地球暦 2147年
『地球連邦』に変わり『地球連合』が発足して早二年、地球人類の様相は劇的に変化していた。
かつては互いの主導権を争っていた宇宙と地球に住む人々であったが、まだ見ぬ外宇宙・未知の脅威が双方を固く結び付けるに至った。
当初は若干ながらギスギスした空気もあったが、今では殆ど見られない。
地球圏はいたって平和である。
だが………
日本国 首都:東京都
宇宙海軍省 総長室
高野(地球圏の脅威は去った…だが………)
[日本宇宙海軍軍令部総長 高野五十六]は先の紺碧会の新たな議題として上がっていたテーマについて考え込んでいた。
高野(この宇宙には、まだ見ぬ脅威があり過ぎる……特に……)
ふと彼の頭に一つの単語が浮かび上がった。
高野(ガトランティス帝国……か)
転生者達の間で持ちきりとなっていた話題がこれである。
時代的にまだ来るのは先だろうと予想していたが、ヤマト率いる調査船団がマゼラン方面からの帰路にて、遭遇戦を起こしたという。
これに関して紺碧会の中では現在、緊急で対策が練られている最中であった。
幸い、存在自体は各国の軍上層部にも届いている為連携は取りやすい。
が問題は対応策である。
二つの世界ではどちらも第十一番惑星から侵攻されている。
だが敵の本星が土星沖に出現するとあっては無視できない。
過度に戦力を集中させ過ぎていては敵に警戒される可能性があるし、かと言って戦力を減らすと防衛が手薄になる。
高野「やむを得ないか……」
後日対策案が完成し、第十一番惑星に敵の侵攻があった場合は航宙保安庁からの通報を受けてアメリカ軍の基地がある冥王星より艦隊が急行する形に、土星沖には東郷兵八郎少将座乗の敷島を旗艦とする多国籍艦隊を布陣させるに至った。
それから訳三ヶ月後………
土星沖
第十六多国籍艦隊 旗艦:敷島
「司令、やりました!冥王星から発進したリーガン艦隊が十一番惑星に侵攻した敵の大群を圧倒しています‼︎」
通信長の話を聞いた艦橋内では歓喜に満ちていたが、艦隊司令の東郷は静かに頷くだけであった。
東郷(情報通り敵は十一番惑星に侵攻した、が……)
顔を上げてディスプレイに映る自軍の艦隊を見て思った。
東郷(果たして、この後来るであろう敵の艦隊に我々は勝てるだろうか…)
艦隊編成
旗艦:戦艦敷島
戦艦:サウスダコダ・ミズーリ・ドレットノード・タイガー・レパルス
巡洋艦:ミネアポリス・デモイン・酒匂・青葉・鳥海・ノーフォーク
戦闘空母:インディペンデンス・アークロイヤル
駆逐艦:多数
一応の波動砲は搭載しているが、いかんせん数は足りない。
敵の侵攻が確認され次第直ちに警報を発令できるようにされているが不安は残る。彼とてこの敷島を信用していないでない。
だが不安というのは当たって欲しくない時ほど当たるものである。
「前方に空間歪曲波のエコーを確認‼︎」
東郷「来たか……総員戦闘配置‼︎」
けたたましく警報が各艦内鳴り響く中、前方に健御雷に匹敵しうる巨体を持つ空母と思わしき艦と補助艦艇が多数ワープしてきた。
東郷「通信!直ちに全軍に警報を発令しろ![土星沖ニ敵有リ]だ‼︎」
「了解‼︎」
「敵艦より艦載機らしき物体が発艦していきます⁉︎」
メインパネルに映る敵艦を見ると船体が回転し甲板上にあった剣状の飛行物体が離れ、こちらへと向かってきている。
東郷(い、いかん‼︎)
東郷は本能で不味いと直感し波動防壁を展開させる。
だが迫り来る物体に対し、インディペンデンス・アークロイヤルより発艦したジェガン・ZプラスC1・ジムⅢが果敢にも戦闘を挑んだ。
ジェガン・ジムⅢはビームライフルやサーベルを駆使してなんとか撃退する。
一方、Zプラスは戦闘機の如き立ち回りをしつつ高火力のビームスマートガンで瞬く間に破壊していく。
しかし彼らの奮戦虚しく突破した物体は駆逐艦・巡洋艦部隊に襲いかかる。そしてなんという事か、波動防壁を貫通して船体を串刺しにして道連れにしていきミネアポリス・酒匂・ノーフォークと駆逐艦の殆どが犠牲になった。
東郷「すまん……」
今の所主力に被害は無いが、次は自分らの番だと東郷も予感していた。
現に大型空母に続いて多数の戦艦がワープアウトしてきて臨戦態勢に入っている。
東郷「もはや波動砲をチャージしている時間も無いか……腹を括って行くか……」
東郷が覚悟を決めたその時。
「司令!我が艦隊の後方に艦艇が出現‼︎」
東郷「何っ⁉︎数は‼︎」
「3隻…ですが、識別ではいずれも味方です‼︎」
東郷「なんだと……ではまさか……‼︎」
全長は1,155.0メートル。 翼長548メートル、高さ268メートル。白い船体の上面中央部や両翼部分に赤いマーキングが施された楔型の船体に、エンジンが搭載された船尾が太く、船首に向かって尖ったデザインになっていた。ふたつのブリッジは艦尾から隆起した上部構造物に設けられた、今は亡き銀河共和国最大の戦艦[ヴェネター級スターデストロイヤー]であった
3隻の中央でまた最も前衛に出ていた旗艦「メリーランド」の艦橋には紅玉艦隊司令の川崎弘が仁王立ちしていた。
川崎「どうやら我々が一番手のようだな」
自信ありげに答える川崎だが無理もない、このヴェネター級3隻は昨年末に第十一番惑星で発掘されたオーパーツに近しい代物であり一時は宇宙海軍に組み込もうという話もあったが、これ程の巨体を維持・運用する資金は今の地球にはない。
人員の方はカーボン冷凍されていたクローン兵らの協力を受けて現在試験的に運用がされてた。
「提督、敵艦射程に入りました」
川崎「よぅし結構。ガトランティス相手に何処までやれるかは分からんがやってみよう。各部ターボレーザー砲、発射‼︎」
ヴェネター級の主砲であるDBY-827重ターボレーザー砲塔8基が独特の発射音と共に青色のレーザーを連続して発射する。
威力で言えばショックカノン砲には劣るが、それでもかつて使用していたメガ粒子砲や陽電子砲に比べたら遥かに強力である。
突如として現れた巨艦から浴びせられる砲撃にカラクルム級も応戦しようとするが、それを食い止めたのが東郷少将ら多国籍艦隊であった。
隙を見せた敵艦に対し46cm砲を絶え間無く浴びせ続けて瞬く間に数隻を撃沈破する。
東郷「これで彼らの仇は取ったな……!」
多数のカラクルム級が撃破されたことを受けてガトランティス艦隊の隊列に乱れが生じた。
それを見逃さなかった川崎は艦載機の発艦を指示した。
船体中央のメインハンガーより、クローンパイロットらの駆るT-70 Xウィング:スターファイター・Yウィング:スターファイターが次々に発艦。
飛び立ったスターファイター隊は、先にMS隊が制空権を確保していたということもあって安易とガトランティス艦隊へと肉薄する。
カラクルム級やメダルーサ級が対空砲撃を加えるも、いかんせん数が多いことに加えて、パイロット達の腕もよかったこともありこれもいとも容易く突破。
至近距離まで接近すると各機プロトン魚雷・震盪ミサイルをお見舞いする。
プロトン魚雷や震盪ミサイルを受けたアポカリプス級やカラクルム級、メダルーサ級は悉くが破壊されていった。
敵艦隊を一掃したことに防衛艦隊は再び安堵するが、そこへ突如目標とされていた白色彗星が現れた事で再び絶望の淵へと追いやられる。
がここにきてようやく味方の地球連合の艦隊が続々と到着する。
余りの大きさに一同は息を呑む。しかし臆する暇なく、艦隊は戦艦を中心に波動砲発射態勢を構築する。
間も無く構築が完了しエネルギーチャージが始まる。
その間艦隊は非搭載艦の波動防壁や波動防壁弾によって敵からの攻撃を無効化する。
そしてチャージが完了すると同時に全艦が一斉に発射、彗星を取り巻く白い雲が晴れ内部からは実に見るも禍々しいタコのような物体が姿を現す。
エネルギーを再チャージした艦隊は直様第二射を発射するが敵の強力な防壁の前にまるで歯が立たなかった。
東郷や川崎も「もはやこれまでか…」と覚悟を決めた時だった。
艦隊前方に新たなワープアウト反応が現れた。
日本武尊・春藍・健御雷の3隻であった。
春藍と健御雷は新設されたスーパーチャージャーにより既に波動砲のエネルギーは充填済みで合図と共に両艦は発射する。
六大波動炉心一基に三連装波動砲から放たれる合計18発の波動砲。
そして健御雷のホーミング波動砲18発、両艦合計36発の波動砲が炸裂し敵の防壁は剥がれた。
そこへ両艦の間を割るように日本武尊が前進、機関部にはこの事態を想定して充填されていた反波動格子を使ったトランジット波動砲を発射できるようにされてあったが、それを更に六大波動炉心を全弾発射モードに変更しもはや何乗分からないレベルの破壊力を持つ「超トランジット波動砲」を発射しようとする。
艦内には大破を想定し大石・原・富森、そして僅かな機関要員を残し総員退艦していた。
敵側もこれは何かヤバいと判断したのか、カラクルム級を差し向けるもそれを見逃さなかった健御雷と春藍の苛烈な砲撃で悉くが粉砕される。
そして遂に、恐らく史上最高峰の威力を誇るであろう『超トランジット波動砲』のエネルギーチャージが完了。
直後、金色に輝くエネルギーが日本武尊の砲口から放たれると無防備な白色彗星の外殻を破壊、そして彗星中心のコアに炸裂しこれを粉砕。
そして有り余るエネルギーは彗星帝国全土に及び帝国はボロボロと崩れて宇宙の塵と化していった。
直後、日本武尊の各所が爆発を起こし一同は「沈むか⁉︎」と不安になるも奇跡的に各所が大破しただけで日本武尊は沈むことはなかった。
そして今度こそ、敵を撃滅したということで連合艦隊は歓喜の声を各所であげる。
『ガトランティス戦役』と呼ばれたこの戦いの後、日本武尊は『地球最強の幸運艦』の名称を与えられると同時に強化・修理・改装の為、宇志知島のドックに入ることになる。
しかし、この戦役が齎した影響はそれだけに留まらなかった。
第十一番惑星防衛に協力したヤマトのデータにあった謎の救難信号を辿って紺碧艦隊は『惑星テレザート』に辿り着く。
彼の星にて前原一征はテレサと会合を果たすも、そこで彼女の自身が転生者であることを見破られると同時に「貴方ならこの力を正しい未来の為に使ってくれる」と言い、彼の足元から巨大な艦艇を高次元宇宙より召喚した。
前原は「これは何か…?」と尋ねるとテレサは「宇宙軍艦羅号」とのみ応えて消えた。
宇宙軍艦羅号
(海底軍艦羅号にリメイクヤマトの要素を足した外観)
諸元
全長:590m
全幅:77m
基準排水量:推定30万t
機関
主機:モノポールエンジン×1基
補機:次元波動エンジン×2基
乗員:400名
武装
艦首ツインノヴァ次元爆縮放射機*1×1基
艦首波動ドリル(波動エネルギーを纏ったドリル)
主砲:49cm四連装ショックカノン砲×3基
副砲:20cm三連装ショックカノン砲×2基
後部亜空間魚雷発射管×8門
亜空間短魚雷発射管×20門
艦首ミサイル発射管×10門
艦底部ミサイル発射管×8基
煙突型八連装ミサイル発射管×1基
マスト部波動爆雷投射機
対空パルスレーザー砲多数
搭載機
MS・航空機多数が可能
本艦を持ち帰って調査した結果、途轍もないレベルの技術が使われていることが分かると同時にモノポールエンジンに関する研究も進められることになった。
そして本艦の処遇だが、前原一征が高野総長と語らった上で『紺碧艦隊旗艦』に抜擢。