「バベルねぇ……。由来はバベルの塔?」
「そうだ。バラバラになってしまった人々を今一度、一つにという願いを込めている」
「バベルはこっちにはない呪詛師集団だね。とりあえず、一緒に来てもらうよ」
「そう、だね。救援が来るまで、そちらにお世話になりたい」
「救援、来るの?」
「局長なら、あるいは……。そうだ、話し合いの前に」
そう言いながら、湊は機械を操作する。
「百鬼夜行・任務完了!」
「んっ」
その時、傑の大きなイヤリングが輝き、傑の呪力が大幅に減った。
「何した」
「呪力の封印だよ。任務は終わったからね」
「機械で傑の呪力を封印してるのか。それで傑に無理矢理いうこと聞かせてんの?」
「悟! 湊は私が7歳の時からのパートナーだよ。無理矢理なんてことないし、バベルのチームの指揮官はノーマルがする事が通例なんだ」
「傑くんとは信頼関係が築けてると自負してる。心情的に難しいかもしれないけど、百鬼夜行の指揮官は僕だから、交渉は僕とさせて欲しい」
「傑はそれでいいのか? 見えない奴に何がわかんだよ」
「そこはもう二十年前に乗り越え済みなんだよ。そもそもこれ、イヤリングだからいつでも外そうと思えばはずせるよ。ああもう、もう一度悟の説得しろってこと? 面倒だな」
「されたの? 説得」
「されてない。今だに移籍しろって言われてる」
「ダメじゃねーか」
「五条さん。とりあえず、子供達もいるし、移動しましょう」
「そう、だね」
無事、この世界の子供達を返し終わり、向こうの世界の子供達を一時的に預かることとなった。
湊の訴えは考慮される事なく、囚われた夏油に尋問が行われたのである。
「いや、指揮官の湊の判断じゃないと交渉も情報の開示も出来ないんだけど……」
ガチガチに拘束されて、困惑して夏油は言う。
「本気であんな男に従っているというのか」
「湊さんはちゃんとした指揮官だよ? シビリアンコントロールって局長は言ってた」
「エスパーとはなんだ」
「湊さんに聞いてくれないかな」
「呪力を防ぐ機械については」
「話を聞いてくれないかな。湊さんに聞いてくれないか?」
「秘密の条項についてはどうした」
「局長が十年かけてなし崩しに撤廃させた。湊さんの方が詳しい」
「局長の名前は」
「だから、湊さんに聞いてくれないか? あと、あんまり横暴だと逃げるからね」
「はっ この状態でどうやって逃げるというのか」
「まあまあ、傑。湊は湊で話聞くよ。でも全員に話聞いて当然でしょ?」
「そのわりには湊さんが雑に閉じ込められて放置されてるのなんで?」
「何故わかる!」
「話通じないなら、交渉の意味ないから、私たち逃げるよ?」
「伊地知、湊さん呼んで」
「よろしいのですか?」
「傑は呪霊から情報を得ることは出来ないんだよ。せいぜい祓われていないかどうかだけ。それでも情報を得られたってことはエスパーでしょ? で、六眼でおそらく超能力は見えない。多分、テレパシーかな? あと有名なのはサイコキノとか、テレポートとか」
「さすが悟。そうだよ、森田さんが私と子供達と湊の様子をみてくれてる」
「凄いじゃん。湊もエスパー?」
「湊さんはノーマル」
「力が全てとは言わないけど、それ成り立つの?」
「バベルはうまく回ってるよ」
湊が連れて来られて、夏油はほっとした顔をする。
それに何故か胸をムカムカとさせる五条だった。