あっやっべ、という顔になるティフォーネ。

 ともあれ、これ以上変なことをする前に、ちぇい!とティフォーネはシュオールの口にその辺のイノシシを捌いて焼いた肉を彼女の口にねじ込む。

 もっぎゅもっぎゅと口にねじ込まれた焼肉をかみ砕いて飲み込んだシュオールは、多少落ち着いたらしい。ふう、と一息ついた彼女は猛烈な勢いで串に刺さった焼いた肉を豪快に貪り食っていく。少し体を動かして気分転換を行ったので、ちょうどいい感じにお腹が空いていたのだ。彼女は食事をしながら、口を開いてティフォーネに話しかける。

 

「人間的にいうと「そこらへんにいた野犬に可愛い息子が噛まれた」様な感じじゃな。そんなの飼っておくな?人間除けにちょうどいいんじゃい。」

 

 何かを食べて落ち着いたのか、彼女ははーとため息をつきながら落ち着いたように座り込む。息子が傷つけられたのを使い魔ごしに見て、彼女もそうとう頭に血が上っていたらしい。

 ティフォーネがいきなり現れてエルの傷を癒したのも、息子が傷つけられたシュオールが切れて暴走する前に対策を取ったからである。

 ティフォーネ的には人間はどうなってもいいが、彼女たちの中で一番穏健派である彼女が暴れられると、こっちが好き勝手暴れられないではないですか。という実に身勝手な理由である。

 

「まあ……気持ちは分からなくもないですが。私も息子が傷つけられたらそりゃ怒りますし。人間どもがやらかしたら、それは文字通り空の怒りを思い知っていただかないと。」

 

「当然じゃ!クソ人間どもめ!ワシの息子に重症なんぞ負わせてみろ!国の二、三個ではワシの気が済まんぞ!!今のうちから警告しておくべきか……?」

 

 またイライラしてきたであろうシュオールに対して、はー、やれやれ、とティフォーネはため息をつきながら、彼女の気をそらすにはどうすればいいか、と考える。

 傍にいる仲間がイライラしていては、めんどくせーとなってしまう。

 

「はぁ……。それじゃストレス解消に『アレ』……やってみませんか?」

 

 ティフォーネは、背中からシュオールに抱きつきつつ、彼女の耳元で妖艶に囁く。

 それを聞いて、シュオールも顔を高揚させながら、言葉を放つ。

 

「むぅ!『アレ』か!!良かろう。今夜は寝かさんぞ。あひんあひんの腰砕けにして参った!と言わせてやるわ。」

 

 そんなお互い顔を高揚させながら、しばらく後で支度が整った彼女たちはお互いに叫んだ。

 

「「出でよ我が下僕!!我が召喚に応じ我に従え!!決闘スタンバイ!!」」

 

 その瞬間、彼女たちの手前の空間が歪み、そこから数十体の竜……というよりは生体兵器とでもいうべき存在が姿を現していった。

一方は全面に装甲壁を形成している外骨格に覆われた地竜。一方はほとんど鱗が生えていない軽装のワイバーンたちである。彼女らは自らが作り上げたこの使い魔の竜……生体兵器同士を戦わせて、どちらが勝つかというリアルでゲームを行うのを娯楽としていたのだ。人間でいうチェスのようなものと思ってもらっていいだろう。

 

 

「わーはっはっは!!我はこんな事もあろうかと作り出した防御力と攻撃力に特化した外骨格地龍(対空攻撃完備)じゃー!!凄いぞ強いぞカッコいいぞー!!貴様の作り出した下僕なんぞあひんあひん言わせたるわー!!」

 

「ふっふっふ。そんなドンぐさ竜ごときで、私の竜を捕らえられるとでも思っているのですか?防御力なぞ不要!!当たらなければどうという事はないのです!!速度と攻撃力に特化した私のワイバーンでボッコボコにしてあげましょう!!」

 

 うおおお!くたばりやがれぇええ!と叫びながら、二人はこの後、自分たちの作り出した竜で無茶苦茶リアルデュエリストして楽しんだ。

 

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 お読みいただきありがとうございます。

 

 ヒトカスどもは、どいていた方がいいぜ!

 今日この森は戦場になるんだからよ!!

 

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