え?俺が幻影旅団の4番ですって!? 作:ハンマーしゃぶしゃぶ
落ち着く。
非常に落ち着く。
この二人…非常にいいぞ。
「…」
「…」
「…」
新団員のシズクとコルトピの二人は、今までの旅団に欠けていたタイプだ。
すなわち、陰キャ系…!
おおブラボー。
俺、シズク、コルトピのトリオは、何を言うでも無く、ただ黙ってくつろぎ続ける事ができる。
常に誰かと絡んで、おしゃべりしたり喧嘩したり遊んでたりの陽キャ共とは違う。
…そう信じていたのに。
「ダウト」
シズクもコルトピも、無口でマイペースなだけで、こいつら全然陰キャじゃなかった。
今も、無表情で楽しそうにダウトに興じている。
おまけに、二人共コミュ能力に何の問題も無い。
正直に言おう。
ジェラシーだ。
根暗な雰囲気出しているくせに、なんの問題なく、前の8番さんと違ってすぐに旅団に馴染んでやがる、この二人のコミュ能力に、俺は嫉妬している!
「…ライブスも、やろ?」
うるせぇ眼鏡っ娘。めがねっ娘教団に売りさばくぞ。陰キャの面汚しが。
袖をくいくいって引っ張るんじゃなあない。
「やろ?」
…。
「楽しいよ?」ムニッ
…。
…。
くっ。
たわわ。
俺は自然とシズクの隣に座らされて、いつの間にかダウトに参加していた。一体どうやって俺の強固な意志を…。具現化系だと思っていたら、実は操作系も隠し持っていた…?
だが、そのご立派な胸部装甲なんぞに屈服はしない…!
やたらと距離を詰めて同じ陰キャ属性をアピールしているっぽいシズクの目論見…既に俺は看破している。
まず、キモい俺にたわわを押し当てるという、女性としての感性ではありえないその行為…オタサーの姫のようにキモオタを下僕として扱おうという魂胆が見え見え…!
さしずめ、幻影旅団の中でも俺ならばマウントをとれるとでも思ったのだろう。実際、いい線いってたぜ、お前の判断はな…。あやうく俺の益荒男が荒神となって鎮まり給え状態になりかけたが、俺こそは〝
同期かつ陰キャ風のコルトピではなく、俺にターゲットを絞ったのは、恐らくは俺が旅団の古参メンバーである事を知ったから。
俺をオタサーの下僕とすれば、旅団内の地位が向上するとでも思ったのだろう。原作を読んでいるだけでは見抜けなかった貴様の本性、見抜いたり…。わはは、甘い考えだったな。どうだ、見事にハンターハンターらしい、高度な頭脳的心理戦…2。
まったく、最近はこんな感じで、あまり良いことが無い。
シズクは俺を都合の良い下僕にしようとしてくるし、旅団内のもう一人の怖い女、マチには、連日のように買い物の荷物持ちさせられてヘトヘトで、しかも時たまマッドなピエロのネトネト熱視線を感じたりもする。
まったく、まともな女はパクノダだけだ…。クロロが羨ましい。
マチさん、荷物持ちには最適なウボォーあたりを誘ったらどうでしょうか。
そう思った俺は、ウボォーに何とか荷物持ちを替わってくれるよう頼んでみた事がある。なけなしのコミュ能力を使い切って、「替わってくれ」の一言を何とかウボォーの耳に届けた。
だが、魂を込めた俺の訴えに対し、ウボォーの返事は無情なものだった。
「おいおい!いくら俺でもそんな野暮な事しねーよ!楽しんできな」
最近、より洗練されてきた流のように滑らかな動きで、ウボォーはサムズアップして歯を輝かせながら俺に笑顔を向けてくる。
何を楽しめと?
マイルドヤンキー女に、荷物持ちさせられつつ、延々とショップを連れ回される苦行を楽しめと?
修行だと思って楽しめという事か?
いくらマチが、10人男がいれば9人が振り返る美人でも、興味のない店を何件も何件も歩かされるのは辛い。
防御特化の念能力でも、女のショッピングには勝てない。
あれは戦いとも修行とも、全く別の苦行なのだ。
まぁ、ショッピングの合間に、マチが連れて行ってくれる飯屋は、俺の好物率が高かったのだけがラッキーか。その打率はなんと10割だったが、こんな偶然もあるのかと内心驚いたものだ。
そんな良いことも有りはしたが、マチの従者となって街を歩くのは本当に大変なんだ。不思議と色んなトラブルが起きる。
例えば、マチの荷物持ちをやっている最中、俺がトイレに入った時の事だ。
俺は、いつもテンパランスでおばちゃんに擬態しているから、当然のように女子トイレに入っていったわけだが3、そこになんとマッドなピエロが出現し襲ってきた事がある。
こいつマジでイかれてんな?と思ったものだ。
ここは女子トイレだぞ!奇抜な格好してても男は入ってはいかんのだぞ。
せめて奇抜は奇抜でも女装ぐらいして来るのが礼儀というものだろうが。この礼儀知らずが。
キレた俺は、女子トイレをテンパランスにもぐもぐさせながら、部屋いっぱいにした念獣スライムで、〝スライムぬるぬる地獄・ミニver〟…ではなく、〝タイダルウェイブ・ミニver〟をお見舞いしてやったのは今では笑えないクソ思い出だ。
その結果、マチが選んでいためちゃくちゃ気に入ったらしい購入予定の下着まで、テンパランスが食ってしまって、マチまでブチギレるし散々だったのだ。
溶けて消えゆく下着を確認し、後日同じものをご機嫌取りで送ろうとも思ったが、その下着はなかなかの際どい色気を振りまく下着であり、キモい陰キャの俺がそんな下着を購入すれば変態一直線でありとても出来なかった。
というか女性モノ下着の時点でアウトであった。幻影旅団の中から、女性モノ下着を変態行為に使おうとして公然わいせつ罪でしょっぴかれる奴がでたら、きっとクロロが腹掻っ捌いてしまうから、俺は泣く泣く思いとどまった。マチごめん。
しかし、マチがあんなセクシー系下着を着るとは意外だった。
見た目だけはかなり美人で、しかもスタイルも良いので、想像しただけで〝名画を見た吉良吉影〟状態になりかけて危なかった。
マチで自家発電したのが、万が一にもマチ自身にバレたら、俺はきっと殺されてしまう。
だから俺は必死に耐えた。
耐えきった。
俺の勝ちだ。
さすがは防御特化の俺だった。忍耐力には光るものがあるではないかと、我が事ながら全米(全サヘルタ?)が泣く程の大絶賛の嵐だった。
このように災難盛りだくさんであるわけだが、まだあるぞ。
他にも、マチがナンパにあった時の事だ。
あの時も大変だった。
一見して女二人連れ。しかし俺は大柄でブサイクなおばちゃん形態だったわけで、完全に無視されていたのだが、マチはそれはもうモテていた。ナンパするならマチ…誰だってそーする。俺だってそーする。
イケメンな陽キャナンパ男2、3人に囲まれて、「おねーさん、俺らと一緒にカラオケいこーよ」とかずっと言われていた。
俺は、いっそのことマチがそのナンパに乗ってくれたら、このショッピングから解放されるかもしれないという細やかな願いがあったりもして、大人しくマチがナンパされる様を見ていた。
どうせ、マチがその気になったら、ナンパ男達は指先一つでダウンするわけだし、何の危険もないのだ。俺は極めて脱力して、その光景を眺めていたわけだ。
だが、そしたら、マチはくつろいでいる俺を見た途端、何故か急にブチギレた。
ゴリラマチとなったマチは、ナンパ男達に全治10ヶ月の重傷を負わせて、そして俺にも凄まじいガンを飛ばしてきて、その日はずっと針のむしろだ。
納得がいかないんだが?
確かに、知り合いの女性が望まぬナンパを受けていたなら、解決するのが友人たる俺の役目だったかもしれない。そこは百歩譲ろうじゃないか。
だが、マチさん、あなた…最初は。
「あーー、やばいな。あたしナンパされてる。どっかの誰かが止めてくれないと、あたしコイツらに付いてっちゃうかもな」
とか言って結構ノリノリだったと思う。付いていってどうぞ。
だから、俺は余計に安心して眺めていたんだ。
それに100%マチは安全だったし、俺が安心してナンパ風景を眺めていて何が悪いのか?いや、何も悪くない。4
こんなトラブルだらけの日常が、1年以上続いたのではないか?
理不尽だらけとはまさにこの事。
だから俺はマチとお出かけしたくないのだ。
ホームに籠もって、ジョイステやってたいし、なんならウボォーと喧嘩特訓でもしていたほうが余程楽しい。実際楽しかった。ウボォーががんがんレベル上がっていくのが実感できて、今では超破壊拳なんて、ミサイルなんて目じゃない威力のパンチになっている。地面を殴った時に出来たクレーターは、直径100mくらいありそうだったが…これなら本当にウボォーはクラピカ返り討ちにして、キメラアント戦でも活躍できるかもしれない。頑張れウボォー。お前がナンバーワンだ。
よぉしウボォー、今日も俺のテンパランスとお前の超破壊、どちらが勝つか勝負―――
「ライブス、行くよ」
マチの糸が、俺の全身に食い込む。助けてウボォー…。そんな無駄な爽やかな笑顔で、俺を見送るんじゃあない。
おばちゃん擬態姿に念糸が食い込みまくって、まるでボンレスハムだ。ムチムチおばちゃんだ。どうだ?ウボォーの性癖にぶっ刺さらないか?こういうの好きなんでしょ?5
もちろんテンパランスを以てすれば、食い込む糸ぐらい溶かし切って脱出は出来るのだが…。
後を考えるとそれも怖くて…。
そんなノミのハートな俺は、今日もこうしてドナドナされるしか、採れる選択肢などなかったのだ。
◇
幻影旅団、理不尽すぎ問題。
クロロも、マチも、俺の意見を無視して自分の都合だけで拉致るのだから勘弁してほしい。今日こそ辞表を叩きつけて「4番なんてやめてやらァ!」と怒鳴り散らしてやると息巻いて、そして結局もじもじしちゃって何も出来なかった。シャイな俺も可愛い。
そんないつも通りの日常を過ごしていたら、団長が今度の9月1日に大仕事やるぞと言い出したではないか。
暇なやつ全員集めて、マフィアン・コミュニティーのオークションにカチコミかけるらしい。
いってらっしゃーい。
俺はホームに籠もってジョイステをやるとするよ。
まだクリーチャーハンター2Gで未討伐クリーチャーいっぱいいるのでね。とてもじゃないが暇ではないのだ。失礼するよ。
「暇なやつ改め、全員必ず…ヨークシンに集合だ。ライブス、お前もヨークシン入りだ」
オールバックで、すっかり団長モードなクロちゃんが俺に何か言っている。
もう一度言おう。いや、何度でも言おうではないか。幻影旅団、理不尽すぎ問題…!
そんな簡単に、ぽこぽこと命令を変更するやつがあるか。
それでもリーダーか、団長か。男に二言は在るのか無いのか。どっちなんだい。
「…これは、俺の…俺達の悲願の一つでもある。そうだろう?ライブス。ようやく…俺達が
そんなおセンチな事を言うクロロは、団長モードの空気を僅かに薄れさせて、俺の目をジッと見てきた。
…今、クロロが見つめてるの、テンパランスが擬態したおばちゃんの目だけど?
俺の目じゃないんだが?
確かにクロロと同じく、サラサばらされ被害者の会の一員ではある。あるのだが、そんな情への訴えかけなど冷酷非情な盗賊集団である幻影旅団の4番様には通じんが?
「あぁ……わ、わかって、いる、さ…」
でも悔しい。押し切られちゃう。
分かっている。どうせ俺は自己主張出来ない、Noと言えない日本人気質なんだ。
転生したって、前世からの宿業からは逃れられないのだ。
魂にまで染み付く、日本人の控えめ気質。
わかったよ…見せてやるさ、社畜根性ってやつを…!
◇
うわぁ、とうとう来てしまったぞ。ヨークシン。
うむ…どっからどう見ても、ヨークシンって書いてあるな。誤字脱字じゃないか?あの青看板、あってるか?
あってるよ、間違いなくな!残念ながら、もうこの世界の漫画はなんとこさ読めてしまう程度には読解力が上がった。相変わらず文字は書けないが。
本当にここはヨークシンで、そして俺達は、ヨークシンの摩天楼群がよく見えるグランドキャニオンみたいな荒野のど真ん中のハイウェイ沿いを徒歩で進んでいた。車は?文明の利器なんで使わないの?これだから流星街人は。
しかしこの風景…このシチュエーション…幻影旅団が本編に初登場する、あの名シーンの可能性が極めて高い。
だがその中に、巨体のおばちゃんがノッシノッシ歩いて混ざっている様は、ちょっとどうなんだ?名シーンへの冒涜なのでは?
でも、幻影旅団って割と見た目はゲテモノ揃いだし、俺も溶け込んでいるかもしれない。
いや、きっと溶け込んでいるに違いない。
溶け込んでいるはずだ。
ヨシッ、溶け込んでいるな。
何も問題はない。
「13人が一堂に会するなんてなァ。何年ぶりだっけか」
「3年2ヶ月。…と言ても、あの時とは面子が違うね。8番と10番、別の人に替わた」
「マチ……
「知らないね。あたしに聞くな」
「お前の役目だろ」
「〝来い〟と伝えただけだ」
薄れていた記憶が刺激されるというものだ。
名場面 心に染み入る 名台詞。(
だが少し待って欲しい。
今、おかしなセリフが聞こえた。おかしな単語が聞こえたぞ。ヒソカって言わなかった?
「ワタシ、ヒソカ嫌いね。何故団長アイツのワガママ許すか?ボノレノフのほうがよかたよ」
「あたしも嫌い。あいつのライブスを見る目、絶対おかしいんだよね…」
「まぁ落ち着けよ。あいつの能力は実際やり辛ぇし、よく考えられた能力だ。……ククク…それより、マチ、気をつけたほうがいいんじゃねーか?ヒソカの野郎…絶対男もイケる口だろうぜ。気をつけねーと、おめぇより先に
「…殺すよ?」
「おい?なんで俺に殺気向けんだ?やるんならヒソカで…お、おい、団員同士のマジギレ御法度――――うぉ!?」
マチとノブナガが、戯れに素手で殴り合いを始めたが、まぁ放っておこう。
そんなことより、色々とおかしいぞ?考えなくては…!
ヒソカは、ドンドコドン族のポルナレフを殺して、10番枠をゲットしたのか?
いつのまに…!全然知らなかった…!読めなかった、このライブスの目をもってしても…!6奴がポルナレフさんを殺してしまうなんて!
しょせん獣の戯言俺の心には響かないという、効いてない風めっちゃ効いててキレてる名台詞…あの陰キャの心にスッと染み入る金言…是非、生で一度お聞きしたかった…、ボナパルトさん…!
というか今の口振りからして他の皆は、ポルナレフさんの入団と退団も、ヒソカが入団したのも知ってたっぽいが、俺、本当に全然知らなかった。またか。なんでいつも誰も知らせてくれないんだ?7
コルトピとシズクの時だって、ホームに帰ったらバッタリ出くわしただけだし……ははーん…わかった。出たよ、ハブだ。陰キャの俺をハブっていたわけだ。こうやって、情報に置いてけぼりされてアワアワする俺を見て、こっそり笑い者にしているわけだ。
はー、陽キャ共のウザ絡みマジ厄介。俺のテンパランス以上に厄介だ。人を笑い者にして、それが本当に皆幸せな笑いだと信じ切ってるんだ、こいつらは。
見てろよ陽キャども。俺は慌てないぞ。少なくとも、見た目だけは冷静を装ってやる。というか、俺がどんなにテンパってもテンパランスはテンパらない。冷静でタフなんだ、うちの子はな。
ふはっ、見てくれ俺のテンパランスを。おばちゃん擬態は見事に維持されていて、いつも通りのニタニタ面を全く崩さない。今日も俺のテンパランスは完璧で完全だ。
お前達が見たがっている、俺が動揺してあわあわテンパってる姿は、決して見せないぞ!
◇
うわあああなんてこった。
ウボォーが、俺達のウボォーがっ、旅団の最終兵器のウボォーがっっ、あ、あんなに修行したウボォーが…っっ!!
クラピカに…っ。
勝ちました!
勝ちました!
勝ちましたよみなさん!大穴です!万馬券です!馬券が、宙を舞うーー!
これで幻影旅団の俺は、今後は生存ルート確率が高まったな!?そうですね!?
はー、やったわ。
ウボォー育成ゲームにのめり込んだ時間は無駄じゃなかった。
ヒソカが身内になってしまったせいで、やはりヨークシンでの一連の出来事は結構そのまま発生したように思える。全部確認できたわけじゃないので、断言はできないのだが。
ヒソカがウボォーの能力と性格をクラピカに漏らして、陰獣とのバトルの直後に、ウボォーはクラピカの鎖に拉致られた。
だが、そこからは俺の目論見通り、運命は捻じ曲がったらしい。
ヒソカが旅団内にいた事に冷や汗がドバドバ出たが、ウボォー強化計画大成功である。
7割出力ビッグバンインパクトぶち当ててやったら、そのまま腕消し飛んで、岩山3つぐらいブチ破って転がっていったそうだ。
ここはハンターハンターの世界のはずでは?なぜドラゴンボールしてるんだ?
やっぱりウボォーの肉体ステータスは狂っているようだ。
その話聞いてると、もはや一人だけドラゴンボールなんだ。おかしいぞウボォー。でもさすがウボォー。かっこいい、抱いて!
「いやー、あいつの鎖巻かれた時はマジで焦ったぜ。なにせ強制的な絶にされてよぉ。ライブス、お前から貰ってた子テンちゃんなかったら、ヤバかったかもしれねぇ。あ?子テンちゃんの粘液防御があれば、そもそも鎖巻かれないだァ?…まぁそうだけどよ…あんなん、オメェ…だってよ、俺には子テンちゃんの防御アシスト必要って思わねぇだろ。……だから、俺の体内に潜んでてもらってた」
子テンちゃんの
んで、俺の子テンちゃんを、緊急時のオーラ電池として喰らって、一時的にオーラを無理矢理回復し、捕獲したと油断した鎖野郎に一発入れたと?
うん?…自分のオーラを内部から噴出できないから、外付けオーラ電池の子テンちゃんのオーラを直接使った…ってコト!?……そんな事できるの?へへ…自分の能力ながら未知が多いぜイエローテンパランス。うーん、ウボォーって、やはり意外と頭回るな…。「ウボォーはただの怪力バカじゃねぇ」って言ってたノブナガは正しかった…。俺より発想がいい!実にいい!ディモールトベネだ、ウボォー。
「もー、ウボォー。あれだけ気をつけなよって言ったのに。…っていうか、強制的な絶って何気にめちゃくちゃヤバいじゃん。それで、鎖野郎はきっちり殺せたの?」
「…いや、すまん。逃げられた。トドメさそうとして、ぶっ飛んだ鎖野郎追っかけたらよぉ。突然、変な笛の音が聞こえてきて…一瞬、頭の中真っ白になっちまった。…で、気付いたら、もう鎖野郎の姿はどこにも無かった」
ええ…クラピカ、それで生きてるの?うそ…あいつの生命力…ゴキブリすぎ。あぁ、しかし…うわ、そうだ…センリツもいたのだった。あの人の能力も、俺程度の防御力じゃ対処できないのでは?いや、耳にスライム詰めればイケるか…?だがどっちにせよ恐ろしい…。世の中、俺より強いやつが多すぎる…気に入らねぇ。って名作漫画のオリハルコン戦士も言っていた。本当にその通りだ。上には上がい過ぎでイヤになる。
「ふーん……それは、音を扱う操作系ってとこかな?仲間はいないと思っていたけど…鎖野郎も、結構優秀な仲間がいるって事か。いるのに使いたがらない…つまり、プライドが高く、頑固。それでありながら、ウボォーと一対一の状況に見事にもっていってるんだから、頭も回る。…そんな奴に、そんな状況にされて、ウボォーが無事に帰ってきたってのは結構奇跡的だったかもね。いやぁ、俺もついていけば良かった。マジでライブスの子テンちゃん、ファインプレーだなー」
「そうだよウボォー。ライブスに感謝しな」
「あ?なんでマチが、んな勝ち誇った面してんだよ。テメーは関係ねーだろ!」
「あぁ?関係大アリだろ。あたしとライブスだぞ」
「……未だ告れねぇ玉無し野郎がよく言うぜ」
「っ!!!?だ、誰がっ!!ばっ、おまっ、それっ、ライブスの前で―――っ!それに玉なら生まれた時から無いんだよっ!あたしは!!!」
「あー、そういや女だったかもしれねぇな。あんまりゴリラだから忘れてぜ。つーかよー…一体いつになったら俺の可愛い妹分は、惚れた男に股開けるんだろぉなァ?」
「ウボォー、あんたね…!今更また兄貴分面すんじゃないよ!」
「ハァ…悲しいぜ、オレはよ。……オレの後ろをちょこちょこ付いてきた野山の猿みてぇだったのに…。同じゴリラとして恥ずいかぎりだ」
「殺す」
マチとウボォーが、何か突然喧嘩を始めた。怖い。ヤンキー共のこういうノリ、ホント怖い。やめてくれ。なんですぐ喧嘩するんですか。
少なくとも、そういう行為は足元をよく見てやるべきでは?
お前らの足元には、俺が持ち込んだジョイステがあるって気付いているか?
というか、ゲームしている俺の姿が目に入っているか?他人の迷惑を考えよう。(提案)
やめて、俺とテレビの間で喧嘩するのやめて。
うわぁ。マチが、女性がしていい顔じゃない顔してるぞ。あれだ。ヒソカにバンジーガムで雁字搦めにされた時のブチギレ時のマチの顔をしている。
…団員同士のマジギレ御法度なのでは?
あの顔、完全にキレてますよね?
「マチ、ガチギレしてる?」
ほら、シャルナークも同じ事思ってた。
「してねぇ!!あたしをキレさせたら大したもんだね!!!」
長州力かな?
おいウボォー、笑いながらマチと力比べしてんじゃないよ。
とめろ!一応、副団長ポジションでしょうが!
そして今すぐ、テレビの前からどけ!足元のジョイステを器用に避けながら喧嘩するな!
「確かにガチギレじゃねぇよな!ただの力比べだしよ!腕相撲と一緒だ一緒!」
「ええー?本当ですかぁ?そろそろコイン用意しとく?」
今にも「本当にござるかー?」とか言い出しそうなイントネーションやめろ、シャル。しかも、突然のですますキャラは明らかに煽りでしかないのよ?
いいからとっとと早くコイン投げて、この喧嘩寸前の悪い空気終わらせろ。早く。今スグに。
「だから…っ!あたしはっ!キレてねぇ!!ぐぎぎぎぎっ!」
「だははは!女にしとくにゃ惜しい筋肉だぜマチ!やっぱオメェは俺の舎
「しつっこいんだよっ!!女っ!だから!!」
本当にそろそろ止めましょう、お二人さん。シャルナーク、早くコイン投げて!
何笑ってんだ!誰かとめろ!ノブナガ!パクノダ!ストップかけるんだよ!
地面が!仮ホームの床が、ヒビ割れてるから!ジョイステが!!
壊れる!本当に壊れちゃう!なんでクロロまで微笑んで見てるんですか。団員にもルール遵守させるのが団長のお仕事でしょうが。
ふぁーーー!?あぶない!?マチの足がジョイステをかすった!!
誰かーーー!!
いや、俺が守護る!いっけぇイエローテンパランス!俺のジョイステを守るんだーーーー!!(少年誌的熱血)
俺のジョイステは死んだ。