波花騎士とは腐れ縁です   作:クタクタ88

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 デイリークエストより。
 ヒルチャール語、一応調べましたが…難しいm(__)m


ヒルチャールの一歩

 

ー依頼発生ー

 

「目標を確認。直ちに殲滅するわよ」

 

「あい。いってらっさい」

 

「君も来るに決まってるでしょ!?ほら、行くわよ!」

 

 場所はモンドの鷹飛びの浜。海を背景に複数のヒルチャール達がギャーギャー喚きながらこちらに向かってくる。

 ハイ、現在任務でヒルチャール退治に来ているベルカスです。

 お手製松明を片手でブンブン振り回しながら突っ込んでくる赤毛のヒルチャールが4体。そして、その奥には黒い体毛で覆われた一際大きな体躯の個体。“暴徒”と分類されるヒルチャールだ。

 こいつらはテイワット大陸の各地に分布しており人類とは違った独自の文明の中で生きている。一応の意思疎通は可能なのだが、何しろ向こうから俺達を襲ってくるため所謂人類の敵ってやつだ。そのため、騎士団の任務の中でこいつらの討伐は結構ポピュラーな部類に入る。

 

「しょうがねぇ。いっちょ、やってやっか!頼むぜ、相棒!」

 

 凄まじい速度でヒルチャール迎撃のために駆けて行くエウルアの後ろで、俺は弓を構える。長年扱う『リカーブボウ』。薄緑のこの色艶、美しいぜ。

 さて、見惚れるのもそこそこに矢筒から矢を取り出し、弓に番えて狙いを定める。

 既に複数のヒルチャールと斬り合っているエウルアは蒼い水晶のような刀身の巨剣をまるで踊るように振るっている。

 うーん、流石は実力と才能で旧貴族という最悪のデバフを跳ね除け隊長まで上り詰めた女。美しくも苛烈にバッタバッタと敵を蹴散らしている。うん、あの辺はアイツに任せていいやろ。

 

「俺の獲物は、お前じゃい!」

 

 渾身の気迫と共に矢を放った先はヒルチャール暴徒。両腕で巨大な斧を振りかぶりエウルアに向かっていたソイツに矢が吸い込まれるように、当たらなかった。

 えっ、ちょ、ま!?

 

 『hola!!』

 

 何かを叫び、暴徒は急に立ち止まりどこかからか取り出した炎スライムを斧に塗り付け始めたのだ。

 なるほどね、それで狙いが外れたのね。うん、おいおい斧が赤熱してるじゃねぇか!ちょ、待てよ!

 

「ベルカス、避けて!」

 

 エウルアが叫ぶのとほぼ同時に、暴徒が投擲したのは塗り付け終わった炎スライム。

 放られたそれは綺麗な弧を描いて俺に向かって飛んできた……ってうぉおおおおい!?

 咄嗟に前に転がって直撃を避けるが、そこは炎元素。掠った衣服に火が燃え移り、スリップダメージに突入!うん、現実的に言うと、燃えてる!

 アイツメチャクチャコントロールヨクナイ!?

 

「あっちぃいいいい!?水、水っ!」

 

 幸い海が近くにあるためすぐさま海水で火を消化する。あっぶねぇ、焼け死ぬとこだったぜぇ!

 

「無事ね……ふぅ、まったく心配させて…この恨み覚えておくわ。さて、それよりも……やってくれたわね?」

 

 

 

 相手にしていたヒルチャール達を大剣一閃で吹き飛ばしエウルアは暴徒に向かって一直線に向かっていく。

 驚いたのは暴徒だ。一切怯みもせず真正面から突っ込んでくる華奢な人間に一瞬怯むも、すぐさま真っ赤な刃の巨斧を振り下ろす。

 

 『ga‥‥!?』

 

 しかし、その一撃は側面に身を捌いた彼女には当たらず地面に叩きつけられる。更に避けたと同時に、大剣の一撃を叩き込んだ。

 何度見ても洗練され無駄のない動き。うーん、綺麗だわ。

 

「粉々よ」

 

 大剣を背中にピッタリと付け、まるでダンサーのような停止姿勢から一転、水晶のような髪を靡かせ大剣を横一閃するエウルア。

 その一撃には冷気が纏われ、吹雪のような苛烈さと共に暴徒を切り裂いた。氷元素の“神の目”、その力だ。

 ヒルチャール暴徒は膝から力なく崩れ落ち、黒い塵となって消えていく。

 そう、ヒルチャールは死体を残さないのだ。これについては、色々研究されてるんだろーが、未だによくわかっていないんだよなぁ。まぁ、不死身の化け物を相手にするよりはマシだけど。

 

「ふぅー、これにて任務は終わりでおけ?とっとと帰って酒でも……とはいかないですよねぇ、やっぱりぃ」

 

「増援ね。まぁ、ヒルチャールなら当然でしょうね」

 

「マジでどこから出てくるんかねぇ?」

 

「さぁ?エラ・マスクにでも聞いてみれば?」

 

 俺たちが武器を構えると、少し離れた砂浜の方から数体のヒルチャール戦士と大きな木盾を携えたヒルチャール暴徒が雄叫びと共に向かって来ていた。

 ちなみに軽口を叩き合う俺とエウルアだが決して気は抜いていないぜぇ?何しろあの盾持ちはなかなか厄介だからな。特にエウルアにとっては面倒くさい相手と言っていいだろう。

 

「エウルアちゃん、盾持ちはどーするぅ?お得意の物理ダメージ通りにくいですよねぇ?んん?」

 

「上司を煽るなんて、この恨み覚えておくわよ?いいからさっさとあの盾を排除しなさい」

 

「ア、ハイ…!」

 

 うーん、結構な冷気を放出しながら睨まれましたね。前髪とか少し凍りましたわ。

 うん、こわかったぁ。ちゃんとやろう!

 

「ぶち抜くぜ!」

 

 リカーブボウを構える俺の腰に光るは、なんと薄黄色の“神の目”。

 はい、実は俺も神に選ばれた存在だったんですね!すごいだろぅお?

 ドヤ顔もそこそこに、俺の構えた矢の先端に細かい粒子のような物体がサラサラと集まり、固まる。鈍く輝く黒色の鏃の完成だ。

 

「ラァーイ!!」

 

 裂帛の掛け声と共に放たれた一矢は、盾を構えたまま向かって来る暴徒に一直線!いい狙い、流石俺様!

 当然、暴徒は盾で俺の攻撃を受け止めるがそれでいい。何しろ、その盾を狙っていたんだからな!

 

『d、dalaッ!?』

 

 暴徒が構えた盾は、俺の矢の着弾と共に粉々に砕けた。

 これが俺様の元素スキル『徹鉱の一矢』よ。着弾した物体の耐久地をごっそり持っていく、所謂破壊属性に特化したスキルだ。

 

「うっし!エウルアちゃん、あとはよろしく!」

 

「ええ、いい仕事よ」

 

 既に雑兵を蹴散らして、丸腰の暴徒に肉薄する我らが隊長様。大剣を振りかぶり、そこから猛烈な連撃を叩き込む。

 

『Guッ…ッGaaーーーッ!!』

 

「無駄よ。これで、とどめよ」

 

 剣撃を受けながら反撃をする暴徒。巨大な拳を振るうが流れるような動きで捌かれ、空かされ当たらない。

 最後は吹雪の刃を受けて、その身体を塵と変えた。

 うーん、危なげないねぇ。まぁ、西風騎士団の隊長なんだから当然っちゃ、当然だわな。

 

「今度こそ終わりだな。ふぅーお疲れぇ」

 

「そうね。休憩を入れても罪にはならないでしょう」

 

「ああ、今回のヒルチャール達はそこまで強い個体じゃなかったから楽でよかったわな」

 

「ええ。まだ戦闘経験が熟練していないようだったわ」

 

 同じヒルチャールでも部族や武器、個体差によって強さは大きく変わる。特に“名持ち(ネームド)”は厄介だ。1回戦ったとこはあるが、あの時はムッツリ貴公子が助けてくれなかったらやばかったぜ。

 

「ドラゴンスパインの“名持ち”の時は死ぬかと思ったわ。まぁ、滅多に遭遇なんてしないけど」

 

「本当よ。君、冗談抜きで死にかけたんだからね?あの時ばかりはディルックに感謝したわ……本当に、あの時はっ」

 

 エウルアの顔が少し歪んだのを俺は見逃さなかった。

 しまったね。これはあの時のこと思い出して自分を責めてるやつだわ。本当にコイツは真面目だねぇ。

 うし、いっちょやるか!

 

「ま、過ぎたことはいいとして飯でも食おうぜ!そんなデカ尻で動き回ったんだ。疲れた…ろ!」

 

「え?ぴィッ!?」

 

 俺はエウルアの尻を思い切り引っ叩いた。

 うーん、いつ叩いてもどんな触り方をしても凄い弾力と柔らかさのマリアージュ……!さて、いっちょ隊長様が笑顔になれる美味いものを作りますかね!

 あと、「ぴィっ!?」って、可愛いやん。

 

「……労い、ありがとう。ねぇ、ベルカス?私にも君を労わせてちょうだい?」

 

 肩を震わせ、顔を耳まで真っ赤にしながらものすっごい笑顔で大剣を方に担ぐエウルアちゃん。

 

「あ、別に気にしないでもろて……!」

 

「目には目を!!」

 

  俺の暴挙で彼女に蓄積された冷酷な心が解放される。氷気と一緒に生み出された光の剣を尻にぶちかまされる俺様。そのまま盛大に砂浜に顔面擦り付けながら着地した。

  ゲホッ、うーん、ぶへっ、元気になったみたいで何よりでーす!あ、意識飛びまーす!

 

 ー依頼完了ー

 




 読んでいただけた方がいましたらありがとうございましたm(__)m

 余談
・ベルカスの“神の目”は岩元素。
・元素スキルは盾や鉱石等の物体を破壊することに特化している。(ゲーム的にはその分、敵に当たった時のダメージは低め)
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