ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか 作:厨二病の末路
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少年は正義の眷属と共に行動する
初めての
提案…というよりザックの方から懇願した。
ザックが平和ボケした日々を送っている中で彼女たちは、常に都市の平和と秩序を守る為に奔走していた。気付いていたはずなのに、意識を向けて来なかった。
その結果があのザマだ。
今更後悔はしない。だけど、目の前で起きた蛮行は、規模は違えど日々起こっているものだと理解した。その日ほど自身の体たらくを呪った日はない。
だからこそ、彼女達に頼み込んだ。今のオラリオの現状を目を背けずに見る為に。そして1日でも早くオラリオに安寧をもたらす為に…。
そしてザックは【正義の眷属】達と共に都市を駆ける。
倉庫の中で一陣の風が奔る。彼を目視出来るものは1人も居ないだろう。
蔓延る
「……へっ?ぐぎゃああああああああ!?」
「いつまで経っても慣れないな。お前らの金切り声は…」
いっその事喉を搔き斬ってやろうかと思ったが、冷静になる。
もう情動に身を流して人を殺める真似はしないとあの日に誓った。
止めてくれた輝夜と、アーディの気持ちを無かった事にしない為に。
そうして倉庫を抑えて彼女らの元へ戻った。
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「五と六番倉庫は抑えたぞ…って何やってんだ?」
制圧を完了して彼女達のもとへ戻るとリューと輝夜が言い争いをしていた。彼女達と行動を共にするようになって、この光景も見慣れたものだ。
どうやら独断専行したリューを輝夜が咎めているようだ。
「ザック。お疲れ様。今日も助かったわ!お礼にこの究極美少女の私とお風呂に入る権利を与えるわよ!」
「お疲れザック。相変わらずはえーな。お前がアタシ達に同行してくれるようになってから明らかに敵の殲滅スピードが上がったぜ」
「力になれてるなら何よりだよ」
「ちょっ、無視!?」
「ザックもアリーゼの扱いに慣れてきたな」
「そこそこ長い間、身を置かせてもらってるからな」
アリーゼの言うことを無視してライラとネーゼと会話をする。この2ヶ月間で【アストレア・ファミリア】の皆と日常会話する程度には打ち解けられた。
「また取っ組み合いしてるぞこいつら…。いいのかアリーゼ?」
「リオンと輝夜だからしょうがないわね!これぞ好敵手という感じがして、私は好きだわ!」
「…まぁいいか。おっ、シャクティ達が来たみたいだぞ」
魔法の探知に引っかかり、シャクティが上級冒険者を率いてやって来た。
「相変わらずすげぇ探知能力だな」
「実際は探知能力では無いんだけど、ちょいと頭を柔軟にしてやってみたら思いの外、便利能力に急変化!って感じだ」
「本来の使い方以外で魔法を使う奴なんて聞いたことねえけどな」
ライラは呆れながらそう言った。
ザックが使っている魔法は【
減速効果はほとんどない為
また、魔力の流れも魔法効率と相まって少量のものなので探知した事を悟られない事もこの応用方法の魅力だ。
「んじゃ、そっちの事は任せた。俺は周辺の索敵にあたってるよ」
「ええ。任せるわね」
アリーゼにそう告げて、索敵を続ける為に外に出ると、薄蒼色の髪を持ったザックの恩人の1人が、テキパキと指示を出しながら作業をしていた。
「おつかれアーディ」
「あっ、ザック!お疲れ様。その様子だと今日も大活躍だったみたいだね〜」
人懐こいその柔らかな表情に頬が緩む。あの一件以来少しアーディの事を意識するようになってしまった。だが、アリーゼと輝夜の気持ちを有耶無耶にしたままこの気持ちを抱えるのは良くないと思い、気持ちに蓋をしている。
「いつも通りだよ。あっ、そういえば勧められてた英雄譚読んだよ」
「…!どうだった!?」
物語の名は【
英雄譚というより喜劇に近い内容だったが最終的には大団円。普段は物語を嗜まないザックだが、この物語は寝る間も惜しんで読了した。
「めちゃくちゃ面白かった!最初はおちゃらけてるアルゴノゥトの雰囲気が苦手だったけど、知らない間に物語に引き込まれてた」
「分かる!特に民衆の前でハッタリを決めるシーンとか…」
「アーディさん。仕事の方を…」
【ガネーシャ・ファミリア】の男が1人声をかけてきた。少し時間を取りすぎたようだ。
「ごめんザック!話はまた今度ね」
「こちらこそごめん。今する話じゃなかった」
そう言ってアーディと別れて外に出る。日が傾きかけて空は茜色に染まっていた。ザックは工場の屋根に乗り少し身体を休めることにした。
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アリーぜとシャクティ達との話が終わり
「少し話し込んでたみたいだけど、なにか収穫があったのか?」
「んー…。あったと言えばあったんだけど…」
アリーゼにしては随分と煮え切らない返事である。ここしばらく、魔石製品工場の襲撃が相次いでいる。しかも短期間で4回も。きな臭くはあるが今まで何の手がかりも得られていないのである。
「魔石製品の撃鉄装置が無くなってたらしい。だけど、その使用用途が分かんねえ。だからこれを手がかりとは呼べねえんだよな」
「撃鉄装置か…」
ライラが溜息混じりにそう答える。撃鉄装置というと所謂、物を起動させる為のスイッチの役割を持つ。恐らく遠隔起動をする事も可能なのではないだろうか?
皆はあまり馴染みがないのかもしれないが、ザックは1つの懸念を抱いた。
前世からの鉄板である。撃鉄装置と
「これは憶測だ。1つの可能性として考えて欲しいんだが…」
そう言うと皆こちらの話に耳を傾ける。そしてザックは考えられる最悪を口にした。
「相手の目的は撃鉄装置を使った無差別爆破テロ…なんてことはないか?」
「「「「「!」」」」」
「勿論これは憶測の域を出ない。だが、考えられる最悪だ。何処で何時どんな規模で起こるか分からないが…。奴らはそれを狙ってるんじゃないか?」
「…確かに爆破テロなんてもんが、オラリオで起こったりしてなかったから盲点だったな」
ライラは納得したようにそう呟く。他のみんなは神妙な面持ちをしていた。当然だろう、何せ突拍子がなさすぎる。だが常に最悪を想定した上で行動すべきだ。今のオラリオでは特にそう思う。
「あくまで可能性の一つだ。だが考慮していれば相手に先手を打たれる前に、動くことが出来るだろう」
「…そうね。爆破テロなんてもの起きて欲しくはないけど、頭の中に入れておくに越したことはないわね」
「ああ、一応【ガネーシャ・ファミリア】と共有しておいてくれ。有事の際に連携を取れるようにしておいた方が良いだろうしな 」
「ええ。分かったわ!」
撃鉄装置で爆弾の起動というのは殆ど確実だろう。それを可能性として濁したのは、彼女達の心労を少しでもかけない為だ。言い切ってしまったら事が起こるであろうその時まできっと張り詰めてしまうだろうから。
明確に相手が動く日が分かりきっていない以上、言葉を濁していた方が良いはずだ。だが、後手に回るのは嫌なのでそういった可能性があるという事は伝えた。
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今日も少年と【正義の眷属】はオラリオを奔る。
少しでも早くオラリオの安寧を取り返す為に。
しかし少年と彼女達が運命の岐路に立たされる日は目の前に迫っていた。
都市の奥深くで巨悪が嗤う。終わりは間もなく訪れると…。
『大抗争』まで、あと十日─────。
ステータス
ザック・カールス
Lv4
力 : H143
耐久 : I95
器用 : G211
敏捷 : G239
魔力 : G204
技巧F
剣士H
精癒I
《魔法》
【テンポラル】
・時間魔法
・自身の時間を加速、対象の時間を範囲減速、遡行する。
・詠唱式 【
・加速、減速、遡行範囲はLvに依存する。
・遡行は相手の巻き戻った時間に起きた出来事の影響を受ける。
【 】
【 】
《スキル》
【天眼】
・任意発動。
・発動時、目的に合わせその場の最適解を点と線で捉える。
・魔眼無効。
【
・任意発動。
・ステータス自動更新。
【
・瀕死時に発動。
・瀕死戦闘時にステータスが大幅に早熟する。
・全ステータス超高域化。
・一時的に発展アビリティ【魔導】【魔防】の発現
・自身を含めた世界の動きを緩慢化する。
【
・格上の敵との戦闘時に発動。
・【魔力】のステータス高域化。
・戦闘時に観客が多ければ多い程ステータス高域化。
・戦闘を見ている者を鼓舞し奮い立たせる。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
少し短めではありますが、漸くアストレア・レコード突入です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
こっからテンポ良く行けるといいなぁ…