独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第45話 ブラックドッグと直線

「……で、私が呼び出された理由は?いやまぁ大体検討はついていますが……。」

 

 それからしばらくして、魔術師であるアヴリルはエルの元に呼び出されていた。

 その前にあるのは、頭部が綺麗に吹き飛んでいる冒険者たちの姿。

 事情はある程度聞いているため、彼が望んでいることは理解できる。つまり、死霊魔術、交霊術で霊を交霊してその霊から情報を引き出そうというのだ。

 

「死体を利用して霊媒魔術で霊を呼び出して情報を引き出そうというのですね?

 まあ、霊は嘘をつけないからよくやる手段ではあるのですが……。」

 

『でもできるんでしょ?心理的な問題?』

 

 死霊魔術は死霊を操る、ゾンビを操るなどというイメージがあって(実際事実なのだが)そのイメージもあって使える魔術師も滅多に使おうとしない。

 それらを多用する魔術師が一般人から見られたら悪の魔術師として迫害されるパターンも十分あるからだ。

 しかし、アヴリルはそのパターンではなく、他に何か問題があるらしい。彼女は顎に手を当てながら、ううむ、と死体を見てうなり声を上げる。

 

「いや、これだけ脳が破壊されていると多分交霊は難しいですかね……。交霊は死体の状況にもよりますから。私も専門家ではないですし……。多分それを狙ってわざとこういった毒にしたんでしょうね。」

 

 ただのグロ死体を増やすだけじゃなかったんだ……。とエルは思わず考える。

 しかし、そういった理由ならば仕方ない。好き勝手迷惑をかけたこいつらを埋葬するほど彼も甘くない。適当な離れた場所に放置して動物の餌にする予定である。

せっかくの情報源がパーになって、彼もため息をつく。

 

『まあ、それはそれで仕方ないかぁ……。しかしこんなところにまで人類至上派のスパイ?が入り込んでるなんて……。何か手とかある?』

 

「うーん、そうですねぇ……。本来は冒険者全てをきちんと調査すべきなんですが、アヤさんが泣きそうですし、実際無理そうですし……。まず代案としてはお金を払って警備の冒険者たちを雇う&結界強化ですかね。まずはそれで様子を見ましょう。」

 

 冒険者なんてそれぞれの事情を抱えた変わり者の人間の集まりである。

 それをいちいち調べてスパイがいるかどうか調べるなど、それこそ頭を抱える仕事になる。支部長でもそこまでやることは難しいだろう。

 

『そっかぁ……。とりあえずそれで対策するしかないか。全くうざったいことこの上ないなぁ……。後はなにをすればいいかなぁ。』

 

「後はスパイ対策とはちょっと違うのですが……巨大な魔晶石を見つけたらどんどん辺境伯に渡したらどうでしょうか?多分それをネタにして中立派の切り崩しを行うでしょうし。中立派がこちらについてくれれば有利になるのでは?

 あ、もちろんこちらにもくださいね!魔晶石さえあれば中立派の魔術塔もこちらに引き込めますから!!」

 

 まあ、それはそれとして仕方ないかぁ、とエルはアヴリルのいうことを聞き入れる。辺境伯の力が強まれば、それはすなわちこちらの力も強まるということ。

今やエルと辺境伯とは呉越同舟の間柄である。彼女の力を強めることが自分を守ることにもつ繋がっていく、と判断したのだ。

 

とりあえず大迷宮の探索に戻ろうとしたエルたちは、セーブポイントともいえる魔力の楔によって、その階層まで転移し、スプリガンより下の階層へと下っていく。

 その階層は今までとはまだ違った異常さを秘めていた。

 とにかく直線、細長い一直線の通路のような階層である。一直線にしか進むことのできないその階層を見て、エルはあからさまに嫌な顔をする。

 

『怪しいなぁ……。絶対これ何か罠が仕掛けられてるぞ。お約束だと大岩とかが転がってくるのがお約束だけど……。』

 

 だが、確かに罠ではあるが、それはエルの思っていた罠ではなかった。

 遥か向こうに、スプリガンの時と同じようなストーンサークルが床から展開し、召喚術式が展開される。それは真っ黒い大型の犬、まるで燃えるような目と火薬のような匂いを宿した不気味な黒犬だった。それを見て、ユリアは叫ぶ。

 

「ブラックドッグ!!スプリガンに続いてコレですか!」

 

 ブラックドッグは牙をむき出しにして涎をまき散らしながらこちらへと猛烈な速度で襲い掛かってくる。

 確かブラックドッグは直線にしか動けないと聞く。その特性を生かすためにこうした直線の通路にしているのだろう。

 ブラックドッグはさらに次々と召喚されて、まるで弾丸のように牙をむき出してこちらに疾走してくる。一匹だけなら迎撃もできるが、何匹もかかってくると流石に厄介である。

 

《ちょ、早すぎる!!》

《早すぎてよく見えないんだが!!》

《おい、どんどん次々と召喚されているぞ!!》

 

『クソッ!!まるで弾丸じゃないか!!こんなの完全に防ぎきれないぞ!!

こうなったら……。《石を土に》!!こっちだ!!』

 

 エルは襲い掛かってくるブラックドッグを、片手で跳ね除け、切り裂きながら横の石壁に対して呪文を用い、その石壁の一部を土に変える。

 そして、それをかぎ爪でバババ!と掘り出し、石壁の中に安全地帯を作る。

 まるで弾丸のように飛び込んでくるブラックドッグたちは、一直線に突撃しかできず、横の石壁を掘って安全地帯を作り上げたエルたちを攻撃することができない。

 ブラックドッグは、直線状の階層をまるで弾丸のように行ったり来たりを繰り返している。

 

《おいおい、安全地帯は作ったけどこれからどうするんだよ。》

《このままじゃジリ貧やで!どうすんの!?》

 

その視聴者のコメントに確かにこのままではジリ貧だ。どうにかしなければならない、とエルは考え込む。

 

『むう……!なら遠距離攻撃しかないか……。ユリア、《魔法の矢》でストーンサークルを破壊できるか?』

 

「ちょっとあそこまでは……。自信がありませんね……。」

 

『ならば波状攻撃しかあるまい。レイアはクロスボウの準備、ユリアは《魔法の矢》の準備、そして我は……新しい魔術を試してみる。』

 

そして、彼らはこっそりと穴から顔を出して攻撃態勢に入る。

 

『ぬぉおおお!喰らえ!!《重力弾》ッ!!』

 

 それは広範囲に重力を放つだけでなく、重力を凝縮して対象に放つ重力の弾丸である。しかも、広範囲ではなく、弾丸として射出するので、魔力消費的にも優れモノである。

 黒い重力弾はストーンサークルだけでなく、ブラックドッグにも襲い掛かっていく。その重力弾に命中したブラックドッグは肉がえぐり取られ、悲鳴を上げていく。

他にもクロスボウや魔力の矢も次々と叩き込まれ、ついにストーンサークルへとそれらが命中し、少しずつ斜めになって、ついにストーンサークルの一体が倒れる。

それと同時に、悲鳴を上げながらブラックドッグたちも消滅していった。

 

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