ですがここからある程度動いていきます。
西暦2142年
6月10日
地球連邦軍と第三帝国との戦いの舞台は、地上から宇宙へと移りつつあった。
連邦軍は手始めに、敵の重要拠点である『宇宙要塞ソロモン』の攻略に動き"チェンバロ作戦"が発令された。
これに対して日本宇宙海軍は高杉中将麾下の「高杉宇宙機動艦隊」を派遣、陣容は以下の通りである。
高杉宇宙機動艦隊
旗艦:宇宙戦艦 敷島
戦艦:比叡・霧島
空母:赤城・加賀・飛龍・蒼龍・瑞鶴・翔鶴
巡洋艦:鳥海・摩耶・利根・筑摩
駆逐艦多数
高杉艦隊は先のオデッサでの戦闘の後一部に改装を施し、空母群からは両舷の主砲が撤去され搭載スペースの確保と同時に機関周りにも若干手を加えられるのだった。
6月15日
大気圏外は出た艦隊はソロモンより350宇宙海里程の地点へ向け短距離ワープで一気に進軍。
この時点で地球連邦軍も同じ距離まで進軍しているが、日本海軍の脅威的な進軍スピードに目を丸くするのだった(※この時点でも波動エンジンについては知られていない)。
高杉艦隊は連邦軍とは別に、単独で行動するがその様相は相手側からすればまさに"絶好のカモ"。ソロモン防衛隊は直ちに艦隊を派遣するが、前々から知られている日本海軍の謎の強さを警戒し新型のMA-05 ビグロを多数差し向けるのだった。
6月17日
ソロモンより270宇宙海里まで接近した高杉艦隊は、タキオンレーダーに接近する艦隊とMS群を捕捉。
高杉はこれに対して迎撃機の発進を指示、六空母より発進したのはヘビーガン。
この時期日本軍ではMSの複数種の同時運用にはコストが掛かり過ぎるという結論から、一部の機体の生産を中止し製造面・コスト面・運用面いずれも定評のあるヘビーガン・Gキャノンにのみ生産を絞り込んでいた。
宙域には例に漏れず、ミノフスキー粒子が充満していたが強力な波動エンジンがこれを吸収・エネルギーへと変換していた。
ここでさらに、波動エンジンによるミノフスキー粒子濃度の低下が及ぼす戦闘への影響にも触れておこう。
MSの主動力である《ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉》はミノフスキー粒子を用いて稼働がされると同時に自己発生も可能、同粒子散布下に上げる有視界戦闘を可能としている。
だが、これを吸収されてしまった場合果たしてMSは戦闘できるのか?についてだが波動エンジンが吸収するのは周辺の散布されたものにのみ限るので、仮に濃度が低下してもMSの使用するビーム兵器には然程影響はないのである。
発進した部隊は、Yウィング:EWACタイプの先導の下敵部隊と接敵。
敵の中には新型のMS-14ゲルググの姿も僅かながら確認された。
しかし何も練度の高いパイロット達とヘビーガンの敵では無く、5分と経たずに第一波は全滅。
だが敵側も馬鹿ではないようで、密かに第二波を別進路から送り込んでおり、艦隊へと迫りつつあった。
艦隊前衛で警戒していた利根のタキオンレーダーが敵機を捉えたのは第一波撃退から3分後。
高杉中将は予め予想しており、直様対空戦闘を指示。
比叡・霧島及び、重巡・駆逐艦の波動共鳴装置が作動し波動防壁を展開、それと同時に各艦に備え付けられたパルスレーザー砲も動き出す。
果たして、補足から5分後。
敵第二波が接近、4隻の重巡が20.5cm砲で対空戦闘もこなしつつパルスレーザーを撃ちまくる。
六空母も両舷16基のパルスレーザーを忙しなく撃ち続ける。
凄まじいレーザーの弾幕に敵MSはたちまち爆散・大破させられる。
だがここでアクシデントが起こる。
突如赤城・加賀両艦の波動防壁が解け始めた。
理由としては新設した波動コイルが上手く作動し切れておらず早々にオーバーヒートを起こしたというもの。
そこへリックドムが赤城へ真上より急接近、パルスレーザー砲で撃墜するも直前に放ったシュツルムファウストが後部昇降機に直撃、幸い火災は甲板だけで済んだ。
今度は加賀に密か戦場入りしていたビグロ3機が下方より接近、パルスレーザーの死角であった為応戦できず船体にメガ粒子砲を喰らう。
左舷に三発ずつ受けた加賀は速力を落としながら左へと傾けていく。
高杉はこれに対して乗員に速やかに退避命令を出すよう加賀艦長に命ずる。
だがそこへ第三波と反転したビグロが前方より接近、高杉は残りの四隻をやられる訳にはいくまいと座乗艦敷島を艦隊前衛に押し出す。
前衛に出た敷島は主砲を持ち上げ、砲口を敵群へ向ける。
敵側は“何をしているんだ?”と呆気に取られる中、直後敷島の前部46cm砲六門が一斉に火を噴く。
それからコンマ数秒後、敵MS群は突如目の前を青白い閃光に閉ざされると同時に飲み込まれ消滅した。
これが日本宇宙海軍の新たに開発した「重力子スプレッド弾」であった。
・重力子スプレッド弾
波動砲の予備チャージエネルギーを活用した際に確認された重力フィールドを特殊な砲弾に充填したもの。
攻防一体型兵装で、攻撃に使えば小惑星帯を吹き飛ばし、防御に使用した場合はまだ未知数ながらもコロニーレーザーをも防ぎうるとのこと。
波動砲を搭載していない艦艇やその他の艦艇での運用も可能で長門型以下10隻、及び敷島や日本武尊への搭載が決定されている。
この戦闘で高杉艦隊が被った被害は、空母赤城が中破。同じく加賀が大破という決して無視できない被害であった。
これを受けて高杉中将は、乗組員への訓練の徹底的な実施を念を押して命ずるのだった。
一方で、MS群を送り出した敵艦隊は味方の全滅に対し得られた戦果が空母一隻が大破もう一隻の中破という不釣り合いな損害に驚愕。
艦隊司令は宙域からの離脱を命ずるもそれは叶わなかった。
果たして突如艦隊右舷より超至近距離からミサイルが出現、回避運動の為に舵を切るも舵が効く前に全艦に漏れなく命中する。そして命中から30分後艦隊は全滅。
これは周知の通り、紺碧艦隊による雷撃によるものである。
その後到着は遅れたもののソロモンは陥落、帝国の同盟関係にあるサイド3まであと一歩にまで連邦軍が迫ってきたということもありヒトラーは自ら前線に赴き『ア・バオア・クー』で指揮を取る。
それから訳半月後の7月5日
ヒトラーが最前線に出ているという情報をキャッチした連邦軍は直様出撃、満を辞して「星一号作戦」を発令した。
これに対して日本海軍はというと主力艦艇へのオーバーホールの実施中ということで重巡6隻・軽空母3隻・駆逐艦12隻・空母1隻という数の少なさであった。
敵味方双方の戦力が集中ということもあり、戦闘は激化し半日以上にも及んだが、突然指揮系統の混乱が見られ連邦軍はそこから切り崩すように攻め込んだ。
そして敵の強靭な防衛網を突破し、ア・バオア・クーに上陸。
敗戦一色となったことでヒトラーはサイド3へ後退しグラナダに分散してあった戦力を再編成し、再び戦いを挑むべく脱出を試みた。がしかし、脱出直前乗艦のザンジバルのブリッジ正面に何の前触れも無くミサイルが出現しブリッジに直撃し彼諸共消し去った。
こうして、指導者不在となった戦場はしばらくの戦闘ののちに停戦。
宇宙要塞ア・バオア・クーは陥落し、星一号作戦は終了を迎えた。
この戦いの後の8月15日、グラナダにて地球連邦政府と帝国内部の穏健派による臨時政府ジオン共和国との間で終戦協定が結ばれ、2年以上に渡る戦争は終わった。