ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか   作:厨二病の末路

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17話目になります。
いつもコメントありがとうございます。大変励みになっております。

詠唱式少し変えました。
4速(クアドラプル)→4速(クアドラ)

なんか詠唱してると噛みそうだし、超短文に拘りたかったので…。

あとこれからは、登場人物同士の会話も行間を空けるようにします。
読み直して見ましたが少し読み辛く感じたので変えました。

それではよろしくお願いします。




少年は少女をエスコートする(前編)

フレイヤファミリアでの出来事の翌日、早朝に目が覚める。

体に外傷は無いが未だに虚脱感が拭えない。

死にかけたのだし当然だ。これで何事もなく動けるようなら自分が人間であることを疑ってしまうだろう。

 

「(今日はアリーゼか…。寝顔は可愛いんだけど寝相の悪さはどうにかなんないのか…。)」

 

ザックが寝る時は毎晩アリーゼか輝夜が知らぬ間に布団に潜り込んでいる。裸で迫られるよりはマシなので俺は何も言わないが、寝相の良いかぐやに対して『こいつ本当は起きてるんじゃないか?』と錯覚させるほどの寝相の悪さを発揮する。

 

今日に関して言えば俺は目が覚めたらベッドから落ちていた。落ちたのはいつか分からないほど熟睡していたようだが、これが日常的に行われるのだ。

 

文句を言っても『なら私をしっかり抱き枕にして眠りなさいよ!』とか意味不明な事を言ってくるし、俺が寝ている間に布団に入ってくるのでこの行為を防ぐことができない。

 

「(まぁいいや。もうちょい寝よ…。)」

 

ベッドの真ん中に陣取っているアリーゼを端っこに転がし再び眠りにつこうとした。その時、部屋の扉が勢いよく開いた。

 

「おいザック。明日デートするぞ。私をエスコートする準備をしておけ」

 

「…んん。なら明日言ってくれよ」

 

「ぶぁ〜〜かぁ〜〜め!当日に言ってお前が気の利いたエスコートができるのか?できんだろうがこの童貞め!」

 

今の一言で完全に目が覚めた。仁王立ちしている輝夜に物申す。

 

「そんなんわからねーだろが!っていうか童貞言うのやめろ。フレイヤ様に筒抜けだったんだぞ!」

 

「そんな事はどうでもいい。幸いこの短い期間とはいえお前の交友関係は広いようだからな。色んな奴から話を聞いて童貞なりのプランを建てておけ。では私はパトロールに行ってくる。ねぼすけの団長も起こしておけよ」

 

「どうでもよくねえよ!っておい輝夜!」

 

こちらの反論など聞きもせずそう言って輝夜は部屋を後にした。

追いかける気力もないのでとりあえずアリーゼを起こす。

 

「おいアリーゼ。そろそろ起きろよ。輝夜達はパトロールに行ったぞ?」

 

「んぅ…。あと1時間…」

 

「長ぇよ。はよ起きろって」

 

「すぅ…」

 

「うーん。どうしようこれ」

 

実力行使する気もおこらないし声をかけても起きそうにない。

 

「おいアリーゼ。起きないならちょっかいかけるぞ?」

 

「んん…。うるさい…」

 

ふーん。うるさいと来たか。そちらがそういう態度で来るならこちらにも考えがある。元々アリーゼが言い出した事だし問題ないよな?

 

そういってアリーゼの近くに寝そべってアリーゼを背中から抱きしめた。

 

「んん……?」

 

「アリーゼおはよう」

 

「………!?な、なにやってるのよザック!!」

 

「ぐえっっ!」

 

すぐに意識を覚醒させたアリーゼが俺の腹にエルボーをくらわせて来た。抱き枕にしろとか言ってたのはアリーゼなのにひどい仕打ちだ。

 

「ザックの変態!いきなり後ろから抱きついて人の名前を囁くなんてハレンチだわっ!私は貴方そんなふうに育てた覚えはないんだから!」

 

「誰が変態だ!お前の寝相が悪いから何とかしろって言ったら抱き枕にしろって言ったのはお前だろ…って逃げるな!!」

 

アリーゼは言いたい事だけ言って部屋を出ていった。

というか変態というなら初日から裸で迫って来たアリーゼの方が間違いなく痴女だったのだが、あの感じを見ると『自分からする分にはノーカウントなのよ!』とか言い出しそうだ。そのトンデモ理論に付き合わされるこちらの身にもなってほしい。

 

釈然とはしないが明日は輝夜とデートというのが決定事項っぽいしエスコートしろとか言ってたので、取り敢えず女慣れしてそうな人の所に行く事にした。

 

 


 

 

 

「という訳で女慣れしてそうなフィンに話を聞きたいんだ」

 

「なにが『という訳で』なのか意味は分からないけど、とんでもない謂れをしているのは分かったよ」

 

アイズとの指導が終わった後に手合わせの代わりとしてフィンに話を聞くことにした。当の本人は苦笑いしているが俺の直感が言っている。この男は間違いなくモテる!…と。

 

というか直感などなくてもモテるのは分かる。金髪碧眼で容姿も良いし何より都市最大派閥の団長だ。言い寄ってくる女も数しれないだろう。

 

「でも実際モテるだろ?明日デートでエスコートしなきゃならないんだ。何処かいい所はないか?」

 

「オラリオの名所という事かい?そういう事なら力になれるかもしれないね」

 

フィンはそう言ってオラリオの名所について話をしてくれた。一通り話を聞いた後にふとフィンに尋ねてみた。

 

「そういえば話は変わるんだけどさ。フィンの所の主神から俺が勧誘されたってアストレア様から聞いたんだけど本当なのか?」

 

「…!」

 

少し驚いた表情をするフィン。その後に少しだけ落胆めいた表情をしながら「ふーっ」と溜息を漏らしてぽつぽつと喋り始めた。

 

「すまない…。ロキに話をしたのは確かだが勧誘するとは思っていなかった。むしろその件は僕に任せて欲しいと頼んだんだけどね。」

 

「え?そうなの?」

 

「ああ、君がここでアイズと手合わせをしていた時から目をつけてた。類まれなる戦闘技能、同じLvのアイズを寄せ付けない強さ。アイズだってLv3では上澄みの方だ。そのアイズをあしらってその上、僕達では指導できない部分を的確に見極めた。」

 

「過分な評価だよ」

 

「行き過ぎた謙虚も過ぎれば傲慢と同じやで、少年」

 

そういって緋色の髪で糸目の女神が現れた。かなり乏しい胸部ではあるが女神で間違いないと思う。

 

「なんか今失礼なこと考えへんかったか?」

 

「気の所為だとおもいますよ。それより貴女が神ロキですか?」

 

「そんな畏まらんでええで。お前がザックやな?……ふむ、なるほどな。男は好かんが中々のイケメンやないか〜!」

 

「…なぁフィン。お前の所の神様大丈夫か?」

 

「ハハハ…。これでも頼りになるんだよ。」

 

ロキ様の第一印象はどことなく軽薄そうな変な神といった所だ。だがフィンほどの男が信を置いて都市最大派閥の主神なのだからきっと、変な神というだけではないのだろう。

 

「んでさっきの件やけど、フィンがあそこまでお熱になる事はないからこの件は任せようと思っててんけど、アストレアと話してる時にあの色ボケがお前の事を欲しがってたから便乗しとかんと不味いと思ってな!」

 

「女神フレイヤもザックの事を勧誘してたのかい?」

 

「そうなんだよ。それで昨日直接お断りを入れてきたんだ。あそこじゃ自由に生きれないと思ってさ」

 

「そりゃ良かったわ。にしてもあの色ボケからの誘いを蹴るなんてな。ますます気に入ったわ!どや?ウチに入らへんか?」

 

正直に言うとフレイヤファミリアよりかはよっぽど魅力的な提案だと思う。あんな『日頃から殺し合いが日課です』と言わんばかりのイカれた都市最大派閥よりも、ロキファミリアの方が色々と融通をきかせてくれそうだ。きっと楽しくやっていけるだろう。

 

きっと『最高の冒険者』になることも夢じゃない。だけど少し胸のつかえがある。きっとこれは己の身一つで願いを叶えたいという思いから来るものなんだろうな。

 

「しばらく考えさせてもらってもいいか?正直とても魅力的な話だし貴女みたいな神様に直接勧誘してもらえるのは嬉しい。けど、自分の夢を都市最大派閥で叶えていいものなのか、まだ迷いがあるんだ。それに、暗黒期が終わるまでアストレアファミリアを守るって約束したから」

 

「…そっか、ならしばらく待たせてもらうわ!ほな楽しみにしとるで!」

 

ロキ様はそういって手をヒラヒラと振ってその場を去った。

 

「僕もロキと同意見だが、フレイヤファミリアに比べると前向きに検討してくれてると思ってて構わないかな?」

 

「ああ、それは間違いなく。フィン達の元で『冒険』するのも楽しそうだ」

 

「僕も君が来てくれたら嬉しいよ。何時でも歓迎するからその気になったら言ってくれ」

 

「その時はこちらから頭を下げてお願いするよ」

 

そう言って勧誘の話を終えて目的の名所についても教えてもらえたのでロキファミリアを後にした。

 

 


 

 

しばらく冒険者通りを歩きながらふと思った。

 

「(フィンのやつ…。オラリオの名所とか言ってたけど、俺より長いことここに居る輝夜をそんな所に連れてっても大丈夫なんだろうか?)」

 

そもそもフィンにはエスコートの仕方を教えてもらいに行ってたつもりなのだが、知らぬ間に上手いこと躱されていたらしい。流石は都市最大派閥の一角を担う団長である。

 

「女の子目線の話も一応聞いときたいんだけど……」

 

「あれザック?こんなところで奇遇だね」

 

「お、アーディ丁度いい所に来てくれた。今日は非番?」

 

「ううん、パトロールの最中だよ。ザックこそどうしたの?」

 

「ああ。少し話を聞いてもらいたかったんだけど…パトロールの手伝いするから少しダメか?」

 

「そういうことなら大丈夫だよ!歩きながらお話しようか」

 

まさに渡りに船である。そう言ってパトロールしながらアーディに話を聞いてもらうことにした。

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

「…ということなんだけど」

 

「うーん、なるほどね〜」

 

今の状況を簡単に説明した。ずばり『オラリオに来たばかりの俺がオラリオの名所にエスコートするのは間違っているだろうか』と。

 

「確かにオラリオの名所を巡るっていうのはありきたりかもね」

 

「やっぱりそうだよな…」

 

「うん。それよりもザックが見て、感じてその時の感情を共有したいと思った所に連れてってあげるのが良いんじゃないかな?少なくとも私はそっちの方が嬉しいな」

 

確かに…ただ名所と呼ばれているだけで、自分がなんとも思っていない場所に連れてかれても、正直楽しめるかと言われると微妙なところだな。

 

そんな所に輝夜を連れてっても喜んでもらえないだろう。となると、エスコートをするという目的が果たせそうにないが…

 

「そもそも初デートでしょ?そんなにザックに期待されてないって!」

 

「そんなハッキリ言わんでも…」

 

「あはは。でも気負いすぎると空回っちゃうよ?完璧なんて求めずにいつものザックを見せてあげなよ」

 

「…!ははっ、それもそうだな」

 

アーディの言う通りだ。着飾ることなんてきっと出来ないだろうし、そもそも俺が1日で完璧なエスコートプランなんて練れるわけがない。

 

色々アドバイスをくれたフィンに心の中で謝っておく。

ごめんフィン、教えてくれた名所どこにも行かないかもしれない。

 

「アドバイスありがとう。アーディ」

 

「いえいえ。お役に立てたのなら良かったよ」

 

「んじゃ、こっからはパトロール頑張りますか〜」

 

そう言って意識を切り替える。

改めて思うがやはり今のオラリオに活気が全くと言っていい程ない。

 

街ゆく人々の視線は前を向かずに、他人と接するのを嫌っているように見える。先日にアリーゼと巡回した時も鬱屈とした空気がそこらに張りついていた。

 

各区画事に若干の差異はあるが、オラリオ全体を覆うこの空気はいつ晴れるのだろうか。

 

「やっぱり空気が良くねえな。闇派閥(イヴィルス)ってのはそんなに幅をきかせてんのか?」

 

「うん。相手も一枚岩じゃないからね。これでも暗黒期の初期よりはよっぽどマシになったんだよ?」

 

少し眉を曲げながら困ったようにアーディは笑う。今のこの状態が最初期に比べてよっぽどマシというとどれほど酷いものだったのかは計り知れない。

 

「さっさと終わらせたいな。お望みとあらば俺が奴らを討つ旗頭になって成敗してやるよ」

 

「あははっ、それは頼もしいね!」

 

少し元気を取り戻してくれたようだ。自分が振った話題で表情を曇らせてしまっていたのでマッチポンプな感じはあるがそれはいいだろう。

 

「うん。やっぱりアーディは笑顔が良く似合う。君の笑顔に救われている人は沢山いるだろうから君には笑っていてほしい」

 

「……そういうの誰にでも言ってるの?」

 

「?俺は自分の思ったことを、正直に話してるだけだが?」

 

「…はぁ。天然人たらしだねザックは」

 

「失敬なことを言うな」

 

ジト目で見つめてくるアーディに意も介さず巡回を続ける。話している内に巡回しているコースを一周していた。

 

「今日はここまでで大丈夫だよ。ありがとうザック」

 

「こちらこそありがとう。また何か手が必要になったら呼んでくれ。そこら辺のやつよりは役に立つからさ」

 

「オッケー。じゃあ、また有事の際はよろしく頼むね」

 

そう言ってアーディに別れを告げ本拠(ホーム)への帰路に着きながら考える。

 

7年後と今の事…。何処かのタイミングで暗黒期が、晴れるのは間違いない。

 

「(上手いことは言えないけど、その転機が近い所にある気がする)」

 

アーディに関しても7年後では一切目にしていないアリーゼと同様に人物だ。2人ともリューとの距離が近い人物で、リューもまた彼女らに心を許している。

 

だが7年後ではどうだ?リューは酒場のウェイトレスとして働いていたが心を許していたのはシル…?という少女だけだった気がする。

 

「(きっと近いタイミングで、全面対決のような状況が生まれるんだろう。そしてそれに勝利する。だが…)」

 

恐らくこの2人…だけではない。アストレアファミリアという名前を聞かない所からすると、彼女らは全滅するのが正史なのだろう。

 

「(ふざけるな。そんな事は絶対にさせねえ。そんなバッドエンドに満ちた未来なんぞ俺の『冒険』に相応しくねえ。)」

 

未来の一部を知っていて、正史のオラリオに居なかった俺にしかできない事は必ずある。

 

「よし、頑張るぞー!」

 

「それは明日のデートに対する意気込みか?」

 

「いや、全然違うけど?それどころか、まともなプラン1つも練れてないから、本当にお手上げ状態で……って、え?」

 

色々と考えている内に本拠(ホーム)についていたようで、至近距離に輝夜が居た。と、同時に返答を完全にミスったことに冷や汗をかく。

 

輝夜が笑顔で青筋を立てている。あっ…、終わったわこれ。

 

「このクソ童貞めっ!!!なんの為に1日前に知らせてやったと思ってるんだ!少しくらい男としての甲斐性をみせんかたわけめ!!」

 

「し、仕方ねーだろ!女の子とデートするのなんて初めてなんだから…」

 

「はぁ…。まぁいい。そこまで期待もしてなかったしな、明日は適当にその辺を練り歩くとするか」

 

「いや、プランニング出来てないだけで、エスコートする気はあるぞ」

 

「まぁ、それは行き当たりばったりの、酷いデートになりそうですねぇ」

 

「うっ…。返す言葉もない…けど楽しんでもらえるようには頑張るよ」

 

「……そこまでいうなら期待せずに待っておくとしましょうか」

 

容赦なく責め立ててくる輝夜に為すすべもなくタジタジにされる。だけど、最後の決意表明で少しは機嫌を直してくれたようだ。

 

「(これでとちったら、間違いなく愛想つかされるだろうけど…)」

 

それでも自分に出来る限り輝夜を持て成す事を心に決めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。

デート回前編です!流石に前後編にわけないと何時の更新になるか分からなかったので分けさせてもらいました。

デート回が終わり次第、遂にアストレア・レコードに入って行こうと思います。


ここからは蛇足ですが、ラノベのアストレアレコード読み始めました!

読み始めると今ままで書いてきた話と辻褄というか設定が違う部分が少しあったので今後は、ある程度そういう部分は無くしていけるようにしたいです。

リビングと書いていたところを談話室に切り替えたり、後はリューが最初の自己紹介の時にフルネームで名乗ってるのも差異だと気が付いたのですが、こればかりはしょうがないのでこのまま行こうと思います。

『星屑の庭』って北の区画の片隅にあったんですね…。案外、廃教会とか『黄昏の館』から近いんでしょうか。
これも作中に適当に描写いれてしまっているので修正せずにこのまま行きます。以後気をつけるようにしますね。

長々とすみません。次回もよろしくお願い致します。
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