独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。 作:名無しのレイ
アヴリルは剥がれた爪部から血液を採取し、その後《小治癒》を使ってエルの傷を回復させる。だが、問題はここからである。
この竜血をユリアへと与える事により、飛躍的なレベルアップが可能になるだろう。
だが、それは人間以外の怪物になるという危険性と常に隣り合わせである。
ちらり、とレイアは心配そうにユリアに対して視線を送るが彼女はこくりと一つ頷く。
「それでは、血管に直接注入するのではなく、経口摂取で竜血を飲んでいただきます。こうすれば、血管に直接注入するよりも安全……なはすです。
古代より竜と酒は近しい存在。そのまま飲むより、酒か何かに加えて飲ませましょう。」
ユリアはすでに直接血管に竜血を入れられた経験がある。その経験からすれば、この程度など耐えられるだろう、という視線にアヴリルはこう答える。
「まず、人間にはキャパシティーが存在します。これを超えた場合人間はそれを超えて異形の怪物へと変貌してしまう。一気に大量の血液を飲めば怪物化してしまうでしょう。そのため、ちょっとずつ竜血を増やしていって体を慣らしていきましょう。」
一気にレベルアップという甘い話はないかぁ、というユリアは憂い顔になるが、確かにいきなり大量に飲んで一気に怪物化するよりも、慎重にいったほうがいいだろう。
はっきり言って、アヴリル自身にもどんな効果がでるか解らないのだ。
一回目は深い傷口を癒すために投与し、その生命力は上手く傷を癒すために作用したが、全く傷がない状態での竜血投与はその溢れる生命力がどう変化するか解らない。そのため、慎重に行くことにしたのである。
《おいおいおい、本当に大丈夫かよ。》
《やめといたほうがいいって。自分から人間を捨てる必要はないって。》
《いやだー!!純粋なユリアちゃんがあんなヘンテコ竜にこれ以上汚染されるの嫌だー!!》
阿鼻叫喚と反対のコメントの渦の中、ユリアは竜血の入った杯を呷る。
その瞬間、彼女はトランス状態になって地面に倒れ込む。
彼女の内部に流れている独自の血液と、外部からの竜の血がぶつかり合って反作用を起こしているのだ。
肉体を損傷した場合には、竜の血の生命力が上手く作用して再生能力を激しく増幅させる事で傷口を修復できたが、何の損傷もしていない場合、その生命力が内部で暴走・活性化しているのだ。
そのトランス状態の中で、彼女はとある幻覚を見た。
『何をしておる。我が子孫よ。お前の血統は■から連なりし誇り高き血統。竜の血ごときで汚すではない。』
「何を……今さらッ!その血統とやらが私たちに何をしてくれましたか!?何もしてないじゃないですか!私を救ってくれた人外の竜様の方が遥かにマシだ!!ずっとずっとマシだ!」
「血筋よりも、私は自分で自分の歩く道を決める!!それが私の選んだ道だ!!」
その叫びと共に幻覚は消えていき、彼女は体内で荒れ狂う力を制御しながら体の中へと取り込んでいく。
ユリアの血の反発で荒れ狂っていた力だったが、ユリアが受け入れる事を選んだ結果、お互い反発する力は融合する事を選んだのだ。
そして、彼女が瞳を開けた瞬間、レイアは思わず驚いた。
「ユ、ユリア姉さん!その瞳……!」
そう、彼女の片方の瞳は、青ではなく、魔力の余波で金色に変化していたのである。
左右の瞳の色が違うオッドアイ。それが竜血を受け入れた彼女の反動の結果だった。
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