独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第53話 魔力噴射と身体強化。

 

大迷宮内部に作られた冒険者用の宿屋、そこに拠点を構えた彼女は、ベッドにユリアを寝かせて魔力的な彼女の検査を行っていた。

 

 

 

「ん~。色々調べてみましたが、肉体的には問題はないみたいですね。特に体に鱗が生えるとか、小さな翼や尻尾が生えてくる予兆もないみたいですし。

 

 個人的には、皮角が変化した角が生えるぐらいは予想していたのですが……。まあ瞳が変わったぐらい結果オーライでしょう。」

 

 

 

 ユリアの体を色々魔術的に調べていたアヴリルは、そうユリアにOKを出す。

 

 それを聞いて彼女もほっとする。せっかく強くなっても肉体が怪物へと変化してしまってエルの傍にいられないからだ。

 

 ベッドの上から起き上がり、服を纏っているユリアに対して、アヴリルは言葉を放つ。(なお、これはプライベートなので配信は行われていない。)

 

 

 

「とりあえず、しばらくはこれ以上の竜血の投与は控えたほうがいいですね。やるとしても、完全に馴染んでから再び行うという形でしょう。しかし……。貴女の血筋は随分特別なようなものですね。まさかこれほど竜の血と反発作用を起こすとは。……まあ痛くもない腹を探られるのもアレですから、深い追及はやめておきましょうか。」

 

 

 

「では、これから魔術師としての訓練を始めます。魔力のリソースは拡大されたのですから、色々な魔術を覚えられるし、魔術も前より連発できるはずです。まずは小治癒の魔術を教えるとしますか。」

 

 

 

「治癒魔術と言っても神聖術とこちらは異なります。神官たちの行うのは、神に祈ってその加護で肉体を修復するシステム。魔術師が行うのは、肉体の自然治癒を大きくブーストさせるものです。そのため、対象者の体力をかなり消耗してしまいます。まあ、やはり神官などの専門家にはかなわないという事ですね。」

 

 

 

 なるほど……。同じ傷を癒す魔術でも異なるわけか。とユリアは納得する。

 

 対象者に負担をかけないのなら、そりゃ神官の治癒魔術のほうがいいに決まっている。だが、神官だけしか治癒魔術が使えないというのは非効率であるため、魔術師たちが独自開発したのが自分たちの魔術なのだろう。

 

 

 

「魔術というのは、基本的に自然界の様々なシステムを解析して、それを自分の有利なように書き換えていくものです。自然を歪めていく以上必ずその反動はある。それをうまく散らして最小限で最大の効果を上げるのが優れた魔術師です。」

 

 

 

 なるほどなるほど……とユリアは関心する。ともあれ、天才とも言える魔術師であるアヴリルに師事できることは彼女にとって幸いである。

 

 しかし、竜の血を受けて魔力が飛躍的に向上したとはいえ、彼女も魔法戦士という中途半端な職業であることは変わりない。

 

 魔法戦士は戦いも魔術も中途半端になりがちなのが最大の問題点である。

 

 

 

「ふむ……。ならば独自の戦い方を編み出しましょうか。足りないのなら補えばいい。魔術の中には身体能力を飛躍的に高める身体強化魔術があります。これによって身体を強化しながら、同時に手足から魔力を噴射させながら近接戦闘を行う。

 

 これができれば魔法戦士(笑)と言われないと思いますよ。試してみますか。」

 

 

 

 そういうと、アヴリルは宿屋から外に出て、大迷宮の外に出て杖を構えてユリアと向かうあう。

 

 呪文を紡ぐと同時に、彼女の全身の身体能力が魔力によって向上し、それと同時に全身から猛烈な勢いで四方八方に魔力が噴出される。

 

 アヴリルはまるでロケットのように、噴射された魔力の反動で一気にユリアへと距離を詰める。

 

 

 

「!!?」

 

 

 

 それを何とか回避するユリアだが、アヴリルはさらにまるでホバーのように噴射した魔力で宙に浮かびながら反転し、再度こちらへと突撃してくる。杖を振りかざして轟音と共に突撃してくる彼女は、まるで彼女自身が弾丸そのものだった。

 

 やられる!と思った瞬間、アヴリルは魔力噴射を解除して噴出音と共にゆっくりと彼女の前に着地する。

 

 

 

「とまあこういう訳です。これができれば人間である貴女でも竜と並んで戦う事も可能でしょう。それでは、訓練を行うとしましょうか。」

 

 

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