女傭兵は友と共に   作:ガスト

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第5話

 

 

 ウォッチポイント襲撃から数日、レイヴンはコーラルを大量に浴びたことによる被害でベットから動けなくなっていた。オールマインドが手配した医者やウォルターの看病により後遺症なく復帰できるようになったがそれでもかなりの負荷がかかっていた。

 その間にもウォルターは集積した情報を企業に渡し、パトロン探しを行いレイヴンの復帰頃に場が整うように調整を行っていた。

 

(強化人間はコーラル耐性が高いとはいえかなり重篤な状況でした。現状を考えるとあの時、バルテウスを倒せたレイヴンはかなり強いのですね)

 

「…分からない。必死だった」

 

(火事場の馬鹿力と言う奴でしょうか。しかしウォルターに私の事をコーラル大量接種による幻聴と話したのは失礼ですね。私をコーラル中毒者と同じ幻聴にするのはいただけません)

 

「実際に幻聴では?」

 

(レイヴン…)

 

「…すまない」

 

(しかし状況を考えればそう判断するのは仕方ないと言う事も理解してますので今回は許します)

 

「…ありがとう」

 

 この数日間、エアと名乗る幻聴こと交信を行っている女性は隙あれば話しかけてきており、あまり話してこなかったレイヴンにとっては少し口が疲れてくるぐらいには疲れる作業だった。

 

(ウォルターが手配したようであなたの機体は完全な状態で修復されています。と言っても新しく買い直したと言う方が正しい表現かもしれません)

 

「…あの機体ではもう戦闘は無理だろうからな」

 

(機体各所が悲鳴を挙げていましたので仕方ありませんね。私個人も調べさせて頂きましたがシュナイダーの42Zの運動性能は他パーツと比べても突出していますが耐久性能にやや難ありです。バルテウス戦のデータからして42Eが良いかと思われます。Zに比べて運動性能はやや劣りますが頑丈です。レイヴンは足癖も悪いのでその方がいいかと)

 

「…分かった、次はそれを使ってみる」

 

(懸命な判断ですレイヴン。こちらの方で手配しておきます)

 

「…ありがとう」

 

 そう言うとレイヴンはベットから立ち上がり、杖を持つと歩き始める。ほぼほぼ、完調とはいかず。若干、足が動かないためこうして杖を使っているのだ。

 

ーー

 

(レイヴン、ベイラムから中央氷原の件で依頼が来ているようですが)

 

「…ハンドラーの指示は待機だ」

 

 食事をしながらエアと話すレイヴンは目の前でパーツ感想が終わった機体を眺める。

 

(ハンドラーが指示したのは休めだった筈です。身体的な休養は十分の筈です。あなたが浴びたコーラルは毒ではない、力になるものです。私同様…試してみませんか?)

 

「…試す?」

 

(ベイラム・インダストリーからの依頼でウォルターが持ちかけた中央氷原におけるコーラル集積状況、その確証を得るため あなたに先行調査を依頼依頼したいとのことです。広大なアーレア海を越える手段ですが。グリッド086の上層区画に備え付けられた大陸間輸送用カーゴランチャー、これを使い中央氷原へと向かうことを提案します)

 

 勝手に始まったエアのブリーフィングを黙って聞くレイヴンはそのまま食事を続ける。

 

(グリッド086は「ドーザー」と呼ばれるコーラルを向精神薬として扱うならず者の巣窟です。中でも「RaD」を名乗る一派は非常に好戦的な武器商人でもあり、道中は危険を伴うでしょう。しかししょせんはドーザー、あなたのリハビリ荷はうってつけの相手だと判断します。サポートは私が行います。どうでしょうか?)

 

「……」

 

 食事を終えて水を飲み干すと暫く黙り混む。

 

「…いずれ向かう依頼だ」

 

(ありがとうございます、レイヴン)

 

「…ヘリの手配は?」

 

(私が全てしておきます。レイヴンは仕事に集中してください)

 

 こうして言われるがままに任務が開始されるのだった。

 

ーー

 

(これよりグリッド086に侵入します。システムにバックドアを作成。垂直カタパルトロック解除。スチームシリンダー接続…射出します)

 

 エアの指示通りにグリッドに侵入したレイヴンは久しぶりに触る機体を動かす。

 

(さぁ、レイヴン。仕事を始めましょう)

 

 侵入早々、防衛用のMTが襲いかかってくるが今まで見てきた企業のMTとは全く違う。

 大量のミサイルが襲いかかってるがそれを回避し踏み台にしたりショットガンが粉々にしたりと着実に破壊していく。

 

(流石は武器商人と言うべきでしょうか。独自改造を施したMTがお出迎えとは)

 

「…」

 

(レイヴン、体の調子はどうですか?)

 

「…問題ない」

 

 ミサイルMT部隊を突破するとACが目の前に降り立つ。

 

《なんだぁ、見ねぇツラだなぁ。ここが誰のシマだか分かってんのか?》

 

 敵ACはチェーンソーを回転させながら急接近してくる。

 

《ボス、見ててくださいよ。この無敵のラミーが客人をもてなしてやりますんで!》

 

 突き出されるチェーンソーを避けるとパルスブレードでマッドスタンプの左腕を斬り飛ばす。

 

《え?》

 

「うるさい」

 

 接射されたショットガンはマッドスタンプを蜂の巣になり、吹き飛ばされる。

 

《俺のマッドスタンプがぁ!》

 

(…敵ACを撃破)

 

 エアとレイヴンが興味無さそうにマッドスタンプの残骸を見ているとどこからか声が響き渡る。

 

《ビジター!好き勝手やってくれるているようだね。私ら「RaD」は来るものは拒まないのがモットーだ。せいぜい歓迎しようじゃないか》

 

(なるほど、せっかくです招待に応じましょうかレイヴン)

 

「…あぁ」

 

 開け放たれたハッチを飛び出し展開している改造MT部隊を蹴散らしつつエアが情報を収集し、報告する。

 どこからその情報を集めてきているのか分からないがこの時点でエアの優秀さがよく分かる。

 

《待ってたよビジター。約束通り歓迎しよう》

 

 改造MT部隊を殲滅した後に現れたのは謎の丸い物体、それは団子無視のように開き、その見た目からは想像もできない弾幕を展開する。

 

「っ!?」

 

 意表を突かれ驚くがすぐに背後に回り、襲ってきた二機を破壊する。

 

《へぇ、やるじゃないか》

 

 手早く片付けたレイヴンはドーザーの拠点内に侵入し奥へと突き進む。途中で待ち伏せするMTたちを難なく退けていく。

 

《どいつもコイツも不甲斐ないね。あんた一人を雇った方が安くつくんじゃないかと思えてきたよ》

 

 恐らく最終防衛線と思われる広場に到着したレイヴンは手早く近づき、MTを切り裂いていると。

 

《歓迎の花火がまだだったね》

 

(レイヴン、上です!)

 

「?」

 

 頭上から迫ってきていたのは巨大な燃料タンク。

 それを目の前にいた四脚MTを足場にして避けると展開していたMT部隊が吹き飛ばされていく。

 

「……」

 

(仲間ごと…)

 

 爆発の余波で体勢を崩していた四脚MTに止めを刺すと。

 

《分かった。あんたの実力は分かったよビジター。降参するよ、これ以上は割りに合わないからね。通してやるよ、行きな》

 

(次はどうゆう意図でしょうか。進みましょうレイヴン)

 

 機体状況を軽く確認すると機体を前に進める。

 

《ビジター、あんたは向こう見ずだね。でも、嫌いじゃないよ…でも、さよならだ》

 

 奥のハッチが開くと巨大なマシンが起動しこちらに向かって突っ込んでくる。それを大きくジャンプし避けるレイヴン。

 

(やはり罠でした。流石はドーザー、評判どおりです)

 

 エアの冷たい言葉と共に巨大マシンが襲いかかってくる。

 作業アームによる攻撃を避けながらも攻撃を加え、弱点を探す。

 

(レイヴン、敵は作業用の無人機ですが強固な装甲に身を覆っています。撃破は難しいかと)

 

「なら目を潰そう…」

 

 するとレイヴンは頭部らしき部分にあるセンサー類を破壊するとクリーナーはこちらを見失い、動きを止める。

 それと同時に機体を一気に加速させクリーナーの右腕の間接部にミサイルとグレネードを当てながら接近しショットガンで追い討ちをかけるとパルスブレードで右腕の間接を破壊する。

 

(これは!?)

 

 振り上げていた右腕の間接はその自重を支えられなくなり、クリーナーの頭部に落ち、その破砕アームは自身を破壊する武器となってしまった。

 

《クリーナーが…》

 

 クリーナーは自身の溶鉱炉から火山弾のようなものを吐き出しながら抵抗するが動けるほどの余力はなかった。破砕アームによって抉れた傷口にミサイルとグレネードをたっぷり撃ち込めばクリーナーはその機能を停止させることになった。

 

《…ビジター、私たちは不幸な出会いだった。あんたとは仲良くした方が賢明みたいだね。上層に行くんだろう?案内しようじゃないか》

 

 動態センサーの反応を頼りに広い空間の天井部分を見ると女性が堂々とこちらを見下ろしていた。

 

「この、灰かぶりのカーラがね」

 

 

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