ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか 作:厨二病の末路
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字報告非常に助かっております。
読者の皆様が望む形のデートにならない気がしますが頑張ります!
翌朝の輝夜とのデート当日。小鳥の鳴き声で目を覚ます。
横に目を向けると、輝夜が静かな寝息をたてて眠っていた。
「(アリーゼとは天と地ほどの差だな。てか2人とも寝てたらただの美少女なのに…天は二物を与えないって事なのかね?)」
本人たち聞かせられない暴言を心の中で吐露する。まぁ胸の内なんて読まれる訳もなし気にする必要も無いだろう。
「おーい、輝夜起きろ」
「………」
反応がない。しかしここで油断してはいけない。こいつは平気で狸寝入りをして、俺が手を出す瞬間を待ち侘びている……多分。
とりあえず、頬をつついてみる。とても柔らかい。ドキドキする。
…じゃない!!頬つついてるだけでドキドキするとか童貞丸出しすぎる!あくまでなんてことないようにつついてみた。
しかし全くの無反応。というかこれだけして起きてこないとなると、本当に寝ているんだろうか?
いっそここは攻勢に出て、アリーゼ同様後ろから抱きしめてやろうか。
勿論、アリーゼの時のように加減はしない。抵抗できないレベルで強く抱きしめる事にした。
「(隙を見せればこちらがやられる。一撃でケリをつける…!)」
まるで
「(よし決まった!…って柔らかッッ!)」
アリーゼと同じ感覚で抱きつくと明らかに感触が違った。
そう、たわわに実った2つの丘であった。
「(まずい!このままでは…!)」
確実にナニがとは言わないが反応してしまう。急いで体を離そうとすると腕が思いきりホールドされている。輝夜の横顔を見ると笑みを浮かべていた。
「あらあら、朝っぱらからお盛んですねえ。こんな情熱的な抱擁をしてくるなんて…。デートは辞めて1日しっぽりと時間を過ごしますか?」
「お前やっぱり狸寝入りしてやがったな!?」
普通に考えて頬つんつんされて眠り続けるほどこいつは図太くない!
表立って見せないがこいつは臆病な所があったことをすっかり失念していたザックはまんまと輝夜に嵌められたのだった。
「人聞きの悪い事を言いますね。そもそも、後ろから抱きつくなんて真似をせず、普通に声をかけ続けたら良かったのではございませんか?」
「ぐっ…!?」
「おや…?何やら硬いものが当たっておりますが、一体これはなんでしょうか?」
そう言って輝夜は、片手でザックの両腕をガッチリ抑え、もう片方の手で服の上から突起した物に手を伸ばす。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
「ふっ、遂にこの時が来た!いつもこちらから手を出すから咎められていたが、今回はお前から手を出してきたんだ。何も文句はあるまい!」
そう言って輝夜は向き直って、ザックの服を脱がそうとした。しかし、これが悪手となった。
「【
「ッ!?」
輝夜を傷つけぬように神速を以てベッドから脱出する。これも発展アビリティである【技巧】のおかげだろう。犠牲は寝間着一枚のみで済んだ。
「んじゃ、俺は外で待ってるからゆっくり支度して出てこいよ!」
「待て!このヘタレめ!」
呼び止める輝夜をものともせず颯爽と部屋から脱出するのだった。
しばらく外で待っていると1時間程してしかめっ面で輝夜が外に出てきた。まぁ、当然だろう。今回に至っては先に仕掛けたザックが結局何の手出しもせずに持ち前のヘタレを発動して部屋から出て行ったのだから。
「悪かったって…。機嫌直してくれよ」
「あら、何のことでございましょう?私はいつも通りですよ。えぇ、どこかの童貞様が、自分から手を出しておいてここぞと言う時に逃げ出したことなど全く気にしておりませんとも」
うーんめっちゃ怒ってる。まぁ俺が輝夜の立場でも流石に怒るわ。
今度から軽率にこういう行動するのは辞めよ。アリーゼは責められるのに弱いから続けるけど。
取り敢えず輝夜の機嫌を取るために1つアクションをとることにした。
輝夜の前で跪き片手を取りそのまま上目遣いで見つめる。
「せっかくのデートなんだから楽しもう。って不機嫌になる要因作った俺が言うのもあれだけど…せっかくの綺麗な顔が台無しだぞ」
「……本当に、どの口がいうかって感じだな。まぁいい、お前に似合わないそのキザな真似に免じて、今日の出来次第で許してやる」
そう言われてザックは少し赤面した。やはり慣れない真似をするものではない。
とはいえ、輝夜の機嫌も少しは良くなったようなので結果オーライと言えるだろう。
「んじゃ、失礼してっと…」
そう言って輝夜をそのままお姫様抱っこする。
「…おい。どういうつもりだ?」
「いやぁ、実はフィンに名所とか教えてもらったんだけどさ、そもそも俺が知らない場所を輝夜に案内して楽しんでもらえるとは思えなくて」
「ふむ、それで?」
「だから、1日オラリオ1周旅行でもしようかなって。輝夜には疲れさせないようにお姫様抱っこで俺が魔法で走り続けようと思って…」
「だからの意味が全く分からないし、1日中この状態で居るつもりか!?」
「停めて欲しい所あったら停めてやるよ。大体エスコート押し付けたんだなら文句言うな。じゃあ出発〜」
「おい、待て…」
「【
輝夜が何か言いかけていたが無視をして詠唱と同時に走り出す。
衆目に着かぬスピードで街を疾走する。
空を見渡せばオラリオが暗黒期だとは思えない程の澄みきった青い空が広がっている。
肌に降り注ぐ陽の光がとても心地が良い。気温は少し高めだが、輝夜に関しては風を浴び続けるので丁度いい温かさだろう。
「加減は如何ですかお姫様?」
「…存外に悪くない」
輝夜も結構気に入ってくれているようで、内心を見透かされたくないのかそっぽ向いてこちらに返事をする。その態度が妙に可愛らしくてつい破顔してしまう。
「気に入ってくれたならなによりだ。じゃあ最初の目的地までご案内しよう!」
ザックはそう言い、街並みを掻き分けながらデートが始まるのだった。
「おい。これはなんの冗談だ?」
「冗談なんかじゃないぞ。俺は大真面目だ」
そう言いながら着いた最初の目的地はロキファミリアの
「そうかそうか。ならば言わせてもらうがな…」
この次に来る言葉が容易に想像できたのでザックは耳を塞いで待つ事にした。
「ぶぁあああああかあああああめええええええ!どこの時代に!女とのデートで!他派閥のホームに連れてく阿呆がいると言うんだ!ええ!?」
「ここに居ますけど」
「ああそうか!そんな大馬鹿者が自分が好いた男だと思うと、呆れてものも言えんわ!」
ザックの奇妙なエスコート(笑)のせいで輝夜も壊れてきているが、普段見ないような壊れ方をしているのでザックは半分面白がっていた。
「ほら、名所なんて誰でもいけるけど、ロキファミリアの中なんて関係者しか入れないぞ?」
「お前も関係者ではないだろうが!」
「俺はアイズの師範だから、顔パスで通してくれるよ」
そう言うと、門番に軽く手を上げて挨拶する。すると、お辞儀で返してきて入口を通してくれる。暗黒期に所属の知れない輩を、顔パスで通す都市最大ファミリアの一角とは…
と、思うところのある輝夜だったが肝心のザックが慣れた様子ですいすいと進んでいくのでついて行くことにした。
ザックはというと実の所、今日はアポ無しでロキファミリアに来ていた。なので訓練場ではなく、執務室に向かっている。
だが輝夜は当然アポ有りで来ているものと思っていたらしく…。
執務室に行くとフィンが書類と向き合っていた。
「ザック…?今日はデートじゃ…ってなんで【
「…!?」
「いや名所教えてもらって悪いんだけどさ、やっぱ皆が知ってるところよりも、皆が行けない所に行こうと思って」
「なるほど…。因みに門番はなんと言っていた?」
「いや、特に何も?普通に通してくれたよ」
「………そうか」
フィンは肩肘をついて目頭を抑えていた。すると、輝夜に首根っこを引っ張られて小声で問い詰めてきた。
「お前まさかとは思うが、アポ無しできた訳じゃないよな?」
「小声で言わなくてもアポ無しですよ、輝夜さん」
こっちもこっちでザックの奇行に頭を抱えていた。すると2人とも妙にシンパシーを感じたらしく…
「お互い大変だね、【大和竜胆】」
「あぁ、お前もな【
「酷い言われようだなぁ」
苦労をかけている自覚のないザック。彼にとっては、友人の家に遊びに行く感覚で、ロキファミリアに来ているだけなんだろうが…。
デートのことを考えすぎて、ザックもザックで頭のネジが飛んでいるようだった。
「ところで今日は、アイズ居ないのか?」
「そろそろ帰ってくる頃じゃないかな。リヴェリアとジャガ丸くんを買いに…と、噂をすれば」
廊下から歩く足音が2つ。そして執務室の扉が開くと、いつも通りジャガ丸くんを持って意気揚々としているアイズと、そんやアイズを慈愛に満ちた表情で見つめているリヴェリアが帰ってきた。
「ただいま戻った。…む?」
「ただいま…。あれ…師匠なんでいるの!?」
そう言うとジャガ丸くん片手に足に飛びついてくる。木にしがみつくコアラみたいでとても可愛らしい。
「アイズおかえり。そんな事してたらジャガ丸くん潰れちゃうよ」
「…!それは…だめ」
ザックが気遣ってそう声をかけると、アイズは跳ね除けるように下がった。
その様子を静観していたリヴェリアがザックと輝夜を交互に見て溜息をつきながら
「君も振り回されて大変だな【大和竜胆】」
「えっ?俺のロキファミリアでの評価おかしくない?」
「妥当なものだと思いますけどねぇ」
「そんなことないよ!なっ!?アイズ!」
「うん…今日こそ師匠を…斬る!」
「えっ、こわぁ…」
「ハハハ、収集がつかなくなりそうだね」
そう言ってその場はフィンが収めて、アイズは結局、ジャガ丸くんが時間が経ってギトギトになるのが嫌らしく、今日は稽古は見学となった。
ジャガ丸くんに劣る俺って…と思ったが、1番の大好物には流石に勝てないか。
代わりにフィンが相手をしてくれるらしく、輝夜も稽古に付き合わせる事にした。
輝夜もどうやら吹っ切れたらしく、訓練用の木刀を振り回している。
最初にザックと輝夜で稽古をつけることになった。
「お前とやるのは初めてだな。お手柔らかに頼むよ」
「聞こえませんねえ。初めての2人の逢瀬で、外様のファミリアで稽古をつけるような男の声など。ええ聞こえませんとも」
あっ、吹っ切れてるんじゃなくて怒ってるやつだこれ。
SOSの視線を3人に向けると、リヴェリアとフィンからは『当然だ』と言わんばかりの視線が、アイズに至っては、ジャガ丸くんを食べるのに夢中で、こちらの視線になど気づく気配もない。
大人しく輝夜の憂さ晴らしに付き合おう…。輝夜も少し汗を流したらスッキリするかもしれないと、覚悟を決める。
「フィン。始まりの合図は要らない。いいよな輝夜?」
「…!ああ、それで構わない」
ザックの言葉の意図を汲み取り居合の構えを取る。それに倣ってザックも居合の構えを取った。それを見たリヴェリアが、少し驚いたように言った。
「随分と近い位置で両者立ち合うのだな」
「恐らく刀使い同士の間合いと構えなんだろう。刀使いがオラリオに少ないから、刀使い同士の立ち合いは初めて見るね」
興味深そうにフィンが言う。アイズもまた、立ち合い前のどこか
「「───────────────」」
2人して相手の
「───────────────え?」
声に漏らした時に輝夜の手から木刀が落ちていた。後から刀に伝わったであろう衝撃が、痺れとなって手に伝わる。
正面で対峙していた輝夜は一体何が起こったか分からなかった。
端で見ていた3人も息を飲んで瞠目していた。
「なんだ今のは…」
「目で追えない…訳じゃなかった…。けど…」
「剣速が速いのには変わり無かったが、あれは
「というと?」
「戦っていると必然、相手の動き方はある程度読める。目線、体の動き等で判断できる。だが、あの居合にはそれが一切なかった。まるで風が凪いでいるぐらいの自然さで、彼は刀を振るったんだ」
「そんな芸当…ありえるのか?」
「少なくとも僕は見た事がない。
「(きっと、そこらの冒険者が一生かかっても到達できない領域だろう。かくいう僕も、彼のような技巧を身につけられる気がしない。彼は本当に一体何者なんだ…?)」
「師匠…また強くなってる…」
2人は驚きを隠せずに、アイズは強くなった師を見て、己の心を燃やしていた。
「(うん。やっと剣術に流用できるようになったな…)」
「…一体何をしたんだ?今のは一体なんなんだ!?」
「ステイステイ!落ち着け輝夜」
怒っている…訳では無いが、自身の理外からの攻撃に戸惑っているようで、凄い勢いで詰め寄って来た。
「今のは、街中でとある冒険者…?に背後を取られてな。その人が全くの無音と言っていい程の奴でな。呼吸や服の摩れる音、果てには足音さえしなくて、その人の動きをどうにかして戦いにおとし込みたくて、ずっと鍛錬してたんだ。」
「…………は?それってオラリオに来てからの出来事か?」
「?うん、そうだけど…」
輝夜はあまりの内容に絶句する。恐らくそれは端で聞いていた、フィンやリヴェリアも同じだろう。言っている事は分かる。だがものの2週間で習得できる技術では決してない。
一生をかけてものに出来るか否かという代物を、ザックは2週間でやってのけたのだ。言葉を失うのも無理はないだろう。
当の本人はそんな輝夜の心を知る由もなく、廃教会で出会った綺麗な声の女性の事を思い出していた。
「(まぁ、教会の事は言ってないし別に問題ないよな…)」
「師匠…私に今のやつ…稽古つけて?」
「ん?ジャガ丸くんはもういいのか?」
そう言ってアイズの手を確認すると手がギトギトの上、顔に少し油の衣がついていた。
「リヴェリアー。アイズが稽古したいとか言ってるけど、手と顔が汚れてるから何とかしてあげてくれ」
「!あ、ああ。あんなにジャガ丸くんを食べたんだから、直ぐに動ける訳ないだろう…」
そう言って手拭いでアイズの手と顔を拭う。もう完全にお母さんのそれなんだよな。
「輝夜はもういいのか?結局1本も取れてないけど」
煽るように言うと、ハッとしたように我に返り青筋を立ててこちらを見る。
「嘗めるなよ童貞め!吠え面かかせてやるわ!」
「頼むから他派閥でそれ言うのはやめてくれねえ!?」
そうしてロキファミリア内でもザックの下事情が広まってしまうのであった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
思いの外長くなりそうなので、3部に分けさせて頂きました。
申し訳ありません。
今回は輝夜が振り回されがちで、普段とは逆の状態なので書いてて面白かったです。ちょっとキャラ崩壊起こってるかもしれませんが…
次こそ必ず終わらせてアストレア・レコードに行くので何卒長い目で見て頂けると幸いです。