ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか 作:厨二病の末路
いつも読んで頂きありがとうございます。
コメント頂けて嬉しいです。返信してない方もちゃんと目を通してお話の参考にさせていただいております。
先に謝っておきます。タイトル詐欺のデート?回です。
全く筆が進まず、適当に書きなぐってたら変なものが出来上がりました。
ロキファミリアの稽古場ではいつもと違った剣戟が鳴り響いていた。
それもそのはず、打ち合っているのは、両名ともにロキファミリア所属の者ではなくアストレアファミリア(居候)の冒険者だからだ。
「(Lv3だから当然と言えば当然だけど、相当戦い慣れてるな…)」
ザックは輝夜の手数の豊富さからそのような感想を抱いた。
他の奴らの戦いを直に見た事は無いが、純粋な剣技だけでもアストレアファミリアでも抜きん出ているだろう。
そんな事を考えていると輝夜が攻め手を止める。
「やめだ。悔しいが、居合のみならず抜き身の状態でもお前に一撃も与えられん。自分の自信が無くなりそうだ」
「いや、こんな事言われても腹立つと思うけどお前の剣技は、Lv4の冒険者にだって通用するよ。俺が少し規格外なだけで」
そう言ってフォローになってないフォローをする。だが実際その通りだ。
ザックは自身が特別だと自覚している。その上での、輝夜に対する評価だ。
「はぁ…。もうちょいマシな慰め方はないのか?」
「これ以上ない慰め方だろ。これは持論だが、
「なるほど。それで?」
「確かにLvを上げる過程で戦闘技術は、それなりに身に付くだろうが、Lvと冒険者個人が持つ戦闘技術は比例しないだろ?」
「まぁ確かにな。仮に全て比例しているようなら、魔法やスキルの発現の有無を除けば全冒険者が似たような道を辿るだろうからな」
「Lv4に通用するってのはそういうこと。そもそも神時代の前は、
「……!ははっ、簡単に言うじゃないか。だがその通りだな」
一見、荒唐無稽な話に見えるザックの持論だが強く否定できるものでもない。実際にデタラメだと言うなら、今の時代に過去の英雄譚など残っていないだろう。
「確かに理に適った持論だね。まぁ、それを抜きにしても、君の技術は常識の範疇を越えていると思うけど」
そう言ってフィンが苦笑いしながらこちらに歩いてくる。
「俺が変なのは今に始まった事じゃないだろ?」
当の本人は、そう言って胸を張りドヤ顔で言い放った。
「神々風に言うなら『下界は可能性に満ちている』だっけか?俺みたいなやつ、他にも居るかもしれないぜ?」
「たわけ。お前みたいなやつがそこら中に居てたまるか」
「これは【大和竜胆】に僕も同意だな。君の能力そのものが特異的だ。他に君みたいな者が居るなら、今頃下界の勢力図も、大きく傾いていただろう」
「む…。それもそうか…?」
ザックが納得したのか否か分からないような口調で返事を返すと、2人揃って嘆息する。
「んじゃ、次の立ち合いは俺とフィンでいいか?」
「いや、やっぱり遠慮しておこう。最早君に訓練用の剣で渡り合える気がしない。それに…」
いつものフィンらしくない、童心に帰ったような目でこちらを見つめながら続けた。
「これ以上続けると、僕も年甲斐もなく、本気で君と戦いたくなってしまいそうだ。闘争本能を燻られる…とでも言うのかな」
「…!ははっ、天下のロキファミリアの団長に、そう言ってもらえるなんて思いもしなかった。嬉しい限りだ!」
いつも澄まし顔で、本心が何処にあるのかさっぱり分からないフィンだったが、今初めてザックに対して剥き出しの感情を向けている。
それも都市最大派閥の先駆者に評価されているその事実がザックの胸を躍らせた。
「まぁ、そういう事なら仕方ないな。ロキファミリア訪問はここまでにして、次の場所に向かうか」
「ああ、そう言えばデートの最中だということを忘れておりましたねぇ?」
どうやら墓穴を掘ったようだ。輝夜が汗を拭いながらこちらを鋭い眼で睨んでいる。
「少しは体動かしてスッキリしただろ?」
「貴方様に一方的にボコボコにされたのに私の気が晴れるとでも?」
「……気を取り直して次に行こうか!」
そう言って輝夜から目を逸らしてフィン達に突然の訪問に対する謝罪と別れを告げて外に出る。
因みにアイズが『稽古…つけて!』と言っていたが、今度、ジャガ丸くんをご馳走するという事で、この場は我慢してもらった。
ロキファミリアでかなり長い時間を過ごしていたようで、陽が頂点を少し超えていた。
「なんか食べ歩きにでも行こうか?」
「はぁ…。別に構わんが、近くても東のメインストリートくらいまで行かんとめぼしい屋台はないぞ?」
もはや、理想のエスコートなんぞ諦めたと言わんばかりの輝夜の溜息だ。東のメインストリート…普通に行けばかなりの時間を擁するだろう。
しかし全く気にする素振りもなくザックはまた輝夜を抱え上げた。
「なら、少し速度あげれば問題ないな」
「!?ちょっと待て…」
「【
輝夜の言うことを無視して走り出す。
お昼になって人が増えてきた。万が一ぶつかると大惨事になるので家の屋根を伝って走る事にする。
輝夜は走る速度に少し面食らっていたが、慣れてきたのか周りをある程度見渡した後、ザックの顔をじっと見る。
「ん?なにかついてる?」
「…いや、なんでもない」
見つめられた瞳に何が映されていたのかは分からない。悪感情ではないが、何かに憂いているような…そんな印象を抱いた。
しかし、当の本人が何も無いと言っている以上、こちらから追求するつもりも無い。
「そうか。体勢がキツかったら言ってくれ」
一言だけそう添えて、ザックは輝夜を抱えて街を駆けて行った。
「(この男は一体なんなんだろうか…)」
ザックに抱えられながら輝夜はそんな事を考えていた。
今日のエスコートに対する文句ではない。いや、お姫様抱っこで最初の目的地が、他派閥の
予想の斜め上を行く…いや、完全に予想外だったろう。恐らくオラリオ冒険者の100人に聞いても、こんな訳の分からないエスコートをするやつはいない。
だが、恐らく迷いに迷った結果のこれだろう。1日悩みすぎた結果、思考があらぬ方向に行ってしまったのだ。でなければ、こんな訳の分からない行動を起こすはずもない……と思う。
閑話休題。話を戻すと、輝夜が思ったのは男の在り方だった。
精神面では大人びて見えるが実際、私より年下だ。『最高の冒険者』という夢も、子どもの寝物語というには、戦闘時のザックの立ち振る舞いは堂に入っている。
しかし、性格に関しては、年相応の反応を見せる。団長に聞いた話ではあるが、悪態をつく【
相手の強さが分からない馬鹿ではないだろう。が、少し煽られた程度で口が出てしまう程度には精神が未熟な気もする。…結果、【
私たちが迫ると、いかにも童貞といったピュアさを見せるが、最近慣れてきたのか逆に抱きついて来たりする。団長はたじたじだが、それ以上してくる事は無い。年相応の貞操観念と言えるだろう。
どう表現するのが正しいか分からないが、ザックの内面が少しちぐはぐしているように感じる。戦闘時に見せる精悍さと、それ以外の時の彼のアンバランスさが、私は少し引っかかった。
本当に違和感と呼ぶには、あまりにも些細なものだが。何処かで躓くと、そのままあらぬ方向に転がって行きそうな…。
ザックの生立ちを私は知らない。違和感の源泉はきっとそこにあるだろう。だが、本人から話さない以上私から聞くことはない。ザックに話したくない事があるように、私にも聞かれたくない事がある。
だから、変な方向に堕ちぬように私が見守っていてやりたい。少なくとも、道を誤りそうになったら手を引いてあげられるように。
「おぉ、思ってたより賑わってるな」
「そうだな…。普段より人が多い気がする」
他の区画に比べると差は歴然としている。
どうやら東のメインストリートは、観光客向けのテーマパークとなっているらしく、色々な店が立ち並んでいる。
といっても、現在はほとんどの店が閉められ、寂れた様相となってはいるが…。それでも暗黒期という事を加味すると、かなりの賑わいと言っても過言ではないだろう。
道行く人も、顔が明るい気がする。良い天気なのも影響しているのか、家族連れで居る人も多いみたいだ。
「なんか良いなこういうの。皆が満面の笑顔で…って言うわけじゃないけど、今この場所だけは、オラリオが暗黒期という事を忘れさせてくれる」
「…ああ、そうだな、一日でも早くオラリオに平穏を…」
「キャアアアアアアアアアアアッッ!!?」
「「!?」」
どこからともなく尋常ではない悲鳴があがる。声が聞こえた方に視線を向けると、趣味の悪い白装束の集団が住民に手をかけていた。
「同士達よ!!無辜の罪人どもを殺し尽くせ!!」
「──────────」
目の前に起きている光景が信じられない。今の今まで住民達の笑顔で溢れていた場所が、狂乱の渦に巻き込まれている。白装束の集団は手を止めることなく住民を虐殺していく。
自分の頭の中で、何かが弾ける音が確かに聞こえた。
「ザック待て!」
輝夜の声に耳を貸さず、敵の居る方向へ駆けて行く。この身に渦巻く激情を抑えることが出来なかった。
「
騒ぎの中心を起点に魔法を発動させる。白装束はせいぜい居てもLv2止まり…ほとんどが木っ端同然の連中だ。ならば範囲を丸ごと覆って減速させて、被害を最小限に抑えようとした。
範囲は定めた起点から円を描くように50
今も尚、白装束の
「ハハハハッ!いいぞ、もっとだ!オラリオを血の海に染め上げろ!」
「黙れ。それ以上その不快な金切り声で笑うな。耳が腐り落ちそうだ」
「…へっ?」
そう言ってザックは、白装束の両足の腱を落とす。
「ぎゃあああああああ!?」
「楽には殺さねえ。お前たちみたいな狂人は、この世に生まれてきた事を後悔するようにじっくり殺してやる」
そう言って、残りの白装束達も同じように制圧していく。この人混みの中で5分とかからず制圧出来たのはザックの手腕あってのものだろう。
いつの間にか住民達の避難は済んでおり、残っているのは地に伏して阿鼻叫喚している白装束の連中だけ。
ザックは最初に斬った相手の元へと向かい前に立った。
「きっ、貴様は何者だ!?オラリオにお前のような冒険者が居るなど聞いた事も…」
「今から死ぬお前に答える必要を感じないな」
そう言って、白装束の足首を切断する。飛び散る血の臭いに吐き気がする
。
「ぎゃああああああああ!!!」
「うるせえな…。こんなんで終わりじゃねえぞ…と、言いたいが流石に血が流れすぎてるな」
放っておいたらにこいつは失血死するだろうが…そんな死は許さない。
ザックは刀を白装束の首に振るった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
紛うことなくタイトル詐欺回です。読者の皆様、本当に申し訳ありません。ザック、輝夜…ごめんよ。
もっと和やかにしたかったんですけど…。
アンケートご協力ありがとうございました。
丁度半々位に別れてしまったので、本編で微曇らせを書きつつ、外伝として少しずつザックが選んだ道で分岐させて行こうと思います。
ネタバレになりますが、今回の本編の締め方は、言わばルート分岐させる為に無理矢理締めさせてもらいました。
デートは…いずれちゃんとしたリベンジの機会を設けさせて下さい。