「此処だな」
やっとの思いでセーフハウスに付いた俺は、警戒しながら中に入る。
「クソッ、ずっと痛かったんだよ」
冷蔵庫から氷を探し出し、袋に入れ、患部に当てる。
「ふぅ、これでひとまずか」
火傷の痛みが気持ち和らぐ。
「サイトに連絡入れないとな。これは」
人里があんな状況では、この幻想郷全体が異常の影響を受けていると推測できる。
「あとエージェント探さないと」
昨日から駐在してたエージェント、俺の後輩も最悪影響を受けていると考えて動こう。そう思い、動こうとしたが、
「う、思ったより重症だなこりゃあ」
動こうとする度にズキズキ痛む、
「ここまで来れたのが自分でも疑わしいな。捜索は諦めるか……」
ポケットから携帯電話を取り出すが、熱でやられたのか暗い画面のままだった。仕方なく家の中の通信機器を探し出して操作する。比較的古い通信機だったが難なくサイトに繋げた。
「こちらエージェント杉林だ。誰か応答してくれ」
2、3秒後に誰かの声が聞こえた。
「こちら技術主任の高橋です。通信確認試験中に何の用ですか?」
「人里に潜入中のエージェント杉林だ。担当への通信装置がぶっ壊れてな。すまないが情報担当官を呼んでくれ。急用だ」
「分かりました」
高橋と話している間、救急箱で火傷の応急処置をしていたが、火傷の範囲が広すぎて応急処置があまり意味を成さなかった。その為、
「ちょっと待て、後ここに医療班を呼んでくれ。火傷が痛くてね」
「はい?分かりました」
あまりこういう事に慣れてないのか、高橋は疑問気味た応答をしたが、直ぐさま担当官を呼びに行った。
「でどういう状況になってる?」
情報担当官が通信に出ると、すぐに現地情報について聞かれた。
「状況は深刻だ。先に潜入中のエージェント1名死亡、あと一人は行方不明だ。人里は頭がイカれる異常な影響を受けてる。妖怪もだ。あー、今すぐ機動部隊を送ってくれ。予想では幻想郷全体が受けてると思われる」
「分かった。サイト管理官と掛け合ってみる。ん……?管理官!?何故ここに」
担当官のリアクションを聞くかぎり、言葉通りサイト管理官が来てる様子みたいだ。
「サイト管理官が来てるって?」
「そうだ。話したい事があるみたいだから変わるぞ」
ごちゃごちゃと言う音が通信機から聞こえる
「エージェント杉林、君に話したい事がある」
「何かな?」
「さっき機動部隊が派遣された。詳細は伏せるが、協定絡みだ」
「協定か……」
幻想郷ー財団日本支部間で結ばれた、サイトを置いておける何かしらの条件。サイトに勤務している者でも詳細は知るのは少ない。
「君の望み通り機動部隊を派遣するし、医療班も送る。だからもう少し耐えててくれ」
「分かりました。俺も気になる事が」
バン
っと家の扉を断りも無く開けた音が為、通信を切り、棚の後ろに隠れる。
「……」
「だっ、誰か助けて」
誰かの襟を掴んで引きずり、何も言わず黙って入ってきたのは行方不明のエージェント柊だった。