蒼碧の艦隊 2139   作:暁司令官

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第11話 黒との遭遇

 

西暦2149年

 

突如として未知の世界と融合を果たした地球連合は、混乱を呈すも未曾有の事態に対し調査を開始した。

 

 

 

旧ユーラシア大陸の存在した場所に現れた『仮称:α大陸』

 

 

ここに日本は旭日艦隊・501・212両大隊が派遣されていた。

 

 

彼らは到着後直ぐに大気や地質の調査を行い、未知の伝染病やウイルスが存在しないことを確認し本格的な調査を開始した。

手始めにARFトルーパーを各方面に派遣し気候や風土、国家の有無についても調べが進められた。

 

 

 

しばらくしてARFトルーパーらが帰還するが、彼ら曰く「国家らしい国家は見当たらない」とのこと。

それというのも市街地のような場所は時々発見するも、何処かの国に属しているという感じはなく「冒険者ギルド」という者達の為の拠点だったりするらしく、どうもこれと言って有益な情報はなかった。

 

 

 

その一方で生態系に関しては予想通りと言えば予想通りの答えが出てきた。

 

 

魔獣(モンスター)』の発見だ。

 

 

発見した当初こそ困惑したものの、ブラスターやグレネードでの対処が容易と分かるや否や直ぐに敵ではなくなった。

 

新手の薬品や生物学の材料には丁度いいと血液や皮膚といったDNAサンプルの採取が行われた。

 

 

しかし拠点を止める訳ではない。

場所を転々としつつ、彼らは大陸の中心部へと歩を進めていた。

 

実は人工衛星『はれかぜ』の捉えた写真の中に一つ気になるものがあったのだ。

 

α大陸のほぼ中心に位置する場所に都市のような場所が確認されたのだ。それもただの都市ではなく、中央には円形の壁に覆われた都市があり中央には塔らしきものが聳え立っている。また東西南北それぞれを隔てるように壁が四方向に伸びているというものだ。

 

これだけの建造物があることからそれなりに国家があっても良いだろうということから調査隊は北方向から回り込むように接近する。

 

 

 

 

 

 

拠点 通称:リパブリックベース

 

物資の搬入や設備の設置等を終え各部隊をそれぞれの方面に派遣し、得られた情報は大石の元へと届けられていた。

 

大石「近くに村があるのか?」

 

レックス「そのようです。改めて調査を行ったところ、この大陸の文明の度合いはおそらく中世かその辺りだと分かりました」

 

大石「……」

 

レックス「提督、如何しますか?もし仮に中央都市を目指すのなら、ここは通らざるを得ません」

 

大石「分かってる。だが接触は保つよう改めて呼びかけてくれ」

 

レックス「半径20km圏内に監視を配置しました。向こうから来ても問題はありません。来るとしても所詮は村人でしょう」

 

大石「だといいがな……」

 

レックス「え?」

 

大石「いや、何でもない」

 

口には出さないが、言い知れぬものが彼の胸中にあった。

 

大石(…この胸騒ぎは……一体……)

 

 

 

 

それから一週間後、大石の胸騒ぎは的中することとなる。

 

 

 

 

 

深夜 拠点から丁度20kmに位置する森の中

 

ハードケース「はぁ…よりにもよってなんで俺が今日見回り当番なんだよ……」

 

ファイヴス「愚痴るなよハードケース、見回りだって重要な役割だぞ?」

 

ハードケース「俺はこういう地味なのは嫌いなんだよ、もっとこう敵とドンパチやり合うのが性に合ってるんだ。せめてバケモン共と「待て」」

 

言葉は突然ファイヴスによって先を遮られた。

 

ハードケース「どうした?」

 

ファイヴス「何か見えた」

 

ファイヴスはヘルメットについてるレンジファインダーを下ろして視線の先に見えたものを確認する。

 

ファイヴス「人だ…!」

 

ハードケース「人?村人じゃないのか?」

 

ハードケースもそれに合わせてファインダーを下ろして同じ方向に目をやる。

 

ファイヴス「数は一人……見た感じは男…年齢は20歳前後……」

 

ハードケース「おい、腰になんかつけてるぞ?」

 

ファイヴス「あれは……剣だ!武装してるぞ……!」

 

ハードケース「こっちに向かってきてるが、気づいたような様子はないな……とっちめてやるか…!」

 

今にも飛び出しそうなハードケースを抑えてファイヴスは言う。

 

ファイヴス「待て、まずはコマンダーに報告だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通信は直様レックス達の元へと届く。

 

 

レックス「それで、そいつは一人なんだな?」

 

ファイヴス『はい、服装も村人が着るような貧相なものではなくそれなりに身分がありそうな服装です』

 

コーディ「何か特徴的な部分はあったりするか?」

 

ハードケース『手首の辺りや胸の辺りが白く、淵部分には金のライン、他の部分は黒のロングコートを着て剣を一本、他は分かりません』

 

レックス「提督、どうしますか?」

 

大石「……デザインを聞く限りだと、冒険者と言った類の者ではないな……」

 

コーディ「とすると……何かしらの組織に所属している者だと…?」

 

大石「そうでなければ、それだけ整った服装をする訳がない」

 

レックス「こちらへと徐々に進んで来ています。追い返しますか?」

 

大石「………いや、捕縛しよう」

 

レックス「はぁ?」

 

コーディ「えっ今なんと?」

 

大石「捕縛だよ。もし話の通じる相手なら情報を得られやすくなるやもしれんぞ」

 

コーディ「そんないい加減な!もし話の分からない輩だったらどうするのです⁉︎」

 

レックス「まぁまぁコーディ、そうなってもあちらさんは一人だ。余程のことがない限りは大丈夫さ」

 

コーディ「ハァー…」

 

深い溜め息をついてコーディも渋々了解した。

 

 

 

 

 

 

 

レックス・コーディはバッドバッチの面々を引き連れ、侵入者を追跡中のファイヴスらとの合流を急ぐ。

 

森の中をしばらく進むと近くに対人レーダーの反応を検知。

 

レックス「近いぞ」

 

一同はブラスターを構えて、目を凝らして周囲を見回す。

 

クロスヘアー「見つけましたぜ」

 

視線の先には情報通りの少年がおり、彼に向けてクロスヘアーは銃口を向ける。

 

コーディ「外すなよ」

 

クロスヘアー「この距離なら外しませんよ」

 

余裕を見せる彼であったが、この後思いもよらない事態になる。

スコープから見える目標に向かって引き金を引く、銃口から低出力にされた訓練用のブラスターが僅かな音と共に放たれる。

誰もが当たったと思った矢先、彼はそれを最も容易く避けて見せると同時に視線をこちらへと向けていた。

 

 

エコー「あー…これってまずいんじゃ…?」

 

エコーがそう言った直後、少年はいつの間にか剣を抜いてこっちへとダッシュで向かってきていた。

 

ハンター「散開しろ‼︎」

 

咄嗟にハンターが言ったように、一同はバラバラの方向に逃げ出すが少年はレックスの後を追った。

 

レックス「なんで俺のところにッ⁉︎」

 

とりあえず無我夢中で逃げるレックスとそれを追う少年という構図。

レックス途中でハンドブラスターからスタンビームを撃つもそれも避けられ益々まずい状況になりつつあった。

 

そして遂に横倒しになった大木が目の前に現れ彼は逃げ場を失った。

 

レックス「マジかよ……」

 

近づく足音を聞いてホルスターからDC-17を引き抜き構える。

 

レックス(来るならこい…!)

 

やがて人影が現れてレックスは驚いた。

相手はまだ青年だった。推定でも17〜9歳程度のだ。

だが驚いたのは彼だけではなくその青年もだ。

初めてレックスのはっきりとした姿を認識したのかあり得ないものを見るような目で彼を見てた。

 

レックス「学…生……?」

 

「……⁉︎」

 

困惑する様子にレックスは『これは何かある』と踏み、ブラスターをホルスターへ戻す。

青年が剣を構え直そしたが、レックスは構わず口を開く。

 

レックス「坊主…一旦武器を下ろしてくれ。話がしたい」

 

その申し入れを快諾したのか警戒した様子を見せながらも彼は剣を鞘に納めた。

 

レックス「それで……まぁまずは名前だな。俺の名はレックス、お前さんは」

 

 

「俺は…俺の名前は……桐ヶ谷 和人………キリトって呼んでくれ」

 

レックス「なっ……⁉︎」

 

彼の名前を聞いたレックスは驚愕した、無論彼を知っててそうなった訳ではない。よもやこの異世界で、日本人に会えるなどとは微塵も思っていなかったからだ。

 

その後、散らばったコーディ達と合流し事情を説明しリパブリックベースへと戻ることにする。

 

 

拠点へキリトを連れて行ってみると、直後は驚いたような様子を見せるがそれ以降は特にそんな様子は無く物珍しそうに辺りを見回すことから『明らかにこういうものを知っている』という考えがレックス達の頭の中に浮かんだ。

 

 

 

 

日本武尊 長官室

 

それから小1時間程経って彼は大石の元へと連れて行かれた。

 

大石「ようこそ、日本武尊へ。俺はこの艦隊を指揮する大石蔵良という者だ」

 

キリト「桐ヶ谷和人です」

 

大石「大凡はキャップから聞いている。まぁかけたまえ」

 

来客用の座席に座ると早速大石手製のコーヒーを振る舞われる。

 

大石「さてと…色々聞きたいことは山程あって海のように深いのだが、単刀直入に聞こう。君は一体何者なんだ?」

 

キリト「……」

 

少し考えるような様子を見せてキリトは口を開いた。

 

キリト「……あの、これから俺が話すことを信じてもらえますか?」

 

大石「話の内容によるな」

 

キリト「…はい。それというのも……俺は元々この世界の人間ではないんです」

 

大石「ほぉ?」

 

キリト「厳密に言えば、生まれ変わってこの世界の人間になった……と言ったらいいかもしれません」

 

大石「……」

 

キリト「元々俺はただの日本人で、VRMMOをやってたんです。でも歳をとって死んで……気がつくとこの世界にいたんです……」

 

大石「なるほど……」

 

キリト「でもこの世界、俺がやってたそのあるMMOの世界と全くそっくりで………すいません、こんな突拍子もない話なんか…」

 

大石「いや、構わんよ。つまり君は輪廻転生を果て一度経験した仮想世界に酷似した異世界へ転生したということなのだな?」

 

キリト「えっ……信じて…くれるんですか……?」

 

大石「あぁ……それというのも、まぁ俺からしても他人事ではないからな」

 

キリト「え?」

 

その後、大石はキリトが分かるように簡単にかつ実体験を含めて前世自分が戦艦大和の乗組員で戦死したことを打ち明けた。

 

キリト「………」

 

大石「どうかね?」

 

キリト「その……なんて言えばいいのか……」

 

大石「はははw構わんよ。それにしても驚いたな、まさか異世界で、それも日本人の転生者に会えるとはな」

 

キリト「ははは……」

 

大石「桐ヶ谷君と言ったか?君以外にも転生した人物はいるのかね?」

 

キリト「えっと…元々俺と一緒にVRMMOをやってた仲間が大体そんな感じです」

 

大石「ほぉ、そうか。すまんが彼らや他の仲間には我々のことは内密に頼む」

 

キリト「えっ⁉︎なんでですか?」

 

大石「まだこの世界で我々のことを認知したのは現状君だけだ。君だからいいが、他の仲間に打ち明けて信じてもらえると?」

 

キリト「そう言われると……」

 

大石「それに我々の存在がこの世界にどのような影響を与えるかまだ未知数だからな……」

 

キリト「……」

 

大石の言う通りであった。自分達を利用しようとする勢力や人物がいるのかすら判明しない以上接触はできるだけ控えたい。

しかし情報は必要だ。

 

大石「そこでだ、君に一つ頼みたいことがある」

 

キリト「なんですか?」

 

大石「君には我々との内通者になってもらいたい」

 

キリト「はぁ……はい?」

 

大石「そのまんまさ。我々はこの世界の情勢についてはまだ何も分からなくてな、君の話を聞くにどうも騒ぎの渦中のほぼど真ん中にいるような感じだしな」

 

キリト「うっ……」

 

レックス「どうも図星のようだな」

 

大石「キャップ、桐ヶ谷君にあれを」

 

レックス「はい」

 

するとレックスはポーチの中からC1パーソナル・コムリンクを取り出して手渡す。

 

大石「それは送受信能力を併せ持った見ての通り小型の無線機だ」

 

レックス「無くしやすいから気をつけろよ。あとちゃんと電源も切るようにしとけよ?」

 

キリト「めっちゃ責任重大じゃないすか……」

 

大石「それだけ君を信用してのことだ。頼むぞ、桐ヶ谷君」

 

キリト「…はい!」

 

少々の不安の色を見せたが、それでも自信に満ちた表情でキリトは返事をした。

 

 

 

 

 

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