Fate/ Geats Cross   作:蛇廻

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第十四話

「アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、セイバー、アサシン・・・・そして、バーサーカー」

 

最後の英霊であるバーサーカーを打ち倒したイリヤ達一同は崩壊しゆく鏡面界から無事に脱出し、ビルの屋上にて一息ついていた。そんな彼女達の前には、合計7枚のカード。

 

「全てのカードを回収完了・・・これで、コンプリートよ」

 

はぁああああ・・・・・と、一同は大きく息を吐く。7枚のカードを無事に全て回収できた、というのもそうだが、何よりあのバーサーカーを倒せたという事実に緊張の糸が一気に切れたのだろう。全員が床に座り込んでいた。

 

「・・・イリヤ、美遊、それとここにはいないけど、翔にも」

 

元々、この任務は凛とルヴィアの二人が託されたものだ。色々と計算外が起こり当初の予定とは大幅に狂ってしまったこの任務。その最たる例である三人に、凛は感謝を述べる。

 

「勝手に巻き込んでおいてなんだけど、あなたたちがいてくれてよかった。私たちだけじゃ多分勝てなかったと思う。最後まで戦ってくれて、ありがとう」

 

一般人であった三人を巻き込んでしまったことを全く後悔していないと言えば嘘になるだろう。しかし、だとしても、彼女達がいたからこそこの任務を達成することが出来た。凛は、心の底からそう感じていた。

 

「・・・それじゃ、このカードは私がロンドンに・・・・ん?」

 

カードを手に、立ち上がろうとする凛だが、その手の中からヒョイとカードが消失する。

 

「ホーッホッホッホッホ!!!最後の最後に油断しましたわね遠坂凛!!ご安心なさい!!カードは全て私が大師父の元へ届けて差し上げますわ〜〜〜!!!!」

 

「んなぁあああああああああ!!!!!!????」

 

一体いつ呼んだのか、いつの間にか来ていたヘリコプターから吊り下がる梯子に手をかけながら高らかに笑うルヴィア。結局のところ、この二人の関係性に関して言えば任務開始前から何も変わらなかった。

 

「ちょ、ちょっとあんた手柄独り占めする気かこの〜〜〜〜〜!!!!!」

 

「ホーッホッホッホッホ!!」

 

そうしてルヴィアはここから颯爽と逃走を開始。当然ながら、凛もイリヤ達そっちのけで追跡を開始した。

 

急展開についていけずにポカーンと取り残されるイリヤと美遊。急に静かになった屋上で二人は顔を見合わせる。

 

「・・・・帰ろっか」

 

兎にも角にも、ひとまず戦いは終わった。彼女達にとっては、今はそれだけで十分だった。

 

「あ、そういえば翔は一緒じゃなかったの?」

 

「翔は来ていないけど、家に残ってるんじゃないの?」

 

「いや、それが・・・・私が家を飛び出す時に翔にも声かけようと思って部屋を見たんだけど、中に誰もいなくて・・・・・てっきり一人で手伝いに行ったと思ってたんだけど・・・・」

 

「・・・・・いや、見なかったけど・・・・」

 

まさか別の場所で戦っているなどとは思ってもいない二人は、いない翔の行方に首を傾げる。とはいえ、二人には翔のいる場所など検討もつかず、探そうと思えるほどの気力も残っていないため深くは考えずに真っ直ぐと家と向かうのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

さて翌日の学校。ここ数日の中で一番心が軽く感じていたイリヤであったが、その真横にはなぜか美遊がピッタリとくっついていた。それはもう隙間なんてないぐらいに。その姿には流石のクラスメイトたちも何事かと目を疑う。

 

「えっと・・・・・二人とも、昨日喧嘩していなかった?」

 

クラスメイト・・・・特に友人一同が思っているであろうことを、真衣が代表して問いかける。

 

「いや〜・・・気のせいじゃない?色々と・・・・」

 

「一夜にして何というデレっぷり・・・・!!」

 

「おのれ〜イリ子のやろ〜!!俺たちの知らないところで美遊ルート攻略しやがったのか!!」

 

みんなどうにかして美遊とも仲良くなりたいと考えていたのだろう、知らぬ間に美遊との距離をかなり縮めているイリヤに憤慨する者まで現れる始末だ。

 

とは言え、今まではどこか近寄りがたい雰囲気があった美遊だが間にイリヤという仲介人が入ったことで、他の人たちもかなり接しやすくなった。ということで早速、仲良しグループの一人で一番のお調子者である嶽間沢龍子がここぞとばかりに美遊との距離を縮めようと接近する。・・・・・が。

 

「まーいいや!!ミユキチも丸くなったってことで、今後とも仲良くしていこーぜ!!」

 

「は?どうしてあなたと仲良くしなくちゃいけないの?」

 

龍子の手を振り払いながら真顔で言い放つ美遊。その冷たき眼には思わず見ていた者みんなの動きを止めてしまう。

 

「わたしの友達はイリヤと翔・・・・・達。あなたには関係ないでしょ?もうわたし達には近寄らないで」

 

なんともまぁ辛辣の言葉の暴力。直接言われた龍子はもちろん、すぐ近くで聞いていた真衣も、美々も、雀花も、そしてイリヤも一瞬のうちに凍りつく。

 

さて、このようなことを言われれば一体何が起こるか。人にもよるだろうが、まぁ当然・・・・・・

 

「う・・・・・うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

「た、龍子が泣いた〜〜〜〜〜!!!」

 

「み、美遊〜〜〜!!?」

 

「?」

 

泣き出す龍子。宥める雀花。イリヤは美遊に詰め寄り、それを不思議そうに首を傾げる美遊。

 

「わたしの友達はイリヤと翔で十分。今まで一人だったのが二人も増えたんだから、これ以上は必要ないでしょ?」

 

「何それ重っ!!?なんか友達の定義おかしくない!?」

 

「これは・・・聞いてた以上ね・・・・」

 

「はよ〜・・・・・何これどういう状況?」

 

「あ、翔。ねぇ、美遊がヤバいんだけど」

 

「ヤバい?美遊が?何が?」

 

「友達の定義っていうか・・・・なんていうか、主に常識?ちょっとどころじゃないんだけど」

 

「あ、翔!!ちょっと美遊に友達が何か教えるの手伝って!!」

 

遅れて登校してきた翔に助けを求めるイリヤ。美遊に”友達”という言葉の認識の修正を行おうとしているが、なかなかに苦戦しているらしい。

 

「ん〜。・・・あ、そうだ真衣。今日の放課後だけど」

 

「分かってる、空けてるわよ。なるべく早くしたほうがいいだろうし」

 

「だね」

 

「翔!!」

 

「今行くよ」

 

真衣との確認もほどほどに、少しイラつきも混じり始めているイリヤの叫びに応えて二人の元へと近寄っていく。兎にも角にも、戦いはひとまず終わった。おそらくは束の間であろうこの平和を堪能しようと、翔はイリヤと美遊を見るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

余談であるが、カードを奪い合うための追いかけっこを丸々一晩続けた凛とルヴィアであったが、なんやかんやあって大師父より一年の日本留学を言い渡された。どうやら彼女達との関係も、まだまだ終わらないようだ。

 

 

 

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