女傭兵は友と共に   作:ガスト

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機体のパーツ構成や武器選択は実際にクリアしたものを参考にして使っています。



第4話

 

「……」

 

 単機で複数機を相手取ると言うわけで背中の武装をプラズマミサイルから変更した。

 

 

右肩 SONGBIRDS(グレネードキャノン)

 

左肩 BML-G3/P05ACT-02(アクティブホーミングミサイル)

 

 先日のジャガーノート戦においてプラズマミサイルは目に見えた結果を残せなかった。重量増加に伴う機動力低下を懸念したが実践で使用してみて特に足を引っ張るものではないと判断。

 高い火力と爆風を誇るグレネードキャノンと高い機動力相手の敵にも対処できるようにアクティブホーミングミサイルを選択したのだ。

 

「時間だ…」

 

ーーーー

 

《621、準備は良いか?独立傭兵が単機で仕掛けてくるとは封鎖機構も想定していない。行ってこい、仕事の時間だ》

 

「了解、ハンドラー」

 

 ヘリから降下したレイヴンは着地する間もなく突撃する。

 

《証拠は残すな、目撃者は全て消していけ》

 

「了解、ハンドラー」

 

《コード15、侵入者を…》

 

 一番手前にいたSGの横をすり抜けると同時にショットガンが放たれ蜂の巣になったSGは黙る。

 ホーミングミサイルが発射され奥に配置されていた砲台を目指し破壊し、手前の砲台はグレネードキャノンで木っ端微塵に吹き飛ぶ。

 着地と同時にSGをパルスブレードで真っ二つにする。配置されていた防衛戦力を一瞬でほとんどを破壊したレイヴンは残りのSGに向かう。

 

《コード78、応援を要請》

 

《これは…本部と繋がりません!》

 

《応援は来ない。621、殲滅しろ》

 

「……」

 

 ウォルターの言葉が終わる前に最後のSGを切り裂いたレイヴンは次へと向かう。

 

《なんだこのACは!?歩しょ…》

 

 レイヴンは敵が反撃する前にアサルトブーストで砲台に急接近し切り裂き、グレネードキャノンで二つ目を破壊すると近くにいたSGをショットガンで蜂の巣にし残りを手早く片付けた。

 

《仕事が速いな621。マーカー情報を更新する。指定する方向へ迎え》

 

 指定された高台に向かうとそこには海の上に浮かぶ施設が見える。

 

《見えるか、あれがウォッチポイントの制御センターだ。目標はその内部にある。侵入しろ》

 

 アサルトブーストで一気に接近し施設のある土地に足を踏み入れるとオープン回線で聞き馴れない声が聞こえてきた。

 

《ウォッチポイントを襲撃するとは…相変わらずだな、ハンドラー・ウォルター。また犬を飼ったようだが、何度でも殺してやろう》

 

 素早く周囲を探敵すると施設の上にACが1機、こちらを見下ろしていた。そのACは施設から飛び降りるとこちらに向けて加速してくるのだった。

 

《おまえはスッラか?》

 

《そこの犬、同情するぞ。飼い主が違えばもう少し長生きできたろうに》

 

「っ!?」

 

 クイックブーストで避けるがそのままの勢いで蹴られるレイヴンは少し驚きながらも体勢を建て直し、距離を取る。

 

《「C1-249 独立傭兵スッラ」第1世代強化人間の生き残りだ。…やれ621さもなければお前が死ぬことになる》

 

 物陰に一旦、身を隠すと思わせスッラに急接近すると蹴り飛ばす。

 

《ふっ、意趣返しか?面白い犬を飼っているじゃないか。ハンドラー・ウォルター》

 

 バズーカとパルスガンを避けつつ、ミサイルを撃つが簡単に避けられてしまう。後退しつつ機を伺っていると背後をミサイルが通りすぎた。

 

「っ!」

 

 すぐさま、跳躍しミサイルが通った軌道を避けるとそこが連鎖的に爆発する。

 

「…爆導策」

 

 バズーカといい変化球的な武装が多い。余裕綽々と言った言動に対して戦い方はかなり用意周到だ。

 

《619と20はどうした?死んだか?私が殺ったのは何番だったか?》

 

《奴の言葉に構うな。集中しろ》

 

「……」

 

 レイヴンに対して揺さぶりをかけてくるスッラに心配するウォルターだったがそれは杞憂であったと分かる。

 レイヴンは三角飛びの要領でスッラに近づくとそのまま蹴り、パルスブレードてスッラの左手首を切り裂いたのだ。

 左手とパルスガンは宙を舞い、虚しく地面に落ちる。

 至近距離で向けられたショットガンをスッラは残った左腕で殴り銃口を明後日の方向に向かわせる。そのせいでショットガンの銃弾は虚空を撃ち抜いた。

 

《この感じは第4世代か上手く育てれれば優れた猟犬になる。不憫なことだ、ここで死んでしまうとは》

 

「……」

 

 スッラは爆導策でレイヴンを追い込みプラズマミサイルを当てる。その爆発を目隠しに一気に加速、蹴りでレイヴンを壁に叩きつけ、ゼロ距離のバズーカでとどめを刺そうと接近したがそこにはレイヴンの姿はなかった。

 

《後ろだと》

 

 いつの間にか真後ろにいたレイヴンはスッラのブースタと右腕を切り裂くとショットガンの銃口で殴られ自分が壁に叩きつけられる結果になった。コックピットに銃口を押し付けられる。

 廃部の武装も壁に強く叩きつけられたせいで使い物にならない。

 

「不憫なことだ、ここで死んでしまうとは」

 

《ふっ……。ハンドラー・ウォルター、ウォッチポイントだけはやめておけ…》

 

 そんなスッラの言葉を最後にレイヴンは引き金を引く。ショットガンの銃弾は機体を貫通しコックピットを蜂の巣にするとACは爆発しだたのスクラップと化す。

 

《…敵ACの撃破を確認した。621、奴のことは気にするな…だがよくやった。仕事に戻るぞ、センター内部に侵入し目標を破壊しろ》

 

「了解、ハンドラー」

 

 センター内部に侵入し地下深くに設置されたデバイスを破壊すると施設の機能が無くなったのか機器類が停止していくのが見るだけで分かる。

 

《621、よくやった。仕事は終わりだ、帰投しろ》

 

「了解、ハンドラー」

 

 大きく息を吸い、呼吸を整えていると機体が小さく振動していることに気づく、振動計を確認するとその揺れは大きくなっているのが分かる。

 

《これは!?》

 

 なにかが地下から沸き上がってくるような振動。

 

《まずい、待避しろ621!》

 

 地下から爆発的に混み上がってきたコーラルの本流に飲み込まれ、レイヴンは気を失うのだった。

 

ーー

 

 まるで宇宙で漂流しているかのような感覚を感じながら真っ暗な空間にいる。そんな暗闇の中でレイヴンは小さく光るものを咄嗟に掴んだ。

 

〈あなたは…?〉

 

「…」

 

〈第4世代 旧型の強化人間 あなたには私の「交信」が届いているのですね〉

 

 謎の声に頷くレイヴン。

 

〈私はルビコニアンのエア。目覚めてください、あなたの自己意識がコーラルの流れに散逸するその前に〉

 

 その声とともに視界が紅く光った。

 

ーー

 

「っはぁ!」

 

 息を大きく吸うと同時に意識が目覚め、自身がACのコックピットにいることを確認する。

 

《強化人間C4-621 生体反応を確認》

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

 呼吸が安定しない、手の震えが止まらず視界はぐちゃぐちゃ、まともに歩きすらできない有り様だった。

 

《オートパイロットを解除。ハンドラーへの通信を接…》

 

〈レイヴン。敵性機体の接近を確認しました〉

 

 揺れた視界で確認できるほどの大型機は目の前に降り立ち戦闘モードに移行する。

 

〈あなたの脳波と同期し「交信」でサポートします〉

 

 敵は無数のミサイルを発射しレイヴンを殺さんとするがレイヴンもアサルトブーストで一気に機体を加速させパルスブレードでシールドを斬りつけるとそのまま通りすぎる。

 

 レイヴンの条件反射によって繰り出された攻撃はバルテウスを一瞬だけ困惑させ待避を遅らせることに成功する。

 すると追尾してきた自身のミサイルがシールドに直撃し負荷が一気に押し寄せてくる。

 

〈通信回線は一時的に切断しています。あなたは致死量に近いコーラルを浴びた直後。今は、戦うことだけに集中してください〉

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

 ランダム回避軌道を取って回避しつつ、息を整えようと必死になるがバルテウスは構うことなく攻撃してくる。ミサイルのロックオン完了音がなった瞬間にミサイルを放つ。

 

〈レイヴン、なにを!?〉

 

 絶え間なく操作しながらヘルメットを脱ぎ捨てると無針注射を首に突き立てる。カシュッという音がなると注射器を投げ捨て機体を加速させる。

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

 息は荒れているが眼球の揺れが収まり視界が安定し、手の震えも微弱なものになる。

 

〈惑星封鎖機構の無人機体「バルテウス」ダメージを与えるためには展開しているパルスアーマーを剥がす必要があります〉

 

 バルテウスの姿勢制御のための一瞬の停止を狙ってグレネードキャノンを撃ち込むとパルスアーマーか消失する。

 

〈パルスアーマー消失。今です、レイヴン〉

 

 ミサイルを放ちながらアサルトブーストで接近するがバルテウスは大きく下がりパルスブレードが空を斬るが放ったミサイルが直撃し胸部の装甲を破壊する。

 両腕の三連装ガトリングを放ちながら下がるバルテウスを逃がすまいと距離を詰め続ける。

 パルスブレードを展開しながら突っ込んだ時に奴は迷わず後退を選んだ。つまり明確な近接兵器が手元に無いと言うことだ。

 

「はぁ!はぁ!?」

 

 パルスアーマー展開の予兆を感じ大きく下がる。本来なら展開するアーマーのギリギリ外へと退避するのだが手の震えが収まらない以上、繊細な操作ができないため大きく下がる他なかったのだ。

 だがその着地を狙うようにグレネードが飛来する、直撃コースだ逃げられない。

 

「はぁ!は、はぁ!」

 

 レイヴンはショットガンを投擲しグレネードの弾頭に当てると空中で爆散する。無傷とは言わないが最悪の状況は回避できた。

 お返しとばかりにグレネードキャノンでバルテウスの視界を奪うと施設屋上から飛び降りた。

 

〈レイヴン、バルテウスの機動力相手では離脱は不可能です〉

 

 着地前に手早く周囲をスキャンし目当てのものを見つけると拾い上げる。

 

〈それはパルスガン。そんな物がこんなところに〉

 

 対パルスアーマー兵器と言っても過言ではないスッラの持っていたパルスガンを手に入れたレイヴンは追撃してきたバルテウスと再び対峙する。

 パルスガンの威力は絶大であっという間にパルスアーマーを剥がしてしまう、追撃にパルスブレードを振るうがまたしても避けられてしまう。

 だが退避先にグレネードキャノンを撃ち込みバルテウスは大ダメージを受けてしまう。

 

〈この波形は…!?危険です距離を!〉

 

 バルテウスのアサルトアーマー展開で施設正面に配置されていた監視塔等の物陰が吹き飛び更地と化してしまう。

 そして放たれる火炎攻撃により装甲が赤色化し、頭部カメラユニットが損傷てしまった。

 

〈機体の負荷が限界域に近づきつつあります。残りの各武装も10%を切っています!〉

 

 機体は限界、パルスガン含め、全ての武装の残弾も心もない。 次で決めるしかないと覚悟を決める。

 ミサイルとグレネードキャノンで敵を牽制しつつパルスガンを浴びせ三度目のパルスアーマー剥がしを成し遂げる。

 

「はぁ!はぁ……っ!」

 

 鬱陶しい荒い息を無理矢理止めると、パルスガンを投げ捨て、グレネードキャノンとアクティブホーミングミサイルをパージしパルスブレードのみになったレイヴンはブースタを全開にし、アサルトブーストを仕掛ける。

 バルテウスもその意図を察したようで両腕の三連装ガトリングガンを放ちながら後退する。

 

〈機体損傷拡大、機体限界域です。脱出も視野に!?〉

 

 それでも止まらないレイヴンを見てグレネードを発射する。

 

「遅いわぁ!」

 

 ドスの効いたレイヴンの叫び、グレネードを右腕で受け止め、衝撃で右腕が吹き飛ぶが気にしない、ブースタの悲鳴を無視して突っ込みバルテウスと自身のACの頭部同士がぶつかり合い二機とも頭部が吹き飛んだ。

 メインカメラからサブカメラに移行する一瞬の隙を突いてパルスブレードをバルテウスの胸部に深々と突き立てた。

 

「ここで死ねぇ!」

 

〈バルテウス、本体ジェネレータ損傷。出力が低下しつつあります!〉

 

 火花を散らしながら突き刺さったブレードを引き抜こうと両手で左腕を掴まれるが構わずアサルトブーストで一気に後退、左腕を自力で引き千切り、ドロップキックを打ち込むと突き刺さったブレードがバルテウスのコアユニットを貫く。

 するとバルテウスの各所から爆発が起こり、地面に墜落するのを先に着地したレイヴンは見届ける。

 

〈…敵機システムダウン。完全停止です〉

 

 コックピットハッチを解放し外気を大きく肺に取り込むとハッチの先で腰を下ろす。降り注ぐ雨など全く気にならず、むしろ火照ったからだにはちょうどよかった。

 

〈レイヴン、あなたには休息が必要です〉

 

「あぁ…」

 

〈それから、あなたが巻き込まれたコーラルの逆流。あれは…予兆に過ぎません。ルビコンを焼き払う、炎と嵐の〉

 

 視界に広がるのは夕焼けのような紅い空、それは陽の光によるものではない。なにかがうねるように空を漂っている、それがコーラルと言うことは本能的に理解した。

 

「疲れた…」

 

 静にそう呟くレイヴンは煙草に火をつけて一服する。そして、こちらに向かってくるヘリを静かに眺めるのだった。

 

 

 

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