終末のアルテル   作:スグリ@あれこれ書いたりする人

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評価ありがとうございます。
どんどん挿絵も描いていくので更新は不安定ですが、評価やコメントいただけると嬉しいです。モチベーションも上がります。




 ギルドでTOSっていう機械をアルテルに買ってもらった後。

 

 私は今、宿のお部屋でTOSの使い方をアルテルに教わっていた。

 

「タクティカル・オペレーティング・システム。略してTOSは、元々、無人ドローンに命令する機械です。けれど、これをアームドユニットに無線で繋げば、オペレーターとして支援ができます」

「オペレーター?」

 

 たどたどしい言葉で説明してくれるアルテルが可愛くて、つい聴き入っちゃう。どうやらこれを使えば、オペレーターっていうのになってアルテルのお手伝いができるらしい。

 

「画面で私の戦いや、レーダーが見られるので……状況を伝えたり、指示を出したり、必要なら依頼主(クライアント)とのやり取りもお願いします」

 

 でも聞いてる感じなんだか難しそう。何せ私は偏差値41の高校にギリギリ合格した程度の頭だ。こんな難しい機械を扱う自信は、正直あんまりない。

 

「最初は、見ているだけでもいいです。元々、オペレーター、いませんから……」

 

 これってアテにされてないってことだよね。ちょっとヘコむ。まあ素人だから仕方ないんだろうけどさぁ。

 

 結局このTOSっていうのがどういう機械なのかもまだいまいちピンときてないし。どうせ私はポンコツですよ。

 

「戦いの途中でも、私とお話できる機械。そう、思ってくれていいです」

「なるほど!」

 

 流石アルテル。それならわかる!

 

 如何にも専門的って感じのごちゃごちゃした機械だったから戸惑っちゃったけど、アルテルとお話できる通信機って考えるとなんだか使いこなせる気がしてきた。

 

「他には、レーダーで敵に気付いたりしたら、教えてくれると助かります」

「頑張るよ、私!」

 

 なんだかよくわからないけど、これを使いこなせばアルテルの力になれるのなら私、頑張るぞっ!

 

 意気込む私に、アルテルが言う。

 

「早速、使ってみますか……?」

「ほぇ?」

 

 いきなりまさかの初仕事!?

 

 こういうところも流石アルテル、意外とスパルタ……!

 

 

 

 

 

 そう思ってたけど、そうじゃなかったみたいです。

 

「ユズ、見えますか」

「すごい、アルテルからはこう見えてるんだ……」

 

 依頼とかのお仕事はなし。私のTOSの練習の為だけに、アルテルはわざわざロボットを動かして街の外に出てくれた。TOSの画面には今、アルテルが見てるコクピットからの視界と同じ景色が映ってる。

 

 ちなみに私は今はギルドの地下の個室を借りて、そこでTOSを使わせてもらってる。無防備のところを敵に狙われるのを避ける為に、ハンターのオペレーターはギルドで守ってもらえる決まりになってるらしい。

 

「ステルスドローン、射出します」

 

 アルテルがそう言って、ロボットから何かを打ち上げた。

 

「これで私の視点と、ドローンの視点、切り替えられる筈です」

「ほんとだ、空からも見れる!」

 

 言われた通りに切り替えスイッチをパチンと動かすと、アルテルの視界が映っていた画面が切り替わって空から見下ろすような視界が映し出された。

 

「ドローンの操縦は、そちらでできるので……自由に、動かしてください」

「おおーっ」

 

 本当だ、見下ろす視点ならゲームみたいに自由に動かせる。これ、私の操縦でドローンが動いてるんだよね。初めてドローンなんて操縦しちゃった。

 

 調子に乗ってぐるぐるドローンを動かしてると、遠くから何かが近付いてるのが見えた。

 

「えぇーっと、右からなんか来てる!」

 

 多分、なんかヤバそうな人たちがアルテルに近づいてくる。見た感じ武器とか持ってるし。

 

「何時方向で、言えますか」

「んーっと……四時くらい!」

「わかりました。共有、してください」

 

 なるほど、何時の方向からって言えばいいんだね。新しいことを覚えながら、カメラに収めた映像をアルテルに送った。

 

「ローグ……。丁度いいです。実戦で、練習しましょう」

「実戦って、いきなり!?」

 

 ローグって、私を襲ったような悪い人たちかな。それにしたっていきなり戦うことになるなんて、緊張する!

 

「ユズは、安全です」

 

 確かに私はそうだけど、アルテルはそうじゃない。私の間違い一つでアルテルが危なくなっちゃう。そう思うと、怖くて震えが止まらない。

 

 そんな私の様子を察してか、アルテルはこう言ってくれた。

 

「それに……あんなのには、負けません」

 

 だよね。アルテルは強いもん。あんなのに絶対に負けるわけがない。ありがとうアルテル。何だか気が楽になった。

 

「見ろよ、アームドユニットだぜ!」

「一機でノコノコ、ユニットを手に入れて調子に乗ってるニュービーにちげぇねえ。アレなら狩れるぞ!」

「袋叩きだ、行くぞォ!」

 

 敵が来た。車もバイクもなんだかトゲトゲしてるし、見るからにヒャッハーな感じだよ。

 

「敵、数えてみてください。できれば、戦いになるより早く」

「え、えっと……」

 

 数える!?

 

 全部で……九台! じゃだめだよね。暴走族みたいにあっちこっち動いてるから数えづらいし……よし!

 

「バイク六台、車二台と戦車一台!」

「合格、です」

 

 やった、合格を貰えた!

 

 なんて思った矢先、アルテルはマシンガンでバイクを一台吹き飛ばす。

 

「怯むな、囲めぇーッ!」

 

 ヒャッハー……ローグっていうのかな? ローグたちもやられっぱなしじゃなくて、ロケットランチャーや機関銃で攻撃してくる。

 

「あとは、見ていてください。あと、敵が増えたら、教えてください」

「頑張って、アルテル!」

 

 もうここまできたら応援しかできない。TOSの画面越しに、私はドローン視点でアルテルの戦いを見守ることにした。

 

「貴重な売りもんだ、後ろからコクピットを狙え!」

「パイロットだけミンチになりやがれーッ!」

 

 ローグたちはロボットのコクピットがある背中に回り込もうとしてくるけど、そんなのはアルテルには通じない。背中を見せないように距離を取りながら一台、また一台とバイクをマシンガンで撃って爆散させていく。

 

「やりやがったなテメェ!」

「こうなりゃパーツだけでいい。ぶっ殺せ!」

 

 あっという間にバイクを全滅させられてコクピット狙いを諦めたローグたちが、さらに勢いを増して迫ってくる。トゲトゲの改造をされた車が二台と戦車が一台。

 

 アルテルの敵じゃない。

 

「来るな、来るなァーッ!」

 

 機関銃を脚の盾で防ぎながら、アルテルは物凄い速さで近付いて車を蹴り飛ばす。その後宙高くへと飛び上がると上からマシンガンで車を撃ち、戦車を踏み潰しながら剣で串刺しにした。

 

「敵、全滅です」

「お疲れ様」

 

 凄い、本当に楽勝だ。やっぱりアルテルは負けない。

 

 そんな風に思いながら肩の力を抜いた途端、TOSがアルテルの背後に何かを映した。

 

「アルテル、後ろッ!」

「わかってます」

 

 気付いていたらしいアルテルは、私の声と同時に剣を後ろへと向ける。

 

 その切っ先にいたのは、アルテルのとは似ているけど違う見た目をしたロボットだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「おっと、剣を下ろしてくれ首切り(ヴォーパル)アリス。やり合う気はない」

 

 どうやら敵じゃないみたい。相手が武器を下ろしている事を確認したアルテルは、剣を下ろして言葉に耳を傾ける。

 

「ハンターのダニールだ。護衛対象の商隊が狙われてるってんで潰しに来たんだが、どうやら君が片付けてくれたようだな。お陰で楽ができた。感謝しよう」

「獲物……横取り、してしまいましたか」

「いや、いいさ。俺はなるべく楽をしたい主義なんでね。だがこれは俺の依頼。悪いが報酬は俺の物だ」

「それで、構わないです」

 

 どうやらさっきので、この人がお仕事で戦うはずだった敵を私たちがやっつけちゃったみたい。揉めることもなく話はついたみたいだし、いい人そうだし安心だ。

 

「まあ借りにはしておいてやる。機会があれば手を貸そう。さらばだ」

 

 最後にそう言い残すと、ハンターのダニールさんはどこかへ去っていった。やっぱりいい人だ、あの人。

 

「戻ります、ユズ」

 

 そしてアルテルも今から帰ってくるみたい。なんだか声に含みがある気がするけど、気のせいかなぁ……?

 

 

 

 

 

 

 初めてのTOSの練習の後。

 

「お疲れ様、アルテル」

「ユズも、よく頑張りました」

 

 お互いを労い水を飲みながら、私とアルテルは早速さっきの反省会です。

 

「えっと……どれくらい出来てた?」

「五十点、くらいです」

 

 五十点かぁ。厳しいなー。でも、初めてだしそれだけ出来れば充分、なのかなぁ?

 

「特に最後、ユニットを見逃したの。だめだめ、です」

 

 うぐっ……。だめだめって言われちゃった。けどそうだよね。あれがたまたまいい人だったからよかったけど、敵だったらアルテルがピンチになってきたわけで。

 

「あれは、アルテルの戦いに見惚れちゃって……」

 

 これは本当。だけど言い訳だ。

 

 反省はしてるし、その後素直に謝ろうと思った途端、気付けば私はベッドに押し倒されていた。

 

「おしおき、です」

「ふぇっ!?」

 

 これは……小悪魔モードのスイッチが入った予感!

 

「私にも……見惚れさせて、ください」

「アルテル、さん?」

 

 段々とアルテルの顔が近づいてきて、服に手をかけられる。これ、やばい。脱がされるやつだ!

 

「可愛いユズ、見せてください」

 

 このままじゃやばい。またあんな事やこんな事をされちゃう。

 

「待って待って! ご飯、まだ食べてない!」

「そう、でした」

 

 よし、止まってくれた!

 

 私の身体から離れて起き上がったアルテルは、諦めてくれたかと思いきや。小悪魔スマイルを浮かべながら、私に告げる。

 

「ご飯、食べたら……次は、ユズを食べます」

「あっ……はい」

 

 こんな感じで私はアルテルのオペレーターとしての第一歩を踏み出して。

 

 その夜、無事にアルテルに美味しくいただかれましたとさ。

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