ダンまち世界に転生するのは間違っているだろうか   作:厨二病の末路

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25話目になります。

いつも読んで頂きありがとうございます。

ラノベのアストレア・レコード1巻読みました。
ディース姉妹のビジュ最強すぎませんかね?

それではよろしくお願いします。


少年は結局白状する

心地の良い眠気から少しずつ意識を覚まし瞼を開ける。見覚えのある天蓋のベットで身体を起こす。

 

「おはようザック。良く眠れたかしら?」

 

「……アストレア様?」

 

「ふふ。余程ぐっすり眠ってたのね。貴方、私の胸の中で眠りこけちゃうんだからベッドに運ぶの大変だったのよ?」

 

「………すみません」

 

少し揶揄うように言うアストレア様の一言で、意識が一気に覚醒し顔が赤くなるのを感じた。

 

「と、ところでどのくらい眠ってましたか?」

 

「3時間くらいよ。皆帰ってきて今は談話室に居るわ」

 

「分かりました。俺は一旦部屋に戻ってから、髪の毛を整えて談話室へ向かいますね」

 

「なら、私は談話室に行ってザックの事を伝えておくわね」

 

「お願いします」

 

3時間くらいしか経っていないのか…。今まで足りてなかった睡眠不足が一気に解消されたと言ってもいい程にぐっすり眠ってたから、もっと長い時間寝てたのかと思った。

 

とりあえず皆を待たせる訳にはいかないので、ザックは足早に神室を後にして自室へ戻った。

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

身なりを整える事数十分。思った以上に時間がかかり、急いで談話室へ向かいドアを開ける。

 

「ごめん。遅くなった」

 

とりあえず開口一番に謝罪を述べた。と、同時に周囲を見渡すと全員がこちらに向き直った。髪を整えたお陰か身体の変化には気付いていないようだ。

 

「大丈夫よ。こっちも丁度今終わった所だから」

 

「なら、良かった」

 

ホッとしたようなアリーゼの表情に少し罪悪感を覚える。声には出さないが輝夜も似たような表情をしている。他の皆は『ザックの事だから問題ない』くらいに信用してくれているのか特に変わりはなかった。

 

ただ1人、何か深刻に考えているようなエルフを除いては。

 

「リューは何かあったのか?」

 

「!いえ、何でもありません」

 

「…そうか。分かった」

 

『何でもありません』って態度じゃ全然ないけど、本人が言うなら深入りはよしておこう。きっとアリーゼが上手いことケアするだろう。

 

空いている席に腰を掛けようとすると、何故かお誕生日席がわざとらしく準備されており、再度アリーゼと輝夜を見渡すとニッコリと笑顔を返してきた。

 

『逃げられると思うなよ?』という強い圧を感じる。ザックは軽く溜息をついて席に腰掛けた。

 

「とりあえず、18階層の騒動の後の出来事を話すよ」

 

そう言って端的に話を進めた。特筆すべき点はあの大男についてのみだったので、そこだけは覚えている限り丁寧に話した。

 

「────っていうのが事の顛末だ。腕の立つ治療師(ヒーラー)が来てくれなかったらお陀仏になってたな、あれは」

 

淡々と出来事を伝えたザックに全員息を呑んだ。相討ちという形ではあるが、【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】を…都市最速のLv5を相手取ったザックが全く歯が立たない相手が、闇派閥(イヴィルス)に居ることに。

 

「お前が戦ったその男はどのくらい強い?」

 

重い空気の中、輝夜が口を開く。強い眼差しを向けられてザックは忌憚のない意見を述べた。

 

「…あれは間違いなくオッタルよりも強い。Lv6かそれ以上だ」

 

オッタルと直接手を合わせた事はない。だが対峙した大男の身に纏う風格はオッタル以上のものだった。まさに歴戦の猛者というのが相応しい男だ。

 

再び重い沈黙が訪れる。だが最近は闇派閥(イヴィルス)の活動も活発になってきている。敵の戦力を甘く見積って誰かが死ぬ、なんていう事は絶対にあってはならない。

 

「はい!皆暗くならない!せっかくの可愛い顔が台無しよ!」

 

そんな沈黙をものともせずに、アリーゼは手を叩き声を上げる。

 

「落ち込む事なんてなにもないわ。情報がない状態で対峙しなくて寧ろラッキーよ。相手の事を知っていれば必ず対策は出来るんだから!それに────」

 

アリーゼはザックの方を向き信頼の笑みを浮かべる。

 

「ザックはもう負けないわよ!」

 

とんでもない事を言い放った。だがその言葉には力があった。きっと自分以上にアリーゼはザックの事を信じている。例え勝ち目が薄くともこの信頼に答えないのは男ではない。

 

ザックは不敵な笑みを浮かべてアリーゼに、そして皆へ声高らかに誓う。

 

「ああ、次は絶対に負けねぇ。奴には俺の冒険譚の糧になってもらうさ」

 

傍から見れば大言壮語もいい所だろう。Lv3の冒険者が都市最強(オッタル)以上の強さを持つ男を打倒するなど夢物語にも程がある。

 

だがザックの言葉を否定する者は居なかった。

 

Lv3にしては圧倒的な強さを持っているから?

格上殺し(ジャイアントキリング)の実績があるから?

アリーゼが信頼を寄せているから?

 

いずれも違う。この男は口にした事を()()()()()()()だろう。何故そう思うのか分からないが、有無を言わせぬ説得力がある。

 

そんな中、ライラが頬杖をついて口許を緩めて笑う。

 

「ハッ、まるで物語の英雄サマだな」

 

「一応、褒め言葉として受け取っとくが、英雄になるつもりはねえよ。俺から言わせれば、英雄なんてのは()()()()でしかねえからな。俺は俺自身の冒険譚の主人公で在りたい。他者に生き方を強要される英雄なんぞにはなりたくないんだ」

 

ただ、自由にありのままこの世界を謳歌したい。そして、その軌跡を綴り誰かに楽しんでもらえるというのはとても幸せなことだと思う。だけど『英雄』を志してしまったら、そんな生き方はきっとできない。

 

「俺が言いたいのは、必要以上に恐れる必要は無いってことだ。ただ敵の戦力を正しく理解しておく事は生存率に直結してくる。過剰に見積もっておいても問題ないだろ」

 

「まぁ確かにその通りだな。イザという時のプランを建てておいて損はねえ」

 

ザックとライラがやり取りしていると、次第に皆も下がっていた顔が上を向いている。どうやら不安を取り除く事が出来たようだ。

 

「俺からの報告は以上だ。今回の件は派閥会議でフィン達に伝えておいてくれ」

 

「分かったわ。じゃあ皆今日は解散!明日の炊き出しに向けてゆっくり休んでね!」

 

アリーゼの号令で皆が散り散りになっていく。俺もどさくさに紛れて部屋に戻ろうとすると────

 

「何を戻ろうとしてるんだ貴様は。説明すると言ったのはお前だろ」

 

「すみません」

 

当然の如く輝夜に腕を抑えられた。

 

 

 

部屋に残ったのはアリーゼ 輝夜 アストレア ザックの4人だ。

 

「本当に皆、俺の変化に気付いてないのかな?」

 

「ライラは多分気付いてる。お前が会話を切ったから気にしていないだけだろう」

 

実際に行動を共にすることが多いのがアリーゼ 輝夜 リュー ライラの4人だが、アリーゼと輝夜以外は顔をまじまじと見る事もないし当然と言えば当然か。

 

「髪の毛を切ったら気付かれないもんなんだな」

 

2年って結構大きい気がするんだけどな…。身長も少し伸びてる気がするし。まぁ、今回に限って言えば変化を知られない方がいいだろうけど。

 

「まぁいいか。俺の身体の変化についてだったな。確定ではないが、俺の魔法の副作用だと結論づけた」

 

「……どういうこと?」

 

ザックの言葉に輝夜とアリーゼはしかめた顔をした。当然の反応だろう。

 

身体の変化が魔法の副次効果で起きた現象など常軌を逸脱しているし、アストレア様も知らないとくれば、神時代始まって以降例を見ない出来事だ。

 

「俺の魔法は何度か見た事あるよな?」

 

「えぇ。しっかりと見たのはゴライアスと戦っている時だけだけど」

 

「それとは別で私と出掛けている時、闇派閥(イヴィルス)襲撃の際にも別の詠唱式を唱えていたが…」

 

「そういえばそうだったな。今回の原因になったのは、ゴライアスとの戦いで使った魔法だ」

 

「普通の付与魔法(エンチャント)と言われる種類の魔法では、無いということか?」

 

ザックは深く頷いて2人の目を真っ直ぐに見つめる。

 

「俺が使う魔法は【時間魔法】…。自身の時間を代償に身体能力を強化(ブースト)する。代償になる時間は、負荷を上げれば上げるほど加速度的に増える」

 

口を挟む隙を与えず淡々と語り続ける。当然2人はザックの話に理解がついて行かずにただただ押し黙っていた。

 

「前に輝夜に見せた魔法はその逆で、対象範囲の時間の流れを遅くする魔法。こっちは今の所は制限なく使える。まぁ、魔法の使用を極力制限してれば問題は無いよ」

 

口を挟まずに様子を見ていたアストレア様が少しジト目でこちらを見ていた。

 

それもそうだろう。今のでは一方的な事務報告に変わりない。親身に心配してくれている2人に「こういう事だから気にするな」と、告げて話を終わらせようとしている。なんと酷い奴だろうか。

 

当然理解している。だけど、2人がどれだけ憂慮したとしても、いざとなったら魔法は使う。だったら最初から2人の意見を跳ね除けて伝えるしか方法はないと思った。

 

「……18階層で倒れていたのはなんだったの?」

 

「………」

 

ザックの言った事を全て呑み込めた訳では無いが、1番気にかかっていた疑問をぶつける。痛い所を突かれたザックは少し固まってしまった。

 

「魔法の使用を止めろなんて言ってもどうせ聞かないでしょ?なら、せめて隠さないで教えて」

 

魔法の事だって納得はしていない。こんな事を聞かされたら目の届く範囲に居てほしいと思うのは当然だ。だけどアリーゼは、それらを呑み込んでただ1つの答えを求める。

 

語気を強めて言ったアリーゼに少したじろいでしまう。アストレア様に伝えない事を選んだのに迂闊だった。ザックは自身の不覚を呪い1つ大きな溜息を吐く。

 

「…あれも魔法の1つだ。使用したのはアレが初めてで、まさか気を失うとは思わなかった」

 

「それは、ネーゼが言ってた冒険者と何か関係があるのか?」

 

「あぁ【回帰(インタラクト)】っていってな、対象の時間を巻き戻すんだ。それで死にかけてた冒険者の時間を巻き戻した」

 

簡単に言ってのけるがやっていることは人智を外れている。2人はおろかアストレアまでもが驚嘆の表情でザックを見る。

 

「(まぁ、当然の反応だよな)」

 

3人の反応は予想の範疇だった。こうなる事が分かっていたから伝えるつもりはなかったのだが、自分の不始末なので仕方がない。

 

精神枯渇(マインドダウン)して倒れてただけだ。よし!じゃあお開きって事で」

 

「────はっ?おい!」

 

この場に留まりたくなくて、無理やり話を打ち切る。皆の表情を見たくなくて、輝夜の声を無視して足早に談話室を去った。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

「何やってんだ俺は…」

 

部屋に戻ると連行されそうで、そのまま本拠(ホーム)を出て来てしまった。

 

「分かってたはずなんだけどな…」

 

俺に向けられる目が、得体の知れないモノを見るそれになっていたような気がする。情緒不安定になっているだけなのかそれとも────

 

「2人にはそんな表情されたくなかったんだろうな…」

 

口に出して初めて気付く。自分の中で、かけがえのない存在になりつつある2人に。無条件で受け止めてくれるだろうと思ってしまっていた。

 

「明日は炊き出しだって言ってたな」

 

なんにせよあの態度は良くなかった。傍から見ても、俺が悪いと言われて然るべき内容だった。ギスギスしたままは、嫌だし明日素直に謝ろう。

 

「ランクアップしておくか」

 

発展アビリティは『耐異常』が取得可能か。取得したら少しでも違和感が和らがないだろうか…。

 

一縷の望みを掛けてランクアップする。晴れてザックは第一級冒険者の領域に足を踏み入れた。

 

 

 

 

ステータス

 

ザック・カールス

 

Lv5

力 : I0

耐久 : I0

器用 : I0

敏捷 : I0

魔力 : I0

技巧D

剣士F

精癒F

耐異常I

 

《魔法》

【テンポラル】

・時間魔法

・自身の時間を加速、対象の時間を範囲減速、遡行する。

・詠唱式 【迸れ(アクセラ)】【減衰せよ(レクシオ)】【回帰(インタラクト)

・加速、減速、遡行範囲はLvに依存する。

・遡行は相手の巻き戻った時間に起きた出来事の影響を受ける。

・■■■■■■■■■■■■■■■

 

【 】

 

 

 

【 】

《スキル》

【天眼】

・任意発動。

・発動時、目的に合わせその場の最適解を点と線で捉える。

・魔眼無効。

 

 

異界之旅人(サブ・ウィアートル)

・任意発動。

・ステータス自動更新。

 

邯鄲ノ夢(ファンタマゴリア)

・瀕死時に発動。

・瀕死戦闘時にステータスが大幅に早熟する。

・全ステータス超高域化。

・一時的に発展アビリティ【魔導】【魔防】の発現

・自身を含めた世界の動きを緩慢化する。

 

冒険舞台(ヒロイック・フォリオ)

・格上の敵との戦闘時に発動。

・【魔力】のステータス高域化。

・戦闘時に観客が多ければ多い程ステータス高域化。

・戦闘を見ている者を鼓舞し奮い立たせる。

 

 

 

 

 

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。

結局話が進みませんでした。申し訳ないです。
次回からはトントン拍子で行けると思います。

主人公の情緒が狂っておりますが、あまり気にしないでください。寝れば治りますたぶん。
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