「ふぅ」
今まで文書閲覧に使っていたノートパソコンを閉じ、私はもう冷めたコーヒーを一気飲みする。その周りには紙の文書の束がつみかさなっている。見てのとおり、ここは文書記録の部屋だ。
「幾ら電子化になっていたって、膨大な文書の中から特定のものを見つけるのは疲れるな」
これ程時間を掛けてたったの3文書とは……あとは報告書にまとめるだけだが。おっと、ドアに人影がいるぞ。誰だ?
「よっ、元気にしてるか?」
「村での任務はどうした」
「補給で戻っただけだよ」
「そうか」
エージェント杉林か、私の同期であるが、直ぐに別の部門に配属されたので最初のオリエンテーション以外会うことは無いと思っていた。
「で、今まで何してたんだ」
「文書の整理ですよ」
「アノマリーに関わらない、安全な仕事だこと」
「確かにアノマリーと関わらないが、絶対安全ってことは無いよ」
丁度前の部門オリエンテーションで、都市伝説?みたいなことを聞かされたからな。なんせ記録室に現れて職員を何処かへやっちまうみたいな。
「ここが幾ら除外サイトだからって、サイト内部から湧いて出てくるアノマリーだっているかもしれないじゃないですか」
「自分で言ったことだけど、ここはここで安全じゃ無いな。あと、そもそも除外サイトにはエージェントは配属されないんだけどなぁ、しかもこの除外サイトは特別だし」
「まあ、そうだな。機動部隊も配備してある」
このサイトの特別性には同感する。ましてやサイトが立地している場所自体が要注意領域となっているし、そういえばこいつ、最初の文書にいたエージェントじゃねえか。
「そういえば君、最初にGoI-81██に接触してたけど」
「まあ、偶然だけど」
「印象はどうだった?」
「印象って……うーん、良くはなかったねぇ」
「良くない?」
詳しく話を聞くと、なんだか詐欺師みたいな印象を持ったと。詐欺師ねぇ。現在は財団との友好な団体で協力もしているんだかな。
「で、なんでそんな事聞くんだ?」
「いや、ある報告書で名前を見たからね」
「そうか」
ピピピピピ
「おっと連絡だ。村の方で問題が起こったらしい。じゃあな」
「ああ、また会えたら」
嵐の様に過ぎ去っていったなあいつ。まあ、たまには人と話すのもいいな。
……………それだとほとんど引きこもりみたいじゃないか。実際そうなんだけど()
「後は文書を書くだけだ」
しかし、本当にここは例外中の例外だなぁ。この特殊な領域の性質を使って除外サイトを作ったと思えば、通常の収容サイトみたいにエージェントや機動部隊を配置する。いや、監視と言うべきだな、ここの住人の。
「確か幻想郷とか言ったな」
そんな事を言いながら、私は文書を作り始めた。