西暦2151年
地球を脱し、シリウス星系で「坂本艦隊」と合流し戦力の拡充に成功した旭日艦隊は次なるステージへと進もうとしていた。
日本武尊
先の戦闘から長距離ワープを経て、丁度敵の本拠地があるとされる暗黒星雲のある方向の中間部に艦隊は差し掛かっていた。
ここにきて大石はある人物を日本武尊へと呼び寄せるのだった。
長官室
大石「そろそろ敵との中間地点に差し掛かる。それに当たっていずれ会敵するであろう敵の補給基地との戦闘を前に貴様に頼みたいことがある」
彼が呼び寄せたのは自身の教え子にして紺碧艦隊司令の前原一征であった。
前原「何なりと長官」
大石「前に坂本司令とも語らいだのだが、中間基地だ。敵にもそれ相応の備えというのがあると予想されるからな」
前原「相手も安易とは攻略させてはくれないでしょうね」
大石「うむ、そこでだ。貴様ら紺碧艦隊と坂本艦隊の二艦隊で敵艦隊を迎撃してくれんか?」
前原「坂本司令には?」
大石「既に話は通してある。といっても発案者は司令だがな」
前原「はっはははw成程、坂本司令も中々の策略家ですな」
軽い打合せの後、前原は自艦である羅号へと戻った。
それから三日後
亜空間内 羅号
艦橋
入江「しかし主力たる戦艦部隊を囮に敵を誘い出すとは、坂本司令も中中々やりますな」
前原「発案者ご自身でやるとはな、聞いた時は俺でも驚いたよ」
入江「ですが司令、他艦は亜空間魚雷でいいとして本艦はどのように動くおつもりですか?」
前原「……まぁ、策はあるよ」
意味深な一言を残し彼は品川先任士官に状況を聞く。
前原「先任、あとどれくらいで準備は整う?」
品川「右翼のイ501潜が間も無く」
前原「そうか…よし通信、春藍に打電。"網ハ仕掛ケラレタ"だ」
「はッ!」
通常空間
春藍
「長官、匿名で電文が」
坂本「なんと言ってる?」
「…"網ハ仕掛ケラレタ"……と」
坂本「そうか、分かった。気にせずとも良い」
「は…ですが」
ウォルフ「司令が大丈夫だと言ったら大丈夫だ」
「…分かりました……」
疑問に思う通信手が席に戻るのを待ってウォルフは坂本に話しかける。
ウォルフ「Sir上手くいくでしょうか…?」
坂本「問題ない、確かに連中にも次元潜航の技術はあるが我々程では無い。それに彼らの…前原君の腕は確かだ。きっと上手くいくさ」
坂本が統率する艦隊は全て戦艦と巡洋艦のみで構成されており捕捉した敵中間補給基地の正面へと前進している。
また先程味方の偵察機より敵の防衛艦隊と思しき艦艇が多数出撃したとの報告を受けていた。
坂本「……いよいよか…」
それから程なくして、紺碧艦隊は敵艦隊を捕捉する。
羅号
「司令、来ました!前方距離二万宇宙キロ、数は戦艦3・空母2・補助艦艇含めて20隻前後と思われます‼︎」
前原は入江副官と相槌を打つと指示を出す。
前原「砲雷長、各艦に通達。作戦開始!」
「はッ!」
果たして亜空間より放たれたM7魚雷*1を発射。
亜空間をしばらく航行したM7は通常空間へ出るとモーターを停止させる代わりに大量のミノフスキー粒子を宙域一帯に散布する。
外宇宙の勢力にどこまで通用するか分からないが手探りでやってみる事にした。
果たして、散布されたミノフスキー粒子は一時的とはいえ効果を発揮し敵のレーダー・ソナーを無効化させ始めていた。
「敵のソナー音が弱まりました。効果有りです!」
入江「よぅし!水雷長、作戦開始ッ!」
「了解!」
直様、紺碧艦隊各艦は亜空間魚雷を装填し戦闘準備を整える。
前原「砲雷長、こちらもいくぞ」
「お任せを!」
テレサによって生み出されたこの羅号は他の艦艇とは異なり、主砲の49cm四連装砲は亜空間内からの砲撃が可能となっているのだ。
従って、右舷の九九式・百式五連装魚雷発射官と連動して三基12門が旋回する。
前原「攻撃……開始ッ!」
入江「各艦、魚雷斉射!」
彼のその一言と同時に、述べ63発にも及ぶ亜空間魚雷が発射され敵デザリアム艦隊へと疾走していった。
かくいうデザリアム艦隊はと言うと、ようやくレーダー・ソナーの回復ができそうなところだった。そんな矢先、突如として亜空間魚雷が多数炸裂する。護衛艦クラスは簡単に爆ぜ、プレアデス級は船体を三つ又は二つにへし折って轟沈していく。
「司令、敵艦の爆発音を多数確認。敵艦隊は壊滅状態です」
前原「よし、では仕上げといくか……!」
待機していた主砲が残った改プレアデス級に対し亜空間より照準を定める。
前原「一撃で仕留める。主砲全門ってぇぇ!」
号令と共に発射された青白いビームは亜空間を突き破り、通常空間へと抜けると健在だった改プレアデス級の艦橋に一基分・船体に残る二基分が炸裂し、ご自慢の位相変換装甲すら歯が立たないままものの見事に爆沈していった。
この報告は直様後方の坂本艦隊を介して本隊の大石提督率いる攻撃艦隊へと伝えられた。
日本武尊
原「長官、坂本艦隊より入電。"浦島敵艦隊殲滅セリ"」
大石「……良かろう」
それを聞いた大石は不敵な笑みを浮かべて立ち上がった。
大石「我々はこれより、敵中間補給基地殲滅に出るッ!攻撃隊発艦‼︎」
「「はッ‼︎」」
大石より命を受けた日本武尊航空隊・ヤマト航空隊及び各国の戦闘空母は艦載機・艦載MSを発艦させていった。
先行して航空隊が攻撃を仕掛ける。
第一波攻撃隊
赤松「加藤、成長したお前の実力見せてもらうぞ」
加藤『まぁ見ててください。先輩』
攻撃隊は敵基地の真上からヤマト航空隊、正面低空より赤松隊が突入していく。
篠原「そらいくぜッ‼︎」
コスモタイガーより見舞われたミサイルは敵基地の構造物に次々と命中しレーダー機能の多数を奪った。
山本「やった…!」
その後を追うように、正面より赤松率いるコスモタイガーⅢが次々に突入し外に待機していると思われる敵機を次々と破壊し制空権奪取の確率を下げていく。
だが中央に位置するドームの中には多数のプレアデス級と思われる艦艇が停泊しており、これが発進させられると厄介だ。
加藤『先輩!』
赤松「おぅとも!全機ドーム内に残ってる奴らを叩くぞ!」
両隊が合流し一斉に突入しようとしたその時だった。
流石に敵も馬鹿では無いようでドームのハッチを閉じ始めた。
坂井「いっいかん!全機退避!」
坂井の指示で編隊が乱れ、その隙を突かれて対空砲が浴びせられる。
堕ちた機は無いようだが三割近くが被弾した。
笹井「被弾した機は無理をするな、各自の判断で母艦に帰投しろ!」
「「り…了解」」
岩本『さて…どうします、戦隊長?』
赤松「むぅ……」
距離を取って辺りを見渡す。侵入できそうなハッチやゲートは軒並み閉鎖させられており術は無いかに思えたが、一本の溝のようなルートが見えそれを辿るとドーム内へと繋がってる。
加藤『あそこしか侵入路は無さそうっすね』
赤松「そうだな……全機!いくz」
赤松がそう言いかけた時だった。突然ドーム内で爆発が起きて敵艦の一隻が吹き飛んだ。
西沢『⁉︎』
沢村『な…なんだ⁉︎』
続けて二、三隻が爆発して一度収まったかに見えだが、次の瞬間ドームの一箇所が吹き飛ぶのと同時に黒い機影が飛び出して来た。
山本『あれは…⁉︎』
笹井『黒い……Xウィング…?』
一瞬敵機と見間違えそうになったそれは、形状は確かにXウィングではあるが全体的に流線型のステルス機のようなデザインで全体が黒一色で塗装されていた。
赤松「へっ…何処の馬の骨かは知らんが中々洒落たことしてくれるじゃねぇか。この隙を逃すな!加藤、お前達はドームにできた穴から入れ!」
加藤『了解っす!』
赤松「あとは俺についてこい、あの溝から突っ込む!」
二手に分かれた攻撃隊はXウィングの作ったチャンスを逃すまいと決死の突撃を敢行する。
赤松「タイトロープを始めるぜぇ‼︎」
赤松機を先頭に同隊の坂井や岩本らが熾烈な対空砲火を潜り抜けて溝の中へと侵入する。下手をするとぶつかりそうな気もするが手練れの彼らには容易なこと。
出口からドーム内へと入り込むと既に加藤達が攻撃を仕掛けておりまさに阿鼻叫喚の様相を呈していた。
赤松「俺達も負けてられんなぁ!」
残るミサイルを全て発射して敵艦を次々と破壊していき、ミサイルの残弾が切れたのを見計らって加藤達の侵入した穴から脱出する。
岩本『ん?あれは……』
帰投する攻撃隊が目にしたのは遅れて到着したMS隊であった。
可変機や対艦装備を施した機体が殆どで赤松らのように猛禽の群れの如く殺到していく。
だがここでMS隊は衝撃的な出来事に遭遇する、なんと敵基地が動き始めたのだ。
異常を察して弾幕を張り破壊しつつも距離を取る。
そこへ遅れて一機よ米海軍機が到着する。
それは肩や両腕部にウィングのようなパーツに他の機体とは比べ物にならない程大きなバックパック、それらを支えるスラスターが並列に配置された脚部、そして頭部には波動砲のような発射口を備え、白を基調とし所々に青やオレンジで塗装された巨大はMS。
ZZガンダム(アメリカ海軍機)
外観:形状はよく知るZZそのものだが、カラーリングはプロトタイプ。
アメリカ海軍兵器開発局が波動砲を搭載したMSという訳の分からないコンセプトを基に開発が勧められた機体。
構造はZZガンダムそのものだが、動力源には波動コアを使用していることから事実上半永久的に活動ができるMSとなった。しかし建造されたのは本機のみで波動コアを使ったばかりにコストもMAより高くなり、アイオワ級5隻分匹敵するまでに。
そして肝心の波動砲はというと、複雑な構造のものを小型化してMSの頭部に納めることには無理があるとし「波動噴霧砲」で断念することに。それでも威力は絶大である為、九州程の面積の陸地なら一撃で消し飛ばすことができるとされる。
現場に到着するや否や、ZZは照準を敵補給基地にセットしてエネルギーのチャージを開始する。
徐々に青白い光が頭部の発射口に集中しエネルギーが充填されていく。
「Energie full charge !」
「Oh right. Wave Motion Canon Shoooooooot‼︎」
「f○ck you‼︎」
故郷を踏み躙られた怒りを込めて発射された「波動噴霧砲」は敵補給基地正面からモロに炸裂しバラバラに分解していった。
その様子は無論艦隊にも中継されていた。
日本武尊
原「敵補給基地の破壊を確認!」
それを聞いた艦橋内では「よしっ!」や「やった!」と言った声が所々から上がっていた。
リズ「それにしても凄いわね…あんなおっきなのを一発で消し飛ばすなんて……」
ユージオ「最後にあれは何て言ってたんですか?」
ハンター「ユージオ、それは知らない方がいい」
ユージオ「えっでも」
アスナ「そ、そうよユージオ君。知らない方ががいいことも世の中にはあるのよ……」
ユージオ「そうなの…?でもアスナが言うなら……」
シノン「ところで……キリトは?」
「「え?」」
言われるまで気が付かなかったが、珍しくキリトが居ないでは無いか。
リーファ「大石さん、キリト君が何処に行ったか知りません?」
大石「ん?あぁ、そうさな……」
大石はそう何かを知っているようにも見え答えるのをはぐらかしていた。
アリス「大石殿?答えるなら…」
大石「あぁ待て待て、居場所は知ってる。なんならこれからちょいと出迎えに行くか」
アスナ「え?」
そうして一同は大石に連れられて艦体後部の格納庫へと向かった。
後部格納庫
格納庫へ到着するや否や一同を待ち受けていたのは先程の黒いXウィングであった。
シリカ「さっき見た黒いのです!」
レックス「やっぱりコイツか……ステルスX」
ステルスX
日本が発掘されたXウィングを研究し、ステルス機の能力を付与した機体。自発的な通信や火器の使用をしない限りは敵から捕捉されることはなく、レーダーのみならず視覚的にも捕捉されなくなる。
コックピットハッチが開くと航空隊と同じパイロットスーツを着た人物が降りて来るが目元はマジックミラーで誰かは分からなかった。
その人物に大石が近づいて話しかける。
大石「機体の乗り心地はどうだったか?」
「シュミレーターとちょっと違うところもありますけど…慣れれば問題は無さそうです」
大石「おぉ結構、流石に俺が見込んだだけのことはあるな」
「ありがとうございます」
そう言って彼はヘルメットを脱ぐがその下に隠れていた人物を見てアスナ達は驚いた。
アリス「⁉︎」
アスナ「キ、キリト君⁉︎」
キリト「よっアスナ」
なんとステルスXを操縦していたのは他ならぬキリトであったというのだ。
リズ「ななななんでキリトが……⁉︎」
シノン「これ……どういうことなんですか……?」
キリト「実は、前にこっそり航空隊の人達のシュミレーターの調整を手伝ったついでにちょっとやってみたら…」
コーディ「コイツ、初めてやって6機はたき落としやがったんだよ」
キリト「それで、大石さんや赤松さん達に目をつけられて…ちょくちょくコイツに乗るための訓練を受けてて今に至るって訳だ」
シリカ「ちょくちょくで乗れる代物なんですか……?」
エコー「常人じゃあ無理だな」
大石「まぁ俺が勧めたみたいなものだからな、別に強制はしとらんよ」
アスナ「でも凄いわキリト君、初めてであんなことまでやっちゃうなんて!」
キリト「あぁ俺でもちょっと驚いてるよ」
大石「だがこれで我々はまた一歩、それも大きな一歩を踏み出すことができるぞ……!」
そしてそれから坂本艦隊と合流し一同は再び長距離ワープに入り、敵本星のある暗黒星雲へと向かうのだった。