独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。   作:名無しのレイ

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第54話 腐敗竜ルトナ

その後も、人類至上派のスパイたちは、あちこちに回りながらゴブリンなどを腐敗沼に生贄に捧げ、着々と腐敗竜に活力を与えていた。

 守護者であるドワーフたちも監視の目は行っていたのだが、老人ばかりである事、まさか腐敗竜に活力を与えている存在がいるということは、彼らの予想外であったため、裏をかかれてしまったことにある。

 

 外部からの活力を得た上に、長い結界維持のために弱っていた結界は、ついにその寿命を迎え、ゴボゴボと腐敗し果てている沼の表面が盛り上がり、そこから巨大な存在が沼を割って現れる。傍目から見たらドラゴンのゾンビのようなその異形。

 腐り果てた肉体にところどころ見える白骨。顔の半分すらも腐り果て、翼ですら被膜すら存在せずに翼の残骸でしかない。

 ―――腐敗竜ルトナ。

 数千年に渡る封印が解かれた竜は、腐敗沼の表面から浮かび上がり、上空に向かって聞くに堪えない絶叫を上げる。

 苦しい、苦しい、苦しい。

 生きながら腐敗しているその苦しみは、並大抵の苦しみではない。

 ルトナは苦しみ、絶叫しながらゆっくりと腐敗沼から地上へと上陸する。

 その途端、大地の植物は腐りはて、ルトナが踏みしめる大地自体もどんどん腐敗していく。猛烈な悪臭はもはや毒ガスと言わんばかりに、周囲の小動物たちを次々に死滅させていく。その猛烈な腐敗臭と毒ガス、そして全てを腐敗させる力に、周囲の動物たちは我先にと周囲から逃げ去っていく。

 

 そして、それを遠目で見ている二人の竜人の姿が存在した。

 一人は、小柄でありながらふふん、と偉そうに腕を組みながらふんぞり返りながら腐敗竜を睨みつける豊満な茶髪と大きな角と翼を所有した竜人。

 もう一人は、骨でできた杖を手にしながら、飄々とした素振りをしている銀髪と白衣の純白の立派な角や翼を持った竜人。

 それこそ、エンシェントドラゴンロードである地帝シュオールと空帝ティフォーネが人型に変化した姿である。彼女たちは、腐敗竜の復活を目の前にしても別段慌てる事無く、平然とそれを見守る。

 

「ふん、まあそろそろだとは思っておったが復活するとは。だが残念じゃったな!ここには我ら二体のエンシェントドラゴンロードが存在する!我らからすれば貴様など恐れるに足りんわ!!」

 

 ぽきぽき、と自分の指を鳴らすシュオールに対して、それを見ながらふむ、とティフォーネは自分の顎に白魚のような優美な指を当てながら考え込む。

 

「ふむ……。いえ、ここは私に一つ考えがあります。あなたの息子にとってちょうどいい敵なのでは?戦わせて倒させればちょうどいい経験になるでしょう。

 何なら倒した後で、貴女の鱗を与えて階位向上させればいい。ちょうどいい階位向上についての理由になるでしょう。」

 

 つまり、ティフォーネは、いい感じのボスキャラとしてエルと戦わせようというという考えなのである。あの程度の竜ならばエルと丁度良さそうな感じではあるし、戦わせて倒せたのならば、それを口実にしてシュオールの鱗を与えてさらに階位をアップさせればいい。それがティフォーネの考えである。だが、腕を組みながらしたり顔で語る彼女に対して、シュオールは驚いた表情を向けた。

 

「ハァ!?息子をあんなエンガチョ竜と戦わせようというのか!?病気になったらどうする気じゃ!!」

 

 いや、反応するのがそこですか……。泥沼で遊ぶ子供を心配する母親ですか……。と思わずティフォーネも突っ込みそうになったが、さすがに口に出さずにそこはスルーしておく。

 

「ふむ……そこは私がフォローしましょう。貴女が出るよりも私が出ていった方が少しは面識もあるでしょうし。何なら私を通して貴女の回復魔術で回復させればいい。大地のそのものの象徴である貴女ならあの程度の毒なんて何ということはないでしょう?」

 

 むう、まあいざとなったらワシが直接叩きのめせばいいか……。とシュオールは不承不承ながらもそれに頷く。腐敗竜と戦うことにより何か病気を受けても(少なくともエルは)彼女が何とかするつもりである。

 

「まーそれにしてもルトナの奴も結局反省しなかったようじゃな。混沌の力を手に入れたからと言ってワシに対して戦いを仕掛けて調子に乗り追ってからに……。反省するために封印させたんじゃがなぁ。」

 

それって長年ただ苦しめていただけなのでは……?貴女に対して恨み骨髄なのでは……?とティフォーネは思ったが、まあ(どうでも)いいか……。と思って彼女に対して突っ込みは行わないことにした。

 

 

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