西暦2151年
太陽系へと突如侵入した重核子爆弾ことグランド・リバース。
かの物体は地球へと降下したが、降下したのはワシントンD.C.でもなければ、東京でもなかった…央都へと降下した奴らの目的は一体………
央都へと降下したグランドリバースは郊外にある平原に着陸した。
事態を受けて整合騎士団は対策本部を設置、駐留していた327師団はウォーカーとトルーパー直ちにを現地へと向かわせて警戒にあたらせていた。
「サー、陣地の設営を完了しました。次は?」
トルーパーから報告を受けたのはARCトルーパーのコマンダーコルトであった。
コルト「このまま様子見だ。敵が仕掛けて来たら各自で応戦、いいな?」
「サーイエッサー!」
依然として不気味に佇むグランドリバースを前にコルトは口には言い表せぬ不安を感じていた。
数時間後
セントリア内
陽が落ちた街中では突如として現れた謎の物体に市民達が不安の声を上げる中、騎士やトルーパーがそれを踏まえて指示を待つよう命じていた。
そしてまたキリト達一行も央都へと到着した。
キリト「ハァハァ……なんとか……着いたな……」
リーファ「久しぶりに……走った……」
ユウキ「ボクもう疲れたよ……」
キリト「ユイ、大丈夫か?」
キリトは傍にいる愛娘に声を掛ける。彼女も転生を経て現在は人間である為AIだったときとはまた勝手が違う為気配りが必要だ。
ユイ「はい、パパ。ちょっと疲れましたけど、まだ大丈夫です」
ユージオ・シノン「「キリト!」」
そこへ丁度良くシノンとユージオが駆けてきた。
キリト「ユージオ」
リーファ「シノンさん」
ユージオ「ここに向かって黒い壺みたいなのが降りていったみたいだけど……」
ユウキ「アレだね」
ユウキはそのまま壁の向こうに頭頂部を見せているグランドリバースを指刺して言う。
シノン「アレが何かあんた聞いた?」
キリト「いや、さっきからレックス達に通信で呼びかけているんだけど通信障害なのか全然通じなくて……」
ユウキ「ユージオ達はいつ来たの?」
ユージオ「さっきだよ。シノンの弓の手入れに付き合っててその帰りに」
キリト「タイミングがいいのか悪いのか…」
リーファ「ねぇとりあえず、対策本部に行ってみない?アスナさん達やベルクーリさん達もそこで何かしてる筈だよ」
キリト「だな、そこならコマンダークラスの一人や二人くらいはいるだろうし」
ユージオ達と合流した六人はその脚で対策本部へと向かうが、魔の手は既に忍び寄っていた……………
対策本部
夜になっても、対策本部では副騎士長のファナティオや騎士長のベルクーリ、コマンダー・ハヴォックやブリッツらが警戒や対策に着いて話し合っていた。
アスナ・シリカ・リズ・アリスらも手伝いや会議に参加していたが、結果が出ないまま既に数時間、休憩の為天幕の外に出ていた。
リズ「しっかしなんのかねぇアレ」
アリス「あの場所に降りてきて以降何も言わずに沈黙のまま……不気味です…」
シリカ「こんなとき、キリトさんが居てくれたら……」
アスナ「仕方ないわね…魔獣討伐で出かけてたんだし」
リズ「でも予定だと、今日戻る筈でしょ?」
アスナ「確かね」
「ちょっとした女子会ですかな?」
彼女達に声をかけたのは第332中隊指揮官のキャプテン・ヴォーンだった。
シリカ「ヴォーンさん」
リズ「丁度いいとこに来たわね、ねぇねぇ何か連絡とかきてないの?」
ヴォーン「残念ですが、これといったものは何も」
アスナ「外とはどうなの?コーディやレックス達とは?」
ヴォーン「実はアレが降下してきて以降、ここ一帯に広域電波障害が起きていて外部との通信ができない状態で…」
アリス「それでは……!もし敵が来たら増援は呼べないのですか…⁉︎」
ヴォーン「ご心配には及びませんよ。相手がどんな連中かによりますが、大抵は相手できますよ」
自身ありげな彼の発言にちょっとした安心感を覚えた一同だったが話の途中、シリカはふと夜空を見上げていたがそこに何やら違和感を感じていた。
ヴォーン「?…どうかしましたか?」
シリカの様子を見て異変を感じたヴォーンが話しかける。
シリカ「いえ…その……なんだか空がおかしい気がして……」
リズ「空がおかしい…?アンタこんなときに何言ってんのよ?」
アスナ「???」
アリス「シリカ、おかしいとはどういう意味ですか…?」
シリカ「その……なんだか、星が……」
アスナ「星…?」
言われてみたら確かにいつも見る夜空とは何処かおかしい気もしなくはない。
彼女達が首を傾げている中、ヴォーンはバイザーの倍率を上げてもう一度良く夜空を見てみた。
そして彼はそこに全身をステルス性の高そうな戦闘服に身を包み、背部からはアーム状パーツに天使の輪のようなリングを頭上に浮かべた無数の降下兵が頭なく忍び寄るのを
ヴォーン「敵襲‼︎」
彼がそう叫んだ直後、敵兵が持っていた光線銃らしきものを一斉に発砲し赤色の光線が辺りに降り注ぐ。
不意を突かれた幾人かの騎士とトルーパーはその攻撃でやられるが、一部のトルーパーは果敢にもブラスターで反撃するが奇襲を成功させた敵の方が断然有利であった。
ブリッツやハヴォックらも部下を鼓舞して戦闘に参加するが、ブリッツがやられた。
一瞬の隙をついて物陰に隠れたアスナ達はなんとか難を逃れていたが、敵兵が徐々にこちらはと迫ってきていた。
リズ「まずい……このままだと…」
シリカ「みんなやられちゃいますよ…!」
アリス「アスナ…いけますか…?」
アスナ「えぇ……!」
二人が臨戦態勢に入ろうとするが、ヴォーンが剣を抜こうとする二人を止めた。
ヴォーン「ここは自分が引き受けます。皆さんはその隙にここから抜け出してください」
アスナ「えっ⁉︎」
アリス「一人で挑むなど…無謀です…!」
ヴォーン「異星人に剣で挑もうとする貴方方の方がもっと無謀です。懐に飛び込む前に蜂の巣にされるのがオチです」
リズ「だからって……」
ヴォーン「まだ部下達も居ます」
アスナ「でもベルクーリさん達を置いて逃げるなんて…!」
ヴォーン「コマンダー・ハヴォックも今頃は騎士団にここの放棄を促してる筈です。自分達を信じて…‼︎」
「「………」」
ヴォーンはその後は何も言わずにDC-15ライフルを握りしめ物陰から勢いよく躍り出ると敵兵の一人をそのまま撃ち倒した。
ヴォーン「おい!お前達よ相手はこっちだ‼︎」
敵も最初は動揺したがそのまま走り出すヴォーンを追うように走り出すと同時に銃撃戦を展開していった。
一方の市街地でも似たような光景が広がっていた。
降下してきた敵に対してトルーパーや騎士達が応戦している中、キリト達はなんとか敵の目に捕まることなく進むことができていた。
リーファ「なんなのなんなのぉー⁉︎」
シノン「敵襲よ‼︎まさか降下で仕掛けてくるなんて…‼︎」
ユウキ「うぅ〜!なんでこうも逃げなきゃなのぉ〜⁉︎」
キリト「皆走れ!奴らに見つかる前に対策本部に…」
ユージオ「キリト‼︎」
ユージオが叫んだ直後、敵が屋根の上から光線銃を発砲するも勘よくそれを一同は交わして物陰に入る。
キリト「こんなところで時間を食ってられないってのに……」
彼は向かい側に居るシノンに声を掛ける。
キリト「シノン!援護を頼めるか⁈」
シノン「任せて!」
シノンは心意で弓をヘカートⅡに変化させて構える。
スコープから見える敵の一人に照準を合わせ、糸を縫うよう慣れた手つきでそのまま引き金を引く。
銃口から放たれた12.7mm弾が敵の頭を撃ち砕き隙が生まれた。
キリト(今だ…‼︎)
その一瞬を逃さず、目にも止まらぬスピードで飛び出すと同時に「夜空の剣」を抜き、勢いよくジャンプする。
隙を突かれた敵は成す術もなく一瞬でキリトの手によってその場に切り倒された。
ユイ「パパ!」
ユージオ「わぁ…!」
リーファ「すごーい!」
ユウキ「さっすがキリト!」
ジャンプして屋根から降りてくるキリトに駆け寄りながら言う。
シノン「まずまずね」
キリト「ありがとう、シノンが隙を作ってくれたお陰だな」
シノン「メンテナンスしたてホヤホヤだから今はかなり調子いいわよ」
シノンの持つ弓はヘカートⅡそのものでもある為、弓を手入れされたらその影響もヘカートに反映される為メンテナンスのやりやすさも断然変わったのだ。
キリト「そのまま頼むぜ。よしっ急ぐか!」
一同はお喋りも程々にして対策本部へと向かった。
リーファ「これは……」
ユージオ「そんな……」
本部へと到着した一同が見たのは、交戦の跡であった。
そこら中に敵味方問わず、無数の亡骸が転がっておりブラスター特有の焦げ臭い匂いも少し漂っていた。
ユウキ「ここもやられてたんだ……」
シノン「ある程度予想はしていたけど…まさかこんなに酷いなんて…」
キリトはふとユイの方を見ると心配そうな顔で辺りを忙しなく見渡しているが、アスナの事を心配してのことだろうと察した。
キリト「大丈夫だ、ユイ。アスナ達ならきっと大丈夫だ」
ユイ「パパ…」
ユウキ「そうだよユイちゃん!アスナ達が簡単にやられたりするわけないじゃん!きっと生きてるって」
ユイ「……はい。きっと…きっとママも大丈夫です…!」
キリト「もしかしたら誰か生存者がいるかもしれない、そいつから情報を聞くしかないな」
シノン「そうね」
ユージオ「手分けして探してみよう」
そして各自で手分けして生存者の捜索を行った結果、アスナ達を逃したヴォーンを見つけるが彼自身すでに虫の息だった。
キリト「ヴォーン、大丈夫か…?」
ヴォーン「……ゲホッゲホッ……あぁ…なんとか…」
身体のあちこちには敵の激しい戦闘を物語るかのように無数の弾痕があり、蘇生術を使ったとしても助かる見込みは低かった。
キリト「それで……アスナは…皆は…⁈」
ヴォーン「……お嬢さん達なら……大丈夫だ……自分がここから……逃し………ました」
「「‼︎」」
キリト「それで…何処に行ったんだ……⁉︎」
ヴォーン「それは……分かりまゲホッゲホッ……ともかく彼女達は……無事……で……す」
そう言い残して彼は息を引き取った。
キリト「ありがとう」
アスナ達の無事を確認したキリト達はその場を離れた。
北帝国修剣学院
安全な場所を求めて彷徨っていたアスナ達はなんとか修剣学院に到着したが、そこにも敵の魔の手は伸びており熾烈な攻防が繰り広げられていた。
『西側の出入り口を突破されたぞ‼︎』
『こちらΩ分隊、敵の増援を…グアッ』
『弾薬を‼︎敵がすぐそこまで来ている‼︎』
あちこちから応戦するクローン兵達の声や銃声が飛び交う中、アスナ達はロニエ・ティーゼの二人とも合流を果たしていた。
アスナ「ロニエさん、ティーゼさん、二人共無事だったんですね」
ロニエ「はい…いきなりあの黒い兵士が襲ってきてみんな次々にやられて……」
ティーゼ「私達は……何もできないでただ守衛の方々に任せてばかりで……」
アリス「この状況では仕方がありません」
リズ「安全を考えてここに来たんだけど、何処も同じみたいね……」
ここに配備されている守衛のトルーパーはたかが数が知れている。
早いところ抜け出さなければ敵中に取り残される。
ロニエ「ところで、キリト先輩やユージオ先輩は…?」
シリカ「央都には戻っていると思うんですけど、連絡は取れてなくて…」
ティーゼ「そんな……!」
アリス「心配はいりません。キリトやユージオ達ならきっと大丈夫です、よもやということがあってもあの二人は死んだりはしません」
すると足音が聞こえるがそれは明らか敵ご迫っている事を表していた。
廊下の奥からは既に敵がこちらを捉えており、走りながら光線銃を構えていた。
アスナ「来るっ……‼︎」
すぐに剣を抜いて応戦しに向かうアスナは「GGO」で鍛えられた反射神経で敵の銃撃を交わし懐に飛び込むと同時に瞬く間に敵を薙ぎ倒す。
しかし初手は通用したが後ろにいた別の敵からの攻撃を足に掠めてその場に倒れる。
アスナ「あぅっ……‼︎」
その場に倒れた彼女に銃口が向けられ咄嗟にアリス達が出ようとしたその瞬間、彼女達の頭上を誰かが勢いよく飛び越え一気走り抜けると一目散にアスナの元へ向かうと同時にソードスキルで一瞬にして残りの敵兵を斬り伏せた。
アスナ「…‼︎」
彼女を助けたのは愛しき彼であった。
キリト「アスナ、大丈夫か?」
アスナ「キリトくん……‼︎」
アスナは涙ながらに彼の胸に飛び込みキリトも優しく彼女を抱きしめた。
キリト「悪い、心配かけたな」
アスナ「うぅん…キリトくんが無事でよかった……ここに来るまでにもうダメなんじゃないかって何度も思った……」
キリト「大丈夫だ、俺はこうして生きてし皆も……っ!」
そこで二人はようやく我に戻って自分達が何をしているのかを理解した。
アリス「よくぞ無事でしたね、キリト」
アリスが笑顔で話しかけるがその目は笑ってはいなかった。
キリト「あはは……」
アスナ「アリスさん……」
リズ「全くアンタ達は……」
ロニエ「うぅ〜……」
するとそこへ遅れてユージオ達も走ってきた。
ユージオ「キリト、アリス、みんな!」
ユウキ「おーいアスナぁー‼︎」
アリス「ユージオ…!」
ティーゼ「先輩…‼︎」
アスナ「ユウキに……みんな…!」
ようやく見知った仲間が集まったからか場の空気に和みが現れた。
リーファ「リズさん、シリカちゃん!」
シリカ「リーファさん!」
ユイ「ママ!」
アスナ「ユイちゃん…!」
愛娘をしっかりと抱きしめてアスナは再び涙を流して喜ぶ。
シノン「大丈夫そうで良かったわ」
アスナ「しののん…うん、みんなありがとう」
ユウキ「ここまで来るの本当大変だったんだよ、でもアリスやアスナも皆無事そうで良かったよ」
リズ「そうね、見知った仲間が集まるとなんだかホッとするね」
ティーゼ「先輩、お怪我は⁈」
ユージオ「大丈夫だよ、ここに来るまで何度か敵に遭遇はしたけど上手く倒せたから」
ティーゼ「よかった……」
アリス「それで、キリト」
キリト「ん?」
アリス「これからどうするのです?学院内も既に安全とは言えそうにありません」
キリト「そうだな……できればジェシー達332師団と合流したいけど……」
ユージオ「とりあえず、まずはここを出ることが先決じゃないかな?」
キリト「だな」
合流した一行は身を隠し、守りながらなんとか学院内を通り中庭に出た。
キリト「よしっ、もう少しで…」
そう言いかけたとき、一同を取り囲むように物陰から敵が現れてきた。
彼らを警戒してか不用意に近づこうはせずジリジリと詰め寄る。
アリス「貴方達の目的は一体なんなのです⁉︎」
アリスが強い口調で問いかけるもそれを無視するように敵は距離を詰めてきていた。
剣を抜こうものならおそらく全方位から集中的に攻撃を受ける羽目になり、そうなれば如何にキリト達といえど回避は困難。
キリト(ここまでなのか……⁈)
彼がそう思ったその瞬間、突然風を切る音共に一瞬にして敵の一人が倒れ、それに続くように敵の足元に転がってきた金属のボール状のものから青白い電流がほと走ると同時にそれを受けてまた二、三人が倒れた。
困惑する双方の間に入るように上空からジェットパックを装備した二人のクローントルーパーが降下し手に持っていたブラスターで敵を次々に倒し、また別の敵にも背後からの一瞬の斬撃と銃撃で倒されていった。
キリト「レックス‼︎」
レックス「待たせたな、キリト」
アスナ「コーディ‼︎」
コーディ「よぉアスナ、まだ足はついてるな?」
現れたのはレックス・コーディ・ハンター・グレガー・エコーに加えて、クロスヘアーであった。
ユージオ「ハンターさん」
ハンター「ユージオ、元気そうで何よりだ」
リーファ「ヤッホーグレガー!お陰で助かったよ」
グレガー「ヌフフ、このくらい朝飯前よ」
リーファ「その笑い方まだ治ってなかったんだ……」
クロスヘアー「お前はまだくたばって無かったみたいだな、シノン」
シノン「あら、悪かったかしら?」
クロスヘアー「あぁお前に背後から撃たれる心配が無くなると思ってたが、ガッカリだよ」
シノン「そぉ、私は楽しみが一つ増えた気がするわね」
この二人はこんな風に言ってるが、実際はちゃんとした交友関係を築いているので問題はない。むしろこれが二人なりの挨拶である。
キリト「助かったよ、あとちょっと遅かったらどうなってたか…」
レックス「無事で何よりだ」
キリト「こっちから連絡しても良かったんだけど…」
レックス「分かってる電波障害については俺も知ってる、仕方ないさ」
アスナ「それで、状況はどうなってるの?」
コーディ「最悪さ、央都の各所でトルーパーが戦っているが…」
ハンター「もはや、いつ占領されてもおかしくない状況だ」
ロニエ「そんな……」
コーディ「でも大丈夫だ。一部の市民と騎士達はここら脱出してる、無論整合騎士達もな」
アリス「そ…それは真ですか…⁉︎」
レックス「あぁ本当だ。さっきジェシーとハードケース達から僅かに通信があって無事が確認された。騎士長も副騎士長もオタクの仲間は皆無事脱出した」
アリス「よかった……」
リズ「それじゃあ、後は私たちだけね」
コーディ「あー…」
それを言われてレックス達は突然言葉に詰まった。
アスナ「コーディ…?」
ユイ「どうかしたんですか?」
エコー「……お嬢ちゃん…実は、その……俺たちの脱出用のガンシップなんだが……」
グレガー「奴らにやられたよ……」
「「……えぇ…⁉︎」」
レックス達によると彼らを降ろし合流ポイントへ向かおうとしたガンシップはなんと飛び立とうとしたところを敵戦闘機に見つかりそのまま破壊されたという顛末であった。
それを聞いた一同は一気落胆しまさに困り果てたという状況であった。
ハンター「……?」
突然、ハンターのコマリンクに反応が現れ彼はそれに応じた。
ハンター「……そうか……⁉︎……分かった…あぁだが大丈夫なのか?」
彼のやり取りを聞いていた一同は疑問符を浮かべながらもその様子をしばらく見守っていた。
交信を終えたらしくハンターがこちらに向き直る。
ハンター「キャプテン、良いニュースと悪いニュースがあります。どちらから聞きます?」
レックス「この際だ、良い方から頼む」
ハンター「分かりました。まず良いニュース、テクが迎えに来てくれます」
それを聞いて落胆していた表情が変わり期待を持つ顔へと変わった。
コーディ「で、悪いニュースってのは?」
ハンター「迎えの場所です」
ユウキ「場所?」
ハンター「その場所というのは……あそこです」
彼が指刺した先にはこの央都で最も高い建造物があった。
ユージオ「セ…セントラル・カセドラル……⁉︎」
エコー「アイツ何考えてんだ……」
レックス「あそこがランデブーポイントか……」
ハンター「テク曰く、着陸している暇はないそうです」
コーディ「確かに空中で拾うのが得策かもな」
アスナ「だからって……」
レックス「だとしても脱出できることに変わりはない。贅沢は言ってられん、行くぞ‼︎」
レックスに鼓舞された一同はなんとか街中を突破してセントラル・カセドラルの麓まで来た。
グレガー「改めて見るとデケェな……何階あるんだ?」
アリス「最上階までで100階です」
エコー「よくそんなもん作れたよ……」
入り口から内部へ、そこから途中までは階段で行くのだが降下兵が待ち伏せをしており若干の銃撃戦を挟みつつ電光の大回廊へ向かう。
アリス「ここからは昇降盤を使って上がります」
エコー「ソイツは壊せないのか?」
アリス「できませんが、何か?」
グレガー「壊しときゃ後から追手が来ても時間稼ぎできると思ったんだよ」
80階の雲上庭園へと上がり、そこからさらに上の階を目指す。
95階 暁上の望楼
レックス「ここで良いんだな?」
ハンター「テクが言うには」
一番高く開けた場所といえばここしかもう無い。
一時は飛竜の発着所はどうかという案もあったが、そこから敵が内部へと侵入しているのが分かった為、ここへと上がってきたのだ。
コーディ「日も変わった。テクはまだか…⁉︎」
一同が静かに待つ中、独特のエンジン音が遠方より聞こえそれがオミクロン級シャトル「マローダー」であると分かった。
シノン「やっと来たわね…」
しかし直後、階段から敵が駆け上がって現れ再び銃撃戦が起きる。
テクの操縦するマローダーはなんとか横付けしてハッチを開いて回収しようとする。
レッカー「来い‼︎跳べ‼︎」
物陰に隠れながら応戦するレックス達にレッカーが叫んで言う。
レックス「キリト、お前達から行け!ここは食い止める!」
キリト「すまない!」
キリト達は端まで一気に走るが、ハッチとカセドラルの間には若干の隙間が有り目もくらみそうな高さであった。
リーファ「こ…ここを跳ぶの⁈」
ここに来て躊躇している暇は無いとキリトが先陣を切って飛び移った。
キリト「みんな、来い‼︎」
彼に触発されたのか次はユージオが飛び移り、それに続いてアリスが乗る。
キリト「アスナ!」
アスナ「……うん!」
勇気を振り絞ってジャンプして足場に飛び乗るが、一瞬足を滑らせて落ちそうになる。
アスナ「あっ…⁉︎」
しかしキリトは彼女の手をちゃんと掴み船内へと引き込んた。
アスナ「ありがとう」
キリト「あぁ!」
その後はユイ・シノン・リーファ・ユウキと続き、シリカとリズ、そして最後にロニエとティーゼがなんとか飛び乗った。
キリト「レックス!みんな乗ったぞ‼︎後はレックス達だけだ‼︎」
それを聞いたレックスはハンターの顔を互いに見て頷き、エコーとグレガーに指示を出す。
レックス「エコー、先に行け!」
そのまま頷いた彼は一気にハッチへと駆け出し、勢いそのままに飛び乗る。
コーディ「グレガー、次はお前だ!」
グレガー「ではコマンダー、お先に!」
そう言うと彼はお土産にとサーマル・デトネーターを二、三個放り投げ敵を吹き飛ばすと飛び乗った。
ハンター「クロスヘアー!」
有無を言わさずクロスヘアーも磁気吸着式の爆弾を撃ち出して敵を吹き飛ばして彼も無事飛び乗った。
レックス「ハンター、お前が行け!」
ハンター「ですが、キャプテン…!」
レックス「俺に構うな」
コーディ「ここは二人でも大丈夫さ」
ハンター「では」
ハンターはそのまま身を屈めながらもブラスターで応戦しつつ上手くマローダーへと乗り込んだ。
レックス「コーディ!」
コーディ「いいんだな⁈」
レックス「あぁ行け!」
レックスがブラスターで牽制しつつ、コーディがハッチへと目掛けて飛び込んだのを見届けるとレックスは閃光弾を投げ敵の視界を奪うと、さらにスモークを投げて視界不良にしたところで彼もようやく乗り込んだ。
テク「全員乗った⁉︎」
レッカー「あぁ!」
ハンター「出してくれ!」
スロットルを上げてウィングを展開して蜘蛛の巣を散らすようにマローダーはその場から離脱した。
マローダー 船内
元のオミクロン級が輸送機とはいえ、流石にこうも乗ると窮屈である。
シリカ「ちょっと…狭いですね……」
ユウキ「そうだね〜…」
キリト「助かった上に乗せてもらってるんだ、あまり贅沢は…」
テク「そうとも言えないよ」
キリト一行「「え?」」
ハンター「スキャナーが敵を捉えた。レッカー追い払ってやれ」
レッカー「はっ!やってやりますぜ!」
そのまま彼は後方の銃座に着くと敵の襲撃戦闘機カタピラスが追ってきていた。
リズ「なんで追ってくるのよぉ〜⁉︎」
エコー「敵はそんなのお構いなしさ!」
レックス「みんな座れ!」
彼に言われて空いてる緊急用の座席に座ると安全バーが降ろされレックス達は空いてる普通の座席に座りベルトを締めた。
アスナ「ねぇ…キリトくん……」
キリト「ん?」
アスナ「これって……ジェットコースターとかにあるヤツだよね…?」
キリト「そうだn…あ」
テク「みんな、掴まって」
彼らが悟った時には既に遅かった。
テクはあらゆるビークルの操縦に長けているが、その操縦は彼の性格に反してかなり荒っぽい。
従って敵の攻撃を躱すように機体を急降下させた結果、それはさながら絶叫アトラクションであった。
リーファ「いやぁぁぁぁぁぁ‼︎」
シリカ「死ぬ!死ぬ!私達死ぬんですか⁉︎」
これが普通の絶叫マシンなら多少は楽しめたかもしれないが、今は一つミスをすれば死ぬような状況である。
キリト達は歯を食いしばってテクのメチャクチャ無い操縦に耐えていた。
一方でそれを周知の事実とするレックス達は彼女達の叫び声に耐えるだけで済んだ。
その内、敵を地面に激突させたりしてなんとか振り切ると一同を乗せたマローダーはそのまま大気圏を離脱し宇宙へと上がった。
レックス「ふぅ……なんとか切り抜けたな…」
ハンター「ご苦労だ、テク」
テク「敵も中々骨のある相手でしたよ」
レックス「お前ら、大丈夫…か………」
彼らが目にしたのは酔ったのか項垂れていたキリト達がそこにいた。
エコー「…どう見ても……大丈夫じゃないですね……」
ハンター「酔い止めを探してきます……」
クロスヘアー「全く世話の焼ける奴らだ……」
しばらくして酔い止めを飲んだり吐いたりして落ち着きを取り戻したキリト達はレックス達と話していた。
キリト「それで、これからどうするんだ?」
レックス「そうだな…まず地球上にもう安全な場所は無い」
ユウキ「え…それってどういうことなの……?」
コーディ「そのまんまさ。敵の本陣はアンダーワールドに降下したが、それ以外の敵が各国に侵攻してきたんだ」
ハンター「迎撃に成功したとはいえ、いつ何処から敵が来てもおかしくは無い。だからあのまま地球に留まるのは危険だと判断した」
リズ「だからってどうすんのよ……このまま行く宛も無く飢え死になんで御免よ…」
そこまでは考えてなかったとは言えない…レックス達は次の句をどうしようか悩んでいると通信が入る。
グレガー「何処からだ?」
エコー「……軍令部からだ…」
アリス「"ぐんれいぶ"?」
クロスヘアー「簡単に言うと、俺たちの長がいる場所だな」
コーディ「それでなんで言ってきてる?」
エコー「暗号です、解読します」
エコーがスコンプリンクを接続して送られてきた通信の解読を行う。
しばらくして解読された内容が画面に表示された。
レックス「これは……」
ー発:日本宇宙海軍軍令部
ー宛:第99分隊及ビ随伴者一同
この内容を見たレックス達は何を伝えようとしているかを直ぐに読み解くことができ、また何処へ迎えばいいのかと言うのも同時に把握した。
ユージオ「"軍神の目覚めは近い”……一体どういうことなんだろ…?」
アリス「私にはなんのことか……」
ハンター「お前達にはそうかもしれんが、俺達には分かったよ」
アスナ「分かったんですか⁉︎」
レックス「あぁだがまだ確証は無いが、そこに行ってみる価値はある」
キリト「何処だっていいさ、何かの可能性があるならそれに賭けてみようぜ」
コーディ「よく言った」
レックス「よし、じゃあちゃんとシートベルト閉めろよ」
テク「ハイパースペースに入って一気に目的地までジャンプします」
ジャンプのスイッチを入れ、ハイパードライブが起動し一同を乗せたシャトルは一瞬にして彼方へと姿を消した。
果たして彼らの行く末に何があるのか……