海王星での戦闘の後、敵を見事に退けた日本武尊は無事に出港することができた。
原「現在、海王星より12宇宙海里地点。無事に領海を出ました。」
大石「ご苦労、予定通りだ」
富森「敵が4隻だけで助かりましたな、相手にもよったかと思いますがあれ以上やっていたら…」
大石「あぁ、本艦といえど無傷では済むまい」
たまたま敵が護衛艦クラスだったからまだよかったが、それ以上のものが出てきていたらどうなってたかは流石の大石といえど分からない。
大石「さて…予定通りなら、このまま十一番惑星沖で身を潜めている直掩艦隊を迎えに行くか」
原「やはり、彼らだけですか。本航海の随伴艦は……」
旭日艦隊は本来40数隻の艦艇から構成される機動艦隊だが、敵の侵攻により監視の目がそこら中に貼られている為、不用意に行動ができないのだ。
だがこういった不測の場合に備えて大石は密かに自身が統括する「司令直掩艦隊」には他の航空基幹艦隊や前衛艦隊とはまた違った指揮系統で動かすことができるのだ。
大石「まぁいないよりはマシさ、ともかく急ごう」
富森「ならばワープで行きますか?」
大石「そうだな、現宙域には敵はいないだろうが…あちらまでは分からんが行けるなら行くか……」
富森「了解。航海長ワープ準備、座標は十一番惑星沖だ」
「了解!」
それから程なくして日本武尊はワープにより十一番惑星沖へと移動した。
ワープを終えた日本武尊の前に現れたのは無数のカラクルム級であった。
ユージオ「これは……?」
富森「以前に少しお話ししたガトランティス戦役時に敵の使用していたカラクルム級戦闘艦と呼ばれる艦です」
アリス「全て同じ形に見えますが、まさかこれら全てが……⁉︎」
富森「左様です。詳しい説明は貴方方は理解に飛ぶので省きますが、先の戦役で"ヤマト"と呼ばれる戦艦が目の前の彼らの行動を停止させるに至ったのです」
リーファ「その……"ヤマト"一隻でですか……?」
原「あぁ」
アスナ「凄い……」
キリト「…で味方は何処にいるんですか?」
ふと疑問に思ったことを大石に投げかけて聞いてみる。
大石「味方なら既におるよ」
キリト「え?」
そう言われて窓越しに目を凝らして見るも見えるのはカラクルム級ばかりで味方など居そうには見えない。
ユウキ「う〜ん、分かんないよぉ?」
大石「はっはははwまぁ目視で分かれば大したものだよ。通信、各艦に通達、偽装解除だ」
「了解!」
通信長が何やら指示を送って数分後。目の前の幾つかのカラクルム級が徐々に風船のように膨らみ始めたかと思ったらそれが弾け飛び、中から戦闘軽空母尊氏や秋月型対空駆逐艦、神風型対潜駆逐艦が姿を現した。
ハンター「偽装用バルーンですか」
レックス「噂には聞いていたが、完成していたのですね」
艦船偽装用バルーン
構造は至ってシンプル。船体を超巨大な風船で覆いそこへ空気を入れて膨らませる。
精密に作られている為、視覚的には全く見分けがつかない。
内部に隠された艦船からの操作で破裂させることも可能、現在ではステルス技術も相待って艦船の反応を消せる段階まで至っている。
バルーンから現れた各艦は輪形陣を組み日本武尊の周辺を防備する形を取る。
大石「さて、行くとするか」
彼がそう意気込んだ時だった。
「長官!左舷遠方に戦闘の爆発と思われるものを確認!」
大石「何?」
艦橋内にどよめきが走る。
大石「位置は?」
「本艦の左舷26度、距離は80万宇宙kmといったところでしょうか」
彼の脳内には一瞬罠というワードがよぎるも、わざわざ戦闘を演出する必要はないように感じた。
大石「……参謀長、付近に航行を予定している艦はいるか…?」
原「お待ちを、直ぐに調べます」
データベースにアクセスして直ぐに航海予定表を調べる。
原「付近に航行中の艦艇はありません」
富森「長官…」
大石「うむ……罠という可能性も捨てきれんが……」
キリト「味方なら放っておけませんよ……」
しばらく思案した後大石は現場へと警戒態勢のまま向かうことにした。
戦闘宙域に到着すると大石は直ぐに戦闘配置を下命する。
大石「艦の識別は着いたか?」
「待ってください、今出ます……出ました!長官、数は3隻。一隻はデザリアム艦です。ですがもうニ隻は味方です!」
原「何処の国の艦だ?」
「こ……これは…!一隻は飛鳥型補給母艦一番艦:飛鳥、もう一隻は……ヤマト型宇宙戦艦一番艦:ヤマトです‼︎」
大石「何ぃ⁉︎」
原「何故ヤマトがこんなところに……⁉︎」
だが困惑している暇は無い、敵がいることは確定した為これで戦闘に参加できる。
大石「理由は後回しだ。航空参謀、尊氏及び航空隊の発艦を」
磯貝「了解!」
命令を受けた格納庫ではパイロット達が我先にと愛機に飛び乗ってエンジンを始動させていた。
また尊氏の甲板にも艦爆型コスモタイガーⅡやリゼルが上げられ発艦の準備を整える。
ヤマトと同様の発艦方法で発艦した暴れ馬達は赤松を戦闘にヤマトの元へと急ぐ。
それから遅れて尊氏攻撃隊も後に続く。
ヤマト航空隊
加藤「くそッ!なんだよあの機動は…!」
歴戦の加藤を持ってしても苦戦を強いられているのは敵の「芋虫型戦闘機」と呼ばれる襲撃戦闘機カタピラスであった。
機体側面部の高機動翼と機首のスラスターで信じられないような機動で加藤らの攻撃を易々と躱している。
後ろを取られ、今度は自分が攻撃を受ける番だと悟った加藤は思わず目を瞑ってしまった。
加藤(真琴……翼…!)
愛する人の名前を心中で叫んだその瞬間、突然カタピラスが爆散して木っ端微塵となった。
加藤「⁉︎」
一瞬の出来事に何が何だか分からず狼狽していると聞き覚えのある通信が入る。
『正体や性能が分からない輩との積極的交戦は避けろっつったよなぁ加藤?』
加藤「そ…その声…‼︎」
すると下からコスモタイガーⅡに似たフォルムを持ち一回り大きな戦闘機が現れる。
加藤「さ…坂井先輩……⁉︎」
坂本はコックピットからハンドサインで挨拶をして、機体を反転させて次の相手へと向かった。
加藤「なんで…先輩が……?」
「見つけた…」
『岩本徹人』はそう静かに呟くのだった。
敵はコスモⅡを追うことに気を取られて周囲に気が回っていない、だがタイミングは今ではない。
岩本(今少し……もう少し………ここだっ‼︎)
操縦桿を左へと倒すと同時に急降下をかけながら、底部のミサイルハッチからプロトンミサイルを二発放つ。
赤い光を纏った光弾はカタピラス目掛けて疾走し、一発は外れるも二発目はど真ん中に命中して爆ぜた。
追われていた味方の横につけて安否を確認する。
岩本「大丈夫かお前さん、名前は?」
「…沢村 翔です……」
岩本「オーケー、機体に損傷は?」
沢村「なんとか……」
岩本「よし、母艦に還れるな。じゃあまた会おう沢村少年」
沢村「え、あ、ちょっ⁉︎」
赤松「笹井、どうした?」
赤松は自隊の副官を務める『笹井淳一』に声をかける。
笹井「隊長、アレを」
笹井が指した方を見ると数機の敵機に囲まれつつも応戦する味方機を確認した。
しかしその機体は今まで見てきた機体とは違い、鋭角的で扁平な機体の前部にはグラスカプセル状のキャノピーが位置しており、これを囲むようにカナード翼とガードが装備されている。機体下部には大型の垂直翼が装備され、機体本体から前進型の上部翼が、垂直翼の中腹から後退型の下部翼が伸びる複葉機の構造をとる。
カラーリングはダークグレーに黒のラインをベースとしている。
笹井「アレは…」
赤松「ほっほー、なるほどコスモⅠか」
笹井「アレを扱えるなんて、相当な技量の持ち主ですよ」
赤松「手練れと見た……いっちょ助太刀と行くか。笹井、来い!」
笹井「ラジャー!」
両機は戦闘の中へと突っ込むと同時に二発ずつプロトン魚雷を発射して敵機を撃退するとともに機種のパルスレーザー砲でコスモⅠを援護しつつ敵機を撃ち減らしていく。
流石に敵も部が悪いと感じたのか、機体を反転させて後退していった。
赤松「こちら日本武尊航空隊隊長の赤松貞昭だ」
『こちらはヤマト航空隊所属 山本玲です。突然の救援感謝します』
声を聞いて二人は驚いた。あのコスモⅠのパイロットがまさか女だとは思いもよらなかった。
笹井「山本とか言ったか?流石だな、よくもそんなジャジャ馬を乗りこなせるもんだよ」
山本『いえ、偶々自分のスタイルに合ってたので』
赤松「だとしても凄え事に変わりはねぇよ。またすぐ会う事になるかもしれんが、そんときはまたゆっくり話を聞かせて貰おうか」
山本『はい!』
場所は変わって、
ガトランティスベルト帯
日本武尊
大石「ってぇぇ‼︎」
号令と同時に51cm砲から青白いビームが敵艦へと伸びて行くが、未知の艦はスラスターを吹かしてそれを安易と回避せしめる。
艦爆も肉薄しようと試みるが全く歯が立たず数機が被弾していた。
原「砲術長、もっとよく狙って撃つんだ‼︎」
「やってますよ!でも奴さんの回避が早過ぎて修正が追いつきません‼︎」
大石「やるな……!」
ヒアデス級やプレアデス級とは違ったこの艦は先程ようやくデータの照合が終わり、『グロデーズ級殲滅型戦艦』と分かった。
ヤマトが苦戦を強いられていた理由を今になって大石も理解した。
戦闘機までとはいかないまでも、戦艦としては有り得ない機動性、そしてステルス性能が圧倒していた。
大石(だがこちらとて手が無いでも無いぞ…!)
大石にはそれを封殺しうるであろうと思われる手段があったのだ。
大石「前部VLS一番から九番、発射用意!」
「了解!」
主砲で応戦しつつVLSハッチが静かに開くと指定された分の対艦航宙ミサイルが次々に発射される。
グロデーズ艦橋
その様子を見ていた艦長の『ランベル』は余裕そうであった。
ランベル「そんな古臭い手で、回避しろ」
すぐに自艦の機動性を活かして八発目まで回避したが、最後の一発が船体に命中した途端艦の機能が停止してしまったのだ。
ランベル「なんだ?どうした⁉︎」
「やりました長官!震盪ミサイルが命中してくれました‼︎」
震盪ミサイルとは一種のエネルギー武器で、着弾時に弾頭から高速でプロトン粒子を雲状に放出する強力な兵器である。着弾地点だけでなく、その周辺の機械や機材にも被害をもたらした。 震盪ミサイルの装甲化されたチューブには誘導コンピューターと自動誘導センサー、推進システムが内蔵されており、設定された攻撃目標まで亜光速で自律して巡航することができた。欠点として射程が短いことが以前までの課題であったが、それを解決した現在では対艦用や亜空間魚雷にも転用ができている。
大石「試してみて正解だったな、このまま二の矢を加える。光子ロケットランチャー発射用意!」
RAMの形状によく似た形の『光子ロケットランチャー』
艦首・艦橋付近・艦尾に六基装備されており、日本武尊には試験的な意味で装備されていた。
「発射ぁ‼︎」
勢いよく、連続して青い光弾となって放たれたロケット弾はグロデーズの艦底部にあるスラスターに命中せしめた。
この時グロデーズ艦内では機能回復の真っ最中であったため殆ど成す術が無かった。
ランベル「仕方ない……ここは撤退する!」
これ以上の戦闘は危険と判断したランベルは残存艦や艦載機を収容しつつその場から退いていく。
富森「敵艦、撤退していきます」
ユージオ「僕達の勝ちですね!」
大石「あぁそれに、ヤマトも助けられたしな…」
そう言いながら、帽子を被り直しメインスクリーンに映るヤマトに目を向ける大石。
ヤマト 第一艦橋
艦橋内は安堵感で満たされていた。
苦戦を強いられる敵艦との戦闘の最中に味方の救援、それも航空隊やMS隊というありがたい事が舞い込んできたのだから。
雪「味方機、撤退していきます」
艦橋前で戦闘を終えた二機のリゼルが手を振り、WR形態へと変形して飛び去っていった。
相原「やれやれ…なんとか乗り切れましたね…」
太田「本当な、一時はどうなるかと思ったよ…」
南部「それもこれも、アレが来てくれたお陰だな……」
南部はそう言いながら右舷前方を進む日本武尊へと目をやる。
それを見ていた一同であったが、実際日本武尊の名前は知っていても見たこともない為目の前の艦がそうだとは思ってもいなかった。
島「古代……」
古代「あぁ……似てる、このヤマトに……よく似てる」
真田「全長372m…主砲には51cm三連装砲を四基12門…」
古代「知ってるんですか、真田さん?」
真田「あぁ、アレが宇宙超戦艦 日本武尊だ」
「「えぇ⁉︎」」
それを聞いたその場の一同は騒然とした。
相原「じゃ…じゃあ、アレが噂の『地球最強の幸運艦』……」
南部「ヤマトの次級がそうだとは知ってましたけど……確かに似てるな……」
新見「では、アレには」
真田「あぁ恐らくは……いや、間違いなく大石蔵良長官が乗っておられる」
古代「………!」
程なくして、真田・古代の両名は日本武尊へと向かった。
日本武尊艦内
古代「外観だけでなく、艦内までそっくりですね」
真田「当然さ、この日本武尊はヤマトを超える戦艦…まさしく超戦艦として設計・建造されたのだからな」
古代「この艦も真田さんが?」
真田「全てでは無いが、私も一部齧っている程度にならな」
古代「なるほど…」
エレベーターに乗ろうとしたとしてドアが開くと二人は思いがけない人物達と出会した。
古代・真田「⁈」
キリト一行「おっ?」
お互いに信じられない物を見た時のように数秒その場に静止した後。
アスナ「えっと……乗ります?」
古代「……え、あぁ乗るよ。君達は?」
キリト「俺達はここで降りますよ…!」
真田「……それは…失礼した」
二人が道を開けると一同は二人の間を縫うようにそそくさとその場から離れていった。
エレベーターに乗った二人はキリト一行について話していた。
古代「真田さん…」
真田「うむ……明らかに彼らは正規の乗組員では無いな……」
古代「やっぱり…でもどう見ても、学生みたいでした」
真田「大石提督に聞くことが増えたな……」
考え事をしながらも、二人は大石の待つ長官室へと向かった。
長官室
大石「ようこそ、日本武尊へ。俺は旭日艦隊司令の大石だ」
古代「ヤマト艦長の古代進」
真田「並びに副長真田志郎です」
大石「よく来てくれたよ。噂には聞いていたよ」
挨拶も程々に本題へと入る。
古代「長官、先程は我々の救援助かりました」
大石「気にせずとも良い、味方を見殺しにするわけにはいかんからな。それにしても何故君達はここに?」
真田「山南・藤堂両司令より、極秘命令を帯びてここまでやって参りました」
大石「ほぉ?」
両者ともヤマトの所属する東部方面第65艦隊を統括・指揮する人物であると大石も知っていた。
大石「…でその密命とは…?」
古代「詳しくは申し上げられませんが、デザリアムを倒す為の命令……とだけ」
そう聞いた彼は勘よく察した。
大石「つまりは、君達も敵本星を叩けと命ぜられたのだな?」
それを聞いた二人はハッとしたような表情を浮かべる。
真田「…長官、君達も……とは?」
大石は不敵な笑みを浮かべながら、自身達が高野総長より同様の密命を帯びて海王星を経ち今へと至ることを話した。無論、その過程でキリト一行についても話した。
古代「そうだったんですか……すると彼らはその融合した世界の人間達だと」
大石「そうだな」
真田「異世界との融合……噂には聞いていたが、本当に起きたとはな」
話を聞いた真田は手を顎に当てて興味ありげに聞いていた。
大石「さて…我々と諸君らの目的は一緒という事が分かったが、どうする?」
古代「……と言いますと?」
真田「別々に行動するよりも、合同でどうか?ということですか?」
大石「そういうことだ。どうせやる事も行く場所も一緒なら……どうかね?」
二人は顔を見合わせて頷くと古代は立ち上がってこう言った。
古代「長官の申し出、喜んでお受け致します」
大石「分かった。ヤマトの指揮は君に任せる、古代君」
古代「はいッ‼︎」
こうしてヤマト・飛鳥を加えた大石麾下の艦隊は一路敵本星へと新たな出発を果たしたのだった。
〜おまけ〜
真田はヤマトへと戻る前、ある人物に会っていた。
真田「君がクローンフォース99のテクだね?」
テク「ヤマトの真田技師長が君かい?」
真田「あぁ、前々から君に会ってみたいと思っていたよ」
テク「それは光栄だね。僕に会いたがる人物なんて初めてだよ」
真田「君に会いに来たのは他でもない、少々見て欲しい物があってね。その意見を君に聞こうと思ってな」
彼はそう言いながら、あるデータをテクに見せた。
テク「……"七式波動共鳴弾"に……"七式次元波動爆雷"……?」
真田「そうだ、是非とも君の意見を聞きたい」
天才×天才 果たしてこの科学反応が織りなす効果とは一体……